読了日記

2006年02月21日(火) 「戦士志願」


「戦士志願」
(ロイス・マクマスター・ビジョルド著,東京創元社)



内容:貴族に生まれながら生来の身体的ハンデのため士官学校に入れなかったマイルズだが、とある事情で老朽貨物船を入手し、身分を偽り戦禍の中へと船出し、次々に起こるトラブルに立ち向かう。小説。


Iサンより借り物。


自分では絶対手に取らないルックス(装丁とかタイトルとか粗筋とかの、外から見て分かる範囲)の小説。
面白かった!久々に文面を辿るだけで理解出来るSFを読んだ気がします。ちょっとファンタジー寄りかな。

息も吐かせぬ展開だが、読んでて辛くないというかテンパらないというか。
マイルズの悠然とした所(本人そのつもりがなくても)が良いのと、あと、設定。
マイルズが、奇形でありながらも家族に愛されているのがまず好み。
良くある、奇形で誰にも愛されず、とにかく困難な環境から這い上がって立ち向かう…というのは読んでいて辛いのよ。愛されている、帰る家がある、それは物語としては温いのかもしれない。でも、その心の支えが物語を安心して読める土台になっている。また、そういう環境で育ったマイルズの性根の良さが心地よい。

もう一つ、私のツボ。
「ノーブレス・オブリージュ」。
マイルズはこれをしっかり身につけている。
貴族としての義務を、重荷としてでなく、脱ぐ事の出来ない服として自然に身につけ行動している。それがツボ。

ちょいと辛い場面は無いではなかったけど…、あれはまあ、殆ど自殺じゃないかなーと。最上の死に方でかなかったにしても、納得できる死に方の一つでなかったかと思います。

続編アマゾンに注文しちゃったよ(笑)。でも暫く寝かせておこう。



2006年02月17日(金) 「笑い姫」


「笑い姫」
(皆川博子著,文芸春秋社)



内容:天保の時代。戯作者の蘭之助は、政争に巻き込まれ、未だ人の住まぬ小笠原島へ向かわされる。小説。


Iサンより借り物。

…えーと、えーと、面白くないわけでないけど残らないというか、だから何?と。えーと、時間の無駄とも思わなかったしそれなりにふむふむと読んだんだけど…えーと。

ま、ただ私、チョロい人間なので、挿話のラストではじーんと来ました。「千年女王(アニメ)」を思い出したりして。…千年女王の主人公って名前何だっけ?鉄郎でないし…(それは「999」!)。
弥生さんは憶えているんだけどなー。

挿話の部分だけ抜き出して補完して読んでみたい気がします。



2006年02月12日(日) 「ゴハンの丸かじり」


「ゴハンの丸かじり」
(東海林さだお著,文芸春秋社)



内容:東海林さだおの食エッセイ。20冊目だそうで。


面白く読ませて戴きましたがいまいち心に残ってないよーな…。まあだからこそ何度も読めるのかもしれません。間違えて同じ本もう1冊買わないよーにしないと。

以前書いた題材が出てくるようになりました。
切り込み口は変えてあるのですが何となくデジャヴュ。
どうせ同じ食材なら、着眼点を変えるのでなく、たくあんの時のように「その後」みたく、延長線上でやってくれると私は楽しい。



2006年02月07日(火) 「予告された殺人の記録」


「予告された殺人の記録」
(G・ガルシア=マルケス著,新潮社)



内容:町をあげての盛大な結婚式の翌日、サンティアゴ・ナサールは殺された。町人の多くが起こると分かっていたこの殺人は、どうやって成されたのか。小説。


Iサンより借り物。

実際に30年前起きた殺人事件を元にした記録的な小説なので、その特徴が随所に出ています。

「大衆小説になっていない」のは、誤解を恐れず言うと、「面白くないから」だと思う。エンターティメント性の不足というか。
この小説の場合、それが持ち味で良さで、作者の技巧に感心する所ではあるので、マイナスではなくプラスだと思っています。
解説者はその物言いでこの小説が高尚であり、作者の才能の高さを褒めたんでしょうが、わざわざ言わなくて良い気がする。

私見ですが、小説は、作者は全てを書く必要はないが、全てに解答を得ている必要があると思う。
相手が本当にナサールだったのかとか、何故彼女を選んだのかとか、書かなくて良いし、読者には確とは分からなくし向けても良いけど、作者ははっきり分かっているべきだと思う。
事実を元にした記録作品だから、分からないところは分からない。それがちょっと残念でした。

