2002年01月17日(木)  HAPPY

■外資系のジョブハンターから電話。「今の会社でハッピーだから転職は考えていない」と断ると、「Happyな人は、どこに行ってもHappyだ」。思わず「いいこと言いますね」と言ってしまう。■セブンイレブンで700円に1枚スクラッチカードがもらえ、4か所の数字をめくって当てると500円券になる。1つの数字をめくるのに3つの箱から選ぶので当選確率は1/3の4乗で1/81(でいいのかな)。昔は光に透かすと数字が見えたのだが、最近は印刷技術が発達したのかインクの盛りが良くなったのか、家の蛍光灯では読めなかった。で、会社のライトボックス(透過光でポジを見る機械)に挑戦したが、やはりダメ。「何やってんの?」と同僚が集まってきたので事情を話すと、みんなも財布からスクラッチカードを出してきた。蛍光灯に透かしながら「見えるような、見えないような…」。たまたま勘が当たって4ケ所的中したところ、エスパー並みにもてはやされる。でも、その後は全部ハズレ。指で銀色の部分を薄く削ったり、紙を真ん中で剥いだりしたが、見えない。こういうことをする人間がいるので、対策を講じたのだ、きっと。「全部めくってから、間違えたとこに銀色のクロマ(インレタ)を貼ればいい」と言い出す人も。スクラッチカードひとつでこんなに盛り上がれる、やっぱりハッピーな会社だ。■昨日の夕刊に新ドメイン「.name」の記事が出ていたのでネットで検索する。日本ではまだ受け付けてなかったので海外のドメイン取得サイトへ。DomainProcessor.comというサイトに出会う。料金はフリーの転送サービス込みで年間20ドル(.nameは25ドル)。日本のサイトで登録すると、年間4200円+月々980円の転送料がかかり、一年で約16000円。この差は何なんだろう。よくわからないが、とりあえず申し込んでみる。


2002年01月15日(火)  ノベライズ

■大学時代のクラスメートI君から、パコダテ人ノベライズ原稿の感想メールが届く。「地下鉄で読んでたんだけど、乗り過ごしてしまった。しかたなくUターンしたが、そこでもたまらず読んでしまいまた乗り過ごし。読んでるあいだは目的地に着けないな、こりゃ」。先日部屋を片付けたとき、I君が入院中にわたしが出した『宿題』(創造力テストみたいなもの)を発掘。「紙コップの使い方をできるだけ述べよ」という問いに「検尿ぐらいしか思いつかない」と答えていた。そんな人(どんな人だ?)の心をつかんだことに気をよくする。ほめた後に「気になったところ」としていくつかポイントを挙げていたが、どれも的確。人の意見は貴重だ。I君の指摘をもとに書き直してみようかなと思う。■前田監督からは「もっと文字を少なく、子ども向けのすなおな絵本にしたい」と電話。それもわかるので「絵本とノベライズ両方出しましょう」と言うと、「そんなに簡単に本は出せませんよ」。小説家も絵本作家も、夢見た頃があった。一度に夢をかなえてしまうのは贅沢なのかな。■小山さんにいただいたファースト・コレクションの『マミング』はおかきの柿の種にチョコレートをまぶしたお菓子。家の人と分け、会社の人にもおすそわけ。一人でたくさん食べるのも好きだけど、みんなで少しずつ食べるのもおいしい。■タイカレーを食べながらNHK-FM青春アドベンチャー『カレーライフ』第6回。今日の舞台はインド。子どもの頃、隣に住んでいたインド人のポピーちゃん一家を懐かしく思いながら聴く。晴れた日には太陽で庭石を熱してチャパティーを焼いていた。


2002年01月14日(月)  災い転じて

■ジャリリ監督の『ダンス・オブ・ダスト』を見ようと三百人劇場へ急ぐ。上映ぎりぎりに到着。と思ったら、財布を忘れていた。お前はサザエさんか、と自分に突っ込みを入れ、とぼとぼ帰る。ハリーポッターの故郷を訪ねるNHK番組を見て気を取り直し、再び三百人劇場へ。毎回作品が替わるので、今回は『トゥルー・ストーリー』。主役に選んだ男の子が足を大怪我していると知った監督が急きょ設定を変更し、少年の足を治すまでをドキュメンタリー映画にしたもの。15才までに9つの職を転々とした少年が「こう見えて苦労人なんだ」「貧乏は身にしみてる」といった台詞をさらりと言う。結果的にはこの作品に出会えてよかった。■家に帰る途中でおなか鳴り出す。九州土産でいただいた松翁軒のカステラ、残り5センチを一気に食べる。考えさせられる映画はブドウ糖を消化するのか。■テレビのインタビューでビョークが「年を取ることに興味がある」。年を重ねるほどいろんなものを身につけていけるから。「60歳まではリハーサル」。すごいことを言う。


