読了日記

2003年07月31日(木) 「シェーラひめのぼうけん 全10」


「魔神の指輪」
「うしなわれた秘宝」
「ダイヤモンドの都」
「海賊船シンドバッド」
「空とぶ城」
「海の王冠」
「ガラスの子馬」
「闇色の竜」
「魔法の杖」
「最後の戦い」
(村山早紀作 ; 佐竹美保画 / 童心社)



内容:悪い魔法使いサウードに魔法で王国を石にされた王女、シェーラは、国を元通りにする為、幼なじみの落ちこぼれ魔法使いファリードと冒険に出発する。児童小説。


図書館より借り物。故有って2日で読まなければならず、1冊30分程度で読めるとは言えかなりの駆け足で読んでしまった。

明るくて正義の心を持ち、だれからも好かれる可愛らしい高貴な家柄の、自分自身も守られるだけでない力を持った女の子が、心強い仲間を得、困難を克服し、色々な人に出会い、絶望からはい上がり最後には幸福を勝ち取る、まあ、王道。
王道とはつまり「今まで何度も、何回も書かれてきたもの」であり、一歩間違えれば陳腐とか、パチもんとかになりがちだけれども、この話はまあ、「秀逸」と言うまではいかないけれども、上出来。設定も生きているし、メッセージの織り交ぜもなかなか利いています。所々引っかかる言い回しがありましたが、まあ、それは好みの問題。
「30分アニメのように」したかったと言う作者の意図通り、1話に盛りだくさんのエピソードが軽快なテンポで納まっている。小学生の頃に読めていれば、楽しかったろうになぁ。…いや、今でも楽しいのですが。
アイテムがどっかで見たことがあるとか、ありがちなエピソードだとか、この年になってしまったから斜めに見てしまう。
別に経験積んでそういう事を思える「今」が嫌いなわけでも、無知な昔を必要以上に懐かしむつもりもないのですが、軽く感じる悔しさは、私の経験がホンモンばかりに因るわけでないからだろうなと。
マンガとか、下らない小説とか沢山読んで、「とるに足らないパチもん」「陳腐なだけでオリジナリティのないもの」等々、「石」を沢山見て来たことによる経験が悔しいと言うか。
…えーと、例えば、「呪いを解く為に魔王をたおさなければならない」は、王道、良くある話なんですが、「良くある」ようになったのは素晴らしいオリジナルがあったからだと思うわけで。素晴らしいオリジナル、追従する名作だけなら「陳腐」とはならなかったはずが、追従した駄作がそういう設定を「陳腐」に貶めたと思うわけで。「駄作」を知らずに「名作」だけ読んでいれば、今もそう言う話でも宝石のようにきらきら輝いて見えたのかなと思うと「駄作」の記憶…「駄作」によって積まれた経験が口惜しい、と。
まあつまり、「シェーラひめのぼうけん」は「名作」だけにより積まれた経験しか持ってなかったらもっと面白かっただろう、だから子供時代に読みたかったなと。そう思ったわけ。

萌えポイントも自分とかーなーりマッチしているのですが、一つ、決定的に外している所がありまして。
…「王子様」がねぇ…。お姫様の相手役が彼ではかーーなーーーり、興ざめです。私としてはサウードに一票入れたい所なんですけど。
児童文学で、私がものっすごくお気に入りのお姫様ものがない、と言うのはその辺の気がします。大概相手役がツボから外れている。これは好みと言うか性に合う合わないの問題と言うか。
「白雪姫」で本気でお后に肩入れしていたヒネた子供だった私には、心に葛藤を抱えつつも真っ直ぐで純朴で誠実な少年と言うのは合わないようです。と言うわけで、続編にはあまり興味ナシ。
そういうのって作者との相性だと思うんですよ。昔、おおや和美の絵が好きでマンガを読んでいたのですが、タイプの違う二人のハンサムが出て来たとして、ヒロインとくっつくのは必ず私の好きなタイプでない方だったんですわ。それが気に入らなくて読まなくなった、そんな感じ。そういう意味でツボな作家さん、居ないもんかな〜。



2003年07月30日(水) 「はりはりハリ太郎 2」,「戦え!アナウンサー 6」

「はりはりハリ太郎 2」(大雪師走著,白泉社)

内容:天然すぎるハリネズミ、ハリ太郎と人(?)の良い森の仲間たちとの4コマギャグマンガ。


待ってました!大雪フィクション作品の中では一番好き!

