読了日記

2006年06月29日(木) 「百年の誤読」


「百年の誤読」
(岡野 宏文:豊崎 由美著,ぴあ)



内容:20世紀100年間でベストセラーとなった本の批評本。対談形式。


図書館より借り物。

ま、「ベストセラーを切る:100年分」という感じ?
こき下ろし中心、「悪いものは悪いと言おう!」のスタンス?
独断と偏見に満ちていて斜めって見ている…というか、人間が斜めなので真っ直ぐ見ているつもりで評しても普通の人からは斜めに見ていると感じる類の書評。
↑貶しているわけではありません。

この本に出てくるベストセラーを礼賛するような人は腹立たしいでしょうが、この手の本を読む人というのは多少なりとは斜めっているので、全編通して腹立てっぱなしということはないんでないでしょうか。

ただ書いている本人達も「やりすぎだろう」と思っているのか、所々に言い訳というか予防線を張っているというかセルフツッコミをしているのは余分。いっそ突き抜ける方が清々しいかと。どこかブレーキかけつつ走っている風なところがあるのが、「書評本」でなくツッコミ部分を期待して読んだ身には物足りない感じ。
脚注に時々現れる笑えないギャグは本文中て批判している誰かさんとどっこいどっこい。
まあ、「20世紀のベストセラー紹介:ちょい悪バージョン」てな感じで読み捨てれば良いかなと。

しかし私って本当にベストセラーを読まないんだなー。
天の邪鬼でなくて食指が動かないの。
紹介されていたベストセラーの中で読んだ事があるのは

「羅生門」
「智恵子抄」
ハリポタ

だけ。
上2つは面白かったです。

あと、読んでないけど、コレクターズアイテムとして古本屋で100円で買ったのが「蒼い時」。…そーいやあれ、どこやったっけ…?
そしてこの本を読んで読みたいと思ったベストセラーは1冊もなし…。

1つだけ。
クイールの写真が生まれた時から有るのに疑問視してましたが、犬バカなら生まれた瞬間から呆れるほどの写真を撮るのは普通の事なので疑問に持つようなところではないかと。
どうでも良いですが。



2006年06月26日(月) 「星の王子さま : 新訳」


「星の王子さま : 新訳」
(アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ著,宝島社)



内容:砂漠に不時着した「私」は、そこで小さな星からやってきた男の子に出会う。…なんて内容説明をしたら怒られそうな気がするなー。小説。


Iサンより借り物。

思春期に一度読んだ事があるのですが、当時はどこが面白いのかちっっっとも分からず、何で世界中で読み親しまれているのかも理解できず、今となってはどんな内容だったかもまっっったく憶えておりませんでした。

当時より読みやすかったですが、やはり何処が面白いのかも何故ここまで読み親しまれているのかも全然わかりませんでした。
↑当時より読みやすかったのは、当時は「面白いよ!」と言われて期待して読んだからで、今回は面白いとは思わなかったから気負い無く読んだからかと。

あくまで私にとってですが、メッセージとストーリィが不協和でした。夫々どちらかに問題があるというわけでなく、ですね。
…えーと、私、焼きそばに紅生姜を乗せるの、大嫌いなんですよ。市販のものでもお店に食べに行っても必ずと言っていいほどついているから、実はベストマッチなのかもしれませんが、私は避けるか先に食べてしまいます。
紅生姜が入っていると焼きそばが美味しく食べられない。一緒に食べると不味い。焼きそばを食べる時には不要なわけです。
一方で、沖縄そばの場合、紅生姜は必須。絶対要る。無いと味が寂しくなる。あるとそばの味が一段と良くなる。
私にとって、この話に含まれるメッセージは紅生姜でストーリィは焼きそばなん…例え、分かりにくいですね、すいません。
まあとにかく、メッセージ性とそれの素晴らしさは認めますが、沖縄そばに入っていれば美味しく頂きましたが焼きそばに入っていたので全然美味しくなかったです、と。

「かんじんなことは目に見えないんだよ」
メッセージが書いてあるのも美しくないと思うんですよ。
見えていないメッセージも有るし、もしかしたらそれの隠れ蓑として使われているのかもしれませんが、いくつかの大事なメッセージはそのものずばりを文章化しちゃっている。
お話に含まれるメッセージは、文章化されておらず、そのお話を読んでいく内に読者が気付く、が美しいと思うんですけどー。

そういう意味では「大人の為の」なのかなと思ってしまう。言葉にしないと分からない所が。文字化されているメッセージが多いのが。
子供はねー、そういうメッセージを理解出来ないんでなくて、言語化しないだけだと思うの。メッセージを受け止める力も、心に留める事も、大事にしまっておくことも出来るけど、「それ」に言葉を与えないだけで。だから、言葉でなく何かで子供の心に残して、それが将来、子供が何にでもかんにでも言葉を与えてしまう年になって自分で言語化できる…そういうメッセージが理想だと思います。
メッセージ自体は大人にでなく、子供に今のうちから持っていてもらいたいものだと思いました。
…あ、もしかして「子供の頃は分かっていたのに忘れた事を呼び覚ます為」の言葉、ということなのか?これらの文字化されたメッセージは。

