「風神秘抄」(荻原規子著,徳間書店)
内容:平安末期、源氏の落ち武者として板東に逃れる途中仲間とはぐれた笛吹きの少年草十郎は京で、己の笛と共鳴する舞を舞う遊君、糸世と出会う。歴史ファンタジーのような恋愛小説。
もう荻原作品は読む気はなかったのですが、職場に1週間ほど逗留していたので読んでみました。 文体と前半のストーリィテンポの良さは相変わらず好み。所々に知っている歴史上の人物が、史実に萎えない程度に噛んで来るのも歴史ファンタジーの面白さ。 男主人公ということでなお読みやすかったです。 私は基本的に女主人公の方が良いし、荻原さんの女の子描写は嫌いではないのですが、選ぶ男の趣味が合わなさすぎてイライラするので。 ただそれでもやはり相手に猪突猛進の後半はタルかったです。
それと、あの描写は要ったんですかねぇ? 現世とのリンクを臭わせる、糸世による異界の描写は。 どーせなら天竺くらいにしておいてくれれば良いのに、興ざめ。無くて良し。まあ、好みですが。
荻原作品は3作目ですが、必ず、私の琴線を外して来ます。 ベースは悪くないだけに、また、その外し方があまりに私の好みから真逆なだけに、もの凄く気になります。 まあ、好みです。 読みやすいので中学生くらいからでも十分イケます。
「バカ姉弟 5」(安達哲著,講談社)
内容:2002年12月7日の日記参照。
これはこれで終わりなのかな〜。 特に「最終巻」とか書いてなかったよーな気がしますが…。 「15年後」なんて出たら普通は終わりだと思うのですが、この作品はなんかそういうお約束からはみ出しているよーな気が…。
凄く面白く読んだのは3巻くらいまでだったかも。 「キャラのン年後」ネタは凄く好きなのですが、おねいちゃんが普通の人になっていたのがちょっと期待はずれだったというか…。 (普通の人というか、普通の天才というか。) でも時々見せる、昔と変わらぬ表情はとても好き。
3巻くらいまでのカタルシスは無いけど、もそっと続けて欲しい漫画です。
| 2007年01月02日(火) |
「ヒトのオスは飼わないの?」 |
「ヒトのオスは飼わないの?」(米原万里著,文芸春秋社)
内容:米原万里のペットエッセイ?
Iサンより借り物。
…アーニャの時も思いましたが、この人はフィクションは向かない…少なくとも私には合わないかも。 あ、この本は一般にはエッセイに分類されるのでしょうが、私は「事実を元にしたフィクション」とさせてもらいます。 エピソードは全部事実かもしれませんが、振りかけてある万里エッセンスが、良い言い方をすれば「隙無く計算されてかかっている」。悪く言えば「わざとらしい」。 プロットや文の選び方が凄くかっちりと計画尽くで立てられている。エピソードは起こるべく場所で、満を持してここでしかない場所で登場する。とてもご都合主義的。 これが完全にフィクション小説なら多少は固く感じてもご都合主義でも良いんですけど、エッセイとなると話が違う。行間というか隙というか…、物語でどうこうしきれない隙間が臨場感や現実味を生むのに、それが死んでいる。 完璧なテトリスのように、次々と隙間を埋め消して行くように挿入されるエピソードが情感を薄くし、白けさせる。 エッセイと思って読むと、ちょっと引くんでないかな。
まあエピソード自体はそれなりだし、文体も読みやすいので、エッセイでなく「とある通訳,犬猫との日々」というテーマの日常小説を読んでいると思えば結構いけるとは思います。
米原さんはこういうタイプでなく、思想的なエッセイ書く方が合っていると思います…ってもう万里さんの新しいエッセイは読めないんですけどね。
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