2002年02月13日(水)  ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 1日目

■飛行機の時間を何度も変更するヘンな夢を見る。おでこに載っけた『熱さまシート』にうなされたか。風邪は良くも悪くもならず。肌はボロボロ。夕張行くまでに復活しなくては。■一緒にお昼を食べた会社の子に「明日から夕張に行く」と言うと、「昔、取材で行ったよ」。海外からの招待スター達が愛人らしき若い娘を連れていたのをよく覚えているとか。「ここなら誰にも見つからないって感じで、堂々と連れ回してたよ」。夕張はお忍び旅行にはうってつけの場所かも。■夕張から思いがけないメールが届く。「以前、一緒に飲んだ者ですが、夕張駅前で店を構えています」と快速旅團の金子さんから。知り合いがいないと思っていた町に、応援団仲間がいたのだ。「黄色いハンカチが目印です」とのこと。いいなあ。らしいなあ。夕張に行く楽しみが増えた。■メディア部にいる同僚が、昨日放送した『彼女たちの獣医学入門』の視聴率と視聴人数を調べてくれた。関東は地震のせいか9.4%と高めで146万5千人。関西は5.7%で44万5千人。中京は4.6%で17万3千人。3地区で208万3千人が見た計算。全国合わせると、さらに増えることになる。数字で見ると、すごいなと思う。この中の何人の心を動かせたのかな。


2002年02月11日(月)  こどもの詩

■あまりに寒いので、家で過ごす。函館映画祭の日記を書きつける。記憶が古くなっているので、思い出すのに時間がかかる。早くやっとくべきだった。3日分書き上げる寸前にワープロがフリーズして振り出しに戻る。オーマイガッド。■気を取り直して新聞整理。読売新聞の『子どもの詩』のファンで、入社した頃は切り抜いてノートに集めていた。仕事に疲れた人が「あれ読ませて」とノートを開いては、「わたしが小さくなったらお母さんに服をあげるね」とか「外国のおともだちも、あははって笑うんだよ」といったピュアなつぶやきに、ほろりとなって帰って行った。切り抜きは止めてしまったが、今でも読むたび心が洗われる。電車が通り過ぎる音を「だれっかなーだれっかなー」と聞き、電車と会話してしまう女の子。弟のおしめを見て「わあ、きれい。光ってる!」と歓声を上げる男の子。かつては自分もそんな風に世の中を見ていたのかなあ。■投稿欄に「試験は教師と生徒の文通」と元教師の言葉。答案用紙は「勉強やってるか?」という問いに「やってるよー」と答える場所。つまづいた答えから、生徒が何を必要としているか読み取れたという。しかし、マークシートでは、メッセージは伝わらないか。


2002年02月10日(日)  ペンネーム

■ミナちゃんミキちゃんコンビが誕生日を祝ってくれるというので、ダンナともども赤坂の『ベトナムアリス』へ。クイーンアリスの石鍋シェフのベトナム料理店。食事はおいしく、お米のウォッカで作ったカクテルもおいしく、楽しい夕食となる。しかし、誰よりもおいしい思いをしたのは、ダンナだ。デートの予約殺到の美女二人と、別な意味で多忙な妻を独り占めしたのだから。「キミがいなければ、最高だった」と真顔で言うが、今夜の主役はわたしなのだよ。ミナ&ミキからのプレゼントはピンクのタオル地のバスローブ(共布のヘアバンドつき)とバレンタインデー先取りチョコレートとドーナツ栓抜き。「ドーナツとビールというゴキゲンな組み合わせは天国で発明されたのさ」という陽気なコピーが、いかにもアメリカのジョークグッズらしい。ドーナツにかかっているチョコレートの粒の名前はマゼランで良かったっけ。■「吉本ばななに対抗して、ペンネームをつけるとしたら?」という話になる。何年か前に会社の子と同じ話をしたときは、『今井パプリカ』が最有力候補だった。ちょうど筒井康隆の『パプリカ』を読んでいて、主人公のパプリカという名前が気に入っていたのだ。他に候補に挙がったのは、パンプキン、プラリネ、プリン、パパイヤなど。その頃からパピプペポの響きに憧れていたのかもしれない。東京プリンとパパイヤ鈴木がいるので、後者二つは使えない。「ガラムマサラとかインパクトのある名前は?」とミナちゃん。田口ランディに勝てるかもしれないが、それはイヤ。