ハリ太郎ってば「ちくろ幼稚園」のりえちゃん並に天然が過ぎてちょっと残酷入っていて良いキャラです。男だけど悪女風味。周り巻き込まれまくり。
ただ1巻ではちょっと意地の悪かったウマ吉さんが、すっかりハリ太郎ペースになっていたのはちょっと残念。ポッタさんの出番は殆ど無かったし、誰かハリ太郎の暴走止める人(?)が居ないと。


「戦え!アナウンサー 6」(みずしな孝之,白泉社)

内容:2002年6/29の日記参照。


最終巻です。

…何やねん、これ。
アナウンサーものとしては面白かったのに、こういう最後(と言うか最後への持って行き方)は残念。
面白くないっつーか、引くっつーか、気持ちが離れるっつーか。
こういうドタバタ展開は、それに至るまでに作品の芸風?雰囲気?がそんな感じであれば(「究極超人R」みたいに←読んでてこれ思い出した)納得出来るんですが、今までのこのマンガは、ドタバタではあったけど方向性の違うドタバタだったと思うので、こうこられても「はぁ?」という感じ。

この展開が完全に作者の意図だとしたら、合わなくなったなぁ、と寂しく思う。連載抱えすぎて、プライベートでも何かあって作品が壊れたんだったら、ひたすら残念。以前はちゃんと面白かったし。
そこいくとプロは可哀想というか、大変だね。後で差し替え利かずに残っていくから。

別雑誌での新連載、猫の言葉が分かる女の子の話はちょっっと期待。これもどんどん外れて行かなければ良いけど。



2003年07月28日(月) 「機動戦士ガンダム THE ORIGIN 5」

「機動戦士ガンダム THE ORIGIN 5」(安彦良和著,角川書店)

内容:2002年7/28の日記参照。


原作付きにしては秀逸。「にしては」と言う言い方は失礼ね。ほんと、凄い良い。
キャラのイメージ(外観だけでなく性格上も)を全く損なわず、それでいてアニメでは見ることの出来なかった細部を丁寧に書き込み、しかも書き込みすぎていない。
ガンダムは小説も出ていて、それには確かに性格とか深いところまで書かれていたけど、文章でない、絵で、絵の力を最大限に活かしてそれを表現している。流石安彦さんです。

ハモンさんって、アニメで見た印象よりしたたかですね。同じ巻に出ているだけ、比較してしまいますが、こうして見るとマチルダさんもひよっこという感じ。
ララァはどう描かれるのかなー、楽しみ。

デギンとドズルの嘆きを見て、初めて、ガルマが惜しいと思いましたよ。坊やだったけど、良い子だったんだよね…。しみじみ。

アムロは、昔嫌いだった情けなさ全開の中にもちょっと頼りがいが見えたりして、「何でこんな男を将来好きになるんだろう」「好きになる片鱗があるな」と両方思ってみたり。

大家の作品は安心して見られる。それは、作品として崩れる事がないと言う意味もあるし、「終わらせ方」を知っており、責任感も有る、と言う意味でもある。続きが楽しみです。



2003年07月26日(土) 「木島日記 3,4」


「木島日記 3,4」(森美夏著 ; 大塚英志原作 / 角川書店)



内容:えーと、木島って仕分屋がいて、仕分屋ってのはそのものがあるべき場所におさまるように仕分けする人で、今まで仕分けたのは人魚だとか巨人だとかだったかなぁ…。舞台は軍国主義時代の日本?折口信夫が壮年の頃で、まあ、大塚流民俗史?…2巻出てから大分経つから良く憶えてないです。


森さんは10年以上前からファン。だから買ってます。山さんの同人誌(プロ野球だ)が、最高に好きでしたよ〜。保存用と読む用と2冊持っていたもん。

大塚作品は悦に入っているものが多くてイヤなんですが、森さんがその作者色を森色に塗りたくってくれて、跡形無くなっているので良い感じ。
とは言え話として面白いかと言えば、絵自体が凄く読者を選ぶタイプのものになりすぎていて、他人にはなかなかお勧め出来ません。

一橋くんの顔もだけどキャラ変わってない?好きだったのに〜。美蘭も不思議ちゃん度が一般並に落ちていてちょっと残念。木島が周りに食われていると言うか、あえて語り部に徹していると言うか。

この先どうなるのかね〜と思ったら、また掲載紙休刊ですかい!!同人誌ででも良いから描きかけは始末付けてくれ〜とはファンの勝手か。
しかし森さん、今何されているのかな〜。また同人誌出してくれないかな〜。
力のある人が消えて行くのは寂しいですよ…。