メッセージ部分を削ぐと結構良い感じの童話になる…と思うのは私だけですか?…そうですか。

解説で倉橋さんが王子さまの“死”はパイロットの生還が成るなら必然、みたいなことを書かれていたと思うのですが(うろ覚え)、じゃあ、サン=テグジュペリは、王子さまに会いに行って、生還しなくって、だから王子さまはどこかで生きているのかなーと思ってみたり。
穿ちすぎでしょうが、「別の結末」を描く為に彼は還って来なかったのではないか…とちょっと思った。

…でもちょっとショックだなー。
一般的なベストセラーは相性が悪い事が多いのですが、オタクが認めるベストセラーはそれなりに「読める」し「分かる」と思ったんだけどなー。
本気で分かんねーや…。あ、イラストは味があると思いまする。
読んだ時期の問題もあるのかなー。
そういえば、マイ・フェバリット絵本に「そして、一輪の花のほかは…」があるのですが、当時は友人連中に勧めまくったのですが、そんなに良い感触は返って来なかったです。そして今読んでもそれほど感動するか分からないので、本棚の前面に置いてあるけど決して読まない。



2006年06月25日(日) 「ペンギンの憂鬱」


「ペンギンの憂鬱」
(アンドレイ・クルコフ著,新潮社)



内容:動物園から譲り受けた皇帝ペンギンと住んでいる、売れない小説家のヴィクトルは、新聞社から依頼され、死者への追悼記事<十字架>を書くようになってから、周りで不可解な事件が起き出す。小説。


図書館から借り物。

タイトルとイラストと粗筋に騙されました(笑)。
いや、コミカルな話かなと思ったら、(社会派+ミステリ)÷ペンギンという話で。<何じゃそら!!

ソ連崩壊…その後の混乱が、そう昔でなかったのだということが伝わって薄ら寒い感じ。
地域文化の差というか、警官が留守宅のペットのエサやりをしてくれるというのは驚きました。
あと、誰だったかが去った後、口の中に煙草の味が残ったというのは、ロシア的、まうす・とぅー・まうすの挨拶が有ったという意味でよろしいでしょうか?知らないとオタクは変な妄想しちゃうんですけど。いや、それでなくてもヴィクトルと警官は怪しいと思いましたが。

ペンギンが出しゃばらず、でも物語根底にずっと漂っています。
ラストの「使われ方」が、気に入らないわけでないですが、故郷に帰してあげたかったと思うわけです。続編、訳して下さい。

個人的に、Iサンが読んだらどんな感想を持つか聞いてみたい所。



2006年06月23日(金) 「マクベス」


「マクベス」
(シェイクスピア著,岩波書店)



内容:魔女の予言に唆されて、君主を殺し王になったマクベスだが、自身も破滅へと向かう。戯曲。


図書館より借り物。

シェイクスピアとは相性が悪いのですが、ミュージカルの「メタルマクベス」を観に行くのですが、読んでおいた方が良いと言われたので手を出してみました。

…どこが面白いのか、まっっっっったく分からなかったんですけど。
ついでにどこが「悲劇」なのかもちっっっっとも分からなかったんですけど。

まあ、戯曲なんで、舞台にしてこそ完成品で、舞台を観ずして原作を読むということは、美味しいと評判のシチューを、材料だけ食べて味を評価するようなもんかなと思うので、作品自体をこれで語って良いものでないと思いますが。

当時の人が、英語で聞くと面白いのかなと思いました。
何か、世相を反映していたり、皮肉ったり、韻を踏んでいたりするらしいので。

悲劇と認識出来なかった理由は分かります。
私が、悲劇の最大要素と捉える「すれ違い」が無かった事。自業自得だったこと。
つーか「悲劇」って誰にとって?
王様にとったら悲劇でしょうが、マクベスにとったらむしろ喜劇に近い気がするんですがー。がー。
予言に振り回された男の一生、てなもので。

内容としてひっかかったのは「女が生んだ男」。で、ないとくればてっきり女だと思うじゃん!時代的に、女戦士は無理かなと思っても、じゃあ乱心した奥さんにとかさー。
帝王切開で生まれた男って何じゃそら!
英語的に自然分娩と帝王切開とは単語が違うのかもしれませんが、帝王切開だろーが「女から生まれた」に変わりないでしょーがよー。よー。

あと、「予言」ってさ、私が「あんた王になるよ」と言われれば、なーーーんもしなくても環境が私を王に押し上げると思うんですけど、「道理を曲げても歴史が追従する」という風にとらえるのは…時代の風潮?それとも男ゆえ?

