2000年06月03日(土)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/26)

「2じup せんたく」。2時まで寝ていたのか。疲れていたんだなあ勤め人。「惣菜」とあるのは遅い昼ご飯のことか。当時は鷺沼に済んでいた。どこで買ってきたお惣菜だろ。「トミオとユリエット」はこの日思いついたラジオドラマ企画。トミオとユリエの恋物語。もちろんタイトルはロミオとジュリエットのパロディ。トミオはユリエに移植された心臓。移植の話をラジオドラマならではのファンタジーでやれないか、と考えた。

「P7プラシーボ」なんだろこの「プラシーボ」は。まるで思い出せない。

夜は「宇明家」とある。表参道にたぶん今もある餃子飲み屋。ダイニング風内装で安くておなかいっぱいになるので、よく通った。

1979年06月03日(日)  4年2組日記 先生の家


2000年06月02日(金)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/26)

「103」10時半起床。お昼は「直久弁当」。「P1〜3 安田インターナル」。午後2時間安田(火災か?)の広告案でインターナル(社内)打ち合わせ。夜は「堂島w/みちよ」。会社の地下にあるうどん屋へ、先輩CMプランナーのミチヨ様と。日付から矢印引っ張って「FAX」とある。

1979年06月02日(土)  4年2組日記 バレーボール


2000年06月01日(木)  10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/26)

長らく日記をつけていない時期があって、スケジュール帳に書き込んだメモが備忘録代わりだった。2000年6月のスケジュール帳の右半身とその裏ページである7月の左半身がウォークインクローゼット(物置)状態の地層から発掘されたので、書き写すことにする。

現在はスケジュール帳から約10年後の2010年11月26日。10年後に結婚して4才の娘の母になっているとは知らない30才のわたしは、広告会社マッキャンエリクソンのコピーライター。1993年入社だから、8年目。担当得意先は、東京ディズニーランド、FOXチャンネル、なか卯など。打ち合わせ時間のメモからわかる。

「A103 263」。この日は10時半起床26時半就寝。朝ドラBS放送に間に合うよう7時44分には起きている今では考えられないほどの朝寝坊。他の日を見ても、起床時間は早くて9時台。完全な夜型生活。

「dada アオイ」とあるのは、電話したのか、打ち合わせしたのか。dadaは保険会社のリーフレットを作ってもらっていたデザインプロダクション。アオイはCM制作プロダクションの葵プロモーション。

お昼は同僚デザイナーのフジモトさん、ひとつ下入社のコピーライターのクズヤ嬢と「さがみ」へ。会社のある青山一丁目駅ビル「青山ツインビル」の地下にあるさがみは、社員食堂のような感じで、毎週のように行っていた。

「P4〜6 バフィー」とある。夕方に2時間打ち合わせ。「バフィー」は、FOXチャンネルの「バフィー〜恋する十字架」のこと。吸血鬼と恋する女子高生の話。その広告を作っていた。

「P6 TDL」は舞浜まで行ったのか。この日の夕飯は「すし弁当」だった。残業なので営業に出してもらったと思われる。

「タクシー 元フジ運転手」深夜帰宅の運転手さんは元フジテレビの社員だったということか。当時は週の半分ほどタクシーで帰る生活で、車内で寝られないわたしは、運転手さんから話を聞き出すのが趣味になっていた。

1979年06月01日(金)  4年2組日記 日記のざいりょう


1999年08月09日(月)  カンヌレポート最終ページ

(勤務していた広告会社マッキャンエリクソンに提出したカンヌレポートより)

早い早い。今日は延ばしていただいたレポート提出日。カンヌから帰ってひと月余り。あっという間だった。その間にも報告などが入り、いろんな人に「どうだった?」と聞かれ、自分の中ではまだカンヌが続いている気がする。

思い起こせば、廊下でいきなり遠崎さんに「今年のヤングコンペ出ない?」と聞かれ、「出ます!」と答えたのが2月上旬、半年前だ。遠山とのペアでマッキャンから推薦されることになり、心は一気にカンヌへ。作品集づくりをしながら「丸6年もやってて人にいばれる作品が少ないなあー」と発見したのも今回の収穫だった。わたしにとってコンペ出場は、自分・広告・世界というものを見つめ直す機会となったのである。