2002年02月09日(土)  シモキタ(下北沢)

シモキタはカレーと同じで、欲すると頭の中がそれでいっぱいになる。ひと月ほど前からシモキタが呼んでいたが、予定が入ってたり、天気が悪かったりで、ようやく今日実行。ちょうどいいことに誕生日だ。

シモキタに住んでいるきゃろるにつきあってもらう。きゃろるは大学時代のチアリーダー仲間。同じように歌って踊る四年間だったが、わたしは就職して宴会でしか踊らなくなった。彼女はプロのチアリーダー指導員になり、その後、劇団MOTHERの女優になった。今はフリーになって、相変わらず歌って踊っている。きゃろると呼ぶのはわたしぐらいで、巷では『ちあり』が通称。牧野エミさんが名付け親らしい。

舞台の上と客席では何度も会ったが、二人で肩を並べて歩くのは、七年ぶりぐらいになる。シモキタ以上にひさしぶりなのだ。

まずは、ガーデニング店を兼ねたカフェでお昼ごはん。半地下のサンルームを占領し、積もる話に花を咲かせる。

腹ごしらえした後は、ひたすらお店めぐり。竜巻きを起こすペットボトルなど、遊びゴコロをくすぐる理科系おもちゃが所狭しと並ぶ店。会社の子に教えてもらった服屋。古道具屋。パンクルックの店。ふらっと入った古着屋で、古い着物を継ぎ合わせたリバーシブルの巻きスカートを買う。店の女の子の手作りで、その場で採寸してボタンづけしてくれる。「いつかは消耗しますが、それまで大事に着てください」と取扱い説明書にも愛がある。

骨董屋が集まる一画でノスタルジーに浸る。家にゴロゴロしていた人形が8万円!ある野球選手のグッズ一式(グローブ、ユニフォーム、シューズなど)が50万円。知らない選手なので、50万の妥当性がわからない。これを買うのはどんな人だろう。人生にくじけそうになったとき、この選手の活躍に励まされ、今は会社の社長になったような人かもしれない。それにしても骨董の値段のつけ方は謎だ。

お茶をしたカフェの近くの古着屋で着物リメイクのカーディガンとワンピースを買う。こういうヘンな服は他ではなかなか出会えない。帰り際、『みそパン』が超有名な『アンゼリカ』に立ち寄る。行列がなくてラッキーと思ったら、ほとんど売り切れ。カレーパンと白玉あんパンをなんとか入手する。そんなこんなで、時間がいくらあっても足りない。クセになる街なのだ。

FMシアターはほとんど毎週聴いているのに、あおいちゃんのラジオドラマデビュー作『翔べない豚さん』を聞き逃す。不覚。


2002年02月08日(金)  フライングワイン

■出社すると、机にワインが置いてある。誕生日になると、社長から会社のロゴ入りワインが届くのだ。明日が休日なので、一日早いプレゼントとなる。去年は赤だったが今年は白。おいしいといいのだが。さらに総務から「荷物が届いています」とメール。はるばる大阪から届いた段ボールは、わたしが入りそうな巨大サイズ。中には匂い立つような鉢植えの胡蝶蘭。恐れ多すぎる。このわたしでも咲いてくれるだろうか。わが家の汚さに驚いて、枯れてしまわないだろうか。とりあえず、どうやって持って帰ろうか。■会社から表参道の『青山見本帖』まで往復40分歩く。何を食べてもおいしくて、最近太り気味。これぐらい歩いてもケーキ1個分にもなるかどうかだか、表参道のあたりはカフェやギャラリーがひしめいていて、歩くのが楽しい。『青山見本帖』は紙見本を売る店。「ヴァンヌーボーのナチュラルホワイトの70キロのB3サイズ」とデザイナーE君に指示されたままを買う。E君は、この紙を手挿し印刷して、名刺を作ってくれる。函館の映画祭用に作った80枚が切れたので、夕張の映画祭用に新しく作ることになった。名刺に入っているしっぽのデザインが配給のアートポートの目に留まり、パンフレットのノンブルにもあしらわれている。夕張で会う方はお楽しみに。


