2010年01月31日(日)  キミとデート。
 
日曜日。妻は休日出勤。掃除機かけて洗濯物と布団干して「ゴクミルゴクミル、ゴクミルゴクミル」と、藤原紀香がCMで粉ココアを混ぜながら唱える呪文を、粉ココアが溶けてしまった後も延々と唱え続ける御ハナにどこ行く? と訊ねたら、「そうねぇ……公園!」と、「そうねぇ……」と言いながら考えるあたり妻の映し鏡。
 
晴れた日曜日。御ハナを自転車に乗せて近所の公園へ。御ハナは大のお気に入りのブランコに乗って、公園に滞在している時間の8割はブランコに乗っているという、本当の意味での大のお気に入りで、延々と背中を押す僕は、ケータイを見たりタバコを吸ったりと自分の時間が全くない状況で延々と背中を押さなければいけないので、いつの間にか僕もブランコの一部となり、ブランコの視点から公園を眺めていると、妻は休日出勤なのだろうか。僕と同じような何らかの遊具の一部となって公園を眺めているパパ達が大勢いる。
 
腹が減ったので回転寿司に寄って、そこの回転寿司は特急レーンというものがあって、タッチパネルで注文したものが、特急列車に乗って運ばれてくるという3歳児大興奮の演出があって、その特急列車には最大3皿同時に運搬できるのだが、元来小食の僕は3皿を2往復した時点で結構お腹いっぱいになってしまうので、御ハナを喜ばせたいがために1皿ずつ注文するという休日のパパ。
 
帰りに子供服のメッカ、西松屋に寄って御ハナのファッションショーをしたいのだけど、昼寝の時間が近いということもあって、試着を促しても「もー着ないの!」と怒り出してどうしようどうしよう。最後これだけ。これ着たらおうち帰ろと、花柄の春用ジャンバーを購入し、自転車こいで家に帰って二人揃って全力で昼寝。
 
2010年01月30日(土)  なんかあれだね。
 
職場の看護師から旅行のお土産をもらって、スイーツ大好きな妻にお土産として持って帰って、「なんか静岡のどっかの一番おいしいアレなんだって」と妻に言ったら「あなたみたいな感覚で世の中生きられたらどんなに気楽なものでしょう」と言われました。別にそんな気楽じゃないのに。
 
2010年01月29日(金)  人生、夢で生きてる。
 
ヘキサゴンファミリー見てて、なんか気持ち悪いな。なんかヤだな。具合悪いなと、なんとなく思っていて、どうして僕はヘキサゴンファミリーにこんなにも拒絶反応を示すのであろうと、何の生産性もない会議に出席しながらぼんやり考えていたら、物凄く偉い人が物凄く面白くないことを言って私は物凄く笑ってしまってコレダと思いました。
 
要するに、ヘキサゴンファミリーが気持ち悪いと思うのは、島田紳助のギャグに猫も杓子も全員笑っているというか、笑わなければいけない雰囲気を感じてしまうからであって、いわば会議の私。中間管理職の私。ヘキサゴンファミリーの笑いは私の笑い。笑いの中の自己嫌悪。ここで笑わなければ生きていけない私。プライドも羞恥心もない、ただ空虚に笑う私。他数名。そのうち私たちは中途半端に場を盛り上げる新選組リアンと嘲笑され、特に歴史に名を残すことなく消えるのであろう。
 
2010年01月28日(木)  乾酪陥落。
 
妻はTシャツびっしょりになるくらいよく寝汗をかく。夜中に起きて小さな声で「あちち、あちち」と言いながら新しいTシャツに着替えている。どうしてなのかしらといつも頭を捻らせている。
 
「それはね、30歳過ぎたら誰もが経験する大人の階段を昇る過程、そう、発酵ってやつだよ。華麗に加齢。いわばモッツァレッラだ」
 
と、夕食時にいい加減なことを言って風呂入って御ハナは寝て夫婦でテレビ見ながらビール飲む? なんて声掛けても反応しないので、もう一回ビール飲む? って訊ねて反応しなくてようやく妻が怒っていることに気付いた。妻はだんまり怒るタイプなので、鈍感な僕はいつも怒っていると気付くのに数時間経ってしまう。
 
今このタイミングでゴメンネと言っても自らの鈍感を証明しているようで、もはや謝罪のタイミングはない。妻の枕元に着替え用のTシャツを置いて僕も寝ます。
 
2010年01月27日(水)  日帰り。
 
「ヨシミさんて風呂上りの匂いするよね」ってよく職場で言われるのは、僕がいつも清潔や匂いに気を付けているわけではなく、うちの洗濯機は風呂の残り湯再利用機能がついていて、風呂上りの匂いイコール入浴剤の匂いで、しかもその匂いが身体に付着しているのではなく、洗濯物に着いているわけで、毎日日替わりで箱根、草津、登別、湯布院など、全国の温泉巡りが私の傍にいるだけで楽しめるってわけです。
 
2010年01月26日(火)  木婚式。
 
田舎生まれの二人が東京で出逢い愛を認め合い結婚し、右も左もわからない場所で二人きりで肩を寄せ合い子を育むといういわばロマンチック、日本語に訳すと核家族の我が家は、本当に近くに住む親戚もおらず、育児に協力してくれる知り合いもおらず、二人慎ましく子育てをしているのでありまして、そんな状況で妻と僕が二人きりでデートするなんて時間は滅多になく、本日、約半年振りに平日の休みが合ったので御ハナを保育園に預けて夫婦でデートをしました。
 
朝から浅草の路上に展開される飲み屋でもつ煮込みと焼き鳥とビールを飲んでふらりふらりと初春の陽気に当たりながら浅草寺付近を探索し、甘味処でぜんざいやあんみつを食らい、手を繋ぎ、我が子の将来を語らい、付き合った期間の短い二人は、独身の頃もそんなにデートしたことがなく、御ハナがいないと何していいかわかんないねと笑いながら帰りに上野に寄って御ハナのお土産を買って帰りました。
 
今月の誕生日プレゼントに渡したティファニーのネックレスを何度も「ね、かわいい?」と確認する女性は、昨日の鬼気迫る表情で冷蔵庫からマヨネーズをひったくる人とは、なんだか、別人のように思えました。
 
2010年01月25日(月)  Lifetime Respect.
 