すっかり行く気になっていたものの、実は2月26日ACC国際部会で審査があった。5社に声をかけたが結局名乗り出たのはマッキャンと東急。すんなりわたしたちに決めていただいたらしく、そのGOを受けて、頭はコンペモードに。ちょうど遠山とFOXの仕事で組むようになり、日々の仕事に追われつつもカンヌの話をできたのがよかった。

5月に坂田さんの紹介で杉山恒太郎氏に会いに行き、海外受賞CMを見ながら最近の公共広告について話をうかがう。2週間後、杉山氏の部下であり、2年前のコンペの日本代表ADだった高草木さんに会いに行き、「技術では日本は負けてないが、公共広告をつくるマインドができていない。世界で何が起きているかを知るべきだ」と言われる。

国際的に活動している公共団体をインターネットで調べたり(去年のカンヌの電話帳に載っている団体名で検索)、国連大学で資料を集めたり、NYフェスティバルの受賞作を写経したり。調べてみると、世の中にはありとあらゆる公共広告が存在することがわかった。分類してアルファベット順に並べてみると50近くのジャンルに。「レントゲン写真を寄付しましょう」「花火を安全に取り扱いましょう」「糖尿病に気をつけましょう」「サイを密猟から守りましょう」「ティモール人迫害に反対してインドネシア製品をボイコットしましょう」「障害者用パーキングに停めるのをやめましょう」などなど。日本では気づかない問題に目を向けるきっかけができた。

コピーのリズムをつかむには写経が効果的と言うが、実際、英吾ではお気楽レターしか書いたことのないわたしには、英吾のコピーがどういう単語をどう並べて作られているかがなんとなくつかめて、よかった。やはりコピー的な英語というものがあり、レトリックを使ったりして気の利いた文章になっていた。

カンヌ出発直前には去年の代表だった博報堂の金子君、須田さんと審査員だった笠井さんに会いに行った。

コンペ本番の話は飛ばして、帰国後の話。
7月中旬にユニ通信の菊地さんの取材を受け、7/12(月)号に掲載された。
7/26は博報堂へ出向き、ACC国際部会で報告。選んでいただいたお礼とコンペの戦いぶり、結果を話した。
8/2は過去3回のコンペ出場ペアが集まってACC会報用に座談会(掲載内容)。初めて会った電通コピーライターの山上さんも熱い人だった。「日本は広告だからみんなにメッセージしている。海外はadvertising(前を向いている人を振り返らせる)だから一人に向けてメッセージしている」「自分たちは(消費者ではなく)クライアントを満足させるためにブリーフィングを真面目に読んで答えを出そうとする」など面白い話が聞けた。
8/5はJAAAの座談会に一人で出席。他のメンバーにはI&Sに行った元同期の本多君、電通の高崎さん、大広の小倉君(マルチネスからエトランジェまで歩きながらJAPANESE論争した子)。「自分の考えてたアイデアをことごとくやられて不愉快だった」「海外では賞を取ると大きくステップアップするから自腹を切ってでもアイデアを通そうとする」「サラリーマンではなくクリエイターで飯食ってる」など活発な議論に。カンヌ事務局長のハッチェル氏は日本人が嫌いらしく、審査員の田中氏は握手のときすっとばされたそう。そういう話を聞くと、カンヌは日本人に冷たい側面もあるのかなーと思ってしまう。

あいかわらずカンヌで知り合った人たちからのメールは途切れないし、みんな世界でがんばっているんだなと実感できる。去年行ったときはとにかく世界のすごさに打ちのめされたけれど、今年は「世界の連中も苦労して作ってるんだ。日本と同じような制約(金・時間・得意先)の中で、スキあらば面白いものを作ろうとしているんだ」ということがよくわかった。だから、自分の仕事への取り組み方も少し変わってきた。

●自分のやりたいものを作る……カンヌに見せたいか、堂々と見せられるか、という客観的な目が備わった。
●得意先に熱意をもってプレゼンする……自分が自信持ったものを売りきってカタチにする。実は企画力以上に実行力が大事なのでは。「これをやりましょう」で口説けること。それをがんばる。
●競合プレこそチャンスだと考える……ブレイクスルーが求められているなら、ここぞとばかりに作りたいものをぶつけてみよう。そう思うようになったら、競合も楽しくなってきた。カンヌで仲良くなった他社の子たちとコンペで対決できるのも楽しみ。

