台所のすみっちょ...風子

 

 

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矛盾。 - 2002年11月13日(水)

昨日友人と彼女の地元でお昼を食べた。

どこで食べようか?と聞かれるまでもなく、

私は「定食充実のあの和食屋さん」とリクエスト。

そう、昨日はガッツ気分であった。

ジャンジャンバリバリ食いたかったのである。

「ふふ・・あそこの定食はボリュームがある・・」

家を出る前から「今日はあの店!」と企んでいたのだ。


刺身定食、焼き鳥丼、本日の日替わり弁当などなど・・・5種類ほどの定食たち。

店に入り私が選んだのは、その中でも一番ガッツさが感じられる

「フライ定食」であった。

そこのは、ただのフライ盛り合わせではない。

エビ、しかも”有頭つき!”のぐうぉ〜〜んとデカイエビフライが他の

小ぶりの牡蠣フライ2個、魚フライ一個を押しのけ、オラオラ〜といった調子で

ふんぞり返っているのである。

さすが、「ガッツな食事推進委員」の私が惚れ込んだだけのことはある。

友人と話しをしながら、「ガブリと腹から食ってやる」などと

ワクワクしながら待つのであった。


が、早さが売りの昼定食のくせに待てど暮らせど出て来ない。

10分たち、15分たち、いい加減

「まさか、エビを東京湾に釣りに行ってるのでは?」と疑い始めた時、

店員がやって来て、なんと「エビが終わってしまいました。エビの変わりにイカリングではどうでしょう?」

なんて言うではないか。

エビの変わりがイカ。

めったに食べることのできないエビフライが、めったに食べられるイカリングに。

ショックの色は隠せなかったが、何てったって私はガッツに食いたいのである。

それにはあっさりめの刺身定食とかではダメだ!

こってりしたフライ定食じゃなければ!

自分を納得させ、仕方なくそれでいいです、としぶしぶ返事をしたのであった。

そうして、待つことまた15分・・・遅い、遅いのであった。

あまりの遅さにまたしても

「まさか、料理長が慌ててイカ釣り船に乗り込み、まさに今、
水揚げの最中なんじゃ〜?」

と変に勘ぐらずにはいられない。

そして、若い漁師の兄貴的存在鳥羽一郎の顔が頭の中に浮かんだ頃、

ようやくその定食はやってきたのであった。

牡蠣フライはコロコロとした丸。小さな魚フライも楕円形。イカリングも

もちろん丸。皿の上がなんとなくま〜るく収められていて、エビフライ

のような無鉄砲な”はみ出し者”などいない。

なんとつまらない光景だろう。

・・・・・私が家を出るときに期待していた定食の姿は、

もうそこにはなかった・・・。


取り合えず完食し、お会計。

フライ定食は1000円であった。

丸々一匹のデカイエビからイカの薄い輪切り、そうイカリングになっても

値段は一緒。

ん?エビ一匹とイカ一杯だったら、それぞれの種類にもよるだろうが、

単価は絶対エビの方が高いハズ。

それを安いイカに格下げしたのだから、当然「お安くしときますね〜」の

ひと言があってもいいのではないか?

イカリングは3つで、一つが直径約4�僉�厚さは1�僂曚匹世辰拭�

それをピッタリとくっつけても長さは3�僉∩環垢�よそ17�僂砲盖擇�

エビの長さには及ばない。

同じ値段を取るなら、イカ一杯を丸々姿揚げするぐらいの

心意気が欲しいものだ。

パン粉がついその姿は、エビフライの迫力を超え、

胸焼けもんのボリューム感だろう。

だが、単価はイカの方が低いのだから、まあそれでトントンってことだ。



会計を済ませ、私は店の外へ出た。

エビ、イカ。エビ、イカ。イカ、エビ。イカ、エビ・・・と

その2つを頭に浮かべ、食材の変更にもろともしない店の姿勢

に矛盾を感じつつ、私は友人と歩き始めたのであった。

今度は絶対食ってみせる・・・。

おしまい。


...