看護師と一緒に処置の準備していて、「ヨシミさんアルコール綿取って」と言われて「はいはいアルコール綿ね……はいはい。アルコール綿……っと。アルコールに染み込ませた綿ですよ……ね……。はいはい」「あー! もういい!」と、その看護師は業を煮やし自分で処置台の引き出しからアルコール綿を取り出した。
 
「うちの奥さんにしてもさ、キミにしてもさ、どうしてこう女性ってのは男が見つけられないものを一瞬にして見つけてしまうんだろうね。魔法使いかっての気持ち悪いあっちいけよ」
「ムカー! もう絶対ヨシミさんの処置手伝わないからね! だいたい男の人ってその辺の脳の作りがそもそも女性と違うらしいわよ」
「脳のせい?」
「うん。脳のせい」
「いいこと聞いたありがとう」
 
と、悠々と帰宅して、まぁ自慢じゃないけど夕食の準備の時に妻から「冷蔵庫から○○取ってきて」の依頼にスムーズに応えたためしがない。「どこだっけー」と、最初は小さな声で探しているが、本格的に見つからないと思い始めたら「どこだっけなー。どこだっけなー」と、妻に聞こえるように言い始めて、要するにギブアップ宣言。ちょっと小言言われてもいいから妻に探して欲しいヘルプ宣言。
 
倹約家の妻は冷蔵庫の開けっ放しにものすごい厳しくて、おまけに依頼した物がいつまで経っても見つからないものだから、開けっ放しと見つかんないのダブルの怒りで「んもう!」と、遠くのフリーザが一瞬にしてクリリンの目の前に移動するように、瞬時に冷蔵庫の前に来て、瞬く間にお目当てのマヨネーズを取り上げて、それを傍らで見上げて「あ、やっぱすげぇな」と思うわけです。
 
「でもねー、そういうの脳のせいだって言ってた」
「は?」
「看護師さんがね、脳のせいだって言ってた」
「何が?」
「いや、ほら、マヨネーズとか見つけられないのって」
「は?」
「見つけられないのは脳のせいだって」
「は? あなたの脳のせいだったらあなたのせいよ」
 
イッショーイッショニイテクレヤー。
 
2010年01月24日(日)  ホラナ。
 
職場の飲み会の帰り道。寒い寒い。新人美少女看護師と同じ道だったけれども寒い寒い。腹巻もタイツも履いてんのに寒いんだよ。これだから東京は嫌なんだよとぶつくさ喚きながら歩いていると、「私んち貼るホッカイロいっぱいありますよ」と言うので、「それじゃあ寄っていい?」と酔った勢いで言いましたら「はい、いいですよ」と尋常な口調で言うので、一瞬僕のテンションは急上昇フルテンだったけれど、「あ、えっと、やっぱいいや」と、肝心なとこでいつだって臆病の虫が泣き出すという本来のチキン振りを発揮し、頭をひねりながら自転車で帰宅。さっき風呂から上がってこの日記書いてから就寝中の妻に抱きついて全力で懺悔します。
 
2010年01月23日(土)  反省は毎日で。
 
南国出身の僕は、いろんな意味で都会が冷たい。だからこの季節は腹巻とタイツが欠かせない。
 
「どんだけ寒がりなんですか」とよく驚かれるのだが、そこまで寒がりなわけではなく、いろんな意味での冷たさを包括的に表現しているのが腹巻とタイツであって、僕は自慢じゃないけどメンタルが弱い。先日の新社会人が集まる内定式で僕は言いました。
 
「持論ですが、人の心を看る人はメンタルが弱くてナンボだと思うのです。弱ければ弱いほどいい。どうしても医療と患者という枠組みは軸を変えると強者と弱者になってしまいがちです。強者にならないようにと意識するよりも、弱者に寄り添った方がいい。物事は上から見下ろすよりも、下から見上げて考えたほうがいい。視点も広がるし、どこまでも高いですからね」
 
上記の理由で僕は腹巻とタイツを履いているのです。メンタルが弱いものだから、しかもそのストレスは身体の反応として出るのだから。全てのカルマは腸にくる。釈迦がこう言っておった。「人間は生まれによって尊いのでも賤しいのでもない。その人の行為によって尊くも賤しくもなる」
 
僕のやっていることが尊いものなのか賤しいものなのかよくわからなくなる。でも腸が教えてくれる。「あなた私が下痢させるってことは、何かしら間違っているってことですよ」って。
 
白衣の下で、腹巻とタイツは都会の冷たさも、人の心に介入する辛さも、ハーゲンダッツの抹茶味も、あらゆるカルマを吸収してくれる。自前のタイツは3枚。これから出勤なんだけど、タイツが全て洗濯中。玄関のドアを独りで開けよう。
 
2010年01月22日(金)  確かに七連勤。
 
七日間連続勤務が終了し這々の体で家に帰り飯を食って御ハナをお風呂に入れて先にあがらせてから、はぁーと大きな息を吐いて顔半分浴槽に浸けてブクブクしていたら、妻が浴室のドアから顔を出し「御ハナの靴洗って」と七連勤の疲労とは関係なく言うので仕方ない。浴槽から半身出して御ハナの保育園の上履きを洗濯石鹸とタワシで洗って、はぁーと再び大きな息を吐いて顔半分浴槽に浸けてブクブクしていたら今度は「パパあがんないの?」と御ハナが浴室のドアから顔を出したので、パパはね、御ハナのクツを洗ってたんだよと言うと、「わぁー」と、両手を口に当てるお決まりの感動リアクションを取った後、「確かに洗ったの?」と言う。3歳児が「確かに」という言葉を使っている。しかも洗ったことに対しちょっぴり疑っている。「ママー、パパちゃんと洗ったよねー」と、脱衣所で入浴後のスキンケアを行っている妻に大声で話し掛けると「わかんなーい」とクールビューティー。「パパお風呂遅いからダメだよねー」と言いながら御ハナはどっか行ってしまった。確かに七連勤頑張ったはずなのに。
 