コンペで組んだ遠山とも引き続き仕事をするチャンスがある。「おもしろいものやろうよ」と同じ気持ちで言えるのが楽しい。「狙って行く」という感じで、少しアグレッシブになれたように思う。

わたしの中で関心度No.1のJAPANESE論争は、ついに昨日の朝日新聞朝刊で取り上げられていた。この話は誰にしてもいいディスカッションになる。アンケートの結果をまとめて、このレポートに入れたかったけど時間切れ。9/30締め切りのJAAAの懸賞に出そうかしらー。広告論と民族論をからめた面白い論文になると思うのだが。

>>>JAAA広告懸賞論文入選作『jAPANESE論争』


1999年01月01日(金)  テスト

いいねボタンが設置できるかテスト。


1998年07月01日(水)  1998年カンヌ広告祭 コピーが面白かったもの

はじめて参加した1998年のカンヌ。何もかもが新鮮で面白かった。コピーも面白かった。

TVCF (数字はカテゴリー/整理番号 “”内はタイトル)
Feed it almost anything. 
何でも食べます。
22/3”Eats Paper” いろんなサイズの紙、OHPに印刷できるバブルジェットプリンター。観客を前に見事な食べっぷりを披露。
One office. One paper. 
1つのオフィスに1種類の紙。
22/19 プリンターもFAXもコピーも対応できるマルチコピーペーパー。
Bones, means milk 
骨といえば、ミルク。
2/120”Can’t wait for lunch” 日本牛乳協会のCM。ストレートでいい英訳。
Something twisted. 
ひねったヤツ。
2/132-134 Orange Slice(搾った果汁ジュース)の搾った味をひねった世界で表現。
Quenches 4litres of thirst. 
4リットルの渇きをいやす。
2/144”Lengua” 山積みの封筒を舌で糊付けする男がAmi Orange Juiceをガブ飲みし、糊付け作業を再開。
It’s an odd number. 
それはおかしな奇数。
2/186”Tribe” 7upのCM。部族の長が7upを持ったブサイク女と結婚するストーリー。「奇数」と「おかしな」のoddをかけている。
Image is nothing. Thirst is everything Obey your thirst. 
イメージに意味はない。渇きに意味がある。渇きに従え。
2/194-198 従来のドリンク広告に挑戦(宣戦?)するスプライトのシリーズ。
Only drink that doesn’t solveanything but thirst. 
喉の渇き以外何も解決しない唯一の飲み物。
2/220”Ski jumper” おもしろCMでおなじみのsolo。景気づけに飲んだスキージャンパーが飛び立つと夜間照明が消え、お先真っ暗。
A little better than other good cheese. 
他よりちょっといいチーズ。
4/15 “The good bye” Riberhusチーズとの別れを惜しんで大騒ぎする男が登場。
Who loves it, loves it forever. 
好きな人は、ずっと好き。
4/31”Ice-cream salesman” 寒々しい真冬のビーチでアイス売る男。
There’s no photograph. You can see the fruit. 
写真はありません。(本物の)フルーツが見えます。
5/51-52 スペインのLa vieja fabrica jam。カメラフィルムのCMかなと思ったら、それを打ち消すコピー。容器の中身に自信のあるジャムのCM。
Expect the unexpected. 
不測の事態を予測しよう。
15/40”Lemons” 南アフリカの保険会社のCM。人生は先が読めない。
Life is strange. But we’re Nuts. 
人生は変だが、私たちはそうじゃない。Nutsだ。
15/43-46 NUTSという保険会社。we’re notとかけているが、Nutには「へんてこな」という意味がある。変じゃないといいつつ変な会社。
There’re no edges on the human body. That’s why we didn’t put any on ours. 
人間の体にはカドがないので、我々の製品にもカドをつけなかった。
21/64”Edges” シンガポールNOKIAの携帯電話。
No one forgets a good teacher. 
いい先生のことは、みんな覚えている。
.27/9”Talking heads” 教師研修エージェンシーのCM。セレブが次々と口にする「無名の人」の名前。実は、彼らに影響を与えた忘れられない恩師たち。
Don’t blow the film. 
映画を台無しにするな。
27/19-20 カナダの携帯電話のマナー広告。映画観るときはOFFに。
Doing nothing is taking part. 
何もしないのも加害者。
27/141”Park” ドイツ・ハンブルグ警察から市民に勇気を呼びかけるCM。公園でレイプを目撃した男が怖くなって逃げるが、その手にはなぜか血がべっとり。
Watch their TV watching. テレビを見る子どもたちを見張ろう。
27/145”TV violence”
子どもに有害な番組を見せるな、というノルウェーのキャンペーン。
Dignified salaries for a dignified education 
威厳のある教育には、威厳のある給料を。
27/171”Apple” アルゼンチンの公共広告。教壇に立つ空腹の女教師が生徒の差し出したリンゴをガツガツ食べる。その食べっぷりが本当にすさまじい。.非難のピューイングもすごかった。
Life is better with foreigners. 
外国のものがあるほうが人生は楽しい。
27/59”XENOPHOBIA”(外国人嫌い)オーストリアの外国人排斥に対するメッセージ。シャネルの香水、バービー人形、スーパーマリオ、キャビア……ほら、あなた、外国のものが好きでしょ。
Don’t fry your eyes. 
目を焦がさないようにしましょう。
24/25”Fried Eyes” 目になぞらえた二つの目玉焼き。「サングラスで目を守ろう」というオーストラリアの目の研究基金のCM。
How would you feel, overtaken by a miniban?
ミニバンに追い越された気持ちは?
12/93-94 フランスvolkswagen。ミニバンに追い抜かれてプライドを傷つけられ、SOS電話に泣きつくバイク野郎をユーモラスに表現。


