読了日記

2003年02月28日(金) 「わすれなぐさ」

「わすれなぐさ」(吉屋信子著,国書刊行会)

内容:個人主義の少女牧子を主人公に、牧子を魅惑する享楽主義でお嬢様の陽子,真面目で兄弟想いの一枝。三人の女学生の憂いや喜びを描いた少女小説。


古臭い乙女チックな文体が読みたくなって衝動買い。
少女版ユニセックスの世界。出てくる男共はアイテムですね。

買うほどの本だったかな…。いえ、良く出来た話だし当初の目的(乙女チック文体を読む)も果たしましたが、読み返しはしない気が…。乙女バージョン吉屋信子だったら「花物語」持っていれば良い気が。
2時間くらいで読んでしまったし、2時間1900円つったらちょっとリッチなランチくらい?それに見合うかどうか…。図書館で借りて記憶に刻んでおく程度で良いのかも。
しかし私、食べ物とかは高くても好みでなければぽんぽん友達に上げるのに、本は貸す事は出来ても上げることは…ああ、昔「返すな!」と言って押し付けた大外れハードカバー本は有りましたが。本はやはり一度買うと手放し辛い。

牧子のお父さんとか、凄い封建的で男尊女卑でムっとくるんですが、ちゃんと愛情がある。男の責務と言うものも分かっている。だから、昨今の己らが定義する権利ばかり主張し、義務を怠るアホウ共と違ってそんなに腹が立つ事はなかったです。与えられたければそれに見合う働きをしないとね。

…ところで、解説の嶽本野ばらって何者!?何、この気色悪い男!人形買い漁って三次元に興味のないデブオタクみたい〜と思って検索かけてみましたら、ナルシー系おっさんでした…。←酷い言い種と思われるかもしれませんが、「吉屋信子の本」買って、こんなのに数十ページとられて売り上げが印税に回る事考えたら怒って良いと思う。
…まあ何だ…、吉屋信子が好き、と言う同じフィールドに居るとしても、私とこの人とではその端と端に居るのでしょうね…。
この本、どこかでみかけたら、是非解説だけでも見てみて下さい…。



2003年02月27日(木) 「風の海迷宮の岸」

「風の海迷宮の岸」(小野不由美著,講談社)

内容:十二国記シリーズの2作目。(厳密に言うと違うかもしれませんがー。)1作目は「月の影影の海」。中華テイストのファンタジー。麒麟とか仙人とか蓬莱山とかそこいら辺の言葉にピンと来る人向け。


↑感想とごっちゃになっていますね、内容。この本自体の内容は割愛。シリーズの中の1作として読まないと意味無いと思うので。

萌えませんでしたが面白かったです。萌えなかったのに面白かったと言うことはやはり小野さんには筆力が有るなと思った次第。
いや、割と地味な話だったと思うんですよ。アイテムに多少の華美さはありますが、物語の序章,一部と言うことで、これ1作では海のものとも山のものとも…と言う感じで。そんな話が面白いと思うにはある程度キャラ萌えが必要な場合が多いのに、好きになったキャラはまるでナシ。そういう意味で、ストーリィ自体のエンターテイメント性は十分な今後を期待させるに足るものだったと思います。

あ、Sさんより借り物。ホワイトハート版じゃないので挿し絵が無いのが寂しかったなー。山田さんの絵は好き。



2003年02月26日(水) 「中国いかがですか? : 続」

「中国いかがですか? : 続」(小田空著,創美社)

内容:著者の中国生活エッセイまんが。


前作より面白い…と言うか疲れなかったのは、著者が中国生活に慣れて楽しんで欠点も愛して来たからかな?
「水が出ない」等の、生活ストレス系の話は少なく、苦労も楽しみ、のようなエピソードの方が多かったのが好感。

やはり食い物ネタは良いね!
餃子は今度自分で作ってみようかなー。でも私、焼いた餃子の方が好き。
揚げ林檎の飴かけ、おいしそーーー。作ってみてーーー。



2003年02月25日(火) 「ハイブリッド・チャイルド」

「ハイブリッド・チャイルド」(大原まり子著,早川書房)

内容:パス。SF小説。


Iサンより借り物。
「大原まり子のSFっ」って感じの本。
肌に合わない人は即刻退去いたしませう。
パンピーにお勧め出来る大原まり子は「吸血鬼エフェメラ」のみ。
設定は良いんだけど文体かなぁ…。あ、私は別にヘーキで読めますので、貶している訳でなく、一般的じゃないなと思っただけ。



