| 2008年03月28日(金) |
シャーロット・ブロンテ「シャーリー」読了 |
2巻に亘る結構ボリュームのある小説だった。途中「非居住者・外国法人の源泉徴収」「社会保険・労働保険」「労働保険の実務相談」などを読んでいたため、随分時間がかかってしまった。冒頭のかなりの紙面を割いて当時の宗教界の批判をしていたため、なかなかのめりこめなかったのも原因かもしれない。おまけに読者はこの小説にロマンスを期待してはいけないなどと書いてあった。にもかかわらず、後半は二組の男女の恋愛に終始していた。女相続人シャーリーと牧師の姪であるキャロラインは正反対の性格を持ちながら会ったとたんに無二の親友となる。かたやムア兄弟は、いまにも潰れそうな工場主の兄と家庭教師をしている弟で、社会的地位は低い。解説によるとこの二人の女性はシャーロットが身の回りの女性を投影しているそうで、それぞれ複数の自分の姉妹や知人の性格を合わせ持つ。そのため、執筆途中で亡くなってしまった妹のアンを投影していたキャロラインを作品中で幸福を味あわせてやりたくなり、方向変換をしたらしい。なるほどと思われる。そもそもこの作品集の解説は、最近のあとがきがほめるる一方であるのに対して、かなり辛口の批評が展開されている。それだけ真摯に作品に取り組んでいるのだろう。しかし矛盾に満ちた箇所をいちいち書き連ねるのは作品への興味を失いかねない。 もっともこの作品集はある意味専門書なのだろう。なによりも本の価格がどれも6千円から9千円と高額である。社会情勢を描いたこと、女性の心情を描いたことがこの本が高く評価されているようだ。私はキャロラインのムアに対する心情がなかなか好きだった。久しぶりに恋愛小説を読んだような気がする。
| 2008年03月06日(木) |
シャーロット・プロンテ「教授」読了 |
カラーベルという名前での作者の序文がついている。その中にこんなことが書いてあった。「私は自分に言い聞かせた。私の主人公は、私が見てきた本物の生きた男たちと同じように働いて暮らしを立てなければならない。働いて得た収入以外に1シリングたりともてにしてはならない。突然の運命の変転によって一躍富と高い身分を得たりしてはならない。後略」しかし出版者はそういったやり方を好まず、もっと美しい、気高い。、世間離れしたものを好むことをブロンテは思い知ることになる。この小説はジェインエア、シャーリーよりも先に書かれたにもかかわらず、結局シャーロットが生存中には出版されたかったようだ。しかし、私の目にはこの小説は十分物語風である。元レース繕いの貧しい少女が、彼の愛と教育により素晴らしい女性に成長するところはピグマリオンを思い出させる。 私はもちろんロマンが好きであるからこういった傾向はとても好ましい。それでも作者にとってはかなり抑えて写実主義に徹したものらしい。 しかし、それはともかく、この主人公であり語り手であるウィリアム・クリムズワースにはあまり好感が持てなかった。好もしいと思っている女性に対して、妙に感情をもてあそぶようなところが随所にあるからだ。(彼の名前は、ウィリアム・ワーズワースによく似ている。おまけに文中に詩に関するくだりで出てきたような気もするが。)最後は非常になにもかもハッピーエンドでこの小説は終わる。いろいろな人のその後を読むことは好きなので満足してもよいところだが、あまり良い読後感ではなかった。登場人物も悪役は典型的だった。
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