2002年02月06日(水)  電車にピップエレキバン

コピーライターという職業柄、広告はしっかり読む。通勤は交通広告チェックの時間。目が悪いので、相当近付かないとコピーが読めない。中吊り広告の真下に立って、眉間にしわを寄せて見上げている年齢不詳の女がいたら、わたしである。今朝は出勤途中にANAの『超割航空券』の中吊りを熟読。「超割北海道」「超割温泉」「超割食い倒れ」「超割同窓会」……超割を使ってアレしようコレしようと誘い文句が並んでいる。「超割砂の星」というコピーに「おや?」となった。砂の星?星の砂じゃなかったっけ。子どもの頃、沖縄土産でもらった小さなガラスボトルに入った砂。今思うと、ミクロ金平糖みたいだった。あれは砂の星とも呼ぶのだろうか。でも、「水の星 地球」という言葉もあるし、砂の星と聞くと、草一本生えない一面の砂丘のような風景を想像してしまう。そういう不思議な場所にも行けるかもというSF的旅ゴコロをくすぐるコピーライターの引っ掛けだったりして、などと考えているうちに駅に到着。

午後、得意先へ向かう電車を待っていると、反対側の線路に入ってきた車両を見て、「珍しいな。車体の外側にステッカー貼ってる」と先輩デザイナー。見ると、ピップエレキバンの広告。貼る商品だから貼ろうっていう発想なのか。面白い。カンヌ広告祭で見た絆創膏のポスターを思い出す。電柱に商品(ドデカイ絆創膏だ!)が巻きつけるように貼ってあって、「どんな擦り傷、切り傷にも」とコピーがついていた。


2002年02月05日(火)  3つの日記がつながった

■いまいまさこカフェ2月3日のダイアリーを読んだ同僚のなくいが興奮して「マブイの話って宮沢章夫さんのコラム?」と聞いてきた。「覚えてないけど、マブイの話はメールで聞いたって書いてた」と曖昧な記憶をたどって言うと、「やっぱり!そのメールを送った人、知り合いなの!」。沖縄に住む彼女の知人、増田静さんが宮沢さんにマブイ話のメールを送った→宮沢さんがサイト市松生活の日記(1月7日)で「Mさんのメール」として紹介→増田さんがそのことをサイト鱒玉日記の1月7日で紹介→なくいは増田さんのサイト日記から宮沢さんのサイト日記へ飛んだ。その矢先に、わたしのダイアリーにマブイ話を見つけ、びっくりした次第。「3つの日記がつながった!すごい!」と、わたしも興奮。と、勝手に『日記の輪』に入れてもらうのが失礼なほど、宮沢章夫さんと増田静さんの日記は名文なうえに話題豊富で読ませる。脱帽。■『パコダテ人』の配給会社アートポートの好青年、河野くんが出来たてほやほやのパンフレットとグッズの携帯ストラップを会社まで届けてくれる。パンフは上質の紙を使っていて、絵本風のかわいい仕上がり。顔写真は「小さく」とお願いしたのに、けっこう大きく入っている。みんなの夢を壊しませんように。ストラップは作品ロゴを刻んだシルバープレートとしっぽ(白/黒と茶のまだら)が一体になったもので、手ざわりもいい感じ。「こりゃ売れるね」「売れますかね」と河野くんとほくそ笑む。