2003年02月24日(月) 「ドキばく2 : ヒゲ蟲ぶらりんしゃん編」

「ドキばく2 : ヒゲ蟲ぶらりんしゃん編」(柴田亜美著,エンターブレイン)

内容:「週刊ファミ通」と言うゲーム雑誌で連載しているゲーム&ゲーム業界の体当たりエッセイまんが。


柴田先生、忙しすぎて荒みすぎてそういうのばっか前面に出てます。それでもそれなりに面白いんですが、仕事ブッチしてゲームやっていた時代の方が面白かったですよ…。
最後の「逆転裁判」のパロの所は面白かったです。



2003年02月23日(日) 「女性アナウンサーという生き方」

「女性アナウンサーという生き方」(八塩圭子著,日経BP社)

内容:テレビ東京アナウンサーである著者が、局を問わず、活躍している女性アナウンサーにインタビューして彼女たちのアナウンサーとしての生き方をレポートした本。


資料用に往復送料1120円かけて他県の図書館から借りた本。

読みやすかったです。
&私が大概の女子アナが大嫌いなのは彼女達のポリシーに関わる所に関係しているのが良く分かりました。
「ニュース等のアシスタントとして初めはどうすれば良いか分からなかった、難しく考えていた、だが「この年代の女性なら何を思っているか」言えばよく、自然体で臨むようになった。」…冗談じゃない。
ニュースや事件はブラウン管の向こうのあなた方は、正しく、より多く伝える事が私の、あなた達に望む唯一の事です。顔の美醜もあなた方の意見も必要ありません。何故なら、そのニュースで何を思うか考えるのは私自身の行いであり、誰かに肩代わりしてもらうものではありません。私が、そのニュースで多くの事を考えられるように、事実を、正しく、一つでも多く伝えなさい。あんた方の意見など邪魔です。
「23歳の女性ならこの場合どんな風に考えるか」をあなたが代弁するのは越権行為です。その意見は仮に大衆的であれ、全体意見では有り得ません。マスメディアの発信力を知れ。あなたのその意見を聞いた者が「それがあの年代の女性の一般的意見」と取った時の、同じ立場で違う意見の人間の被る迷惑を考えろ。
勿論誰かさんの個人意見を述べる番組は在って良いだろう。けれど、それをニュースに混在させるな。
そしてどうせ意見を述べるなら確固とした人格を持て。「20代前半の一般的女性」などと言う曖昧さで自己の意見の責任逃れをするような小狡さを持つな。○○××子と言う、あなた個人の人格の下で意見を言え。「私個人だけでなく一般的に…」等と逃げ場を作るような事をするな。するくらいなら初めから何も言うな。
とにかく私はニュースには「事実を、正しく、一つでも多く」伝えて貰う事しか求めていない。不純物を混在させないと言う意味ででは、耳に心地良い声で、くらいの能力は求めるが、それ以外のタレント性は不要だ。
…と、言う私の意見は少数派だから女子アナが蔓延っているんでしょうね。
女は天気予報でも読んでろとまでは思いませんが、女子アナの方が男性アナより頑張ろうとしてか余計な事言う場合が多いので男性の読むニュースの方が好きですよ。
女子アナの件だけでなく、最近はニュースにエンターテイメント性を持たせようとする所が多くてうんざり。ニュースはNHKか新聞以外は見る気がしません。
現代日本人の思考力の低下は報道側が「代弁」にかこつけた思考の横取りによるのではないかと思わないでもない。

もう一つ。中井美穂のエピソードには悲しい憤りを憶えました。
昔、大好きなプロ野球選手が居て、その人のニュースを見る為に、眠い目を擦ってプロ野球ニュースを見ていた時代があります。その後半に出て来たのがこの、野球のやの字も知らないシロウトを崩したようなアナウンサーでした。この人は選手の名前は間違えるわルールは分かっていないわ噛むわ、言っていることは無茶苦茶だわで、嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで、どうにか消えてくれないかと祈ったアナウンサーでした。
好きな選手が引退したのもありますが、この人を見るのが嫌でプロ野球ニュースを見るのを止めたようなもんです。それ以来ずっと、この人が出るとテレビを消す日々が続きました。
もしかしたら今は上手いのかもしれない。いっぱしのアナウンサーに成長したのかもしれない。今聞けば好感が持てるのかもしれない。でもそれであの時代が帳消しになる訳ではない。私が本当に楽しみにしていた時間を台無しにした、あの恨みは決して忘れる事はない。
長い目で見て、あの無謀な大抜擢は成功だったのだろう。けど、局はもう少しアナウンサーを育ててからテレビに出しても良かったんでない?私はプロ野球ニュースを見たかったのであって、中井美穂成長記を見たかったわけではないんだから。



