窓のそと(Diary by 久野那美)

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2003年12月19日(金) 扉。

私のサイトのトップページは図書館の壁の形をしています。
図書館と窓の出てくるお芝居をした後に作ったのもあってか、なんとなくそういうデザインになりました。

参照→トップページはこちら

窓をつけることは忘れませんでした。
素敵な窓をつくらなきゃ、と慣れない画像作成ソフトで試行錯誤し、
オリジナルの窓を作ってはめ込みました。
我ながらよくできたと満足しました。
窓ガラスも作り、中には明かりも灯もしました。
図書館であることがわかるようにするために、看板もつけました。
煉瓦造りの壁紙はちょっとアンティークで、古風な図書館にぴったり合っていると思いました。

それから1年と9ヶ月。

今日はじめて、私はこの図書館に扉がついていないことに気がつきました。
トップページというのはサイトの入り口だというのに。
なんということでしょう。
しばらく呆然となりました。
ショックでした。

扉をつけることを思いつかなかったこともショックでしたが、
今改めて見直しても、いったいどこにつければいいのか見当もつかないということがショックでした。

個人的には、「扉」という家具が私は嫌いではないです。
どちらかというと好きなのです。
重くて厚い木の、あるいは鉄の板をギイと開ける感覚。
丈夫なちょうつがいで縫い閉じられた二つの平面。
互いにすっぽり収まるよう綿密に測られた凹凸。
鍵穴だとか鍵だノブだとかの素敵なオプションも扉ならではのものです。
素敵な扉をあなたにあげましょうと誰かに言われたら、
躊躇せずに貰うでしょう。

だけど、このかべには扉をつけるところがない・・・。
なんでこんなことになってしまっていたのでしょう?
いったい、ここを経て閲覧されているものたちは、この壁のどこに存在してるのでしょう?

悲しいとかいうほどのことではなさそうだし、
悔しいというには対象がなさすぎるし、
取り返しがつかない・・・というのはそもそも正解があったときに使う感情だし、
嬉しいとか楽しいとかは全然違うし。

なんだかなあ。なんだかなあ。
ちくちくとどこがが痛いです。

しばらく考えていました。
考えて分かったことは、この壁には扉はつけられないということでした。
そして、それは不自然でも不思議でも暗喩でも観念でもアンチテーゼでもなく、
この壁がこういう壁なのだということでした。

だって。
そうでなければこれまでに気付いてたはずです。
誰かが困っていたはずです。
誰も何も困ってないということは、この壁は合理的で現実的だということです。

                 *
          

ちくちくの方が観念なのだということに、この壁の設計者は気付くべきです。


2003年12月12日(金) キャラメル

素朴な紙に丁寧に包まれて箱の中にきちんと積まれている。
派手なビニールにきゅっとひねられたり、袋とか缶々にどっさり投げ込まれたりしない。割られたりちぎられたりもしない。
表面には小さな升目が並んでいる。

四角だということが大切なのだ。
四角だということを大切にするためのいろんな工夫の中にいる。
四角でしかないことを損なわないためのシンプルな工夫の中にいる。
それはけっこう難しいことのような気がする。
でも誰かがそれをうまい具合に実現して、
手軽に楽しめる安上がりな四角ができた。

丸くてごろごろ転がるものがとっても豊かで素敵に思えることもあるんだけれど、
そうじゃなくて、そうじゃなくて、そういうんじゃなくてさ、
と、思うときがある。

そんなときのために。


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