2002年01月13日(日)  ごちそう

■シナリオライターの横山亮子ちゃんと有楽町で会う。同じ時期にオーディオドラマのコンクールで入賞し、デビューした縁で親しくしている。シナリオライターの友人はほとんどいないので、貴重な存在。彼女が書いたシナリオについて意見を求められたので、好き勝手なことを言う。自分の作品についてもこれぐらい客観的になれればいいのだが。■披露宴から一周年記念日。どこか外でお祝いしようかとも思ったが、外食続きなので家で食べたくなる。ハワイ土産でもらったココナッツマンゴー入りペーストでタイカレーを作り、ライスペーパーを買って生春巻きに初挑戦。それと、じゃがいものグラタン。料理はかなり苦手だけど、奇跡的にすべて成功。コンビニでシャンパンを買って乾杯する。


2002年01月12日(土)  アボルファズル・ジャリリ 

■家から歩いて五分ほどの距離に三百人劇場がある。劇団昂のアトリエだが、良質の映画を上映することでも知られている。ここで先月末から一か月間、イランのアボルファズル・ジャリリ監督の特集をやっている。イラン映画を劇場で見たことはなく、これも何かの縁だと思い、『スプリング 春へ』を見る。がらがらかと思ったら、席は八割がた埋まっていた。二百五十人ほど入っている計算。イラン映画人気なのか、監督人気なのか。イラン・イラク戦争のさなかに家族と離れて森番の老人の家に身を寄せる少年の話。ハリウッド映画とも日本映画ともヨーロッパ映画とも違う不思議な空気。とくに大きな事件が起こるわけでもないのに、いつの間にか主人公の気持ちに引きつけられている。「森はつまらない。家族に会いたい」と泣く少年。「お前がいなくなると、わしがつまらない」と嘆く老人。素直すぎる台詞のやりとりが新鮮。イランの監督は「脚本どおりに撮るのではなく、撮りながら作品をつくっていく」というスタイルが多いと聞いていたが、その意味がわかった気がした。翻訳のゴルパリアンさんは『風の絨毯』でもお世話になっている人。■ミキちゃんミナちゃんに誘われて、表参道の『suginoko chinois』で夕食。おいしいものを食べると、これはわが家でも作れるかなと考えてしまう。たいてい失敗するのだが。食後は『GOOD DAY』に場所を移す。犬を連れて入れるカフェ。飾りつけのホイップがチーズクリームになっているブルーベリーチーズケーキでチーズを満喫。


2002年01月11日(金)  親孝行

■パコダテ人関係者試写が行われるのは、いつも平日。ダンナに見せられる機会は劇場公開までないかなと思っていたら、ぽっかり休みが取れて今日の試写に行けると言う。急きょ有給休暇を取ってつきあうことに。ダンナの両親も誘ったところ、喜んで来てくれる。座れないといけないと思い、三十分前に待ち合わせたら、まだガラガラだった。張りきりすぎだ。三人とも楽しんでくれたようで、とくに義母は「映画なんてひさしぶり。ちょうどいい長さで、女の子たちがかわいかったわ」と満足していた。学生時代、映画館に通いづめ、半年で150本観たという義父は「つまらない映画は最初の10分でわかって席を立つ」。最後まで観たってことは、面白かったのだと理解。ダンナは「君が歌ってた変な歌(炭酸水)がやっとわかった」。家に帰ってからもずっと口ずさんでいる。大阪の家族にも早く見せたい。父のバカ笑いが轟きそうだ。母は大笑いしながら、いつのまにか泣くんだろうな。妹は冷静な突っ込みを入れ、弟は「あのシッポ美少女は宇宙人なん?」とか信じられないボケをかますのだろう。楽しみだ。■試写の前に、家にたまっていた古本を持って神保町へ。古本屋で買った本は数え切れないが、売るのははじめて。ダンナは恥ずかしがって店の外で待っていたが、なかなかドラマティックな体験だった。全身から「なめたらアカンで」オーラを漂わせている店主が値踏みをする間のドキドキ感、予想した金額との差を頭の中で計算してヤッターだったりガッカリだったり。売買証明の署名には「今井雅子 脚本家」と名前もついでに売っておく。驚いたのは、どの店も一目見て「この本は在庫があるかないか」がわかること。値がつかなかった本を別の店に持って行っても、同様に値がつかなった。いちばん高値がついたのは漫画。10冊ほどで千円になった。■あぶく銭を持って山の上ホテルへ。ここで挙式してから、あと二日で一年になる。アニバーサリーも兼ねて、ティーラウンジ『ヒルトップ』でりんごのクラフティーとミルクティー。ここのケーキは上品な甘さで、もうひとつ食べたくなる。