Graphic 雑誌・新聞・ポスターなど
IF YOUR MOTHER HAD A HEADACHE THAT DAY YOU WOULDN’T EXIST.
もしあの日ママが頭痛だったら、あなたはこの世に存在しない。
受けは、It’s Mother’s day Greeting from Aspirine.。頭痛薬アスピリンからの母の日広告。
THIS YEAR YOU DON’T KNOW THEM. NEXT YEAR THEY DON’T KNOW YOU. 
今年あなたは彼らを知らない。来年は彼らがあなたを知らない。
Saatchi & Saatchi のnew directors’ showcase(新人ディレクター紹介)告知ポスターのキャッチ。無名だと思って見くびってたら、あっという間に有名になっちゃうから、早めに目をつけておかなきゃってこと。こう言われると、焦って見に行ってしまう。
Who said nobody reads long copy? 
長いコピーは誰も読まないなんて、誰が言った?
英国デザイナー&アートディレクター年鑑(日本でいうADCか?)入りしたデザイナーをたたえる文字だけの新聞広告。11列もの長いボディコピーは、年鑑に入った人たちの名前がずらり。そして、“Congratulations to all those included in the year’s British designers & art directors annual. Now let’s not have any more arguments about long copy. Shall we.”(おめでとう。もう長いコピーのことで言い合うのは、やめませんか)というメッセージ。いつもは「コピーが長いよ」と文句を言うデザイナーたちも、自分の名前が入っているとなると、「削れ」とは言えない。という心理を読んだコピーライターからのいたずら心が楽しい。
BAND-AID For all those bumps and scrapes
すべてのコブとすり傷に、バンドエイド。
このメッセージを電柱に巻きつけているのがアイデア。
Welcome Mr. President
Welcome Mr. Clinton
Welcome Bill
Hey, Mr.
キービジュアルはワインのフルボトル。お酒が進むにつれて、大統領への口のきき方がなれなれしくなってくる。Navarpo Correas vineyards, proudly welcomes and accompanies President Clinton and his visit to Argentina.(Navarpo Correasワイン園はクリントン大統領のアルゼンチン訪問を歓迎し、おつきあいします)
YOU can TAKE a BOOK ANYWHERE and VICE-VERSA. 
本はどこにでも連れて行ける。その逆に、どこにでも連れて行ってくれる。
Waterstone book storeの「本を読もう」キャンペーンのシリーズ。キャッチコピーをあしらった装丁の本がキービジュアル。同じシリーズで、NOTHING COULD even BE MORE OFFENSIVE in a book than sensorship.(本の中でいちばん攻撃的なのは、感覚だ)、The most effective tool for Escape from Prison isn’t a shovel.(刑務所から逃げる最も有効な道具はシャベルではない)。


1998年06月22日(月)  カンヌ98 3日目 いざCMの嵐!