2002年02月04日(月)  福は内

■節分と聞くと豆まきを連想する人が大半だと思うが、わたしは太巻き寿司が頭に浮かぶ。生まれ育った大阪の家では、毎年、節分になると、太巻きを人数分買ってきた。各自一本をくわえて、その年の方角を向き、最後まで一言もしゃべらずに丸かぶりするのである。喉がつかえて水が欲しくなっても、声を発してはいけない。その時点で「福が逃げてしまう」のだ。なぜ寿司で福を呼べるのか、根拠は知らない。どこかのお寿司屋さんが言い出したことなのかもしれない。丸かぶりで丸儲け。うまい商売だ。全国共通の風習だと思っていたら、どうやら大阪近辺だけの局地的なキャンペーンらしい。「今日は丸かじりの日やでー」という呼びこみをやっていない東京では、太巻きの威力もなさそうだし、そもそも一人でやってもつまらない。


2002年02月03日(日)  教科書

■たまりにたまった新聞を整理する。気になった記事は切り抜いてファイルするので、古新聞に出す前に目を通すのだが、つい読みふけってしまい、全然はかどらない。「沖縄では、びっくりすると魂(マブイ)を落とし、行方不明になった魂のありかをユタにお告げしてもらう」という話。「サンタクロースが自分の欲しいものをくれた幸福感は覚えているが、何を受け取ったかは覚えていない。人は品物よりも幸福感を求めて生きている」というイッセー尾形さんのエッセー。新聞には、いい言葉がたくさん埋まっている。それを掘り起こすのは楽しい。■『知っているつもり』はソルトレイク五輪にちなんだ特集。リレハンメルの屈辱を長野で晴らした、ジャンプの原田雅彦さん。長野五輪のモーグル代表に選ばれながら、末期ガンのために出場を辞退し、25才の若さで亡くなった森徹さん。悲願の復活を勝ち取った原田さんの笑顔に泣き、復活の夢を病魔に奪われた森さんの運命に泣く。


2002年02月02日(土)  歩くとわかること

2002/02/02(土) 歩くとわかること

■週末は家で過ごすことが多い。朝テレビでやっていた古着リフォームに触発され、穿かなくなった茶色いキュロットのポケットをハート型に切り抜き、先週買った赤いパンツの裾に縫いつける。ここから小銭を出して、笑いを取ってやろう。■夕方近くなって、体を動かしたい気分になり、ダンナと散歩に出る。天気がいいので池袋まで歩く。巣鴨大鳥神社の節分祭に遭遇し、モンゴル料理屋を見つける。自転車の男の人が落としたマルボロを拾い、取りに戻ってこないので、ゴミ箱を探して歩く。街にゴミ箱がないことに気づく。50分ほど歩いて、池袋の西武に入る。今年の春は花柄が流行るらしい。オレンジの長袖とピンクのパフスリーブを買う。ダンナは無言。心の中で「何才のつもりだ」と呆れている。ケンジントンルームでお茶をする。フルーツのタルトと紅茶のプリン。歩いた後のケーキはおいしい。隣のテーブルの女の子三人組が「1位は金 2位は愛情 3位は友達 4位は性欲」と話している。ダンナが「何の話だと思う?」「恋人に持っててもらいたいモノじゃないの?」とわたし。「そっか。自分が大事にしているものかと思った」。さて真相は?スポーツ用品売り場に移動し、フィットネス器具を見る。ダンナはテレビを見ながら痩せようという魂胆。ステッパーをひたすら踏むより、景色見ながら散歩したほうが楽しいんじゃないだろか。続いてCD売り場でWhiteberryの『カメレオン』を入手。ジャケットに「パコダテ人主題歌」とシールが貼ってあり、感激。レジで隣に並んだ大柄の女の子がわたしと同じ髪型……と思ってみたら、女装したオジサンだった。街は刺激に満ちている。

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