月香の創作ノート
水瀬 月香



 弱さを隠した子供・・・悪奴×当(トルーパー)

この俺の弱さも醜さも何もかもを暴こうとする光よりも

この俺の弱さも醜さをも全て包み隠してくれる闇をこそ

俺は望む・・・



俺は決して強くはない・・・

俺は決して美しくもない・・・

弱く醜く愚かな子供でしかない・・・


ただ少し人よりも物事を見抜く瞳を持っていただけ・・・

ただ少し人よりも賢しかっただけ・・・

ただ少し人よりも自分を隠す事が巧かっただけ・・・



ねぇ・・・?

親からさえ『子供』として見てもらえなかったなら・・・

『大人』のフリをする以外に何が出来る・・・?

どれ程大人びて見えても所詮『子供』でしかないのに・・・



だから俺は『大人のフリ』をするよ・・・

お前はそれを暴いたりはしないだろう・・・?

お前は『大人のフリをする子供』の俺であっても・・・

受け入れてくれるだろう・・・?



・・・・だから・・・・

ねぇ・・・悪奴弥守・・・?

お前の『闇』で『俺』を隠してよ・・・

膝を抱えて寂しいと泣く・・・

『子供の俺』を・・・



その闇の腕で・・・

抱きしめて・・・・

2002年06月30日(日)



 お日さまとお月さま・・・オリジナル

まんまるなお月さまがぼくを見下ろしている

お日さまみたいにあったかくはないけど

お月さまの光のほうがぼくはスキ

だってふんわり包み込んでくれるみたいだと思わない?

お日さまみたいにぎらぎらしてないから・・・

やさしいのはお日さまじゃなくお月さまのほうだと思うの

だからぼくはお月さまのほうがスキ



ねぇ?あなたはどちらがスキですか?

あったかくてまぶしいお日さま?

それともあったかくはないけれどやさしいお月さま?


あったかいお日さまがスキなあなたはシアワセなんだね

シアワセだからお日さまの光の下でもヘイキなんだね


やさしいお月さまがスキなあなたは寂しいんだね

だからお月さまのやさしい光に安心するんだね



お月さまが大スキなあなた・・・

大丈夫だよ

お月さまがスキなあなたは1人じゃないから

お月さまもあなたが大スキだから

あなたは1人じゃないからね・・・?

いつだってぼくとお月さまがあなたを見てるから・・・


2002年07月01日(月)



 月麗華・・・オリジナル



月の光に抱かれて咲く月麗華・・・

月明かりの中夜の闇に抱かれてのみ咲き誇る・・・

夜の闇に護られて・・・

月の光を糧として・・・

彼の華は大輪の華となり馨しき香を放つ・・・



彼の華は陽の光の中では生きられない・・・

陽の光は彼の華を殺すだけ・・・

月に抱かれ闇に護られ・・・

漸く花開く月麗華・・・



月麗華・・・それは闇の王が妃・・・

気高く麗しき夜の女神・・・

2002年07月02日(火)



 月光・・・GL(アー主)

キンと凍てついた夜の空気の中、月の光を全身に浴び佇む
細身の青年を見つけ男は小さく息を吐いた。
宿を抜け出す青年の気配に気付き後を追ってきたのは
どうやら正解だったようだ。
彼は宿に備え付けられていた白い夜着のまま
上着1つ纏ってはいなかった。

元々自分自身の身体を気遣うという意識が
希薄な青年ではあるがここ・バーンシュタインの冬は
彼が生まれ育ったローランディアとは違うのだ。
アーネストは月光を反射して淡い光を放つ青年に
静かに近付いて行った。

アーネストの気配に気付き青年・ルシファーは
ゆっくりと視線を巡らせる。
アーネストにだけ見せる儚く頼りなげな表情。
今にも泣き出しそうなほどに揺らいでいる金銀妖瞳が
アーネストを見上げてくる。
ルシファーがこんな表情をする理由を
アーネストは知っていた。

今日の時空制御塔での戦い・・・。
それがルシファーを苦しませているのだろう。
原住生物であるゲーヴ達の王・ゲーヴァス。
ルシファーのただ1人の主・ゲヴェルに良く似た存在を
再びその手に掛けた事がルシファーの心にどれだけ負荷を
掛けたか・・・それはアーネストには想像する事しか出来ない。

いつだったかルシファーが言っていた事がある。
月の光には癒しの力があるように思う・・・と。
たとえつらい事や苦しい事があったとしても
月の光を浴びている内に少しずつ癒されている気がする・・・と。
だからルシファーは戦闘後の月のある夜は野外に出たがる。

アーネストは無言で持ってきていた上着でルシファーを包むと
そのすっかり冷え切った華奢な身体を抱き寄せた。
アーネストの体温を間近に感じルシファーは安堵したように
小さく息を吐いた。
そして無言でアーネストの背に細い腕を回し胸に顔を埋めた。

哀しいほどの力で縋りついてくるルシファーの髪を梳き
アーネストは晧晧と輝く銀の月を見上げた。
その輝きは何処か彼の白銀の異形神を思い起こさせた。


凍てついた大気の中優しい月明りに抱かれ
2人はいつまでも寄り添っていた・・・。

2002年07月03日(水)



 愛し子・・・GL(ゲヴェ主)


ねぇ・・・御方様・・・?

