あまおと、あまあし
あまおと、あまあし
 2007年06月29日(金)

真昼の部屋にたたせて
薄い皮膚を一枚脱がせる
貴方
うす緑の皮の間から
ほたほたと生き物は落ちる
その度にわたしは
沼の事を忘れる

  明日の事をききたくはない
  だから昨日の事や来年の事を話す
  駄目だよ
  明日の先にはあさってもしあさってもあるのに
  一年のうちの明日だけが怖い
  駄目だよ、って
  来週も再来週もいつかの明日なのに
  言わないで、駄目だよ
  駄目だよ

ぬらぬらと銀色にひかる
沼の生き物たち
わたしは
おたまじゃくしだったろうか
蛙だったろうか
脱がされた皮膚は乾いて
水底に逃げることもできない

  真昼の光は白く
  貴方の爪もまた白い
  まぶしくて
  眼を閉じることもできない


 2007年06月23日(土)


青梅をつま先で蹴る君の夏


  三百六十五分の一の
    明日の君の不在におびえ



君が脱がせた私の皮膚に
  水の言葉が詰まっている




逃げ水に己を例える男の安さ
  蹴飛ばしきれない私の妥協  

 2007年06月16日(土)




あなたの音が、わたしを沼の生き物にする


日のささない水の底、全部の皮膚をそばだてる


あなたの声、あなたの耳から生まれる音、


ざらざらした髭が奏でるうた、全部


全部ひきずりこんで、全部ひきずりこんで、


沼の生き物になる、わたし


 2007年06月06日(水)


あなたの、水が欲しかった

ひづめをぬかるみに置くように
あなたの、膝の上には
柔らかなものが満ちていて
たてがみが濡れることも、私は構わなかった

(水、すいかずらの匂い、緑は濃くなり、夏が)

あなたの上に残した刻印
私の跡はいまでもあるだろうか
ひづめというものは
いつだって蹴散らすものだと
知らなかったのだ、ずっと

(まなこの上を覆う水は、あなたのものではない)

わたしの駆けてきた大地に
あなたの水は降り注ぐのだろう

遠く、夏のにおい、湿った草の匂い
いっときだけ駆け抜けた
あめの匂いがする







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 著者 : 和禾  Home : 雨渡宮  図案 : maybe