ミドルエイジのビジネスマン
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| 2007年12月09日(日) |
社長にスカウトされた後輩 |
年の離れた後輩が会社に訪ねてきた。外資系の金融機関に勤めていたと思ったのだが、大きな事業会社に金融商品の紹介や資金調達の提案を継続的にしているうちに、「お宅の商品は要らないがあなたが欲しい」と言われたそうだ。本人は、その会社が新しいことを始める子会社を作るので、社長として来てくれという「カウンターオファー」が来たと表現していた。
真面目に仕事をしていれば誰にでもこのようなチャンスが巡って来るという訳ではあるまいが、世の中には、そんなこともあるのだと感心した。もう、2年くらい社長をやっており、移り変わりの激しい古巣の業界に疎くなったので、新規事業で必要になったことの確認をするために訪ねて来たそうだ。
「職業としての経営者」という言葉があるそうだ。多くの場合、別に大株主のオーナーがいて、経営を任せられる人のことだ。社長として一生懸命働いているうちに経営者のノウハウが自然に身につき、もし仮に次の職場に移る事があったとしても、この勉強熱心な若い社長が「営業課長」として転職することはおそらく二度とないだろう。
今頃、一般の家庭用電気製品を作っているという会社の話を聞いた。今、力を入れているのは、コーヒーのエスプレッソマシンとワインセラーだという。コーヒーは、ブラックで飲むのが通と思い込んでいたので、そもそも、エスプレッソコーヒーをどのように淹(い)れるのかも知らなかった。
お店で頼むと、なにやら怪しげな機械のハンドルを押し下げて、時間をかけてわざわざ苦いだけのコーヒーを出し、小さなカップで、さも美味しい振りをしながら実は苦いのを我慢して飲む。場合によっては苦さに耐え切れず、ミルクをたっぷり入れたり、時には泡立てたミルクを山盛りにして今度はコーヒーの味を台無しにしてしまう。そんな風に思っていた。
ところが、大きな電気製品売り場では家庭用のエスプレッソマシンが売られている。なかには、普通のコーヒーとエスプレッソの両方できるものある。
話を聞いた会社では四角い箱ではなく思い切った曲線の、色も鮮やかなデザイン性に優れた製品を売っている。なんでも、コーヒー用とミルク用別々に圧力をかけることができるようになっているそうだ。
会社の人のいわく、決して値段が安い訳ではないが、機能に優れ、デザインも自信のあるものであれば、共感して長く使ってくれるユーザー層が国内に確実にあるとのことだ。
これも縁なので、誰か詳しい人にエスプレッソコーヒーの楽しみを聞いてみようと思う。病みつきになったりして。
10年の歳月は、中年の部長さんをリタイアさせ、働き盛りの課長さんを部長さんにし、何も知らなかった若造を自信に満ちた中堅社員に育てた。この日集った世代も様々な人々はそれぞれの会社で活躍している。中には悠々自適の人もいれば、自分のオフィスを構えている人もいる。
学閥や地縁で親分に上に引き上げてもらったり、その暗黙の交換条件として小間使いをするのではなく、多くの人が持てる能力と自分自身の努力で専門分野に身を置き、生き々々と働く時代になったのだと、グラスを傾けながらスマートに談笑する人々を見やりながら、感慨に浸った。
それぞれに思いを秘めながらも、胸を張ってプロとして生きている優秀な人達に敬意を払う。
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