真面目に質問です。
「マクベス」は「今でも名作」なんでしょうか。それとも、「過去の栄光なだけ」なんでしょうか。

…これを4時間弱の舞台にするのか…。
ちょっと気分が萎えて来たぞぅ。



2006年06月21日(水) 「夜のピクニック」


「夜のピクニック」
(恩田陸著,新潮社)



内容:夜を徹して80キロの道を歩き抜くイベント「歩行祭」。この、高校生活最後のイベントに、甲田貴子は1つの賭をした。小説。


1日だけ職場に有ったので慌てて読了。あ、でも読み飛ばしはしてません。そんで2時間半ほど。
恩田陸は、私にとっては「買うまでではないけどタダで読めるなら読みたいけど、わざわざ図書館に借りに行くほどのものでない」作家。

も一つ、私にとっては、「当たりもあるけど外れたらでかすぎる作家」でもあります。だから「読む」以外の「手に入れる」暇も金もかけたくないわけですよ。
この本は、私にとっては“当たり”。原稿ほったらかして読んで「時間返せ!」にならなくてほっ。
尤も、私は恩田陸に関しては「光の帝国」が好きという、温爽やかな話が合うのであまりアテにしない方が良いかも知れません。
ちなみに、鬼外れは「三月は〜」(と、エッセイ←小説ではないので参考記録(笑))、ちょい外れが「六番目〜」、まあ当たりが「象と〜」「ネバーランド」。
向こうから飛び込んでくるのを待っているだけなので数は読んでません。…常野くらいは借りに行こうかなぁ…。

それなりにこんがらかった人間関係の糸ですが、細い糸同士で絡まっているわけでなく、弾力のあるゴム素材か何かで絡まっている感じで、解くのに苦労はしません。というか時間薬で自然に解けていく感じ。
身にまとわりついていた蟠りや虚勢が、淡々と歩く事により少しずつそげ落ちていく展開は上手いなぁと思います。

本屋大賞か何かで1位になったそうで?
確かに、読ませたくなるような本だと思います。
ただ、読書を日常とし、本を沢山読む人に「こういうのも、どうよ?」と勧めるタイプの本で、普段は本を読まない人に勧めるタイプりものではないですね。
あと、職場に有った分は中学生に読ませようと買ったらしいですが、忍じゃないけどちょっとタイミングが早すぎないかなー。高校生活が二度と戻らない年代に読む方が良いと思うけど。
中学生が読んでどんな感想を持つのか聞いてみたいです。

全編、綺麗に纏まっていると思いますが、「おまじない」がちょっと弱かったな。融があそこで捻挫しなければ…、あの4人が一緒に通らなければ空振ったと思うし。そっちの可能性のがでかかったかと。

しかし「歩行祭」…、全編通して「…ぜっっっっっったい、イヤ」と思いながら読んでましたよ。
パン買いに行くのに片道50分チャリ乗るのも、テニスする為に毎週片道1時間チャリこぐのも大して抵抗ないし、3時間歩いて家帰ったりとかしたりもしましたが、目的の為に動くのは良いのですが、ただ歩くとか山に登るとかロードレースとか、走る,歩く事自体が目的なのはカンベン。
恩田さんは宮城出身ということだけど、夜通し歩行の経験者なのかな?それとも、そういう行事が有ると知識だけ有って、経験者から、時には辛そうに、でも楽しそうに話すのを聞いて、この話になったのかな。
…どっちでも良いですが。



2006年06月20日(火) 「おまけのこ」


「おまけのこ」
(畠中恵著,新潮社)



内容:2004年7月4日の日記参照。第三弾。連作短編小説。


図書館より借り物。

ま、安心して読めるシリーズ、と。

若旦那がもう少し丈夫になれると良いねぇ。

私はチョロイ人間なので、最後の話で、若旦那が自分ンとこの屋鳴を造作なく見分けた所はツボ。



2006年06月11日(日) 「国境」


「国境」
(黒川博行著,講談社)



内容:建築コンサルタントの二宮と真性ヤクザの桑原は“オトシマエ”をつけさせる為、詐欺師を追い北朝鮮に発つ。「疫病神」(2005年10月24日の日記参照)の続編。小説。

Iサンより借り物。

北朝鮮に関する描写というのは、どれも読むとやるせなくなる。
本当にね、うちと北朝鮮のどこぞかの一般家庭が小さな小窓一つででも繋がっていると良いのに。
ご飯わけてあげるのに。
個人レベルででも国レベルででも、対外援助をしたくない…消極的というか賛成しかねる点がここ。
だって私が援助しても私が援助したい人の下には行かないんでしょう?上で止まっちゃうんでしょう?届かないんでしょう?
アンタら肥えさせる為に一円でも出したくないわという相手の所にしか行かないのなら、援助なんかしたくない。でも、私が浪費しまくっている一握りの食材とかでも助かる、喜ぶ、生き延びられる人達がいるのなら喜んで援助したい。したいのに、届かない。

北朝鮮関係の本を読む度いつも思います。
まあこのお話ではキタ関係は前半だけですが。

視点が二宮のものなので、前作でも9割方まで二宮に同情したのですが、公平にハタから見たら、この二宮さんもええタマというか桑原もそらムカつくやろうなというか、同情されるばかりのキャラでない気がします。
言う事言うし、やることやるし。良いコンビやわ、アンタら。

前作、一気読みして悪夢見たのに懲りて、今回は少しずつ読んだおかげか、心地よく読めました。纏まりも前作よりスマートな感じ。
ベタですが、ラストがほんわかと嬉しくなりました。やっぱ私、終わりが綺麗な話が好きです。


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