2010年01月21日(木)  おそれいり子さんのカルテ整理。
 
学生の頃は全く使うことがなかったが、大人になってから急に使用頻度が上がるオトナ語というカテゴリーが僕の中にあって、十数年前、最初に感じたオトナ語が「お疲れ様です」であった。
 
ある言葉をオトナ語と認識した次の障壁が、そのオトナ語を自然に使いこなすことであって、延髄反射の如く、自然にそのフレーズを言ってこそ真のオトナなのである。
 
ちなみに既に習得済であるオトナワードは、「お世話になっております」「とんでもございません」「今後とも宜しくお願いいたします」「結論から申しますと」などがある。
 
そして目下習得しようと目論んでいるオトナワードが、「おそれいります」である。
 
職場に何言ってもどんな反応しても最後に「おそれいります」と言って締める女の子がいて、僕はあなたのことをおそれいり子さんと呼んでいるのだよと冗談を言っても「おそれいります」と仰々しく頭を下げるくらい徹底したおそれいりっぷりで、そのおそれいる牙城を崩したいので今度の飲み会行かないのと婉曲にお誘いすると「ご遠慮させていただきます」と、あ、違うことも言えるんだ。
 
2010年01月20日(水)  圧倒的不利。
 
「ヨシミさん、あとでちょっと話があるんですけど」なんて職場で平然と言う人やめて。もう10年以上中間管理職をやっている僕は「あとでちょっと話がある」のしんどさと怖さをもう身に染みて理解してるからやめて。
 
「仕事、辞めたいんです」という言葉が続くのではないかと、終始怯えているのである。もうホントこれは怖い。怖くてしんどい。トップに言うには緊張するし、同僚同士で喚いていても前に進まぬ。そんな時には中間管理職に丸投げドン。説得しつつも上に報告せねばならぬ。なぜならば本当に辞めると宣言したときに「君はいつから知っていたのかね」と絶対言われるんだから。僕の看護師生活は中間管理職生活でいつから知っていてどうして黙っていたのと尋問生活である。
 
今日も今日とて「ヨシミさん、あとでちょっと話があるんですけど」なんて言われて、「な、何? 何? なんの話? 今言いなよ」なんて狼狽すると、「話すと長くなるんであとで」なんて言われて、元来気が小さいものだからドキドキしながらその後の業務をこなして、「今時間ありますか? さっきの件なんですけど」なんて言われて、あんまり時間ないけど聞きますよ。どうしたの?
 
「いや、来週の飲み会の場所なんですけど、もういい加減あそこはみんな飽きてますよねぇ」
 
なんて言いよるんだよ。なんてこと言いよるんだよ。人の気も知らないで。というわけで僕は怒りました。てめぇ話すと長くなるんでなんて言ってたくせに飲み会の話かよ。飲み会の話だったのかよ。チョー嬉しいじゃねぇか。と、漫画だと涙流しながらプンスカ怒っているシチュエーションね。
 
というわけで間違った認識をしている人が多いんですよ。話せば長くなるってそりゃあ飲み屋の場所決めるんだから確かに話せば長くなるんだろうけれど、そういうことを言っているんじゃなくて、「ちょっと話がある」と、最初のコンタクトでその話のテーマを無自覚に隠していることが問題だと思うんですよ。
 
「ヨシミさん、あとで今度の飲み会の件についていいですか?」これでいいじゃない。どうしてできないの。なんてちょっと話がなんてもったいぶってんの。「ちょっと話」とテーマを隠すことによって、受ける方が圧倒的不利な立場に置かれることがわかっているのかね。俺の人生は本当に、圧倒的不利だ。圧倒的に不利だ。
 
2010年01月19日(火)  あと5分。クールビューティー。
 
サザエさんで朝「あと5分」って言っていつまでも起きれなかったら罰金するという話を見て、そうかそうすればいいのかと、夕食を作っている妻に「僕も明日から起きれなかったら罰金すればいいじゃない」と、文法が滅茶苦茶な提案をし、なんとなく受諾された様子なので朝1回目のアラームで覚醒しなければ500円罰金ルールを設定。
 
それから一度も寝坊することなく、「今日も起きれたよー」なんつって朝から家族と喜びを分かち合いたいのだが、当たり前のことは当たり前にして然るべきという人生のハードルが僕よりかなり高めに設定してある妻にしてみれば、御ハナがアイスを完食し「冷たかったケド全部食べたヨー」と、好物を食って更に褒めてもらおうとする魂胆を読み取った時の反応と同じくチョークールビューティー。「だったら先にゴミ捨ててきて」なんて平然と言いよる。俺は今日も生きている。
 
2010年01月18日(月)  それで酔い。

就寝前にお酒を飲みながら読書をすることが習慣なのだが、酒が美味いと今日はここまでっていう読書の切り方がわからずに困ってしまうことは幸せなことだ。
 
今は梅泉の栞という梅酒を飲んでいて、この梅酒はただの梅酒ではなく、鹿児島の山元酒造という「さつま五代」を作っているとこの焼酎ベースの梅酒で、梅酒飲みながら焼酎も飲んでるような気持ちにさせてくれる優れもの。
 
すごく綺麗な酔い方をするんですね。文章が頭の中に入りやすくなる酔い方。でも、飲みすぎてしまう。アルコール度数が少ないわけではないのだが、一晩で半分ほどいつの間にか飲んでしまっている。つまみなどいらぬ。目の前に美しい日本語があればそれでよい。美しい日本語とビーフジャーキーとチーズタラとアルフォードがあればそれでよい。
 