2003年07月22日(火) 「柳生十兵衛死す 上下」

「柳生十兵衛死す 上下」(山田風太郎著,小学館)

内容:江戸時代の剣豪、柳生十兵衛が脳天から切られて死んだ。十兵衛を倒したのは一体誰か。物語は過去に振り戻り、真相を探る。小説。


Iさんより借り物。

能をタイムスリップの道具にしたのはなるほどなと思った。

十兵衛を倒した相手には納得。他の誰に倒されても腑に落ちなかったと思います。

室町の十兵衛と江戸の十兵衛、入れ替わらなければ死なずに済んだのかなと思ったり。江戸の十兵衛なら幕府転覆の陰謀を知った時点で手を引き、大事には至らなかったのではないか。逆もまたしかり。
江戸の常識で縛れない室町の十兵衛が登場したことによりそれが成ったと言う。そういう意味でも上手い進行だったかと。

能の舞と剣の技に類似点を見いだす辺りは私好み。常々私は、武を極めれば舞になる、舞を尊べば武になると思っている人間ですので。



2003年07月21日(月) 「幕張サボテンキャンパス」

「幕張サボテンキャンパス 11」(みずしな 孝之著,竹書房)

内容:11/30の日記参照。


最終巻です。
まあ、ここいらが潮時でしょう。間延びとかそんなのでなく、みずしなさん自身、ネタの作り方が変わって来ていたので、昔のものはそろそろ終わりにしても。私的にはそう好きでない方向に向かっていたので。まあそれでも下らない4コマよりよほど面白かった…かなぁ?過去の遺産でそう思わせていたかも。

登場人物の数年後と言うのはツボ。
誉田と矢切っちのその後に、連載時はあった「半年で離婚」の欄外書き文字が消えてましたが、思い直したかブーイングが出たか。私としてはあの書き文字が興ざめだったので、消えていた事が嬉しいですが、「それでも作者の真意はアレなのかな」と思うとやはりテンションが下がります。
書き下ろしが1pだっけ?有ったのが嬉しかったです。

インタビューか何かで、明日香とキミタク,ミチルとあの子(名前忘れてるし)がああなるのは以前から決めていたと言うけど、だから何だと言う感じ。
言わなければ納得させられないほど、反響が有ったからなのか。作品がうったえるものが全てで、作者があれこれ解説を付けるのは美しくないと思うんですが。まあ、ただの後日談か。



2003年07月08日(火) 「先生のお時間 4」,「ふぁんきーサーバント 1」

「先生のお時間 4」(ももせたまみ著,竹書房)

内容:童顔だけど27歳の国語科教師、みかを中心に、個性的で愛らしい高校生たちとの日常を描いた4コマギャグマンガ。


著者の代表作「ももいろシスターズ」に比べるとアクというか、キワモノ的部分は薄いが、十分ネタが良く、登場人物はキャラが立っている。

渡部&中山カップル(?)が良いなー。ベタだけど、チョコをそれでも食べる渡部が良いな、と。

関ジョージ…、これからどんな大人になるのか個人的に興味が有ります。



「ふぁんきーサーバント 1」(桜沢 鈴著,竹書房)

内容:某市役所の戸籍係に勤める伊勢崎陽子はドハデ美人。役所に似合わない外見と、実は奉仕精神に溢れる性格とで、今日も周りを巻き込んで活躍中。4コマギャグマンガ。


良いです。大好き。
絵もしっかりきらびやかなので、「伊勢崎=ハデ」が良く現れている。4コマは設定で「お約束」として見せる事が多い(例えば、ダサ絵でもその漫画の中ではちょっと格好良く描いて「美男子」と言っておけば、その人はそうは見えなくても「美男子」とする、のような)のですが、絵柄でクリアしています。設定のコア部分なので、それだけでライン越え。

ネタも良い感じっすよー。地味な市役所と派手な職員と言う対比を上手く活かしている。
連載当時はそう気が付かなかった、親友との連続エピソードも好きー。また出て来ないかなー。

関係ないけど、知人の某国家公務員はボディコン,フルメイク,ヒールの美人でした。その職場の他の独身女性は全てノーメイク,ダサ服,ペタ靴だったのにね。彼女を思い出しちゃった。



2003年07月07日(月) 「女王の百年密室」

「女王の百年密室」(森博嗣著,幻冬舎)

内容:ジャングルで迷ったサエバ・ミチルは俗世から切り離された、女王の君臨する王国にたどり着く。そこでミチルは王子の死と、かつて自分を「殺した」殺人鬼、マノ・キョウヤに遭遇する。小説。


