ミドルエイジのビジネスマン
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2007年07月08日(日) 叔母の葬儀

7月2日に母の妹が亡くなった。5日の木曜日に営まれた葬儀に参列してきた。幼い頃は従兄弟と本当の兄弟のように面倒を見てもらった。毎日のように遊びに行って、従兄弟が居なければ勝手に上がりこんで漫画の本を読んだりしていた。長じてから顔を見せに訪ねて行くと、いい大人をつかまえてやれお茶を飲め、やれ菓子を食えと、断るのに難儀するほどほど勧めてくれたものだった。几帳面で、家の中をピカピカに磨き上げていた良き主婦だった。

もともと小柄な叔母だったが、棺の中でさらに小さくなって眠っていた。葬儀場には従兄弟の会社の人が5〜6人と、親戚縁者が30人ほど集まった。従兄弟にとっては年老いた母を見送るにふさわしい規模だったのではなかろうか。儀式は生者のためにも行われているのであって、祭壇の花や弔電の送り主が、従兄弟が社会的に立派な地位を築いていることを親戚一同と近隣の人々にそれとなく再確認させていた。

従兄弟の姉は10日以上も病院に泊り込み、げっそりとやつれ果てていた。考えてみれば彼女も、幼い私が世話になった頃の叔母の年を越えている。昔のイメージをそのまま抱いていた郷里の人達も改めて顔つきや姿勢を見れば中年を迎え、若き日に戦争で例外なく運命を変えられたその親の世代は次々とこの世を去っていく。

参列者の後方の席では、時々、幼子がまだ言葉にならない声を上げて母親にあやされていた。亡くなった叔母の曾孫だという。老いた叔母がこの世を去り、営々と紡がれた命が曾孫まで連なって見送る。苦労の多い一生ではあったが、男前の旦那と結ばれ、器量の良い娘と出来の良い息子を育てて、まずまずの人生だったのではなかろうか。


2007年07月01日(日) 館山での飲み会

週末、先輩がやっている館山のペンションで泊りがけの飲み会があった。特急さざなみ7号は車両も新しく、自由席はガラガラに空いていたので午前中からビールの缶を片手に電車旅行を楽しんできた。

民宿に行く前に館山駅前のおすし屋さんで腹ごしらえ。きびきびと大変有能な女性の店員さんに世話してもらいながら、お昼を食べた。

先輩のペンションは、福島県の会津地方の大工さんたちが家財道具持参の長期出張で建ててくれたものだそうで、松の木でできている。長い廊下をはだしで歩くと、板の分厚さが伝わってくる。段々、艶も出てきているところだそうだ。一部の柱と客室の床は「黒ひのき」という木材が使われており、オープンして8年経過した今でも部屋は木の香りで気持ちが落ち着く。

ビジネスマンから転進して、持ち前の明るさでますます自由を謳歌している先輩と上品な奥様の二人は付近に看板一つ出さず、リピーターのお客さんとその口コミで広まる範囲だけで経営が成り立っているらしい。

湯上りに夕涼みをしながら語らうひと時にも、心地良い風が吹いて他愛ない雑談も楽しいものだった。


2007年06月24日(日) ロボットスーツHAL

筑波大学、山海教授のチームが開発しているロボットスーツ「HAL」について教授自身が説明するというのでロボットセミナーに出席した。恵比寿ガーデンプレイスのウェスティンホテルで行われたセミナーでは多方面の話題があった。経済産業省もロボット事業を将来の重要な産業と位置づけ、積極的に支援しようとしているようで、名古屋から駆けつけていた。

HALはロボットといっても腕や足のパワーアシストをするため、身につけるという意味で「ロボットスーツ」と呼ばれている。しかも、パワーアシストといっても筋肉の動きを感じてそれを増幅するのではない。足を動かそうと思っただけで、体表面の生体電流をキャッチして体よりほんの少し早く動き始めるのだ。両者の違いは大変大きくて、筋肉が動いてからそれを増幅する方式の場合には、身につけている本人にとっては体を引っ張られているように感じてしまう。それに対して、HALの方は、あたかもロボットの動きが自分の体のように思えるそうだ。

山海教授が講演で使った画像では、筋ジストロフィーの人や生後11ヶ月で小児麻痺にかかった人が自らの意思で足を動かしていた。実際に歩いたわけではないが、ポリオの人が立って膝で曲げたり、伸ばしたりしている姿は感動的だった。赤ちゃんのときから、自分の足を意のままに動かしたことのない人が、思ったように伸ばしたり曲げたりしている。初めて自分の足が自分の言うことを聞いたとき、その人はどんなにか嬉しかったことだろう。

人間、いくら望んでも絶対不可能なことと、普段はやらないが、望めばいつでもできるのとでは、精神的な受けとめ方が全然異なる。自分の足をいつでも自分で動かせると思えるだけでも、その人の世界は明るく輝くのではなかろうか。

もう一つ教授のお話でなるほどと思えたのは、HALを使って足を動かしたり、歩行訓練をすると、頭脳と体とHALが連携して一体のものとして動こうとするのだそうだ。すなわち、HALと足が滑らかな動きをすることが、脳を刺激して、より滑らかに動くように指令を出すようになる。人間、必ずしも、脳が全面的に体を支配しているのではなく、頭脳も体の動きに触発されて機能を高度化する。

その現象は、脳梗塞などのリハビリにぴったりではなかろうか。映画やニュースで一生懸命平行棒につかまりながら歩行訓練をしている場面がよく映し出される。あれは画像としては感動的だが、本当にたどたどしいし、肉体的にも辛そうだ。HALなら、歩こうと思っただけで足が動き、足が動くことで脳も活性化する。これなら直ちにリハビリ用として実用化できるはずだ。病院にお見舞いに行ったら、今、歩行のリハビリ中ですと言いながら、病人が廊下をスタスタ歩いて面会に出てくる姿など、想像しただけでも愉快だ。

HALはまだ全部手作りのため、何百万円もする高価なものだが、既に福祉施設に導入され始めているとのことだ。リハビリも今よりずっと効果的にできることが実証されていくに違いない。


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