2010年01月17日(日)  ねえドキンちゃん。
 
職場のある看護師は最近好きな人ができたらしく、「どうしたらいい?」と度々相談してきて、人は自分の考えている答えを強化して欲しい、背中を押して欲しい時に「どうしたらいい?」と相談するのであって、「そうだね。江原啓之だったらこう言うだろうね。亡くなったポチが見守ってますよって」「うーん。松岡修造だったらさ、諦めるなよ! 諦めるなお前! 崖っぷちありがとう! 最高だ! って言うかもね」などと、患者に対しては脅威のカウンセリング能力を発揮する僕も、看護師の惚れた腫れたの話は無責任一辺倒で聞く耳を持たない。
 
その看護師は、男友達とルームシェアしており、まずそこが引っ掛かるんじゃないのかねドキンちゃん。ドキンちゃんは食パンマンが好きになりました。でもバイキンマンと同居してます。食パンマンはどう思うかね。きっとこう言うだろうね。カレーパンマンのキャラがイマイチ確立されてなくてイライラするってさ。
 
アンパンマンの作者が言ってたそうだよ。「食パンマンとドキンちゃんはパンと菌だから永遠に結ばれない」って。なるほどーって思うじゃない? 思うでしょ。でもさ、パンだってさ、イースト菌使ってんじゃん。要するに何が言いたいかっつうと、どんな状況にしたって可能性は残されてるってこと。崖っぷちありがとう! 最高だ! おつかれさまでした!
 
2010年01月16日(土)  ほめられ肌。
 
花王ビオレ洗顔のCMで、モデルのSHIHOが「すっぴんでも肌キレイ」「特別なことしてるんですか?」と訊ねられ、「してないよ」と言ったあと画面が変わり、こっそりと「洗顔で」と小悪魔っぽく言ったところで、それを見ていた妻が「そんなわけないわよ」と語気を荒げた。
 
「だいたいモデルがビオレ使ってるわけないじゃん。このバレーの人(浅尾美和)は使ってるかもしれないけどさ、モデルがビオレなわけないじゃん」と、なんだか物凄く怒っており、どうしてこんなにCMごときで怒っているのだろうと考えたところ、
 
妻は先日の誕生日で30歳になり、30歳といえばお肌の曲がり角を曲がってちょっと走ったところであって、美肌を意識しなくともいい加減意識してくれとお肌が主張を始める時期で、「ムムムー。ムムムムー」と、妙な唸り声を発しながら夜な夜なパソコンの前で考慮すること約1ヶ月。リサーチにリサーチを重ね、ようやく先日美顔器を購入したのだった。
 
値段を訊ねたところ、あの倹約家の妻が「聞かないで」と顔を背けるほどの高価なものらしく、美顔になるべく考えて考えあぐねた末に美顔器(ジェル別売)を購入したのに洗顔だけで0.02mmのうるおい層を守ってみずみずしい肌に仕上がるわけネーヨ! と、怒っているのである。それは人格を否定された時に湧き上がる怒りと一緒であって、一緒だよねーと妻に話し掛けると、「ちげーよ」とまだ怒っている。
 
2010年01月15日(金)  立体的リアル。平面的現実。
 
公開中の映画の「アバター」を見て、3D映像があまりにもリアルかつ美しすぎて現実の世界に戻りたくなくなり、戻ったとしても空虚感に包まれて、うつ状態になる人が多いというニュースを見て、うつ状態になる映像とはどんなものであろうと今日の一人の休日を利用してアバターを見にいこうと思いながらこんな時間になった。この阿呆のような時を過ごす時間の早さは何なんだ。話題のアバター見なくても、現実はよりリアルで誰だって簡単にうつ状態になれちゃんだから。
 
2010年01月14日(木)  ショーベージ。
 
御ハナとアニメのポケモンを見ていたら食事のシーンでピカチュウがテーブルの上に座って食事を摂っており、アニメといえどもテーブルの上に座って飯を食うなど言語道断。「テーブルの上に座ってダメだよねー」と御ハナに話し掛けると、「イスが足りないからかなー」と言うのでよく見ると、椅子は全て人間が座っており、ピカチュウの分はない。「それとも届かないからかなー」と、例えイスに座ったとしてもピカチュウの胴や手の長さから鑑みてとても届きそうにない。
 
よって御ハナの解釈は、ピカチュウは好きでテーブルの上で飯を食っているのではなく、諸事情を考慮し、最善の状況を選んだ結果としてテーブルの上に座っているということで、ただ単に「テーブルの上に座ってるからダメ」と、結果だけを見て物事を判断してしまった父親とは、物の見方が随分異なり、そこに無垢で穢れのない優しさを感じることができる。
 
「御ハナは優しいねー」と頭を撫でると、照れながら僕から離れて「ショ、ショ、ショーベージー」と、最近の御ハナのマイブームである証城寺の狸囃子を歌い始める。
 
「御ハナ、しょ、しょ、しょーじょーじーって歌うんだよ」
「ショ、ショ、ショーベージー」
「しょーじょーじー」
「ショーベージー」
「しょうじょうじい」
「ショーベージー」
「ぴかちゅー」
「ピーカーチュー!」

と、「チュー!」の掛け声と同時に頭を小突かれたのはなぜだ。
 
2010年01月13日(水)  実力と状況。
 
本日職場で一心不乱。原稿無事に完成。2日で原稿用紙15枚。鼻唄うたいながら残務していると看護師が話し掛けてきた。
 
「すごいですねヨシミさん。とてもじゃないけど私には書けません」
「書けないんじゃなくて、書くんだよ。誰だって書ける」
「え?」
 
「今、午後3時でしょ。例えばね、午後8時までに原稿用紙15枚書かなければ、今着てる白衣が溶けてスッポンポンになってしまいますよハイスタートって言われれば書くでしょ。書けるでしょ。ブラジャーまで溶けるかはよくわかんないけど、結局はそういうことなんだよ。公衆の面前でその透き通るような裸体なんて見せたくないでしょ。書けないんじゃなくて、書かなければいけない状況に追い込まれてないだけ。あなたと僕の違いはそれだけ。実力じゃなくて状況なんです」
 
「いたるところにセクハラ発言が散りばめられていて訴えたい気持ちがなみなみとみなぎってくるけど、なんだかわかる気がする」
 
という看護師との会話を新人美少女看護師が目を丸くして聞いており、会話の内容を時折メモしておった。訴えられたら俺は確実に負ける。
 
2010年01月12日(火)  also positive!
 
