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鈴谷の不定期日記
鈴谷
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2006年12月27日(水)
フラグか

 本日朝普通におき、普通に伸びをし。ふつーにバスの時刻表をぼーっと脳みそで確認しつつうつらうつらしておりました。
 あー、まだ大丈夫。後数分しかない? だいじょぶだいじょぶ身支度出来る。
 え、でもビデオの時刻三十分進んでない。心なしか別の時計も三十分…調整の時刻あわせしておいたばかりの携帯もさんじゅ――
 ばっ、と辺りを見回して中心に考えていた目覚まし時計を穴の開くほど見つめ、テレビを付けて時刻確認。
 ……
 …………
 三十分ずれてました。
 ああ、確かに最近目覚ましならないなあ。なんか変だなあ。年代物だからご機嫌悪いのかなあ、と寝ぼけたこといえ、ネボケ頭で考えてました。けど。
 三十分ずれてるなんて!!  
 ドコの漫画だアホかあぁぁウワァァン!! と心の中で罵声を上げて着替え、バッグを持って時計を見直す。やっぱりずれてる時計。
 時間の調整は出来ません。ていうか明確な約束もなかったのでそこまで慌てなくても良かったのですが、パニクった脳がまともな判断を下せるはずもなく。
 今考えても阿呆な事を心で口走っていたので突っ込みを入れてみましょう。
 あわあわしながら白いダウンジャケットを羽織り。
 バスもういったよね。
 《もちろんな》
 ああでもずれてるかも? ほら、希望的観測は捨ててはいけないというか。
 《その可能性は捨てきれないが、ほぼ可能性は0に等しい》
 ウチって田舎だから、一時間に一本くらいだけど。たまに数十分遅れるし。もしかしてもしかしたら!!
 《希望と現実を取り違えてはいけないよ、キミ。大抵に置いて急いでいるほど遅れるものさ。何故かは知らないけれど》
 玄関に駆け寄り、キョトンと瞳を瞬く犬を置き去りに鍵を掛け、走る。
 ええーと。今日は一時間に二本だったっけ。一本? まいいや。付いてから考えよう。
 《どう考えても無理だから大人しく待て》 
 寒いなー。あーそう言えば椅子も天井も雨避けも。あまつさえ停留所と書かれた棒みたいなバス停があるだけなんだよねぇ。どうするか。来なかったら。
 《来ないですから》
 ドコの漫画かゲームかという展開をリアルでやりつつ寂れたバス停に佇み。
 真っ先に時刻確認。
 結果。
 一時間に一本でした。次のは一時間に二本。
 ああ、どうして一時間に二本に統一してくれないんだと、道ばたのフェンスに指を絡め、本気で項垂れる私。残念どころが多少ずれてます。
 ココまで書いておいて何ですが、なんてベタなんだ。
 次はパンをくわえた女子高生がぶつかってくるに違いないと半ば不安。そして場違いなわくわくに包まれてぼんやり通りすがるにゃんこを二匹眺めてました。その二匹はうろつくばかりでぶつかりには来ませんでした。にゃんことフラグは立たなかったらしい。薄れた影しか見えなかった中の一匹とはちがい、近場で毛繕いしていた別の一匹との心の距離は縮んだような気はします。
 兎にも角にも。残念、じゃなくて当然ながら通りすがりの美少女は現れませんでした。
 でも女子高生とフラグ立ててどうするよ。せめて男子高校生にしておけ私。
 ちょい寒かったですが、ぼんやりと見上げる冬空もなかなかオツなものです。
 ……そんなコトするから風邪引くんだろうか。
 



2006年12月25日(月)
童心わするるべからず

 一応クリスマスも何とか乗り越えました。
 通例ですが、今日も今日とて病院がよい。嗚呼、憂鬱。
 バスの中でぼんやりと滲む景色を眺めていたその時。
「あ、ゆきだ!?」
 えっ。ホント!? 思わず振り向く私。
 しかし広がるのは緩やかな日差し。そういえば肌寒いわけでもないし。
 あれ? といぶかる耳に。
「あ、なーんだ。葉っぱだったぁ。雪に見えたっ」
 無邪気な子供の声。
 それを聞いて思わず、感動しました。
 そうだよ。そうだよなぁ。サクラだって吹雪にたとえられるんだから、葉が雪に見えても可笑しくないよ。
 なんて情緒のある、感受性豊かなオコサマ。
 さらに続けてベートーベンをうたってるし。
 感激のあまり思わず息を潜めて動向を探っていました。いえ怪しくはありませんとも。彼の言動が気になるだけです。
「たくさんの天使のはねー」
 なに。それは先程の続きか。いや、舞い落ちて降り積もる天使のはね。
 おおう、なかなかに素敵なフレーズ。それもらったあ!! とは無論小箱の片隅ほども思ってません。うん。
 そうこう耳を澄ませている内に、目的地に着いてしまったので彼の面白言動は見守れませんでした。口惜しや。
 なんかおばあさんに怒られて居てばっかりだったのが気に掛かりましたが。私的には「もっと聞かせてー」状態。
 次もしも巡り会ったときは、少年の話を一語一句聞き漏らさないでいようと心の中で誓いました。
 
 純粋な心っていいなあ。ダイレクトに響く単語。見習おう。