「膚の下」(神林長平著,早川書房)
内容:戦乱で荒廃した地球。人類は一旦火星でコールドスリープし、その間の復興を人造人間であるアートルーパーに任せる計画を立てた。小説。
図書館より借り物。いわゆる、火星三部作の3作目。完結?
…なるほど。神林ファンのG美ちゃんが「神林はハードSFではない」と言った意味が分かりました。 確かに、科学的考証というものは無視まで行かないまでも、されてない気がします。
単独でも読めますが、是非前2作、「あなたの魂に安らぎあれ」と「帝王の殻」を読んでから読んで欲しい。贅沢言うなら、読んで、一度内容をあらかた忘れて読んで欲しい。「膚の下」を読み進めていくうちに、「そう言えばこんなエピソードがあったような…」とか、「ああ、あそこはここから繋がるのか」と思い起こされつつ、読んで欲しいなと。
破砂で、これから火星に行く女の人が、「あなたの魂に安らぎがありますように」等と言った時にゃ、涙が滲みそうになりました。
神林ファンは必読。でも、一般的には薦めません。 台詞の一つ一つ、人々の行動一つ一つが綿密に計算され、美しいタペストリーを完成させる構成要素とはなっています。無駄な言葉は、助詞1つですらないと思わせるくらい。 でも、ファン以外には薦めるのを躊躇います。 良さを分からず貶されたら凄い腹立ちますし。
人が烏になったり(一応比喩)、その逆というのは、私としては荒唐無稽。「そんなバカな」と思います。理性では思って、白ける自分がいるのに(「あなたの〜」の時もそうでした)、それでも引き込まれてしまうのは、ストーリィの下糸のように、しっかり織り込まれてるい神林節の所為か。 神林節が琴線に触れない人は読めない話でないかと。
イチオシほも(をい)は石谷×堂本…逆かなぁ。慧慈と慧琳のような完全な信頼関係より、多少相手を嫌っていて、それでも信じている、そーゆー関係の方が萌えますね。<おい。
一つだけ疑問。「人間は一人たりとも残していけない」はずだったのに、慧慈計画で残って大丈夫なのは何故?人による進路修正が絶対不可能だから?それでも増えすぎたら不味い気がしますが、増えるほど残らないから良いのか? まあ、計画は成功したようですので良かったですが。
取り合えず近い内に「あなたの〜」を再読したいと思ってます。
| 2004年07月20日(火) |
「ネシャン・サーガ 全9」 |
「ネシャン・サーガ 全9」(ラルフ・イーザウ著,あすなろ書房)
内容:神の呪いにより「涙の地」となったネシャンを開放する為、ヨナタンは杖を持ち試練に立ち向かう。小説。
事情により1日1冊のペースで読まなければいけなかったので、ちょっと駆け足で読んでしまいました。
平凡な(と思っていた)男の子がー、実は選ばれた者でー、次々と訪れる困難にうち勝ってー、友を得てー、勝利する、っつー、まー、ものすごっつう正統派ファンタジー。杖だの竜だの予言だの呪われた地だの、敵の総大将だの神の使いだの。冒険ありーの友情ありーの愛情ありーの。現世とのリンクも有って、凄く優等生。 「ファンタジーは何でも読む!」もしくは逆に「ファンタジー、初めてなのー。何かとっかかりの良いの教えてー」と言う人にはお勧め。 「面白いファンタジーなら読む」という人にはちょっと考える。
面白くなかったとは言いませんが、買って読んだんじゃなくて良かったとは思いました。 ストーリィを構成するエピソード群はどれもそれなりに面白いのですが、いまいち心に残らないと言うか…。「萌えがない」ってヤツ?や、萌えて良い設定はあったのですが、琴線まで届かなかったというか…、「そーゆー読み方しちゃいけない」と作者に寸留めされているようで…。
宗教色が強いのがなー。「信じる者は救われる」は、良いとして、西洋宗教的な、「信じない者は裁かれる」に疑問を持っている身としては、切り札が「神を信じる心」というのは戴けないっつーか。信じて起こる神の力によって勝つのなら、最初から神さん、あんたがどうにかしたりや、と思ってしまう。や、信じて力を得られるのは100歩譲って良いですよ。でも信じなかった,慢心したら終わりというのはなー。信じなかろーが、許す,救う、仏教的思想と、そこいらで一線を画するよなと。 信じるを良しとする思想は、信じる心を持っていればいかな行動も正義という考えに、極論的に繋がり、だから、「汝の敵を愛せよ」と言った同じ口でジェノサイドを叫ぶのではないかと。信じる私の行動が通る事が神が容認している証であるからして、虐殺しても裁かれないのは神の名の元の行動と認められたからである、なーんて、思ってんじゃねーだろーな、きゃつら、なーんて。←ちょっと現実に照らしてみた。
初めに予言ありき、ってのも気に入らない。や、有っても良いんですが、終いまでその通りっつーのがねぇ。 ヨナタンは頑張ったけど、神の手の上で踊っていただけじゃん、てな感じ?