本日中に、来月のシンポジウムで使う原稿を送ってほしいとメールが届き、ふざけんな。人にもの頼んどいて今日中に送れとは何事だ。こういうのはもっと余裕を持って連絡するんじゃないのか一般常識的に。と、プンスカしながらメールの添付資料を開くと締め切りが1/8までと書いてあって本当に申し訳ありませんでした。速攻原稿送りますと言いたいところだが、まだ一文字も書いていない。
 
まあこれもそれも職場で年末に行われた謎の集団による大掃除がいけないと思うんですよね。あの大掃除で僕の大事な書類を全て処分された。その処分された中に今回のシンポジウムの詳細が書いてある資料があって、その資料さえあれば今頃原稿書き終わってたのにねっていうのは言い訳で、あってもなくても書くわけないのがヨシミクオリティ。
 
その原稿ってのが、こんな日記みたいに思いつきをペラペラ書けばいいものじゃなくて、とある研究の結果を書かなくてはいけない。しかも先方は原稿用紙15枚程度を要求している。
 
そういえば土日、二連休だったんだよね。今この絶望的な状況に置かれて思うのは、あの二連休でみっちり原稿を書いとけばよかったという後悔よりも、この原稿のことが頭にあったら、きっと二連休ゆっくり休めなかったから助かったという思いの方が強い。どこまでもポジティブ。突き抜けろ小宇宙。現在午前0時半。あと3ページほど書いて完成。寝て起きて明日は全力で謝罪。
 
2010年01月11日(月)  モーニングフィナーレ。
 
朝ごはん食べさせた。おしぼりタオル3枚と手拭きタオル2枚、あと着替え1組準備した。連絡帳に昨日の様子と今日の体温、朝食の内容も書いた。万事OK。さあ御ハナ保育園行くよ。さもなくばパパがお仕事に遅刻してしまうよ。靴下履いてージャンバー着てー、あ、今日は燃えるゴミの日だった。ちょっと待ってね、ってよし。エアコンも……切った。給湯器のスイッチも……消した。よし御ハナ行こう!
 
「ハナうんこーーーーー!!」
 
これがあるから時間に余裕を持って動かねばならぬ。朝の慌しい時間にダメ押しの「ハナうんこ」こればっかりは生理現象なのでイライラするわけにはいかず、御ハナをトイレに座らせて「出た? ねえ出た?」と急かすように言うパパがうっとおしいのか、最近は「ねえ(トイレのドア)閉めて!」と、僕を追い出そうとする。トイレの前で狼狽しながらまだ出ないかなまだ出ないかなと時計を気にして、「出たー!」の声と同時にトイレに入ってウェットティッシュで尻を拭いて、さぁズボン上げて保育園行くよと、ズボンを上げようとすると「自分で上げるのー!」とパパの手を払いのけ、パンツを逆に履いて、御ハナパンツ逆だよほら。ズボン履かないの? パンツのまま保育園行くの? おかしいなー。パパほらちゃんとズボン履いてるよー。よーよーよーなんで今靴下脱ぐの? ジャンバーこれイヤなの? これでいいじゃん。フサフサついてて暖かいよー。くーつー! それパパの靴だって。ブカブカじゃん。それ履いて保育園行くの? おかしいなー。だったらパパ御ハナの靴履いていこっと。ってダメでしょ。人の靴履いたら御ハナも怒るでしょ。だったら自分の靴履いて行こうねー。それじゃあシュッパツシンコー! 今日も御ハナ、エレベーターのボタン押すんでしょ。ちゃんと下のボタン押すんだよ。上押したら保育園行けないんだからね。って燃えるゴミ玄関に置いてきた! ちょっと待っててねー。はぁはぁ。寒いのか暑いのかわからんねー。
 
と、朝8時半の時点で1日の体力の1/3を確実に消費している。子供一人でこんなに大変なんだから二人を自転車の前と後ろに乗っけて鬼気迫る表情で保育園に来るママ達を見て、なんか毎日拝みたくなる。
 
2010年01月10日(日)  対の住み処。
 
住宅問題。さてどうするか。これは将来、田舎に帰るか東京に住み続けるかの問題で、まず田舎に帰る場合、東京でお金貯めて田舎で一戸建てを一括購入あるいは頭金をごっそり投入。東京に住み続けることを選択した場合、住みよい住環境というポイントは諦めるしかなく、田舎で購入できる一戸建ての倍以上、場合によっては3倍以上の金を掛けて分譲マンション。
 
東京への未練があるのかどうか。住み続ける意味は何なのか。僕は未だにフリーライターの仕事も細々と行っており、このライターの仕事は大抵都市部に集まっていて、しかも打ち合わせも「じゃあ新宿で」「それでは池袋で」なんて指定されることが多く、自らの人生の自己実現という部分に関しては、一番達成しやすい場所なのかもしれない。
 
妻。妻は何を望んでいるかというと、東京でも田舎でもどちらでもいい。ただ平穏に円満に。あなたが選択した人生に、ただ黙ってついていくわ。「じゃあ田舎帰ろっか」でも東京は好きな時に好きな物が手に入るわ。「じゃあ東京に住もうか」でもあなたの田舎の長閑さを見るとこんなかまびすしい場所になんていたくないわと、めちゃくちゃ揺れ動いており、毎回結論に至らない。
 