(勤務していた広告会社マッキャンエリクソンに提出したカンヌレポートより)

7時前に起きて8時過ぎにpetit dejuner。cafe au laitがおいしい。croissontもふかふか。2つも食べる。1泊160フランでこれだけの朝食(おかわり自由、バイキング方式)がついてくるのは良心的。しかもchambreも毎日掃除してくれる。C'est bien.

陽射しがきついのでサンガードを入念に。会場(Palais de France)までは5分ほどだけど、その間にやけてしまいそう。

9:00〜 Category1 Alcoholic Drinks
少し遅れて266作品中253作品を見る。そのうち覚えているのは1割もないかも。かなり疲れた。印象は「Miller(ミラービール)のひとり勝ち」。とにかく面白いのは、ことごとくMiller。とくに大受けは1/112"LUCKY CAPS"。"If you get 3 Miller caps,it may be your lucky day tomorrow(ミラーのキャップを3つ集めたら明日はいい日かも)"のナレーションが入り、画面に順に出てくるミラーのキャップをじーっと待つ。その間の取り方が絶妙で、1つ出るごとに笑いが大きくなり、3つめの「ハズレ」にみんな大喜び。インタラクティブのいい例。

個人的に受けた1/144"Cooler/Generic"。イスやソファでくつろいでいるMillerビールたち。人間はどこかなと思ったらクーラーボックスの中でぶるぶる震えていた。パラドックスな世界。

1/159"Weird Guy"は爆笑。部屋の中でくねくね踊っているデブ男が、ボトルの "Twist to open(ひねって開ける)"を見ては踊る。どんなにひねっても開かねーなーと汗だくになり、ますますビールが飲みたそう。栓抜きのいらないフタのニュースを見事に伝えていた。

実験的なものとして1/108"Sideways"にも拍手。テレビを見てお疲れの皆様に横になって見られるCMというわけで、ボトルが横になって登場。おちゃめ。

1/109"Robot Love"は会場も拍手でわたしも好きな作品。"Not everyone watching this commercial may not have a Miller Time, but you might(このCMをご覧のすべての方がミラータイムを楽しんでいるわけではないかもしれませんが、あなたはそうかも)"のナレーションではじまり、ロボットとピクニックしている若い女が映る。ロボットがミラーを飲んで(浴びて)錆びて壊れてしまい、修理に出すとスクラップに。later that year(その年の後になって)彼女の新しい恋人が買ってくれたMillerは昔の彼氏(ロボット)をリサイクルしたもの。再会を喜び合う二人……という輪廻チックなストーリー(紹介文は"A classic love story with a buddhistic ending")。

満場一致の喝采で受けたのは1/116"FLY"。屋外パーティでMillerのグラスに落っこちたハエが出てきて飛び続けていると、自らたbug zapper(虫除け灯?)に飛び込んでしまう。そこに入るコピー、"Don't drive drunk(酔っ払い運転禁止)"に会場は笑いと拍手の渦。

元気さに圧倒というかド肝を抜かれたのが、1/117"Evil Beaver"。ログハウスを作った人間に怒ったビーバー(着ぐるみを着た人間が演じている)が「俺の木を返せ〜!」とログハウスにかじりつく。そのすさまじさとラストのビーバーのニヤリという何とも言えない表情に拍手。ツイストダンスのデブ男もビーバーも適役をうまく配している。コンテのアイデアを最高に形にできるヤツを選ぶというキャスティングの妙に感心。若いカップルの彼氏を弓で殺して自分が彼女の隣におさまる小太りキューピットの話1/118"Cupid"もありがちなのに笑えた。

"This commercial was specially made for Texas. Thank you for your time(このCMはテキサスのために作られました。おつきあいありがとうございました")ではじまる1/113"JIMMY IN TEXAS-COW"も受けてた。ミラーライト好きのジミーがテキサスがいいとこだと聞いて乗り込んでいく話。

1/110"PRO-WRESTLERS"は「指一本触れてはいけない」というプロレス対戦を終えたレスラー二人が試合の続きでビールを注ぎ損じるというもの。バーで二人並んで外すのがおかしい。

以上すべてUSAの作品。日本で作った1/112"MIRACLE JUMP"はUSA Miller15連発の後に出てついでに笑いを誘っていたけど、ノリ的にはかなり違った。"OK"ぐらいの受け取られ方。

