あまおと、あまあし
あまおと、あまあし
あけましておめでとう 2005年01月18日(火)

新年
なのだから顔でも洗おうと
凍てついた洗面所に立つ
ふるえる
鏡の中にはたるんで
頭の薄くなった男がいて
ふるえている

ずいぶん寂しくなったものだ
頭をなでながら
こんな風に俺は
年ごとに失うことに慣れていくのだと
嗤う
鏡の中で男も嗤うので
ええい、くそ
惜しくも無い鼻毛を抜いて
くしゃみと涙をひとっつ流しておいた



猫氷 2005年01月09日(日)

ああ、猫も凍るのだね
こんな寒い夜には
しっぽの先まで

冷たい
大地に朝日が訪れて
かぎろひの立つのに
君は起きないのだね
いや、君という名前であった
こおった、かたち、は

猫であったモノ
生き物であったモノ
になったモノが君ではないように
朝の光は霜柱を溶かして
凍った大地を凍っていた土に変えてゆく

寒い、かい?

かけそびれた言葉をそこらに放って
穴を掘った
いつか
私であったモノも埋められるように





(note) 2005年01月05日(水)

鎮めんと重ねし白の深きより
  生れ出でしその若菜ぞ君は


垂乳根の母産み給う人すらも
  抱き雪野は空色に染む 

  

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 著者 : 和禾  Home : 雨渡宮  図案 : maybe