いずれにせよ終の住み処を決めるのは、御ハナが小学生になる残り3年で考えればいいので、今はただポリープ手術を行った皆等愛子の術後の経過が気になってしょうがない。
 
2010年01月09日(土)  ケムモとホスト。
 
成人識別ICカードケムモを無料で即日発行してくれる新宿のケムモサービスステーションに行ってきた。
 
新宿なんて子供できたら無縁の街になってしまったなぁ。ストリートや場末のバーでボーカルグループの一員として歌っていた頃は、新宿西口公園や南口のカラオケボックスで練習したりスタジオ借りたりと、週に1回は行っていたのだが、新宿の式場で挙げた結婚式の当日。しかも30分前、静岡から来た親戚が新宿駅で迷子になってしまい、誰か迎えに来てほしいと連絡。
 
新宿駅の中は知っているが親戚の顔は知らない。親戚の顔は知っているが新宿駅の中は知らない。新宿駅の中も親戚の顔も知っている者だらかおらぬかーと言うまでもなく僕だけであって、挙式用のタキシード姿で新宿東口を疾走。泣きそうな顔で立ち止まり周囲を見渡してまた疾走と、100人中100人が挙式前に嫁に逃げられた花婿という悲劇か喜劇かドラマチックな演出をしたのが3年前。
 
JR新宿駅の南口を出たら其処はあたしの庭大遊戯場ルミネ1の斜め向かいにケムモサービスステーションがありますと、ケータイサイトの画面見ながらルミネねルミネ。じゃあこっちかと歩いて行った方向はルミネ2の方向で真反対。僕は本当にどこかへ行こうとするときに何も考えないで行動してしまうタイプで、誰かと2人で東京を歩いていると、よく「ねぇ、どこ行こうとしてんの?」「あ、知らない」という会話が頻発するほど無責任に歩いており、「あ、知らない」と言った後、一緒の誰かはこいつやばいと思ってくれて羅針盤代わりになってくれるのだが、一人だと羅針盤がないものだからルミネ2で立ち往生し、疲れたから一服したいが一服する場所はどこかにないものかとルミネ1から更に逆方向に歩き、喫煙所を見つけたがタバコがないことに気付き、ケムモ持ってないからコンビニ行かなきゃねとコンビニ探していたら歌舞伎町まで行ってしまいホストのスカウト。しかし年齢を告げた途端、「師匠!」と妙な拍子の拍手をされ撤退したホストとこの僕の生き方はそう変わらんのかもしれないね。
 
2010年01月08日(金)  厚斬り!
 
休日。ノートパソコンと新しい携帯を探しに秋葉原。新品のモンスターハンター3が1500円で売っていて、これは買いだと思って買ったけど、平日多忙の社会人の身としては、とても開封する気になれぬ。
 
秋葉原はカレー屋が多い。なぜ多いかは知らない。多分、秋葉原に行くってことは飯を食う以外の目的の方が大きいからで、腹が減っても飯を食う以外の目的を達成したいけど腹が減るけど飯を食う以外の目的を達成したいために来たわけであってそれでも生きてちゃ腹が減るからしょうがない。ササッと飯でも平らげようかと、すぐに出てきてサッと食べれるっていうカレーの存在と客のニーズが合ったのかもしれないね。
 
そんな僕も、もともとグルメではないので腹が満たせればそれでいいので今日もカレー屋入ってろくにメニューも見ずに券売機のボタンを押して、ロースカツカレーを食っておったら、ちょこちょこ店員が僕の食いっぷりを見ていると思ったらどうも僕のカレーを見ている様子で気持ち悪いな。いやだな。もう田舎帰ろうかななんて考えていたら、その店員が意を決したようにカウンター越しに僕のところに来て、
 
「申し訳ございません。お客様に出したカレーはロースカツカレーじゃなくて厚切りロースカレーでした。厚切りロースカレーというのは、普通のロースカツカレーよりも肉が厚くなっておりまして、もちろん値段も違います」
 
(こいつロースカツカレー注文して間違えて出したオレも悪いんだけど厚切りロースカツカレーを出しちまって、でも普通気付くじゃんこれ普通のロースカツカレーより肉が厚いなって。こいつ、ってお客さんに言っちゃまずいけどこいつも多分カレーが運ばれてきた時点でわかったと思うんだよね。厚切りロースカツカレーだって。でも食っちまったんだよ。平然と。飄々と。なんて厚顔無恥野郎なんだ)
 
「しかし間違えたのは当方なのでお取替え致します」
 
と、まくしたてるように注文にミスがあったことを話し始め、行った人はよくわかると思うけど、お昼時のアキバのカレー屋は大抵満員であって、その満員の店内で、低料金でワンランク上のカレーを平然と食っている悪い奴と他の客全てから避難の目を浴びせられているような気がして、あの店員の言葉の行間に( )内のようなことを言っているような気すらして、今更お取替えするって言ったってもう半分食ってるし、俺はどうすればいいんだとカレーの汗なのか狼狽の汗なのかわからぬものを噴出しながら店を飛び出して、新宿に寄ってとうとうケムモを作りました。
 
2010年01月07日(木)  朝が弱い。
 
朝が弱い。いくらでも眠り続けることができる。独身の頃は何も予定がない休日は午後4時くらいまで眠り続けいていた。もうずっと朝が弱い。
 
「黒酢いいですよ。黒酢」と、職場の看護師が黒酢を飲み始めた途端、朝に滅法強くなったという話を聞いたその日の帰りに早速黒酢を試してみたが胃がキュゥンとなった他は特に変化なし。
 
こんな時間に日記書いてる暇があったらもうちょっと早く寝ればいいだけじゃないと妻は言うが、多分それが正解。でも仕事が毎日本当に忙しくて、家にいるときくらい、自分の時間をゆっくり持ちたいのだ。
 