その直前が1/121"ANGEL"。天上人たちがミラーが切れたので地上にいたずらして輸送トラックを事故らせ、ミラーを「昇天」させて手に入れる話。大爆笑。さらにその前が1/120"ARM COMTROL"。「好きなものを見ると犬はしっぽを振りますが、この若い男性にも同じことが発見されました」というナレーションではじまり、ミラーの瓶を持つと腕をぶんぶん振る男が登場。瓶にドラムスティックを差すと、すごい勢いでドラムを叩く。大受け。

USAが元気といえばBudweiserのカエルのシリーズもそう。「バド」「ワイ」「ザー」と言うカエルの座を狙うトカゲとイグアナの会話がおかしい。商品カットなしで十分コミュニケーションできるいい例。

Budweiserの他のものでは"Bud for you"のキャンペーンが面白かった。"Bad for you(お気の毒に)"とかけて、「まあ、バドでも」て感じ。超能力者がテレビの公開番組で腕を競う1/164"MIND CONTROL"では念力でバドをグラスに注いで喝采を浴びた直後、観客の一人が念力でそれを飲んでしまう。アメフトの試合後、勝った喜びでビールのかけあいをやっていると、「何やってんだ?せっかくのバドを」とチームメイトにボコボコにされる1/175"VICTORY"
。若い女が恋人を家に招きいれ、父親を起こさないよう部屋まで導くが、足音にはびくともしなかった父親がバドの開く音で目を覚まして銃を手に駆けつけてしまう1/176"FARMER'S DAUGHTER"。犬を骨で釣ってイスから下ろした飼い主が、同じ手でバドに釣られてイスを横取りされる1/178"MY CHAIR"。それぞれ受けてた。

バドではもうひとつ、ズルをしてでもバドを飲みたいぐーたら亭主どもを面白く描いた"Make it a Bud Light"のシリーズが笑いと共感を集めていた。力仕事しているフリをするためにニセモノの下半身を車や台所の下にもぐりこませる男たちだが、草刈り機の下から出ている下半身が見つかり、嘘がばれる1/180"HANDY MAN"。窓にホースを取り付けて偽の雨を降らせ、庭仕事から逃れる1/181"RAIN"。女どもの買い物につき合わされるのに疲れた男どもがディスプレイの洋服の影に隠れて飲む1/182"SHOPPING"。いずれも日本でもそのまま流せそう。

アルコールカテゴリーで驚いたのは、下ネタの競演。日本だと視聴者からクレームが入りそうな表現がゾロゾロ。とくに「ビールのおしっこネタ」はタブーでは(日本ではそれを連想させないように気を遣っている)と思うのだが、堂々とやってのけている。1/63"IT'S EASIER WITH BEER"では、バーのトイレで男二人が「出なくてもじもじ」してるところに三人目の男が入ってきて気持ちよく放尿。"Just Bjer self"(be yourselfとbeerをかけている)というオーストリアのビールのCM。スウェーデンの1/202"THE BALOON"も「Kopparberg lagerを飲むと膀胱に何が起きるか。おしっこの勢いが違う」と実証。ポーランドの1/78"WINTER TIME"は男二人が並んで美しい雪山を鑑賞……と思いきや、雪におしっこで"Elbrewery"とロゴ作成中。

男と女のHネタもあっけらかんとやっている。1/59"THE WILD LOFE OF THE VIKING"はドイツのAsgaard beerの作品。中年夫婦をベッドの足側からとらえた映像。バイキングの本を読んでいる夫のシーツの下半身辺りが盛り上がり、"good for your horns(ツノに効くビール)"と意味深なコピー。バイキングのビール? カナダ発1/105"FASTER"は「もっと早くぅ」「これ以上は無理だよ」と思わせぶりな女と男の激しいやりとり。姿を現した男は女を扇いで風を送っていて、「そんなことよりLabaat Liteを飲むほうがリフレッシュする」というオチ。イギリス発1/247"CONFESSION"は自分の激しいセックスを神父に打ち明けるメキシコ人男が登場。それを懺悔と受け止めた神父が「よくぞ打ち明けてくれました」と言うと「みんなに話しているんだ」。要は、のろけてるだけ。Hな上に神父までコケにして……商品名のScottish Courageの勇気とかけているのか?