出先で読むものが無くなり、何となくミステリィ気分だったので、帯と粗筋見て妥協買いしたもの。

S&Mシリーズでの恨みがあるので、かーーーなーーーーり濃い色眼鏡かけて読みました。S&Mシリーズの恨みがなければ流し読んだシーンも、所々で引っかかってみたり。
でもまぁ、恐れていたほどは怒らずに済みました。<読むなや、そんなもん。…いや、女の描写以外はオッケーだったもんで。だからわざわざ主要人物に女がいなさそうな本選んだの。性別云々するところで、「こいつ、もしかして僕女?」と、いや〜な気になりましたが、大丈夫でした。

ブツブツと文途中で段落を変える、少女小説のような文体は、手法としてアリだと思いますが、この話に関しては「ページの無駄」と思いました。本、厚くて高かったしね。
なんつーか、こういう文学的?なのより理路整然とした話を分かりやすく書く方が、この人は有っているような気がするのですが。

帯のアオリ方にはマイナス感情。
ミステリーとして読んだら、かの有名な「姑獲鳥の夏」クラスの反則だと思います。精神的密室っつーのはこーゆーモンじゃないでしょーよー。

近未来ものですが、所々(特に最初の方)に出て来た未来アイテムがネーミング的にどーも嘘臭い気がするのですが、これは私が理系人間でないからでしょうか?理系の人はこの手はすんなり受け入れられるくらい、身近なものでしょうか?
だとしたらやっぱりアシモフは凄いね。文系人間にもすんなり受け入れられる未来アイテム出すんだから。…それても、アシモフは影響が強すぎて、彼の作ったものが日常として浸透していて、知らぬ間に私も触れているからかな?

どんでん返しも弱いけど、S&Mシリーズの恨みが無ければ(しつこい)まあ、特にどうと思わないレベルでしょう。
でも最初に他の話読んで無ければ買わなかったし、これ最初に読んでいたら、次この人の本は買わないと思う。面白くなかったんでなく、印象に残るものではなかったから。



2003年07月04日(金) 「りかさん」

「りかさん」(梨木香歩著,新潮社)

内容:ようこちゃんはお誕生日のお祝いに、お祖母さんから市松人形のりかさんを貰った。このりかさんは、実は人と会話が出来る不思議な人形だったのです。りかさんが来てからようこちゃんは、人形の声が聞けるようになり、人形にまつわる物語を知る事になるのです。小説。


「からくりからくさ」の蓉子の子供の頃の話。動く(?)りかさんが見られます。
同時収録の「ミルケの庭」はマーガレットの子供の話。

解説の問いかけ。「あなたにとって人形とは何か」。考えてみる。「周辺にある物質の一つ」。色気がないかもしれないがそれ、ですね。ただどちらかと言うとどんな物質にも命を見るタイプなので、厳密な「物扱い」とは違うと思う。「からくりからくさ」のマーガレットのように拒絶反応は無いと言うか、信じる方なんだろうなと。どーでもいーか。

4冊も読むと「梨木節」が見えてきます。1冊目から自分の言い分?が如実に分かる、五月蝿い作家は居ますが、梨木さんは大人しいと言うか繰り込みが上手いと言うか。
五月蝿い作家の本は、よほど合わない限り、1冊でさようならですが、静かな作家の場合は立て続けに何冊も読んでも大丈夫。
でももう暫くは梨木香歩は良いかな。次は間を置いてから読もう。
「裏庭」が一番面白かったな。



2003年07月01日(火) 「からくりからくさ」

「からくりからくさ」(梨木香歩著,新潮社)

内容:死んだ祖母の家で蓉子と3人の女子大生の下宿人と、蓉子の市松人形「りかさん」との共同生活を描いた小説。


んーと…んーと。つまらなかったとは言わないけど…。

紀久と与希子のキャラ、被ってない?最後までどちらがどちらの個性という判別が出来なかった。あまり共感を得る事の出来ないタイプばっかりだったからかな?
織りなされる模様はそれなりに美しかったが、逆に計算されすぎていて「だから?」と言う気にならないでもない。彩なし、完成した絵の美しさではなく、謎が解かれ、一つ一つ露わになる絵の美しさに重点を置いたからか。
ただ謎解きとしても半端な感じ。
児童文学としては良い出来だと思うけど(6/17の日記参照)、これだけ長い話なのだから、もう一声欲しい所。


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やまだ