2010年11月10日(水) [今日があんの命日]
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昨日の夜、22時頃家へ着いた時には
あんは母のいる居間で、布団の上に横たわって目に涙をためながら、
どこも見ていない目で宙を見ていたのでした。
お気に入りだったクッキーを小さく小さくして鼻先へ持っていくと 最初は食べそうな反応をして、でも、いらないというように頭をひきました。 呼吸がいびきをかいているようで、頭をやさしくなでると そのいびきのような音を止めるのでした。
水も飲まなくなっていて、終わりが近いことがわかっていました。
頭をひとなでして、私はお風呂に上がった後にまた見にこようと思ったまま そのまま眠ってしまったのでした。
朝、仕事のメールで目が覚めて居間へ行くと
母から、あんが息をひきとったことを知らされたのでした。
夜中1時すぎに様子を見たときには、もう息がなかったと。
あんの最後に会った人間は、私でした。
仕事は早くにいかなければならなかったけど、 母が、以前母の実家にいたダックスが亡くなったときのように あんの周りに花を飾り、服を着せ、それを私が写真におさめました。
いくら撮っても納得がいかず、いつまでもカメラを置けずにいました。
死せる体からは、いろんな液体がでてきてしまうのでふとんでくるんで、 焼き場へつれていく手はずを職場から整えて、母に骨をもらってくるようにお願いしました。
2か月前に一度、死にかけた時には皆で大騒ぎしたけれど この2カ月の間に、あんにいろいろなことをして 静かに送り出すことができたように思いました。 最後のほうは、かなり調子にのってデへデヘして楽しそうでした。
そのうち、あんの思い出をどこかに書くかも知れません。
私の人生でも、あんのように人間の感性に近い繊細で美人な犬にはもうお目にかかれない気がします。
仕事が忙しいこともありましたが、 家へ帰った時にあんがいないことが想像できなくて、 ぐずぐずと帰れずにいました。 他の犬と違って、ちゃんとお出迎えしてくれた あの黒い瞳。 ちぎれそうに振るふさふさのしっぽ。 抱っこをせがんで伸びる長い胴。短いあんよ。
帰宅したら、小さい骨壷が置いてありました。
なんて小さな。
そして確かな重さ。
うちの庭の、柿の木や木蓮、しだれ桜の根元に埋めようと思います。
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