ジョナサンの描写が割りに少なくてバランスがいまいちだった気が。や、ジョナサンサイドが好きだという好みの問題でしょうが。ジョナサンを亡くした祖父のことも考えるとどうよ、という気が。本人は納得していたみたいですが。
や、ちゃんとそれなりに面白かったですよ。キャラも立っていたし、伏線の回収なんかも良い具合で。心情描写も、某ファンタジーもどきと違って思慮深さと思いやりに溢れてて。 「ファンタジーとしての出来」は見事、の部類。後は好みの問題。
ゼトアとか王子とか好きだなー。あえて考えるならゼトア受けで。<考えるな!
| 2004年07月19日(月) |
「老博奕打ち : 物書同心居眠り紋蔵 5」 |
「老博奕打ち : 物書同心居眠り紋蔵 5」(佐藤雅美著,講談社)
内容:2003年08月19日の日記参照。
うむ。良い感じです。
紋蔵さんの仲介の仕方も平凡だけど独特で、良い意味でのスタイルが決まって来ている感じ。
基本的に、図々しい人間はあまり好きでないので、ラストの話がちょっと後味悪かったかな。日頃影から支える家族で、団らんと鰻を食べ笑って終わる方が良かったなー。や、小説としてはこっちのが優れているとは分かりますけどね。
| 2004年07月16日(金) |
「ぱじ 8」,「COMA GOMA 6」 |
「ぱじ 8」(村上たかし著,集英社)
内容:2003年8月25日の日記参照。
相変わらずです。 登場人物が増えてきて、薄くなったわけでないけどこっちがたくさん描いて欲しい所が少なかったりとかが残念ですが、味わい深いです。
ぱじ、長生きしてねー。
「COMA GOMA 6」(森下裕美著,集英社)
内容:2003年10月21日の日記参照。
えっっ、最終巻!? 惜しいーー!!もっと読みたいのにー!何でー!! …新聞連載がキツイのかなぁ…。
まあ、ゴマちゃんの影は昔に比べると凄く薄くなってますが、それでも面白いから良いじゃん。 ちぇーーっっっっ。
またいつか再開して欲しいです。 前回ほど綺麗に終わってないしね。
| 2004年07月05日(月) |
「スカーレット・ウィザード 1」 |
「スカーレット・ウィザード 1」(茅田砂胡著,中央公論新社)
内容:「海賊達の王」と呼ばれるケリーに、奇妙な依頼が舞い込んだ。宇宙をまたに駆けるクーア財閥の「女王」ジャスミンと一年を期限に結婚して欲しいというものだ。SF小説。
続き物につき評価保留。
ハードな恋愛モノ読んでみたい時に某ネット書店でお勧めされ、粗筋見て、そーいや某友人がこの著者の別の作品薦めていたよなーと思い出し、買ってみました。
…評価保留ったら保留。
ゾウが踏んでも壊れないような、頑丈な女性は好みです。でも私の琴線に触れたのはそこだけ。 コメディ色も強いというよーな触れ込みでしたが、別に吹き出すよーな笑える所は無かったナリよ。 5巻で完結との事でしたので、取り合えずもう1冊は読んでみます。
良い設定は使っていると思います。私の琴線からは外れているだけで。派手だし、エンターテイメント性は十分だと思います。 まあ、ジュブナイルSFってな感じかな。なんちゃってSFファンでも十分食いつける話。
イラストがダメ。 や、上手いと思うし昨今の殆どのボーイズ小説なんかで感じるよーな「手に取るのも嫌」な絵ではありませんが、小説から受けるイメージと違う。好みの問題もありましょうが、二人とも(笑)優男すぎ。別にいーけど。
「しゃばけ」(畠中恵著,新潮社)