「記号」として目だったのは冷たさの表現。究極の表現として、まわりにあるものが全部凍ってしまう。そんな大げさな、と思ってしまうほど。スペイン発1/76"MAHOU ICE"は、炎をも氷に変える"Mahou ice"のグラスを持って、悪魔につかまった娘を助ける話。1/229"MAD DOG"はバーでZimaを飲んでいる男の尻に噛み付いた犬が瞬間に凍り付いて床にコロンと落っこちる。"A few derees cooler(ちょっぴりクール)"とコピー。


1998年06月21日(日)  カンヌ98 2日目 ニース→エズ→カンヌ広告祭エントリー

(勤務していた広告会社マッキャンエリクソンに提出したカンヌレポートより)

5:30 自然に目覚める。ルームサービスでcafe au laitを頼む。"Je voudrais deux tasse de cafe au lait"と言うとフランス語でまくし立てられ、全然わからん。"six"を連呼していたが、どうやら「ルームサービスは6時半から」と言っていたよう。6:30に現れる。10FF+5yenをpourboireであげると喜んでた。ホカホカミルクとたっぷりカフェに感動。ベランダのテーブルで外を見ながら飲んでいるとフランス気分は高まるばかり。Il fait beau aujourd'hui.とってもいい天気。それにしても7時前にみきとわたしが起きているってすごいことだ。「カンヌへ遊びに行くと思われているのは心外!」と意見が一致。ちゃんとお勉強に行くのです。それも自腹で。そこんとこわかってもらうためにも、いいレポート書こうねと話す。

8:30 Je regul.ルームサービスcafe au laitだけがpetit dejuner(朝食)になってたので訂正してもらう。ツイン1泊950FF+appartement taxe de sejour14+cafe au lait(19×2=38)+電話代24=1026FF。25倍(1FF=25yen)すると結構なお値段。"Est-ce que vous pouvais garder..."と言いかけると"Baggage, bien"と快く荷物を預かってくれる。"Nous avons passe tres comfortable sejour. Merci"とお礼言う。

カンヌへ行く前に社内のおねーさま方絶賛のエズ村へ。バス停で"Pour aller a Eze Village?"とオジサンに行き方を聞くとinformationで聞けと言われる。自販機で無事billetを手に入れる。片道13FF。駅のホームで"C'est quel quai?(ここは何番線"と聞くと"Numero 3"。でもquel trainに乗ればいいの? 駅員さんに聞くと「Vientimiglia行きに乗れ」。14分でEZE SUR MER着。バス停にいる英国人らしきロマンスグレーの老婦人二人が"10:30"とバスの時間を教えてくれる。15分揺られてEze Village着。空腹は最高潮。pizzeriaに入ると「昼までは飲み物だけ」。CHEZ CLAIRETTEでtakeoutする。サラダとバーガー二つとドリンクで95FF。石畳の阪を上っていく。どの建物もphotogenic。看板も素敵。人形の店、仮面の店、ミニチュアの店、絵の店……。見晴らしのいい高台に立つCHATEAU EZEは、14世紀(XIVme siecle)に建てられ、1923-53までスウェーデンのウィリアム王子が住んでいたお城。思い出したように黒人のギャルソン(garcon)が現れる。coupe 2 boules au choix(好きなもの2種類選べる)のGlace(アイスクリーム)25FFを食べる。garsonにpourboireを5F。坂を降りる途中でアンティークの広告復刻版ポストカード5F×6枚買う。Bonne journeeと言われるのはいい感じ。

14:00 バスでEZE SUR MERへ。自転車のレースしてるらしく、おしりにゼッケンつけた選手が爆走していく。
Splendidに戻り、baggageを受け取る。"Cette Madame peux parler bien Francais"のお世辞に"Pas encore"と答える。
NICEから電車でCANNESへ。15:23着。Des Etrangesは駅の目の前。しかし、そこでprobleme!「IMAIはキャンセル済み」と言われる。クレジットカードの前金引き落としを見せると、ようやくおねーさんは本気で動いてくれ、510号室の鍵をくれる。
会場(Palais de France)で交代で順番待ちして、ついにIDとおみやげ(聞きしに勝るボリューム)を手に入れる。その場で撮ったデジタル写真をIDに反映。日本から送った顔写真の立場は?

