ミドルエイジのビジネスマン
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男の優しさとは遠くから見守ること、女の優しさとは寄り添って共感すること。そういうことを、ついこの間まで理解できなかった。父親が重い病気だと聞いたときに、一緒に悲しむことはできないのだと、馬鹿なことを言ってしまったものだ。
親を見送る本当の悲しみは、肉親でなければ到底分からないものだ。自分も父親を亡くして、つくづく、そう思うと言った積もりだったのだが、おそらく伝わらなかったことだろう。
あの後、親父さんは回復したと聞いたが、それからどうなったのだろうか。
2007年02月18日(日) |
東京マラソンのスタート地点(写真) |
旧友たちが東京にやってきた。深夜の12時過ぎまで歌舞伎町でカラオケを楽しみ、新宿駅の東口からただ西口に移動するためだけにタクシーに乗るという前代未聞の贅沢を生まれて初めて経験した。みんな豊かな人々だ。そうして、京王プラザホテルに宿泊するというので、憧れのホテルに同宿した。
目の前の都庁が東京マラソンのスタート地点になっているので、朝起きると、とんでもない景色が広がっていた。道路が真っ白になっているのは全てランナーの姿だ。期せずして、記念すべき第1回の東京マラソンのスタートを21階のホテルの部屋から目にすることになったのだ。
黄色い屋根が並んでいるのは、はとバスの列。友人によれば長時間の交通規制を受けるため、はとバスも商売にならないので、いっそのことマラソンに協力しているのだとか。
この人々の群れが全部動き始めるのに、どれくらいかかるのだろうと思ったが、意外とスムーズに流れていくので、それにも感心した。朝食の時間がせまっていたので、残念ながら最後まで見届けることはできなかった。
会社の近所には、洒落た名前のコーヒーショップがひしめいている。ところが最近、のどまで出掛かっているそれらチェーン店のカタカナの名前がなかなか出てこない。ついこの間も、情けないことに一番近く、と言うか会社の目の前にあるお店の名前まで思い出せない。結局、店の前に出してあるディスプレイを見て「ああ、そうだった、そうだった」と納得する始末だ。
もう二度と忘れまいと、店の名前の覚え方を考えた。そのコーヒーショップの場合はとても簡単。会社の前にある、会社のフロントにあるので「プロント」だ。これは覚えやすく小さな工夫で人生の悩みが一つ消え、心が軽くなった。
プロントでコーヒーを飲みながら、ついでに他のコーヒーショップのことを考えていると、色々思い出してきた。場所柄も良く、大きな四つ角にある老舗チェーンのお店はとても流行っている。だから、コーヒーも沢山売る。一度にドッと売る、ドッと売るので店の名前は「ド・トール」というのだった。
ド・トールと大通りをはさんで反対側にあるコーヒーショップは盛りが少ない。溢れるほど入れてくれれば嬉しいのに、カップの半分では足りない。雰囲気は良いが、コーヒーがちょっと足りない店の名前は、「タリーズ」という。
そのお向かいさん、ワインレッドの店のサインが洒落ているチェーン店のコーヒーはとても熱い。この間も、舌をやけどしてしまった。チェッ、舌がやけどしちゃったぜ、ベロあっち! ベロアッチェ、偶然にもその店は「ベローチェ」という名前だった。 この、ベローチェという名前を思い出そうとしてスッと頭に浮かんだことはほとんどない。こじつけなしに、ベローチェをすぐ思い出せる人は本当に頭がいいのだと尊敬する。
さて、お父さんには特別ひいきにしているコーヒーショップがある。その店に入ろうとすると、しばしば、歌手のにしきのあきらが後ろ向きに出てくる。変だなあ、どうしていつも、にしきのあきらが後ろ向きに出てくるんだろう、と思っていたら、フッと店の名前を思い出した。エ、思い出さない?この日記のどこかにヒントがあるよ。 最近では頭の中で、後ろ向きに出てきたにしきのあきらが、いきなり人差し指を突き出しながら「ゲッツ!」と言うので、コーヒーを噴き出してしまいそうになる。
(おまけ) 会社の近所ではないのだが、昼間、別の会社を訪問して道を歩いていると、某コーヒーショップとそっくりの丸い緑色のマークを掲げているコーヒー屋さんがあった。「中国か?」。中をのぞいてみると、お客さんがみんなパソコンを開いて、表計算をしている。真面目な客ばかりだ。改めて、店の名前を確認して納得した。みんながエクセルしお〜るでよ、「エクセルシオールカフェ」だった。
(注) 本日の日記の内容は、プロントとベローチェの名前を思い出せなかったという事実以外は全てフィクションです。どのコーヒーショップも味は良く、量も多い。強いて言うなら、にしきのあきらが頭の中でゲッツ!と言うと、コーヒーを噴き出しそうになるのも事実です。
金曜日は、大きなイベントを見るため赤坂プリンスホテルに出掛けた。「赤プリ、愛称で呼ばれるホテル」などという大きな広告を自分で出していた。確かに、遥かな昔、胸を躍らせて行った覚えがある。残念ながら、宿泊目的まではなかったが。最近、ホイチョイプロダクションが、バブルの頃の映画を作るというので話題になっているように、景気が上向いているせいか贅沢も悪くないという雰囲気が世間に漂っているような気がする。
大きなイベントは「ベンチャー・アウォーズ2007」という催しで、地域の企業を奨励するために地方で頑張っている会社やベンチャー企業を表彰する企画だった。沢山の会社や支援団体が表彰されるので、そのたびに拍手をさせられてしまいには手のひらが痛くなった。
その後のシンポジウムはHISの澤田秀雄、ユニクロで頑張っていたのにオーナーに首にさせられた玉塚元一、マラソン選手で今はエスビーのスポーツ局長というポストにあるという瀬古利彦の個性的な三氏による対談であった。お三方ともリラックスして、人生を変えた人との出会いや、仕事の上で大きく飛躍したきっかけなどについて話しておられたのが良かった。
澤田氏はライブドア事件でHS証券の名前が出てきたし、玉塚氏はファーストリテイリングを追い出されてリヴァンプを設立、瀬古選手は悲運の人と呼ばれ、モスクワオリンピックを西側諸国がボイコットして活躍できなかったばかりでなく、早稲田の監督になってすぐに北海道合宿で選手が交通事故で3人も死んだり、恩師の中村監督が釣りをしていて事故で亡くなるなど、会場の49歳で起業した人に向かって「人生山あり谷ありと言うけど、違いますって。谷あり谷ありだ。」といっていたのが印象的だった。彼は自分の苦労を面白おかしく語っていたが、明るく笑い飛ばす話術は後から努力で身につけたものに違いない。根はきっと選手のときと同様「修行僧」なのだろうと思った。
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