どうした・・・ルシファー・・・?



『ヒト』は滅ぼさなくてはいけないのですよね・・・

・・・・・・



このままでは『ヒト』は『世界』を滅ぼしてしまうから・・・

・・・・そうだ・・・『ヒト』はこの『世界』には要らぬ・・・



『ヒト』は争ってばかりだから・・・

森を焼き、山を崩し、湖を川を海を汚す『ヒト』・・・



このままでは『世界』は『ヒト』に殺されてしまうから・・・

・・・その通りだ・・・ルシファー・・・



でも・・・・

・・・それでも滅ぼされる『ヒト』を哀れむか・・・?



・・・・御方様・・・・

・・・なれば・・・己が得心行く未来を探すが良い・・・



・・・・御方様・・・・俺は・・・

・・・お前はお前の信じる『未来』を探せば良い・・・



・・・・・・俺は・・・・

お前がどんな『未来』を選ぼうと・・・

・・・お前が私の愛し子であるに変わりはないのだから・・・




2002年07月04日(木)



 私の好きな人・・・Siesta(忍×里緒)

私の好きな人はとてもキレイな人・・・

見た目の容姿だけじゃなくて心が・・・


私の好きな人はとても厳しい人・・・

それは他人にだけじゃなく何より自分自身に・・・

そのせいで怖がられる事が多いけれど・・・


私の好きな人はとても優しい人・・・

でもそれは直にはわからない・・・

だってとても不器用な人でもあるから・・・


大好きな貴方・・・

ずっと傍に居て下さい・・・

貴方が傍にいてくれたなら・・・

きっと私、強くなれるから・・・

2002年07月05日(金)



 月光浴・・・外法帖(天戒主)【完結】

冴え冴えとした月の光を浴びながら『あれ』は
痛いほどに冷たく凍えた滝の水に腰まで浸かり
静かに瞑目していた。

『あれ』はその少女めいた秀麗な顔に
微かな笑みさえ浮かべており滝の水の冷たさなぞ
全く感じてはおらぬかのよう・・・。
見ている方が凍えそうになる。

元来『あれ』は自分の身体を労ると言う事をしない。
寒さ暑さもさしては感じぬと言う。
確かにどれ程凍りそうに冷たい水に入ろうと
『あれ』が体調を崩した事などありはしない・・・。
だからと言って黙っていられるというものでもない。

天戒は聞えよがしに大きな溜息を吐き
真冬の滝の水に浸かりながら
月光浴を楽しむ『彼』に不機嫌そうに声を掛けた。

『いい加減に水から上がれ・・・、龍・・・』

うっとりと目を閉じ月の光を楽しんでいた彼・龍那は
天戒の少々不機嫌そうな声にふうわりと目を開け
声のした方へ顔を向けた。
そして声の主を確かめると嬉しげに満面の笑みを見せる。
そんな龍那の様子に再び大きな溜息を吐く天戒に龍那は
ことりと小さく首を傾げ不思議そうに天戒を呼んだ。

『天戒・・・?どうかした・・・?』

その心底不思議がっている声に
全身の力が抜けそうになるのを辛うじて堪え、
天戒は今一度同じ言葉を繰り返し告げた。

『いい加減に水から上がれと言っている・・・、龍』

傍で見ているだけで凍えそうだと言うと
龍那は不思議そうにしながらも大人しく天戒のいる岸へと
近付きほとんど水飛沫を上げる事無く岸に上がる。
そして近くの枝に掛けた布で手早く体を拭き
同じように枝に掛けておいた夜着に袖を通すと
ふぅわりと柔らかな所作で天戒に向き直る。

優雅な、まるで舞でも舞うかのような優雅な所作に
天戒の意識も一瞬龍那に釘付けになる。
しかし小さな憤りがそれを破り、天戒は厳しい顔で
龍那に向き直った。

『龍・・・、何度言えば解るのだ・・・?お前は・・・』

その表情と怒りを押し殺しているかのような
低めの声音に漸く天戒が怒っているらしいと龍那も気付く。
おずおずと上目遣いに天戒を見上げ恐る恐ると言った感で
天戒に問う。