母さ〜ん、、お茶〜〜! - 2002年11月12日(火)

金曜日夜、2番目に勤めた会社の後輩と同僚が遊びに来た。

私がその会社にいたのは8ヶ月間と短い。

なのに、来てくれる。なんてありがたや。

夕飯の鳥だんご鍋を食しながら、久しぶりに聞く元いた会社の話。

「鍋をつつく」というのが会合の主旨であったのに、

「辞めちまって良かった」と、とっとと辞めた自分の

決断が大正解であったことを改めて、いや予定通り確認する場となった。

2人は、私に”会社の今”を伝えようと丁寧に話してくれるのであったが、

聞いてる途中、果てはイントロどん!のクイズのように

「皆まで言うな」という気分になったりする。

辞めて2年も経つというのに、「おはようございます」「お疲れさまでした」

の挨拶もない、あの信じられないほどの暗い社内の雰囲気は

ちゃんと思い出されるのであった。


そう、私があの会社のことで、覚えているのは任されていた仕事の内容とか、

たまに顔を見せる社長が猿の惑星のコーネリアスそっくりだとかいうことより、

「笑っちゃうほど暗い会社」ということ。

いや、本当に笑ってしまったこともある。

あまりの暗さに可笑しささえ感じ、一人給湯室へ行って。


会社は北陸の某県に本社がある一部上場もしていた結構な会社。

私の勤めていた東京営業所の社員は40人。

一部5人ぐらいを除いて、あとは全員そこの県人という都心のど真ん中にして、

”リトル○○県”の異名を持つその会社は、社員一人一人が

何故か異常にしんみりとしていて、社内の空気も暗くどんよりと沈んでいた。


そのことを知人に話したら、「北国の人達の集まりだからじゃん」と言われた

ことがある。

確かに”北国の人は無口”という印象が一般的にはあるのかもしれない。

厳しく長い冬が、静かにじっと耐え続ける人々の姿を思わせるのだろう。

が、私だって寒い新潟出身。

自慢じゃないが、うるさい!と怒られることはあっても、

静か、なんて言われたことがない。

ましてや、挨拶ぐらいちゃんとできる。

風土との関連性は少しはあるにしても、あまり関係ないような気も

するのである。




そんなわけで、私は社内のあの暗さをワンマンすぎる社長、コーネリアスに

原因があるのではないかと見ていた。

社長の声は天の声!的な雰囲気があり、コーネリアスが厳しくマメにチェックする

営業の成果に、社員が戦々恐々としていたのだ。

その縮こまりようは、親として尊敬されたいのなら、

自分の子供には絶対見せるな!というぐらいであった。


しかし、なんたって上場企業。いい会社だという人もいた。

実際、私が知り合いに話をすると、そんなふうには見えないよ!

などと同調されず、私的にガックリするような答が返って来ることもしばしば。

それもそうだろう。そんな内面と違い一転、客が来たときの

変貌ぶりには素晴らしいものがあり、一度でも事務所に足を踏み入れた者は

対応の良い親切な会社、又はハキハキとした人達の集団と錯覚するに違いない。

外面は信じられないほど良かったのだ。

担当の営業がたとえ不在でも、いつもはぶすっとしている上司が

ニカッ〜とした満面の笑みを一瞬にして作り、揉み手で対応。

で、それがどのくらいのテンションだったかというと、

エリートと婚約し、玉の輿に乗ることが決まった娘の父親が、

その婚約者をホクホクしながら迎える時、といった感じ。(なんだそれ)

例えば、

「ただいま〜〜。(暗く、疲れて)

おっ!なんだ〜、真一君来てたのか!いらっしゃい。(急に元気になる父)

んっ?今日は何?えっ?幸子と映画かぁ〜、いいね〜若い人達は〜

で、幸子は?何?着替え中?いかんな〜真一君をお待たせするなんて!

おや?茶も出してない。いやっ!申し訳ない。今入れさせるから。

お〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!母さん〜〜〜〜〜〜〜〜〜!

真一君にお茶差し上げて!

母さん聞こえないのかぁ〜〜〜!真一君にお茶だよお茶!

すみませんね〜、失礼しちゃって・・今お茶出しますから。

おい!母さん!真一君にお茶だよ〜〜!おい!

お〜〜〜〜〜い、かあさ〜〜〜〜〜ん、お茶〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」

                  
                   みたいな・・・・・・。
                           


                 おしまい。


...

落ち葉を拾っておやじに会って。 - 2002年11月11日(月)

今日は私の落ち葉収集日であった。

道の端に吹き溜まった赤や黄色に色づいた

落ち葉を黙々と拾うのだ。しかも、たった一人で。

暗っ!