内容:江戸の大店の一人息子一太郎は体が弱く、すぐ寝込んでしまう。一太郎には妖怪が見える能力があり、一太郎を守る二人の手代は人に身をやつした妖怪だ。ある日一太郎はこっそり家を抜け出した際に人殺しに出会ってしまう。小説。
一太郎がお姫様だと評判だったので買ってみた。 まあ、面白かったです。筋や設定もしっかりしているし、キャラ立っているし。 長編だったのは意外。連作短編かと思ってました。捨てキャラにするのは惜しいので、シリーズ化希望。
ただ、「妖怪が見える(使える)主人公」「人間に化けて側に使える二匹?の妖怪」「妖怪の助けを得て事件を」等、初手から終局まで「百鬼夜行抄」(今市子著の漫画)を思い起こさせる。オマージュ小説? や、別に夫々に味が有って面白ければ良いんだけど、ちゃんと面白いだけにもちっと違う切り口が有ったかも…と思わないでもない。 解説でこの手の設定が新鮮だみたいな事が書かれてましたが、小説は知らないけど漫画じゃよくある設定よね?メディアが違うと別物と見るのか、解説者の視野が狭いのか。 意を得た上手い解説というものにはなかなか当たらないものだなぁ、と思う今日この頃。…要るの?解説。
読んでいる内に和菓子食べたくなって買って食べました。んまかったです。 洋菓子系が出て来る話は読んでいても食べたくならないし、なって買ってもそう満足しないんですがやはりこれは私が和菓子党だからかな。
墨壷に感情移入してしまいました。 そら辛かったことだろうに…。短編だと結構割り切れるのですが、長編だと溜めが長かった分キます。
| 2004年07月03日(土) |
「東洋ごろごろ膝栗毛」 |
「東洋ごろごろ膝栗毛」(群ようこ著,幻冬舎)
内容:旅行エッセイ。
古書展で200円だったので何となく購入。後に別の古本屋で100円で売られているのを見て悔しかったっす。200円でも高いなーと思っていたので。
本当にエッセイってヤツぁ、書き手に思い入れが無いとなんつーかかんつーか…。 まあ、思い入れがない割には読めましたが、残らない、読み返したいとは思わない。 描かれている食べ物が美味しそうでないというのも有ると思う。感動が伝わって来ないと言うか?「ここに行ってみたい」とも思わない。 アジアの、事物でなくこちら側の「人間」を描いているからかもしれない。
小見出し要らんだろ? 小見出しに出るほど大した事描いてあるわけでなかったし。
向こうの人の話文字が、日本語ペラペラの人でも片仮名なのは読んでて疲れた。まあ、分かりますが。漢字部分は漢字で良かったと思います。
友人に貸した後は処分しよう。 あ、でも100円で買って暇潰すくらいの価値なら有ると思います。古本屋でもう1冊買っちゃったし。
占いで、占い師に悲壮な叫び声を挙げられた所は思わず吹き出してしまいました。
「眠り猫」(花村満月著,新潮社)
内容:元刑事の探偵,元暴力団の探偵,新劇女優,ヤクザの抗争,男と女。エンターテイメント小説。
Iサンより借り物。
女の目を通して語られるハードボイルド小説は今までにない、ってな事を解説は言ってましたー。 …まあ、北方に比べれば女も「人」だけどそれを賛美するほどのものではないと思うぞ、っと。
テンポ良く読めました。 シリーズ続編があるらしいので、借りるか古本屋で安く買うかしてなら読みたいと思います。
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