『えっと・・・あの・・・。天戒・・・怒ってる・・・?』
『・・・・・・』

天戒はその問いに無言を通す事で応えを返す。
龍那は萎れた花の様に項垂れ素直に謝る。

『・・・・心配させてごめんなさい・・・』

龍那が心底悪いと思って謝っている事を感じ
天戒としてもそれ以上怒りを持続させる事も出来ず
深い溜息を憤りと共に吐き出す。
そして恐らくは言うだけ無駄と思いつつ言葉を紡ぐ。

『・・・龍。お前が月光を浴びるのを好む事は承知しておる。
この那智滝で行水する事を好む事も・・・な。
だが、この真冬にまで水に入ることもあるまいが・・・』

心の底から呆れたと言わんばかりの天戒の声音に
龍那は幾分拗ねたように唇を尖らせいいわけをする。

『・・・だってここの水は【優しくて】気持ちが良いんだもの』

天戒と龍那の間で幾度も交された会話。
龍那は『優しいから』という理由で良く那智滝で水浴びをする。
それも月の在る夜を最も好んで・・・。
それは春でも夏でも秋でも変わらず・・・。
いくら何でも真冬になればするまいと思っていたが
龍那にそれは通用しなかったらしい。

もう一度深い溜息を吐くと天戒は幼子に言い聞かせるかのように
ゆっくりと言葉を紡ぐ。

『・・・龍・・・。せめて冬の間は止めよ・・・』

夏場ならばいくらでも付合ってもやるが・・・という天戒の言葉に
萎れた花の様だった龍那の顔に満面の笑みが浮かぶ。
そして天戒の着物の袖を握り締め言質を取ろうと問い掛ける。

『ほんと?夏だったらほんとに天戒も一緒にしてくれるの?』

その様はひどく幼くて天戒のみが知る龍那の姿。
天戒にだけ見せる幼げな様子に小さく苦笑し
ひやりと湿った髪を梳いてやりながら頷いて了承する。

『あぁ・・・、夏ならば・・・な。だが今は屋敷に戻るぞ。
このままではいくら何でも風邪を引きかねんからな』

そう言いながら龍那を促し屋敷へと足を向ける。
大人しく天戒に従い屋敷へと向かいながらも龍那は
約束だと繰り返し口にする。


その約束は今だ果たされてはいない・・・。

鬼哭村の最奥に位置する九角屋敷の一室。
柳生宗崇と黒繩翁との戦いから半年が過ぎ、
天戒は1日の大半をこの室で過すようになった。
季節は既に夏を迎えようとしていた。

新年の挨拶の後円空和尚に呼ばれ竜泉寺へ向かった龍那が
鬼哭村へ戻ってきたのは半月後の事だった。
全身に裂傷を負っていた龍那は天戒の腕の中で
意識を失ってからこの半年、龍那は今もなおこの室で
死とも見紛う深い眠りについている。

傷は疾うに癒えたというのに龍那の意識は戻らない・・・。
天戒は習慣となった村の見まわりの刻限以外の刻を
ここで過す。
その日あった些細な出来事などをまるで龍那が
聞いているかのように語りながら・・・。

『龍・・・、もう夏になるぞ・・・?
約束だと騒いでいたのはお前だろう・・・?』

ただただ眠り続ける龍那の髪を梳きながらいつかの約束を
口にする。

『なぁ・・・?龍・・・?今宵の月も見事だぞ・・・?』

応えの返らぬを知りながら、なおも天戒は言葉を紡ぐ。
そう呼びかけ続ければ龍那が目覚めると云わんばかりに。
一人月を肴に杯を傾けつつ天戒は時折龍那に瞳を向ける。

『早く帰って来い・・・、龍・・・・。
共に月浴びをすると言ったのはお前であろうに』

苦笑と共に天戒は手を伸ばし龍那の前髪を軽く引く。
月明かりに照らされ眠る龍那の顔はとても安らかで・・・。
天戒は龍那が目覚めない事への哀しみと
龍那の眠りが安らかである事への安堵を同時に感じる。
片手で龍那の髪を何とはなしに梳き解しながら
もう片方の手で杯を呷り、天戒はまた月を見上げる。

こうして月の光に身を浸していると天戒にも何となく
龍那が月光浴を好む理由が解るような気がする。
月の光は陽の光と異なり熱量はない。
しかし穏やかに包み込まれるような優しさを感じる。
龍那の持つ『癒し』と同質の力を感じる。


『・・・まぁ良いさ・・・。ゆっくりと休むが良い・・・。
俺はここに居ようぞ・・・。お前が目覚めるまでな・・・龍』



--------------------------------------------------

3度目の正直・・・。今度こそ終了・・・。
ちゅうか1番最初に書き上げたものと
随分変わったような気がする〜・・・。
2回目とも違うし・・・無駄に長いし・・・(T▽T)
これで消えたらわしは泣く・・・。

2002年07月06日(土)
初日 最新 目次 MAIL HOME


My追加