2003年02月20日(木) 「アナウンサー」

「アナウンサー」(斉藤弘美著,実業之日本社)

内容:思いがけずFM東京のアナウンサーとなった著者の自伝。


資料用に往復送料1120円かけて他県の図書館から借りた本。

…まあ、読み易かったです。少しは参考になりました。
別にアナウンサーになりたい人の為の教本めいた性格等はまるでなく、作者のファンが彼女の歩んだ道の裏話の上澄みを得て親しみを深くするとか、コレクターズアイテムの意味合いの本でなかったかと。
コアなファンには物足りないかもしれませんが、ファン以外の読者が読めるギリギリの範囲だったと思います。

「辻本清美ちゃん」には笑ったと言うか。
…そう…そんな時期もあったのね…。
人が変わって行ったと言うよりあの人の場合、周りの環境が許す範囲とその外の社会が許す範囲との差を読みきれなかったと言うのが正しいのかもしれないと思った。それだから許されるわけではありませんが。
私ら一般人は、政治家の殆どは法に触れる金に汚い事をやっているのだと思っている。で、それは一般社会的には犯罪だけれども、政治家と言う暗黙の治外法権部落は容認していて、その部落の規範に沿う、もしくは不利益を与えていないうちは部落民によって守られているが、ひとたびその規範を破る、もしくは不利益を与えた場合は見せしめとして部落の外に突き出し法の裁きを受けさせる事で部落内の結束をより強固にしているのだと。…今にして感じた事ではありませんが。
あ、「部落」は所謂「被差別民集落」の事ではなく、同和問題に縁が無く生きてきた地域の人間にとって「村落」と変わらない意味で使われております。政治家侮蔑が無いとは良いませんが。



2003年02月16日(日) 「はだかの太陽」

「はだかの太陽」(アイザック・アシモフ著;冬川亘訳,早川書房)

内容:個人が完全に自分の領域を自分だけの為に固持して暮らす星ソラリアで起きた殺人事件の解決を依頼され、地球人の刑事イライジャは惑星オーロラのロボット,ダニールと旅立つ。イライジャ&ダニールシリーズ2作目。SFミステリィ小説。


はー、これがあのソラリアの2万年前か〜と感心。2万年で単体生殖(?)が出来るようになった事より完全育児ロボットが出来た事の方がなんとなく凄いなと。

アシモフはあまり凝らないと言うか、ある意味単純なトリックと言うかレトリックを使うので、「犯人(実行犯)はこいつ!」と動機もトリックも分からなくとも分かるんですが、それが物語りを損なう事はない。と言うか読者は作中何度もその最初の「決めてかかり」を否定するがやはりそこに落ち着く。ごく自然に。捩じれた電話のコードのようなミステリィを好きな人は合わないかもしれませんが私はあっさりしていて好きです。

ロボット三原則とソラリアの特性を上手く絡めて、単純なストーリィを緻密にしていく様は見事だと思う。
&ロボット三原則が第0法則が出来ないわけにはいかなかった、その過程の初手がここにあると、ファウンデーションを先に読んでしまった身が、その事にワクワク出来るのは一つの特典な気がした。
本当にアシモフはサービス精神旺盛ですこと。

解説ですが「4回乗っただけて何度もと言えるのか」みたいな事を書いていて、「揚げ足取りだと思うけど」と書いてましたが、きっと完璧なアシモフにしては結構大きな綻びを見つけたと思ってほくそえんだんでしょうが、あの世界にいて4回を何度もと捕らえるのはミスじゃないと思うけど。
自分の価値観で以って話を進めるのは解説者の流儀でしょうが、アシモフのように「今の常識と違う常識を基盤に話を進める」作品に対して自分常識であげつらいなさんな。白けるよ。



2003年02月15日(土) 「魔法使いさんおしずかに! 全2」,「主任がゆく 1,2」,「Dr.モローのリッチな生活 しょのさん」

今日の5冊は全て一度は買うのを躊躇った本…というか、「あー出たんだー、でもいーや」と思った本でした。
何故かかるーーーい漫画が読みたくなって衝動買い。いーかげんよせ、って感じですけどね…。


