ジョージ・エルスの日記...ジョージ・エルス

 

 

マンダリン - 2004年01月19日(月)

マレーシアに住む民族の30%は中国人。彼らが
最も重要視する年中行事、それが今週金曜日の
中国旧正月だ。

旧正月が間近にせまるこの時期、納入業者からた
くさんのマンダリン(みかん)が届けられる。

マンダリンは 一個だけ入る大きさの小さな赤いビ
ニール袋にひとつひとつ丁寧に、入れられ、それら
が約50個、ひとつのダンボール箱に入っている。

ビニール袋がないと直接マンダリンが触れ合って
腐ってしまうのでこういう方法をとっているのだ
ろうか。

梱包する立場からすれば実に面倒なことを行って
いるわけだが、この方式が中国の昔からの風習な
のかもしれない。



昼食前の空腹を癒すため、事務所の棚にあるマン
ダリンの入った箱の方へ歩く。

すると経理担当のマリアが「マニス(甘い)にす
る?それともマサム(すっぱい)の方がいい?」
と尋ねる。

棚には種類の違う箱がひとつずつ置いてある。

下の箱の方は甘いマンダリンで、上の箱はすっぱ
かったそうだ。

わざわざ、すっぱいマンダリンを誰が選ぶんだろ
う、と思ったが彼女達の半分はすっぱい方を選ん
だそうだ。

「どうしてすっぱいみかんを選ぶの?」ときいて
もキョトンとしてる。ただの好みということらしい。

”みかんは甘いもの”、という日本の常識にとら
われている事に気づく。



そして、仕事中に食べ比べするのも立場上まず
いので、皆が昼食に出かけたことを確認後、すっ
ぱいマンダリンをとりだして、こっそり満喫するの
だった。








...

トゥドゥン - 2004年01月15日(木)

イスラム教を国教とするこの国マレーシア。当然、
成人女性は自分の頭髪を見せてはいけない。

トゥドゥン。女性イスラム教徒が髪に覆いかぶせ
るスカーフの様な布。

中東など、より保守的な国では黒色が基本だが、
ここマレーシアではピンクやら水色やらゴールド
等、バラエティーに富んでいる。

これを被っている女性をみても、決して抑圧的な
感じがしないのは、きっと服装のコーディネイト
のひとつとして定着しているからに違いない。

それでも最近は開放的になるにつれ、トゥドゥン
を被らないマレー人女性も随分増えているが。



マレー人の部下ムハマドとタイ・バンコックへの
出張。空港のゲート前で搭乗時間を待っていた。

トゥドゥンを被ったマレー人女性が、僕たちの前
に向かい合うようにして座った。

隣の男性と、マレー語で話している。マレー人
夫婦のようだ。

「バンコックに何回も行ってるけど、マレー人
 女性をみかけるのは珍しい。」

そうムハマドに言うと、

「彼女はマレー人ではありません。イスラム教に
 改宗したタイ人女性です。おそらく故郷に帰る
 のでしょう。」

そういえば顔つきがマレー人でなくタイ人のよう
にみえなくもない。しかしマレー人のような顔つ
きのタイ人も実にたくさんいる。
 
なぜ、彼は彼女がマレー人であることを明確に否
定するのだろうか。

「トゥドゥンの被り方、あれは正式な被り方では
 ありません。」

通常、トゥドゥンがきれいに巻かれていると、布
に不自然なしわが一切できず、顔の輪郭がきれ
いな卵型を模っている。

彼女をよく見ると確かにトゥドゥンの不自然なしわ
が目立つ。輪郭もきれいな卵型を模っていない。

ムハマドからすれば、日常感覚的に、その不自然
さが目立ったという事だ。

普段全く意識していなかった事だけに、とりわけ
感心してしまう。


そしてそれは、イスラム教徒のこだわりを垣間見
たようで、宗教の奥深さを肌で感じた瞬間でもあ
った。








...

バンク・シンパナン - 2004年01月07日(水)

月に一回の公共料金支払いのため、仕事をぬけだ
し隣町のスリムダにでかけた。

もちろんあのインドカレーも、重要なもうひとつの目
的なのだが。

レストランには20分ほどいて、すぐに3件隣の銀
行、バンク・シンパナン スリムダ支店へ。

支店といっても幅6m、奥行き18mほどの狭い店
内。受付窓口も4つしかない。

準・政府銀行。スローな窓口業務。愛想の悪い、窓
口業務の担当女性。今日は、窓口も2つしか開いて
ない。

冷房のよくきいた店内の涼しさだけが救いだが。


30分経ち、ようやく自分の順番が回ってきた。


今日はいつもの支払いだけでなく、なんらかの手違
いで未払い扱いになってる昨年9月の電気料金につ
いて調べてもらった。


銀行側の手違いで、入金先が間違っていた事が判
明した。


電力会社ではなかった。


間違った入金先は、マレーシア大学・サバ分校。


サバ州は、僕のいるマレー半島対岸にあるボルネオ
島にある2つの州のうちの1つ。

スキューバダイビングで世界的に有名な海と、広大な
原生林をもつ地方。

インドネシアとフィリピンに国境を接する、マレーシア
の中でももっとも典型的な、”ネイチャー・マレーシア”。


入金先コードの番号を間違えて入力したとはいえ、
電気料金とはあまりにかけ離れた入金先に、普段、
愛想の悪い窓口のマレー人女性からも思わず笑み
がこぼれる。



店を出た。当然のごとく降り注ぐ太陽。


30度を軽く超える暑さも、さっきの待ち時間の長さ
もすっかり忘れてしまいそうな、気持ちのいい午後
だった。







...




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