あまおと、あまあし
あまおと、あまあし
 2005年12月11日(日)

眩暈のするような
あかるい朝の事でした
母はこおりを割っておりました

雨ひとつ雪ひとつ降らぬ乾いた日々にも
夜は湿り気を紛れ込ませ
くぼんだ地面にいつのまにやら水が溜まり
凍る、そして母は割るのです

ああごしてえ、このごろはずくもなくて
こんだこたするのは、ごしてえなあ

母は氷を日にかざして空にかえすと
安堵したように笑うのですが
ぬかるみには次の氷が現れて
母は紺色の長靴を持ち上げるのでした

ごしてえ、ごしてえ

庭の氷は
太陽が午後と名を変えても
消える事はなく
母は庭におりました
こおりを砕いておりました

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 著者 : 和禾  Home : 雨渡宮  図案 : maybe