「魔法使いさんおしずかに! 全2」(竹本泉著,エンターブレイン)

内容:元気な女の子が主人公で、美人が嫌いな挿絵画家の叔父さんと変な村に引っ越して来て、そこには仙女やら魔法使いがいて、ドタバタコメディまんが。…すんません、一回読んだっきりさっさと片付けてしまったもので…。


大昔連載当時読んでいたなーと思っていたのですが「なかよし」だったとは…。私は自分では「なかよし」は買ってないので、妹が買っていたのを見せてもらっていたんでしょうね。特に面白いと言うわけではないのですが…。ははは。…買う本は選べよ…。



「主任がゆく 1,2」(たかの宗美著,ぶんか社)

内容:豪気な女主任が主人公の企業モノ4コマギャグ漫画。


『みこすり半劇場』で連載中だそうで。
だからでしょうが、セクハラネタが結構多く、H絡みの絵はもれなくモロです。但し、ネタ的には女性週刊誌でもオッケー。
みこ半にしては大人しい漫画だと思います。

暇潰しくらいにはなります。でも3巻はどうしよーかなー。多分発売日には買わず、買うならやっぱり今日みたいに漫画の衝動買いしたくなった時でしょう。



「Dr.モローのリッチな生活 しょのさん 1997〜1999」(Dr.モロー著,フォックス出版)

内容:7/18の日記参照。第3巻。


ああ、もうっ。買わないつもりだったのに〜。
同人誌としっかり被ってます。が、あとがきマンガやら一言コメントのページの為だけに買ったよーなものー。まあでも読み返すのに3年まとまったこっちの方が便利なので良いか…。
相変わらず皆さんキャラ立ってます。類は友を呼ぶのか描き方が上手いのか。愚妹さんが良い感じ。是非実物を見てみたいです。



2003年02月09日(日) 「鋼鉄都市」

「鋼鉄都市」(アイザック・アシモフ著;福島正実訳,早川書房)

内容:地球は四方を壁で囲まれた幾つかのシティで構成されていた。その中で最大のシティ、ニューヨークシティの中の宇宙人(かつての地球人だが大昔に移民して既に地球人とは多くの点で隔たっていることからそう呼ばれる)が住む宇宙市で宇宙人科学者が殺された。星間問題に発展しかねないこの事件を、ニューヨークシティの刑事,イライジャ・ベイリが、宇宙人によって作られた人間そっくりのロボット,R・ダニール・オリヴォーをパートナーにし、解決して行く。SFミステリィ小説。


イライジャ、頭堅い〜。…まあ、仕方ないか?

上手いなぁ、と思うのが、未来都市設定と、その環境(設定)の中で生きた人がどのような感情を持つかの描き方。“外”への恐怖,ロボットに対する反発心,周囲の人々に対する礼儀等、こちら側の私たちには滑稽に見える事でも彼らには真剣なんだと言う臨場感が伝わる。
「滑稽」とは書いたけど、どこか現実社会に対する風刺も入っている感じですが。

ミステリィ的には犯人を推測する事は簡単と言うか定番なので驚く事はないが、SFに織り交ぜる事によって行程が複雑になっている。絡んだ糸を1本1本解いて行く感じ。

単独で面白いかと聞かれれば、まあ、普通。ただこれからアレがどうなるのか…、それを楽しみに読めるのがこの作品の強みか。
長い目で見ると長編の序章のようなお話。



2003年02月08日(土) 「鏡の国の戦争」

「鏡の国の戦争」(いしいひさいち著,潮出版社)

内容:いしいひさいちの4コマ漫画の中で、戦争を扱ったものをセレクトしたもの。


相変わらずのいしいひさいち。
多分全て再録なんだと思うけど、ドーナツブックとか全て読んでいるわけでないし、読んでも忘れているので、それなりに楽しめました。
いろいろな意味で凄いよね、いしいひさいち。



2003年02月07日(金) 「堤中納言物語」

「堤中納言物語」(坂田靖子著,中央公論新社)

内容:同名の、日本最古の短編集を漫画化したもの。平安時代が舞台。


んー…。原点物語を分かっていないと辛い話がちょっと有った。
でも「虫めずる姫君」は面白かったっす。あと、貝合わせの話。
平安もののデフォルメの参考にもなりました。