朝が弱い。きっと明日も目覚まし通りに起きられない。今日もまたワインを飲んでいる。ワインばかり飲んでいる。でも昨日、結構高価な梅酒をもらったので、梅酒も黒酢も、なんとなく共通してるところがなくなくもなくなくないので早起きのために今から梅酒をいただきます。おやすみなさい。何か早起きの秘訣あったら教えて下さい。
 
2010年01月06日(水)  お父さん。
 
父はいつも仕事から帰ってくると、職場でもらったお菓子やジュースを何も言わずにテーブルに置いていた。
 
僕と妹2人。疲れた顔して着替えている父に「ありがとうお父さん」と言うと、何も言わず、頷きもせず。父は無口な人だった。
 
父は不器用な人だった。幼き僕がプロ野球見に行きたいと行った数ヵ月後に、「明日、福岡ドームに野球見に行くから」と、突然言い出す人だった。僕は、本当に野球が見に行きたかったわけではない。プロ野球が好きな父と、ただ一緒にいたかったのだ。僕は小さな頃から器用な人間だった。
 
父は無口で不器用な人だった。いろんな人に騙され、裏切られ、見放され、最後には、妻と子供を失った。独りになって、どこかへ消えた。
 
「ヨシミさん、飲まないんですか?」
「あ、あぁ、いいよ。あとで飲むから」
職場でもらった缶ジュースを白衣のポケットに入れる。
 
僕はいつも仕事から帰ってくると、職場でもらったお菓子やジュースを御ハナに渡す。
 
「ひゃー疲れた。うはぁ家に帰ってきた。帰ってこれた。帰ってこれねぇと思った。うひゃあ疲れた」と、何だかんだ喚きながら着替える僕に、「パパありがとー」と、缶ジュースを抱えて御ハナは言う。「このジュースはねー。パパのねー、お仕事してるとこの血と汗と涙が入ってるんだよー」と、御ハナを抱きかかえながら言うと、「気持ち悪いからやめて」と、妻が笑いながら言う。
 
僕は冗舌で器用な人間になった。いろんな人を信じ、手を差し延べ、見守り、毎日、今ここに、この場所に家族がいることを切実に感謝している。
 
父はまだ元気にしているだろうか。大好きな焼酎のお湯割りを飲みながら、家庭を持った僕の顔を見て、あの小さな声で、きっと呟くだろう。
 
「やっぱり俺には似てないな」
 
2010年01月05日(火)  苦悩と享楽。
 
昨日、とある会議に提出する資料作成をしなければならず、実はしなければならないことはないのだけど、その会議の係の看護師が休みでしかも資料を作っていなかったため、その看護師の為に係でもない僕が2時間後の議に間に合うよう脱兎の勢いで新人の美少女看護師を帯同し、あらゆる病棟に顔を出し、資料の情報収集に勤しみ、その会議はなんてこともなく終わった。
 
なんてこともなく終わった。そして今日を迎えた。ナースステーションで昨日の会議の係の看護師に会って、まぁこちらから何も言わなくともお礼くらいは言われ、あわよくばハグでもされるかなぁと思っておったら、「昨日は新人さんとお楽しみだったようですね。これからも二人仲良くやればいいんじゃないですか」と口を尖らせていて、昨日の状況をチクったであろう看護師にキッと視線を投げると、「あ、昨日のこと全部言いました」と尋常な口調で述べるため、もはやこの病院に私の味方はおらぬ。これからも新人さんとお楽しみしようと思いました。
 
2010年01月04日(月)  あ、いいとこ来た。
 
職場で「あ、いいとこ来た」と呼ばれるランキング1位の僕です。「あ、いいとこ来た」なんて言われて嬉しかったり得をしたことは1度もなく、大抵面倒臭い仕事や万策尽きた後の諦めに満ちた空気の中に入った時で、今日は真剣に「あ、いいとこ来た」と1日何回言われるのか数えてみようと、丁度今日は僕に新人さんの美少女看護師がついていたので、「えとさ、今日僕にさ、あ、いいとこ来たって言ってくる奴にさ、ヨシミさんはいいとは思ってませんこのエゴ野郎って叫んでくんない?」とお願いすると、「はいできません」と、僕特有の如何なる時も本気なのか冗談なのか判別つかぬ口調で話し掛けられた時は、とりあえず何も考えずに拒否しようという思考ルーチンが完成されており、入職わずか3週間でその適応の早さにびっくりしました。
 
本日最後の「あ、いいとこ来た」は、2時間の残業を終えた午後8時。「あの患者さんが薬飲んでくれないんですよー」と、遅番の看護師。「あ、そう。それじゃあお疲れ様でした」と、タイムカードを押すとクネクネしながらウダウダ言い出したので、クネクネウダウダに弱い僕は、薬を持って患者さんのとこ行って、ちょっと話して3分で薬飲んでもらって、ナース室戻って「ちゃんと飲んだよ。それじゃあ」と颯爽と去ろうとしたら、ウダウダはなくなったが、余計クネクネが始まった。皆、反応はそれぞれだが様々な形で僕に適応しようとする。
 
2010年01月03日(日)  君の誕生日。
 
1月3日は妻の記念すべき30歳の誕生日。とうとう君も30歳になったかぁなんて感慨深く話しても26歳以前のことはあまりわからないので、毎年毎年、全力で君がいることを、僕の妻でいてくれることを祝おう。
 
小遣い制だから高価なプレゼントはできないけれど、君の欲しいものは何となくわかる。毎晩雑誌をめくりながら「あ、これいいなァ」と呟いたものを興味のない振りして何となく覗いて全力でインプットして、君の何となく欲しい物リストの補完作業をしていたのだから。
 
kitson。今年のプレゼントは君の「あ、これいいなァ」回数が多かったkitsonのバッグでいこうと思った時期もあった。でも僕は歳を取りすぎたのかもしれない。L.A発、セレブ御用達のデザインがどうにも理解できなかった。kitsonとTOMMY HILFIGER。街を歩けば10分に一人はそのロゴに出会う世の中に、僕はもうついていけないのかもしれない。