何の為に?そういう声が聞こえてきそうなので説明しておく。

拾った落ち葉は、押し葉にしておいて、母の日やら、父の日やら、

ちょっとしたご挨拶などの、いわゆる”グリーティングカード”を作る時、

切ったり貼ったり塗ったりして使うのである。

拾った落ち葉の色や柄によってカードの出来は左右される、もっと言えば、

私のセンスが問われる!といっても過言ではないので、

一見、ふら〜〜と何の考えもなしに拾ってるように見えても、

実は一枚一枚を「使い物になるだろうか?」と、

厳しい職人気質な目で見極めているのである。

そう、真剣勝負。

どのくら気合い入れてるかというと、

日銭目当ての風来坊ふうの怪しいおじさんが、資源ゴミ置き場

に捨ててあるアルミル缶を、その日の引き取り値を考えつつ

拾うぐらい、の真剣さ。(分かり難い。)


で、そんな調子で今回も家の近所を捜索していたわけだが、

自転車を引きながらひたすら下を見続け、道の端を歩く私の姿が、

よほど「この寒空にガックリうなだれる何かあった中年女」に見えるのか、

通り掛かる人々の視線がやけにジロジロと冷たい。

元気に拾っていても、北風ピューピューの中でそんな人々の反応をみると、

本当にしょぼくれ気分になるから不思議だ。

仕方ない。いい仕事をする時には、いつも孤独感が付きまとうものだ。



他人の目にも負けず、探しては拾い、拾っては探すを繰り返し、

30分ほど経った時、後ろで「50万円融資可!」の看板を

電柱に取り付ける作業をしていた一人のおやじが突然私に声を掛てきた。

そして、

「向こうのガード下を右に曲がったところがいいよ。
色とりどりで綺麗なもんだよ」

と教えてくれるのであった。

おやじによると、そこにはツタが枝を縦横無尽に這わせている塀があり、

たくさんの葉が美しく紅葉しているので、集めるにはもってこいの場所!

なのだそうだ。

彼は50歳ぐらい。痩せ細った体にどす黒い顔をし、

ペラペラの薄手の黒いジャンパーがいっそう私に暗い印象を与えた。

「色とりどりのツタ」・・おやじの口から出たその言葉は、

彼がメルヘン路線だということをうっすら臭わせるが、

なんたって手には「50万円融資可!」である。

その看板に、どうしてもおやじが足を突っ込んでいるであろう闇の世界を

見てしまう。


教えてくれたことに感謝しながらも戸惑っていると、なんとおやじは、

「ほらほら、こっち」と言って、自分の自転車を漕ぎだし、私をその場所へと

いざない始めてしまったのである。

そこまでしていただいては変に迷ってるのも何だと思い、仕方なく私も自転車で

着いてゆくことに。


軽快に走ってゆくおやじの後ろ姿を見つめながら、

「これは女性を狙う何かの罠ではなかろうか?」とか、

「着いたら、人気のない所で、仲間とか待っていてそのまま車に乗せられ

売り飛ばされたらどうしよう・・」等と考えてしまったのは、

今だ自分を高く見積もり過ぎているとしか言いようがない。

しかし、そんな私の心配をよそに、おやじはガード下の当たりの道の

分岐点まで来ると「ここ入って行くとすぐだから」と言い残し、

さっさと行ってしまったのであった。


色とりどりって・・今まで見たこともないような色もあるのか・・?

学会に発表できるぐらいなモンなのか!?

期待感で最近縮んだ胸を膨らませながら、どんどん自転車を進めていくが、

色を散りばめたツタの紅葉なんて、ぜんぜん見当たらない。

やはり、何かの罠か?と思いかけた時、

私は申し訳なさそげに這っている4本ほどのツタのつるを見つけた。

う〜〜ん、確かにツタ。確かに紅葉・・。

それはあまりにもしょぼい光景であった。

だって、葉は赤く色づいたものしかない。

色とりどりなんて、、、おやじ、疲れて目がチカチカしてただけじゃないのか!?

しかも、落葉はまだみたいで、周辺には葉がほとんど落ちてない。

植物だって命あるもの。むしり取ってまで持って帰ろうとは思わない。

何だよ〜〜、、ダメじゃん、、、。悲しく引き返す他すべがなかった。


が、帰り道、私は自転車を漕ぎながら考えた。


冷たい目で通り過ぎて行った人が多い中、



私が落ち葉を拾う姿を、
あたたかい目で私を見てくれていたであろう、おやじ・・・・・・・。


そして・・
声を掛けてくれた、おやじ・・・・・・・・・・・・・・・・・。


私をメルヘンの世界へといざなおうとしてくれた、おやじ・・・・・・。


なんて、素晴らしい、おやじ・・・・・・・・・・・・・・・・・。


もう2度と会うことも、いや、何故か会いたくないが、

私は心で呟いた。


ありがとよ・・・・・・・おやじ・・・・・・・・・・・・と・・・・・。


おしまい。


...

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