どこか 遠くを見てる 人たちを乗せ バスは走る 闇をぬけて
あいいろの空 ひかりの中を ゆれて ゆれて 見知らぬ街へ
いとしい人が もっといとしくなるのは こんな瞬間 旅に出る瞬間
幼い日の はじめての海 はじめての波 青い 青い すいこまれそうな海
海からあがって さんぽ道 竜神さまの 住むという道 小さな 竜の木に出会った
何かを語りかけてくるような 細い道の中で 待っているような
心のどこか深いところで つながっている そんな気がした
こんな風に 足を、波にひたして 遠くばかり見てた 小さい頃と同じ 舟虫が、岩かげから見てる
さざ波を はだしにひたして できる さざ波の輪っかを見てる 幾重にも幾重にも広がって 私の心のように広がって
私、いつのまに こんな 大人になったの
よせてはかえす 波の音 とおいむかしの きおくをはこぶ
私は貝殻 手にとって うずまきもようを ながめてる
このままで― ずっと少女のままで いられると 思ってた
遠い夏の日
彼に愛されてる あの人になってみたい 一日でいいから
彼はどんな風に ほほえむのかしら 「ただいま」って だきしめるかしら
でも・・・ 私 みじめ みにくい かわいそう
私が私でないみたい バラバラになりそう
私は私でいたいのに 私のままで愛されたいのに 神様― もう あの人になりたいなんて 思わせないでください
毎日あなたを想うこと 許されるのでしょうか こんなに近くにいるのに こんなに遠くにおもう どうして―?
命あることが こんなにとうといと 感じる
窓からきこえる雨の音が しとしと屋根にかかる 下で祖母が新聞を読んでる そんな、一瞬、一瞬さえ つたえたくなる―
そんなふうに、あなたが好き―
あわれみのピエタ 慈悲と 愛の
天の使いのように けがれなく けがれなく あなたと 向かい合いたいのです
魂が ひかれる人―
どこかで会った気がする 瞳の奥に、何かが見える 遠い遠い記憶が 呼びさまされるような気がする なつかしい―
あなたは だれ?
あなたが居てくれて よかった、と思う それだけです
そんな想いを わすれてた そんな想いを さがしてた 私を開いてくれる人―
点在する光 人の力でつくった光は 地上にひかる 星
ナスカの地上絵のように 一面に点在する 光・・・
中心からつづいてく 広がっていく
この世に生まれた限り 光の輪の一部になり つながって輝く ほんとうのしあわせ
この天と地をつくった存在が 私をもつくったのですね 肉体に宿る間に あなたに であいました 何千年もの時を 生きた この宇宙の中で―
愛がほしくて さがして さまよっていた 天と地の間で 魂が ひかれあう
あの人がいるから 世界が輝く ―ただそれだけで 私は 昔の記憶をとりもどす 愛の ちから
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