20:00 dinerへ。海沿いを歩いて、海の幸を食べよう、と『Chez Astoux』に入る。有名な店らしい。10代の若〜い女の子二人が"fume"と話しかけてきて、Nさん(化粧品ブランド営業からコピーライターに)がタバコをあげると、「アッシッシーはないか」と聞いてくる。フランス人はHを発音できないから「ハッシッシー」と言えないのですね。しかし10代で……。


1998年06月20日(土)  カンヌ98 1日目 はじめてのカンヌ広告祭へ 

(勤務していた広告会社マッキャンエリクソンに提出したカンヌレポートより)

ついに出発してしまった。3月頃に行くことをきめて、あっという間にaujourd'huiである。とても忙しい日々が続いて、ヒコーキの中でやっとおちつけた感じ。現地に入る前に、「心構え」だけ書いておこう。

カンヌでのテーマは、ありきたりだけど「出会い」にしたい。誰かや何かと出会って世界が広がっていくのは、ホントに楽しい。
【たくさんの人に出会おう】
いろんな国の、いろんな会社の、いろんな仕事してる人とできるだけたくさん何かを「交換」して帰ろう。もちろん日本の人たちも。広告フェスティバルに直接参加していない地元の人たちとも出会えたら最高。
【コトバに出会おう】
今までかじった言葉も未知の言葉もいろんなコトバの響きや意味やパワーに出会おう。それがこれからの仕事でわたしの武器になるのでは……。カンヌで見られる「選りすぐりの広告」はもちろん、チラシやポスターやビルボードや広告と名のつくものすべてについてくるコトバに敏感になっていたい。

それにしてもよく揺れるヒコーキだ。とにかく、アンテナを張って、全身スポンジになって吸い込んでくるつもり。決意表明 以上。

7:00 Je me reveil.
12:00 depart
13:30 la boisson エコノミークラスでシャンパン(Coupe du Monde=ワールドカップ仕様)が出るのはさすがAIR FRANCE。
14:00 dejeuner fromageがすごくおいしい。2列後ろがfumerなのでnon-fumerのオッサンどもが吸いにくる。トイレは禁煙(PAS FUMER DAN LA TOILETTES)。
15:45 Je dors. 途中寝たり起きたり。「恋愛小説家」をFraicaisで聴いたらまったく内容がわからず。いい子守唄に。
19:00 diner 青×白の食器がcute。AIR FRANCE MAGAZINEは250pのボリューム。読み応えあり。手描き文字の可愛さに惚れる。とてもおフランス。Plaisir d'etre belle(美しくなるよろこび)のページに担当化粧品を発見。
24:30(現地17:30) Paris Charles de Gaull
とても暑い。J'ai chaud.いきなり空港に放り出され、職員さんに聞いて下に降り、バスでFゾーンへ。一帯は自然光を取り入れたガラス屋根。音質野菜になった気分。横のおばちゃんに時間を聞くと通じた。時計を見せてくれる。
18:30 搭乗。客のほとんどは外人。隣はワキガさん。多分40〜50代のおじさんがスチュワード。日本だと違和感あるのにこっちだと自然。
20:00 NICE着
空港脱出は、いともあっさり。baggage claimのチェックさえなし。タクシーでL'hotel Splendidへ。128FFだが空港価格で145FF。2Fをpourboire。ホテルのreception"Je suis Masako Imai. J'ai reserve au Japon"と名乗ると"Tout a fait”と言ってくれる。
部屋はそんなに広くないけどバルコニー(=みきのタバコ部屋)つきで気持ちいい。鍵(la cle)はプラスティックのカード。海辺を散歩(Nous nous promeneron jusuqu' a cote)する。空と海の青のグラデが素敵。閉じたパラソル(青と白のしましま)も絵になる。人がいっぱい歩いてて安全なとこ、というイメージ。
22:00 すごく疲れて眠い(fatigue+sommeil)  Je dors debout.立ったまま眠れるぞー。一晩中いろんな人の話し声や車の音が続く。でもよく眠れた。


1980年03月19日(水)  4年2組日記 文しょうずくり

 今日は ではとよしかとわたしでいっしょに いんの家に行った。そしてみんなで、文しょうずくりをした。とっても おもしろい文ができた。その一つは、ぶたがじさつをして ろうかに 立たされた。です そのほかに ひまわりが わらいながら 人をころした とか 山は こいをして おならをした とかがありました。
(※日付は?月?日?曜日となっています。句読点を打たずにスペースを空けている癖があるので、もっと前かもしれません。「誰が」「いつ」「どこで」「何をした」を手分けして書いて合体させる文章作り遊びに凝っていました。例文には子どもの無邪気な残酷さが良く出ていて、ドキッとします。2007年9月)

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