朝つゆに 雨あがり みどりの葉の上 花がひとりでに ひらいてゆくように しぜんに恋したい・・・
私に戻る雨
失うのがこわいなら 手放してしまえばいい 不安になるくらいなら 自分にもどる方がいい
うしなうものなんて 何もないはず
愛することは しがみつくことじゃなくて 自分にかえること
生きてるのは同じだから あなたも わたしも
すみわたる・・ 遠い日のかげが
とおいまち もりのなか とりがなく
とりは同じ むしも同じ ただ ないて・・・ ただ ないて・・・
だから ひとは かなしいことがあると 森へくるのね
どこか 遠くを見てる 人たちを乗せ バスは走る 闇をぬけて
あいいろの空 ひかりの中を ゆれて ゆれて 見知らぬ街へ
いとしい人が もっといとしくなるのは こんな瞬間 旅に出る瞬間
幼い日の はじめての海 はじめての波 青い 青い すいこまれそうな海
海からあがって さんぽ道 竜神さまの 住むという道 小さな 竜の木に出会った
何かを語りかけてくるような 細い道の中で 待っているような
心のどこか深いところで つながっている そんな気がした
こんな風に 足を、波にひたして 遠くばかり見てた 小さい頃と同じ 舟虫が、岩かげから見てる
さざ波を はだしにひたして できる さざ波の輪っかを見てる 幾重にも幾重にも広がって 私の心のように広がって
私、いつのまに こんな 大人になったの
よせてはかえす 波の音 とおいむかしの きおくをはこぶ
私は貝殻 手にとって うずまきもようを ながめてる
このままで― ずっと少女のままで いられると 思ってた
遠い夏の日
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