2002年01月09日(水)  見えなかったB

■あたらしいお店を発掘するのは、ランチタイムのひそかな楽しみ。今日は、会社の近くにオープンした小洒落たCafeへ。テーブルがウッディーで居心地がいい。次は濃厚ミルクのパンケーキを食べよう。好きなお店が増えると、会社に行く楽しみが増える。■部屋を片付ける。紙と布と写真の山を掘ると、昔書き散らかした作品ファイルが眠っていた。学生時代は「時」「達」と漢字で書いていたが、コピーを書くようになってからは柔らかいほうが好まれるので「とき」「たち」とひらがなにしている。若い頃は今よりずっと世界が狭かったから、書いていることも頭でっかちだったりする。わたしを知ってもらうためには、書いたものを読んでもらうのがいちばんなので、一部をサイトで紹介しようと思う。■新井一先生の手書きコメントがついた600字シナリオも発掘。4本出していた。「なかなか面白い発想ですね」「面白いアプローチですね」「最初から問題作にしているのはいい」などと書かれているが「才能がある」なんてどこにも書かれていない。しかも、4つともコメントの後に大きく「B」と書かれているではないか。当然上には「A」がいたわけで、決していい評価ではなかったのだ。けれど当時のわたしは「新井先生が返事をくれた!」と舞い上がり、Bなど目に入らず、自分にシナリオを書く才能があるのだと思いこんだ。おめでたい性格がなせるおそろしい勘違い。だが、それでここまで来てしまった。「才能とは情熱を持続する力」とは誰の言葉だったか。自分を信じることは、走り続けるエネルギーになる。


2002年01月08日(火)  Georg Jensen

■つい最近までジョージ・ジャンセンを知らなかった。銀製品の有名なブランドらしいが貴金属には縁がないので、非常に疎い。名前を知ったのは、お年始にイヤーペンダントをいただいたから。ダンナのお母さんに見せると、「あら偶然。去年のを買ったのよ」と2001年の刻印が入ったものを見せてくれた。毎年デザインの違うペンダントを発表していて、コレクターも多いのだとか。そうして印象が残っているところに、ロサンゼルスにいるKEN SAXから「年末に日本で流れたGeorg JensenのCFを撮った」とメールが来た。KENは三年前に保険会社の広告撮影で知り合ったフォトグラファー。音楽をかけてモデルをリラックスさせ、最高の表情を切り取ってくれた。映像のディレクターもしていて、「2003年のサンダンスに応募するつもりだ。キミも出しなよ」とあいかわらずパワフル。GOOD LUCK!■年末に急いで書き上げたパコダテ人のノベライズを手直しする。映画のイメージを壊してしまうなら、出さないほうがいい。何人かに読んでもらい、反応を待つことにする。■ラジオからバンプ・オブ・チキンの『天体観測』が流れてきた。2001年いちばん好きだった曲。サビのところでいつもキュンとなる。


2002年01月07日(月)  カレーライフ

■ひさしぶりの会社。ひさしぶりの地下鉄。ひさしぶりのエレベーター。ひさしぶりの上司。ひさしぶりの同僚。ひさしぶりのランチタイム。税込み820円の定食は青山では破格で行列ができている。天ぷらが食べたい食べたいと思っていたので天重にしたら、油が古くて胸やけ。年始の挨拶品や帰省土産でお菓子タイムはうるおう。■青春アドベンチャーぎりぎりの時間に帰宅。今日からはじまる青春グルメグラフティー『カレーライフ』を聴く。原作の竹内真さんって小説で賞を取りまくってた人ではないだろか。カレーライスは、子ども時代の記憶につながる。どうして子どもの頃はあんなに競いあっておかわりしたんだろう。大きくふくらんだおなかを自慢しあって、笑い転げたのだろう。小学何年生かのとき、『カレーの日』論争があった。「カレーの日を定めて、その日に全国の小学校の給食でカレーを出そう」という運動に対して「価値観の押し付けだ」と反対の声があがり、大人も子どもも巻き込んだ「議論反論オブジェクション」状態になっていた。子ども心に「なんでカレーごときにこんな騒ぎになるのか」と首をかしげ、寄ってたかってかき回されている罪のないカレーライスに同情したりした。そして「よかれと思ったことも、強制すると反発を食らう」ということを学んで、なんだか淋しくなったのだった。
(後日、カレーライフ著者の竹内真さんに、「あの竹内さんですか」とメールを出すと、返事が来てご本人だとわかった。2004年6月、青春アドベンチャー『カレーライフ』再放送を聴き、このエピソードを思い出す。前回、2年前の放送のときはお元気だった演出の松本順氏は、2003年3月に亡くなられた。青春アドベンチャー『不思議屋旅行代理店』の制作統括としてお世話になった方。かけてくれる言葉がいつもあったかい人だった。その人柄を偲びながら、二度目のカレーを味わった)。


2002年01月06日(日)  非戦

■小さい本(文庫本)以外ほとんど買わないが、白地に黒字で大きく書かれたタイトルにひかれて、坂本龍一編集の『非戦
非戦』を買う。裏表紙は『NO WAR』。英題は『War is not the answer』。「テロ以前に何があったのかが報道されていない」「報復は暴力の悪循環を生むだけ」「亡くなった息子は、仕返しを望まない」「アメリカもアフガンも命の重さは同じ」「無計画に自然を破壊し国土を荒らす環境テロは許されるのか」…。全部読むころには、9/11以来もやもやしていたことが、少しは整理されてくるだろうか。それとも余計に混乱するのだろうか。わたしが自分の非力を嘆いている間に坂本龍一はアンソロジーを編み、世界に問いを投げかけた。言葉にも、何かできることがあるのかもしれない。

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