いつの日か「ネックレス欲しいなァ」と言った君の呟きを思い出し、毎月貯めた小遣いで、ティファニーのネックレスを買った。
 
ネットで買おうと思ったら、どれが本物でどれが偽物で、海外販売品購入の並行輸入品は偽物が多いだの、とあるネットショップには「なお「本物」の概念は人により異なりますので、「本物である」と明言はいたしかねます」と露骨に記載されていたりと、ティファニーの輝きの裏に潜むネットの影に怖気づいた僕は、ネットになぞ頼らずに、自らの足を使い、買いに行こう。30歳のメモリアルだしと、平日の休みの日に銀座のティファニー本店で1時間店内を徘徊し、花の形をしたネックレスを買った。
 
ケーキに立った3本のロウソクを消した妻に、「おめでとう」とプレゼントを渡す。ありがとうとはにかんでネックレスをつけた君はとても嬉しそうで、今にも泣き出しそうだったけれど、「はい、今度は御ハナからのプレゼント」と、ディズニーのキャラクターでラッピングされたプレゼントを渡す。
 
「ハナねー、ママのハッピバースデーするまでねー、お口にチャックしとくんだよってパパ言ってたのー」と、父との約束をちゃんと守ってくれた御ハナ。ティファニーよりも高価でかけがえのない、小さな御ハナのプレゼント。写真立てに入った似顔絵は、御ハナと二人で内緒で作った宝物。
 
誕生日おめでとう。これからもずっと一緒にいようね。
 
2010年01月02日(土)  What if it's a human?
 
正月の二日から書くものでもないが、なんだかうしじまが好きなのである。うしじまというのは、知らない人は全く知らず、知る人はヨシミそんな趣味がとちょっと引いてしまうあの女性のことである。
 
うしじまと検索すればうしじまが何者たるかすぐに理解できると思うが、所謂うしじまとはコスプレイヤーの女性であって、コスプレもエロいアングルの画像もさほど興味はないのだが、もう、顔がもう、どストライクなのである。
 
職場の人間は、付き合いが短くはないので、佐々木希と新垣結衣とうしじまの写真を見せ、僕の好みはどれだと訊ねたら全員がうしじまを指すと思うほど、一重瞼で目が細くて幸の薄そうな顔が好きなのである。
 
僕は二十代半ばからモノカキの仕事も始め、惚れた腫れたの恋愛物などを知った顔で書いていたのだが、人間に一重瞼と二重瞼という二種類の瞼があって、往々にして二重瞼が可愛く見えるというのが世の中の一般的総意であるということに気付いたのが本当に二十代後半の頃であって、そういうことに気付くのが遅かったのは一重も二重も関係なく、その人の心を愛していたからであって僕はうしじまの心を愛しているのである知らんけど。
 
芸能人でどんな人がタイプ? なんていう看護師さんと飲みに行って大した話題もなくなってきたときに出るような質問に、夏帆です前の彼女に似ているのです。大塚寧々です妻に似ているのです。なんて答えていたのだが、僕の好みが具現化された人物が出てきたことによって、これからは自信を持って言えます。平岩紙ちゃんです。
 
2010年01月01日(金)  三面楚歌。
 
先日の大晦日。職場の謎の集団で結成された謎の集団が突然ナースステーションの大掃除に参って、所定の場所にない物全てを綺麗さっぱり処分していった。
 
僕は比較的特別な仕事をしていて、ある一つのナースステーションを一人で使用していて、そこを拠点に残りの病棟を往来しており、いわば僕のナースステーションは僕の部屋といっても過言ではなく、時々優しい看護師が掃除をしてくれるのであるが、おおむね混沌に支配されており、いらぬ書類と重要書類が同じ場所に積み重なり、同時に様々な人間の思惑も積み重なっているということはどうでもいい。どこいった。あの処分された書類などは。
 
あれがなくなると非常に困ることになる。まず今月〆切を迎える、とある医療記事の内容。文字数とかページ数とかテーマとか、あと報酬とか書いてある出版社からもらった書類ね。次にないと困るやつが2月に参加する予定のシンポジウムの詳細。最後にどこかの大学に呼ばれているパーティの参加状。
 
とりあえず上記3つね。血眼になって病院中探したんだけれど見つからなくて、悔しいけれども謎の集団の一人に「日頃から整理整頓を怠り、誠に申し訳なかった。私の部屋の大切な書類達をどうか返してほしい」と、頭を下げて言ったら、「あれホント捨てましたよ」と尋常な口調で申すので、忘れてた。ホント忘れてた。ここはそういう職場であった。
 
臨床現場を知らない人間で結成された集団は、ナースステーションを大掃除しろという命に実直に従い、現場を知らないため何が大切で何が不要かわからぬので、とりあえず目の前に広がるものを全て処分する。そんな冷酷無比な方策を平気で講じる職場であったここは。そういう考え抜いた故のシンプルさが好きでもあるんですがね、そういう洒落にならない本気さも好きではあるんですがね。
 
というわけで僕は今月〆切の原稿のテーマを知らないまま、文字数も適当にブログの日記のような稚拙な文章で近代医療を語り、医学書院という知る人ぞ知る有名出版社の顔に泥を塗り、2月にシンポジストとして呼ばれているシンポジウムもテーマも場所もわからずに、2月の何日かすらもわからなくなったので、2月の、まぁいいや12日くらいにふらっと街に出て、シンポジウムをやってそうな建物に入り、「今日ここで僕のシンポジウムやってますかね?」と聞き歩き、同様、どこかの大学に呼ばれているパーティも何を祝うパーティか忘れてしまったが、常にフォーマルな恰好をしておれば誰かから声が掛かるかもしれぬ。

元旦から既に三面楚歌。残りの一面からひょっこり顔を出し明けましておめでとうございます。
 

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