2003年02月04日(火) 「超麺通団 : 団長田尾和俊と12人の麺徒たち」

「超麺通団 : 団長田尾和俊と12人の麺徒たち」(田尾和俊著,西日本出版社)

内容:今や空前のブームとなった讃岐うどんの火付け役が記す、讃岐うどん入門書。


私はこの田尾さん節が好きなんで、多少以前見た内容と被ろうが構わないのですが、内容自体は薄い。「恐るべきさぬきうどん」の圧縮版…と言えば聞こえは良いが、ちょこっと取りの寄せ集め。どっちか読むと言うなら文庫になっている「恐るべきさぬきうどん」の方をコストパフォーマンス的にも勧めます。
でも本気でうどん巡りしたい人には丁度良い1冊じゃないかな〜。住所や地図も有るし、これ1冊持って行けば良し、と言う感じ。

あ、田尾さん節&周囲の名(迷?)突っ込みも健在です。



2003年02月02日(日) 「ちまりまわるつ」

「ちまりまわるつ」(竹本泉著,朝日ソノラマ)

内容:表題の、魔法のプロを目指すちょっとドジな女の子、ちまりちゃんの連作短編を初めとするちょっと不思議な竹本ファンタジーワールド短編漫画。


衝動買い。…何で買ったんだか…。
いや、嫌いじゃないけど「すきーーーっっ」ってわけじゃないし…。ちょっと平行して読んでいる本が全部暗い本だったので、ナーバスにならないよう、打ち消す軽い本が読みたかったからと思われ。そういう意味では悪くはないんですが、買うまでの本じゃないよーな…。



2003年02月01日(土) 「亡国のイージス 上,下」

「亡国のイージス 上,下」(福井晴敏著,講談社)

内容:海上自衛隊の、イージスシステムを搭載した最新護衛艦「いそかぜ」が北朝鮮の工作員によって占領された。彼らは米軍より強奪した未曾有の生物兵器を盾に世界を揺るがす要求を突き付ける。密かに「いそかぜ」に潜入していた海自の情報部員,「いそかぜ」を家とし守ろうとする先任伍長が彼らの暴走を止めるべく奔走する。


結構決め読み(「ここはこうなるだろう」とアテにする,ならないにしてもそれ以上に好みの展開になる)した部分が外されて、フラストレーションは溜まった。
でもそれはあくまでこちらの都合で「こーゆーのは変でしょう」と言うものではなかったし、全体的に出来は良かったと思う。
読書好きは、まぁ、読んどけ。オヤジ好きも読んでおいて損はなし。

終章で、それまで溜まっていたもやもやが読後には無くなっていたのがびっくり。そんな大したラストでなく、むしろありがちなラストだったのに、多分…、パズルの最後のピースがはめられた途端現れた絵が私の好みだった、ということでしょう。
本当はここに、私はアメリカが大大大嫌いで、嫌いで嫌いで嫌いで、どれだけ、どのように、どうして嫌いかを千行くらい書くつもりだったのに「いーよ、てめーらの事なんか」と言う気になりました。…いえ、嫌いは嫌いで好きになりませんけどね。本当、あの国の国質と言うか国民性と言うか、大っっっっっっ嫌い。あの国を好きと思ったことは生まれてから一度もナシ!個人的に好きなスポーツ選手とかは結構居るんですけどねぇ…。

ホ・ヨンファ。何となく李鴎と重ねあわせて見ていたら違いましたね。全く違うと言うより、「こうこうこういう工作員」と設定のディテールを与えられて、男が書いたらヨンファ,女が書いたら李鴎みたいな。そう思えば高村先生は女なんだなぁ、と再認識。

一つだけ作者の書き方に不満があるのですが、宮津艦長と溝口がそういう関係なら、最初の対面シーンとか、二人の描写の端々に「ひっかけ」があったと思うんです。正体を推測させるのを邪魔する描写が。アレを艦長の演技とすることは出来ると思いますが、私は作者によるトラップの気がしました。読者を欺くトラップと言うのはそういう目的を持った小説では使われて当然だと思うのですが、あくまで真実を知った後も説明の付く範囲でするべきと言うか。神の視点で書いておき乍ら「真実でない事を書いてにだます」手法はいかんと思うのですよ。神の視点からだますなら「真実を書いてだます」でないと。
あれは「正体を勘違いしている者の視点」で、神の目ならああは映らないのでないかと。そこに作者の姑息と言うか失敗と言うか走りすぎが見えた気がして、それが不満でした。


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