| 2007年03月28日(水) |
オックスブリッジ関係エッセイ |
ちょっとオックスフォード関係資料が欲しかったので何作か手を出してみました。読了順。
「私のオックスフォード」(川上あかね,昌文社)
内容:ナイロビ,ローマ,日本のインターナショナルスクールで学んだ著者が、オックスフォードに入学して卒業するまで。
発売当時に面白そうで図書館で読んで心に残っていた本。10年以上経っていますが、生き生きとした文体は褪せる事無く、再び「オックスフォード」を再現してくれました。 この手の多くのエッセイが「留学記」であるのに対し、「入学」なのが貴重。「留学」と「入学」ではかなり違ってますからね。 システムやら行事やら大学の雰囲気やらがすーっと伝わって来て非常に読み甲斐がありました。 今回、資料用だからと図書館から借りたけど、1冊有っても良いなと古書店で買ってしまいましたよ(笑)。
「ケンブリッジの街から」(山田明子著,文芸社)
内容:教員の留学体験記。著者は修士課程中退。
図書館から借り物。
…この人別にケンブリッジでなくても良かったんじゃね? いや、この人はケンブリッジで良かったかもしれませんが、ケンブリッジを読みたい読者にとって、色の薄いことこの上なし。 一部メールをそのまま載せるという手法も、感情をそのまま文章に乗せられる若い子やエッセイ上手なら効果的でしょうが、分別くさい大人が選んだ文章で、しかもメール用の長さと語調で書いたものを読まされても面白くありません。書いた時は第三者に読ませる事は意識していなかったでしょうから、余計に。 嵩増しの姑息手段にしか思えません。ケンブリッジで「学んだ」人間がする事とは思えませんが、留学しただけだからかな。 クリスマス辺りのメールは、違う人宛てのものを複数載せてあるので、同じような内容のものを何回も読まされて不愉快。借りた本でなければ即売りものです。 著者は担当教官の移籍もあり、1本論文を上げた所で「はち切れて」中途退学したそうですが、他人がその事についてどうこう言えるものではありませんが、そういう経緯を知っちゃうと、この本も途中で手詰まりになってはち切れて完成度を考えずいい加減に出版したのでないかと思ってしまいます。期限付きの論文じゃないんだからさ。 著者も、編集者も、本当にこれで良かったと思ったのですか? まあ、私の好みなんぞ知ったこっちゃないでしょうが。
「自分の体験や思った事を赤裸々に書くのがエッセイの醍醐味」と思っている人がおりますが、人に読ませる以上エッセイも創作です。ゴミは飛ばして成形して下さい。 体験を赤裸々に書くのも良いですけど、タイトルにふさわしく、ケンブリッジに絡めて下さい。「ケンブリッジで書く私の生活」でなく、「私が書くケンブリッジの生活」にして下さい。
全く得る所がなかったわけではありませんが、同時進行で読んだその他の本に比べるとあまりにお粗末でした。
「ケンブリッジのカレッジ・ライフ」(安部悦生著,中央公論社)
内容:ヴィジティング・スカラー(客員研究員)から見たケンブリッジ。
とても分かり易く整理されてケンブリッジの生活が書かれております。 川上あかねさんのエッセイと続けて読んでみると、立場の違う人から見た角度の違いが分かって面白し。 「ディナーは不味くなく、むしろ美味しい」という著者。「ハイ・テーブル(教員向け)のディナーは美味しいが学生向けは安いだけが取り柄で不味い」と書く川上さん。まあこの時の川上さんはオックスフォードの学生だったのでケンブリッジは違うかもしれませんが。 「ディナーは高い」という著者。「フェロー(カレッジの正式な一員)はタダ」という当時ケンブリッジのフェローだった川上さん。 同じシステムでも立場が違うと異なる書き方がされるものだなと面白かったです。
一つ。「下手なプライドはもたず」とする所に下手なプライドがあると思いました。「柔軟性がある」で良いと思いますけど。 まあ、私は女ですが英語の習得は劣等性で、そりに関しては一過言あり、著者の言う所とは外れておりますが今回は言わんとこう。
「ケンブリッジの贈り物」(川上あかね著,新潮社)
内容:新任教員から見たケンブリッジ。
相変わらず生き生きと鮮明な描写で書いてくれております。 10年前、オックスフォードに入学した時から勝手に知ってますので(入学したのは更に数年前ですが私がエッセイを読んで知ったのはその時)、結婚の事が触れられていた所で「えっ、あのあかねちゃんが結婚したの!?」とちょっと近所のおばちゃん気分。ほぼ同年代ですけど。 こーゆー話題は「私事」ですが、それまでのくだりで作者に親近感を抱けていたのと、結婚式もカレッジ関連の話題として出てきたのでOKなんですよ。 というかまあ面白ければ大概OKで、ダメ出ししたものは資料として価値が薄い上に面白くなかったからで。
後半はちょっと面白度が落ちたような感じですが、題材が硬くなったからで着眼点とか文章力とかは変わっておらず、題材に興味があれば面白いと思います。 クリケットは全く分かりませんでした(笑)。
この人のエッセイの貴重な所は日本との比較が根底にない事。 良い意味で日本人の卑屈や先入観が無いから下手な色を着けずにケンブリッジを見せてくれる。 多くの海外エッセイが「○○は良いよ!」の裏に「それに比べて日本は…」があるのにそういうのが全く感じさせないので読んでいて心地よかったです。
ソルボンヌ大に留学していたそうだし、今は(あ、データが3年前のだ。変わっているかも)ウォリック大専任講師だそうですから、そっち関係のエッセイも書いてくれないかなー。
以上4冊。 もっと古い時代の「留学」記は何冊かありましたが、最近年のを知りたかったのでこんなところで。でも本当に最近のはないなー。まあ、古いしきたりが幅を利かせている世界みたいだし、いっか。
本当は学部に「留学」した人と大学院に「入学」した外部の人の事例を探していたのですが…。 まあ、想像力で補います。
| 2007年03月09日(金) |
「2ちゃんねるで学ぶ著作権」 |
「2ちゃんねるで学ぶ著作権」(牧野和夫,西村博之著,アスキー)
内容:弁護士,2ch管理人,編集者の対談形式で2chを例にして著作権を解説。
図書館から借り物。
イロモノかと思えば、以外にしっかりと分かり易く著作権法について解説しております。 題材が身近なのでオタクの著作権入門書としても良いかも。 ざっと見、解釈の相違で見解が別れる所もありそうですが、昨今のメディアに露出している著作権法解説みたく「あきらかに違うだろう!それ!!」という所はありませんでした。
ただ、題材ゆえか、商法寄りの解説が多く、著作権法のみ詳しく知りたいという人はちょっとずれるかも。 まあ、商法無視して語れない所が多いのでこんなもんかな。
著作権に興味がある人は一回読んでみそ。
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