まあ、この小説は作品の特性からして分からないのは仕方がないのですが、最近の小説は作中で「分からない」と書いてあったら作者も分かっていないことが多すぎる。
もっと構想練って発表して欲しいもんだわ。ぷん。

あ、面白かったか面白くなかったかと言うなら、面白かったですよ。
構成とか文体とか美しく、こんな淡々とした話なのに引き込まれてしまいました。



2006年02月05日(日) 「ああ息子」


「ああ息子」
(西原理恵子+母さんズ著,毎日新聞社)



内容:息子を持つかーさん達の、「息子よ、何でそーなの!」な逸話を集めた投稿作品集にりえちゃんの絵と漫画を書き下ろしたもの。


読者投稿なんで、買うのに迷ったんですけど、時間潰しに購入。
買って良かったです。

一通り読んで、子供…特に息子を育てるのは何と大変な事かと思い、一方で、何と楽しいことかと羨ましくなりました。
その時々に、おかーさんは本当に大変で、泣きたくなったり情けなくなったり嫌気が差したり呆れたり脱力したり悔しかったりしたでしょうが、10年20年経って振り返ると、それは、どんな宝石より輝く宝物になっている気がします。

「こんな苦労が男に出来るか」←「毎日かあさん:お入学編」だったかな。
かーさんたちの、愚痴の中にも誇らしげな声が聞こえて来ます。

りえちゃんの漫画の、「小児科の看護婦歴10年」のおかーさんの話が良かったです。
経験して初めて分かる事ってあるよね。うんうん。



2006年02月01日(水) 「くもはち」


「くもはち」
(大塚英志著,角川書店)



内容:妖怪作家くもはちとその専属絵師でのっぺらぼうのむじなが活躍する話。連作短編小説。


キャンペーン応募の為、何かないかなと探し、ストーリィが面白そうだったので、大塚英志ということが引っかかったけど購入。

質の悪いガイナックス。
もしくは、民俗学のあかほりさとる。
何がって大塚英志がですが。

既存の物語や手法からちょこちょこと良いとこ取りして話を書いている感じ。
やおい萌え要素はあると思うのに、書き方や題材が同人チックで面白そうなのに、何でこんなにつまんないんだろう。不思議。

くもはちの過去とか正体とか、全然知りたいと思わないし、小出しにされても「次はっ?!」でなく「だから何?」と。
むじなも何でのっぺらぼう…は、くもはちが一応説明しているから良いとして、のっぺらぼうである必要性が何処にあるのか。少なくとも今のところ感じられない。「都合の良いワトソン」をのっぺらぼうということで描こうとするならあまりに弱い。のっぺらぼうということが特性にならないほど地味だ。それが狙いなのかもしれないが。

オタクだからか、くもはち×むじなの描写が男性作家にしてはあざとい気がします。他の男性作家に比べれば、ですが。

語り部のむじなが、「私の筆力がないから面白く感じないかもしれないが」的な事を断って話を挿入するのは卑怯というか、面白くない話の予防線を張っているようで、姑息さを感じて気に入らない。
で、その話がまた本気で面白くないんだわ。文が不味いというか。
もしかして、大塚さん、ここだけ他のシロートさんに書かせた?その言い訳?とか勘ぐってしまいます。

雰囲気が京極の巷説や妖怪シリーズと似ているから、つい比べてしまい、とにかく各所で「弱さ」が目立つ。
キャラ立ってないし、ストーリィは捻りがないし、伏線も美しくない。

柳田圀男や花袋やドイルや…各々に思い入れがある人は面白いかもしれな…や、思い入れがある人は怒るな、これ。

ただ、入門編としては良いかもしれない。
こういう、なんちゃって民俗学というか?
私は続編は読みたいとは思わないけど、大して時間は取らないし頭も使わないので、通勤電車の中で読むくらいには良いんでないでしょーかー?

大塚作品とは合わないと思っていましたが、本当に合わないでやんの。
…っかしーなー、「木島日記」の時はそれなりに楽しめたんだけどな。まおさん絵のすり込みが有ったからかな?


 < 過去  INDEX  未来 >


やまだ