日々の泡

2008年09月23日(火) 井村順一著「美しい言葉づかい」購入

秋分の日。おとといの日曜に墓参は済ませていたのでこの日は朝から家具を移動。午後は天気がよかったので久しぶりに府中の森公園へ。ここの楽しみは、四季の景色プラス美術館の売店とカフェ。この売店は特設店のグッズをはじめ、美術絵葉書や本が並んでいて楽しい。本はいかにも選りすぐりのと言った感じの品揃えだ。美術書もあれば以前に買ったように庭いじりの本もあれば、今回買った「言葉づかい」の本もある。帯にはついにヴォージュラがきた!とある。「言葉に異常な関心を示す青年貴族がランブイエ公爵夫人の有名なサロンに現れた」 学識ある男たちは信用できない。女性たちの「話しぶり」こをがお手本だ。 そんなことが書いてある。17世紀前半のパリの様子が描かれ興味深い。サロンは話す技術を磨くための場所だったらしい。ヴォージュラはサロンの言葉づかいを克明にメモし、その後のフランス語の洗練に絶大な影響を及ぼす「文法」を著す。ランブイエ公爵夫人の名前は聞いたことがあるが「青の部屋」と呼ばれるサロンを開いていたと書いてあり、納得した。ヴォージュラは数ヶ国語に堪能だったようだが、こんな一節が印象に残った。「ヴォージュラにとって翻訳とは、二つの言語の表現能力を比較することであった。彼に限らず、言語に真率な目を向けるものであればそう考えただろう。彼の翻訳に関する意見が要約されているので、少し長くなるが引用する。「翻訳する場合は、二つ(あるいはそれ以上)の言語に通暁することが前提となる。各言語は、各個人と同様、長所と短所を兼ねあわせている。二つの言語がひとしく優れている点もあれば、一方が他方には及ばぬ点も、また一方が他方を凌駕する点もある。したがって翻訳者は、原著の美を同等に表現できないからといって悔やむことはない。別の箇所で原著よりも優雅な表現が見つかって、埋め合わせがつくかも知れないのだ」なるほど、翻訳についてこんな風に考えたことがなかったので目からウロコだった。ただ、ヴォージュは生涯を通して貴族の対面を保つために苦労したらしい。翻訳は生活の糧にもなっていたようだ。
久々の新書であったが、パリの様子は楽しめたが、肝心の美しい言葉づかいはあまり見えてこなかった。



2008年09月22日(月) 諸田玲子著「紅の袖」読了

図書館で借りた単行本。得体の知れない、それでいて妙に心ひかれる女中 みおに翻弄されつつ、それまで何の苦労もなかった女性が、真実を知ることにより一人前の女性に成長する過程を描いたものであるとも言えれば、幼馴染であり、今は思想により立場が変わってしまった二人の武士の友情物語であるとも言える。 



2008年09月21日(日) 諸田玲子著「紅の袖」読み始め

図書館で借りた単行本の1冊。ネットから2回延長を申し込んだ。時は黒船がやってきて一年ほどたったころ。沙代の夫は御台場御用掛として川越藩の一之御台場完成後の守護の一担を担う。異国の攻撃にさらされる前に沙代は砂と騒音に悩まされている。話は「みお」という貧しい樵の娘を女中として雇い入れたところから始まる。



2008年09月19日(金) 諸田玲子著「かってまま」読了

7編の短編集 「かげっぽち」「だりむくれ」「しわんぼう」「とうへんぼく」「かってまま」「みょうちき」「けれん」 この7編を通して「おさい」という賢く美しい女性の赤子時代から老齢に至るまでの生涯が場面場面がかかわりあった人々の目を通して語られる。



