「蒲公英草紙」(恩田陸著,集英社)
内容:舞台は20世紀初頭の東北にある小さな集落。一帯の地主の娘、聡子の話し相手としてお屋敷に出入りするようになった峰子の、不思議な力をもつ春田一家との出会いを含めた幼き輝きしひと夏の回想。小説。
恩田陸は私にとって当たり外れのでかい作家ですが、「光の帝国」は好きだったので、そのシリーズということで買ってみました。…文庫に落ちるまで待っていたけどね(笑)。
開き直って言うとこういうジュブナイルな展開、好きです。かなり気持ちよく読みました。 ただ最近どうにも齢を重ねてきた故の要らんとこ読みが多くて。 思い出語りという手法は決して嫌いではありません。「ここではこうやって苦労しているけど、将来、振り返って語れるほど落ち着いているのだ」という安心感があるので。 ただこのお話はちょっと違う。
思い出の“その時代の現在”はとても美しく甘酸っぱく物悲しくも素敵な話でしたが、峰子の「今」を思うと、美しかったのは、輝いていたのはあの時だけだったのだろうかと寂しくなった。 廣隆さんとは結局上手く行かなかったんだなということも含めて、あの夏が彼女の人生の中でぽっかり浮かび上がった唯一の光点だったように読み取れて哀しい。 それでも、たった一点でも美しい日々があった方が良いのかもしれないけど、残りの人生は何なんだろうと思ってしまう。決して不幸ではなかったと思うんですけどね。
も1つ、歴史モノ視点として。 過去を今として描くのは難しいものだなぁと思う。 当時の「進歩的な」思想は今の人に書かれても過去の未来を知る神の視点を持つ現代人だから書けたことだろうと、ちょっとだけ醒める。まあこれは歴史モノではないのでそんな視点は考えなくて良いのかもしれませんが。
ラストもです。 「これからは新しい、素晴らしい国になるのでしょうか。私たちが作っていくはずの国が本当にあるのでしょうか。」 その答えは私達は持っている。60年後に生きる私達は。 だけどその答えはもはや未来が多くない過去に生きる彼女のものと同じではないでしょう。 この今の世界の礎となった彼女ら世代の人たちが「今」幸せに見えない、それが哀しい。
思わず何箇所か涙してしまいましたが、人死にや哀しいシーンでではなく、「あなたの夢見る世界は来ないのよ」という憐憫から、でしたね。
取り合えず常野は相性は悪くないみたいなのでもう1冊も読んでみようかな。 …図書館から借りて。
あ、貴子さんのツンデレはちょっと萌えた。
| 2008年05月26日(月) |
「ジパング」 1−26 |
「ジパング」 1−26 (かわぐちかいじ著,講談社)
内容:日米新ガイドラインの下、海外派遣としてエクアドルへ向う途中の海上自衛隊イージス艦「みらい」が洋上で60年前にタイムワープしてしまった。時代は太平洋戦争真っ只中。艦員たちは歴史への介在は望まず、未来への帰還を模索するのだが、洋上に墜落した軍機から一人の海軍軍人を助けたことにより、否応なく時代に巻き込まれていく。漫画。
Nさんからの借り物。 未完。
漫画読みとしては押さえておかなならんやろうと思いつつ、そして面白いのだろうと予想しつつ、絶対辛いのは確信していたので手を出していなかったのですが、「適当に区切りの良いところで貸してあげる」と言われたので読んでみました。 予想に全く違わず、面白いけど辛いお話でした。
架空戦記ものは幼少の頃テレビで見た映画版の「戦国自衛隊」がトラウマになってます。 「結局歴史は変わらないんだ」と。 それでなくとも歴史モノというのは「史実」の壁がある。ただ史実を追ったものはノンフィクションであり創作としての面白みは薄いが、史実を無視しすぎるものはファンタジーとなり現実味とともに面白みも薄れてしまう。どこまで折り合いをつけられるかが作者の腕の見せ所なんですが。 「史実」が気に入らない…、好きでない歴史モノは読むのは辛いです。 太平洋戦争というのは私にとって、多分一番重くて痛い歴史です。 ま、そこいら辺は本ブログに書いたのでおいといて。
如月が良いっすね。何となく清涼剤。 梅津館長の死は本当に痛かった。
正直、登場人物には誰一人として感情移入出来ません。誰も彼もどこか違っていると思ってしまう。 それでも、涙するしほっとするし手に汗握る。 感情移入がなくとも作品に入り込めるものなのだなと、感動,情動は登場人物に感情移入出来ればそりゃ簡単だけど、それが絶対条件でないことを知らされました。
アメリカに原爆落としてやりたいという気持ちはあります。 私に核兵器の発射ボタンを持たせたら死ぬ前に押す自信がある(笑)。 けど、戦後の指導者は痛みを知るものでないといけない等という高邁な精神からではないし、落とすのは日本であって欲しくはない。 更に、原爆投下は二度とあって欲しくない悲劇だけれども、あの惨状が戦後の日本の復興を成さしめたことを考えると、現代日本に生き、満足している身として、絶対阻止をうたえるかどうか。 アメリカは嫌いですが、軍事国家日本を潰してくれた点は評価しておりました。
んーそーねー、折衷案として日本が無条件降伏直前までぼろぼろになったところでアメリカが自分のミスで自国に原爆落としちゃう、ってどうだろ? …ま、本気にしないように。
とりあえず、26巻まで来ておきながら、まだ序盤という感じですが、続きは気になりますが、次は話が完結してから読ませてもらおうと思ってます。 お話追うの、辛いよ。 もしかしたら戦争体験者の親より、その悲惨さを伝えられのみし、安穏と生きてきた私たち世代が一番、このようなリアルな架空戦記に弱いのかもしれません。
「愛のトンデモ本」 (と学会著,扶桑社)
内容:愛をテーマに書かれたトンデモ本の紹介。
何かクソ馬鹿馬鹿しいエッセイが読みたくなって古本で購入。
トンデモ本とは、「著者の意図とは異なる視点から楽しむことができる本」で、考証が滅茶苦茶だったり、思い込みで突っ走って「常識ある人々」にとっては失笑ものになるよーな本…かな?
シリーズ色々出てますが、最初のが一番面白かったなぁ。 段々、著作を馬鹿にしたような文体が強くなった気がします。 特に今回ジャンルが愛、常識だけで語れない部分で理論的な分析が時として不毛な分野なもので、説得力に欠け思い込みだけで書いていると見えるところもちらほら。
ただ、初めて、「ダディ」と「愛される理由」を読んでみたいなと思わせました(笑)。
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