2008年09月18日(木) 東野圭吾著「容疑者Xの献身」読了

4冊借りた東野圭吾ものではこれが一番面白かった。さすがに今秋映画化されるだけのことはある。舞台は清澄公園近くである。あのたいくつな公園である。それはともかく高校の数学の教師である石神はアパートの隣室に住んでいる花岡靖子に想いを寄せていて、毎朝、彼女が働いている弁当屋に少々遠回りをして寄り昼食用に弁当を買い求めている。花岡靖子は2度の結婚に失敗し、今は一人で中学の娘を育てている。ある日靖子は以前からつきまとわれていた2番目の夫をアパートで殺してしまう。まずはしつこい男にかっとなった娘が男の頭を鈍器でなぐり、怒り狂った男が娘の首をしめようとしたため、靖子はコタツのコードで男を絞め殺してしまうのだ。大きな音に心配して訪ねてきた石神は、一瞬にしてその事態を察し、母子にもし、自首する気がないのであれば、協力する旨申し出る。 やがて川べりから死体が発見され、身元が判明した段階で靖子の元にも捜査の手が伸びるが、ほぼ完璧なアリバイなど、どう探っても真相を掴むことはできない。そこへ捜査官の大学時代の同期である物理学者の湯川が登場する。彼は石神と同期でもあった。50年に一度の逸材と言われながら石神は家の事情から研究室に残ることなく高校の教師となっていた。旧交を温める石神と湯川であったが、ある何気なく石神がとった行動から湯川は事件の本質に気づく。それは石神の靖子への恋であった。学生時代から風貌には全く気にかけなかった石神が弁当屋に行く際にちらりと自分の姿を確認したのである。 途中、読者として石神がストーカーまがいの人間であるように誘導されていくのだが、最後は石神の純愛に泣かされる。 花岡親子がアパートに引越しして来た日。その日石神はなんの目的もない人生に絶望し、部屋で自殺を図ろうとしていた。実行に移そうとしたその瞬間、ブザーが鳴り石神はドアの向こうに佇む美しい親子を見て、二人の守護になることで人生の目的を見つけたのだった。石神は 靖子が交際相手の工藤と幸せになることを願い、服役しようとするが、靖子は石神の気持ちを知り自首するのだった。完璧な計画が破れ、自分が殺人を犯してまで救おうとした母子を結局救えなかった石神は吼えるように崩れ落ちる。 最後まで面白く読むことができた。 読了したので早速インターネットでキャストを調べる。工藤と石神は逆であろうと思ったが、これも映画の醍醐味だ。ちょっと見たい気がする。



2008年09月14日(日) 東野圭吾著「さまよう刃」読了

長峰は、祭りに行った一人娘絵摩の帰りを待ちわびている。多少遅いという心配から異常な時刻になってしまったとき。少年法への不信感。こんな小説も出るだろうと思っていた筋立だ。不良少年3人による殺害。謎の電話により犯人の一人の部屋に訪ねた長峰はそこでその少年たちが撮りためたビデオの中に絵馬の無残な姿を見つける。怒り狂う長峰はそこに戻ってきた犯人の少年をむごたらしく殺害し、共犯の少年を追って長野に旅立つ。長野のペンションという言葉を頼りに、探し回るがそこにかつて娘を不慮の事故で死なせてしまった女性が登場する。父親のペンションを手伝っているが、そこに泊り客としてあらわれた長峰が現在指名手配中の男であることに気づき、かくまう。その女性は長峰の犯行をくいとめようとし、一時は自供しようとする長峰であるが、そこに再び何者からか 残りの少年が上野に現れるであろうことを伝える電話が入る。 最終場面、長峰は警察官によって射殺され、そしてその警官の上司が責任を取って辞職するが、その上司久塚は、やはりかつて子供を殺された過去を持っていた。 彼が長峰に内部事情を知らせた本人であることが示唆されて小説は終わる。果たして久塚がとった行動は正しかったのかどうか。少年が殺されなかったとしたら、何年かの服役で少年たちはこの世界に戻ってきて次の犠牲者が出ないとは限らない。妙にやりきれない読後感が残った。



2008年09月12日(金) 東野圭吾著「放課後」読了

会社のHさんから東野圭吾の文庫を4冊借りる。私立清華女子高等学校の教師前島はこのところ3度続けて殺されかけた。



2008年09月10日(水) 東野圭吾著「パラレルワールド ラブストーリー」読了

月曜から読み始め読了。なかなか面白かったし、久しぶりに涙ぐむ場面あり。人物の性格には少々疑問が残るが、筋立ては面白い。主人公が友人を裏切ってその恋人を奪うあたり 好感が持てない。その少々不具である友人に対する優越感も感じられる。 相手の女性も智彦が足を引きずることに対して、親を説得しようという愛情に欠けている。智彦が心の自殺を選ぶ過程でも、どうも主人公は彼に対して不実である。




2008年09月05日(金) 諸田玲子著「希以子」読了



昨日の朝から読み始めて、土曜の夜に読了。結構分厚い単行本だったが、起伏に富んだ内容のせいか、すいすい読めた。表題となっている希以子が主役。場面は東京の下町から満州、そして北京へと移る。おおらかな物事にこだわらない明るい性格の希以子が、血のつながりのある親、兄弟、そして義理の関係にある親兄弟との時には反発しながらも心温まる交流が大筋に流れ、その間 男性との恋愛も描かれるものの、こちらは結局はどれも破談になり 最後の場面では 一人逞しく3人の子供を育てるヒロインの姿で終わっている。


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