| 華のエレヂィ。〜elegy of various women 〜 | ||
| PROFILE & GUEST BOOK | ||
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| 2005年11月06日(日) 秘密営業。 〜sympathy〜 |
| <前号より続く> ミラーの奥には、看護師の白衣を着た綾乃がいた。 幾分か痩せた彼女。 良く言えば大人になった・・・しかし�爐笋弔譴討い覘瓩箸いι集修諒�が似合う。 物憂げな表情を浮かべながら、一通り服を脱ぎ捨てていく。 ブラを外し、一回り小振りになった乳房を見せた。 ショーツを下ろす。股を開き、綾乃自身をはっきり見せた。 しかし視線は遠くをトロンと見つめている。 生気が感じられない。 一連の所作のストリップ。 見慣れていたはずの俺も、ただただじっと見つめていた。 時間終了後。 俺はすぐに個室を出て、その足で受付に向かった。 受付で料金を出して注文した。 「綾乃ちゃんの全裸コースで」 どうしても、帰る気がしなかった。 綾乃ともう一度、話がしたい。 どうにも退けない。 準備が出来、俺は受付横の個室へと招かれた。 ドアをノックし、ノブを手にとって開いた。 「やあ、1年ぶりぃ。覚えてる?」 わざと明るく声を掛ける。 部屋の中央で座り込んでいた綾乃は、力の無い視線で俺の顔を見た。 反応が無い。 忘れているのか? 「平良、さん・・・?」 綾乃は立ち上がり、真っ直ぐに俺に抱きついてきた。 拒絶めいた態度で接されても不思議ではなかった。 しかし全くの予想外の出来事に、俺が戸惑う。 「私、随分久しぶりに出勤したの…よく分かったね」 「俺も本当に久しぶりに来たんだよ。何かありそうな予感がしてね」 「信じられない…私も今日は気が向いたから、さ」 「そう…それに君が今朝夢に出てきてね。会いたくなっちゃった」 「嘘・・・」 「嘘じゃないよ」 「だって、こないだの私の夢にも平良さん出てきたよ・・・」 互いに予感、そして綾乃の夢に俺が・・・意外な言葉が続いた。 「本当?」 「嘘じゃない・・・私、覚えてるもん」 「俺がねぇ。やっぱりスケベだった?」 「ううん、優しい笑顔でずっと泣いてる私を慰めてくれたの」 繰り出す言葉にも力がない。 薄暗い部屋の中。 薄明かりでも、1年前の綾乃よりも草臥れているのが分かった。 「疲れてるみたいだね・・・表情が冴えなかったから」 「ううん、それだけじゃない・・・」 実は店の客は監視カメラで見えるようになっており、綾乃は俺の入店を知っていたのだ。 綾乃は単に無気力だったのではない。 複雑な思いを抱いたまま、のぞきコースに突入していった。 だから動揺を押し隠そうと、余計無愛想に振舞ってしまったという。 「嫌われて辛かったけど、夢にも出てきたし、もう時効かなって」 「時効だなんて・・・そんなつもりじゃなかったよ」 「でも気分悪かったよね・・・あまり突っ込んだ事を聞いちゃったから」 「そんな事、どうでもいいの・・・」 綾乃はこんな話をしてくれた。 他の客との秘密営業の際に、アクシデントが綾乃を襲った。 気を許した客にゴムを付けないまま挿入され、中で出されたのだ。 薄い照明での暗闇の中、気付いたのは全てが終わった後。 しかし綾乃が合意した下での秘密営業であり、店には一切訴えられない。 脇の甘さを悔い、綾乃は一人で泣いた。 その後、生理が停まり、体調を崩す。 妊娠したのだ。 問題はさらに混迷する。 自らの子宮に宿った小さな生命は、彼との子なのか、その客との子なのか。 自らの子宮に宿った小さな生命は、愛の結晶なのか、愚かさの代償なのか。 愛する彼は他人様の家庭の夫。 店の愚客は名前すら知らぬ男。 どちらにせよ綾乃にとって「喜べぬ妊娠」に違いない。 正直に相談し、彼に認知してもらおうとも考えた。 しかしこんな事を告げたら、彼の温もりを失う事になろう。 迷うばかりでは月日が過ぎてしまう。 決断は引き伸ばせない。 綾乃は結論を誰にも告げずに風俗嬢御用達の産婦人科へ赴き、独りで処置した。 堕胎の同意書には、彼の名を内緒で書いたという。 人知れず悩みを抱えていたのは、俺との関係がこじれたあの頃だった。 「バカな事だって分かってたのに、振り向いてもらいたくて…」 「その彼、魅力があるんだね」 「彼・・・優しいから、さ」 「きっと綾乃からみれば、凄く優しい人なんだろうね」 「・・・」 綾乃は黙ってしまった。 俺は綾乃に話し掛けた。 「例え相手が妻子持ちでも、その人の魅力は変わらないもんね。 そこに惚れたんだから、綾乃は悪いこと無いんじゃない? それに何も自分をそこまで傷付けなくてもいいんだよ。 綾乃は優しすぎるから、辛くても誰にも迷惑掛けないように振舞って、 結局は自分自身を傷付けちゃうんだね。 本当に、君はいい娘だよ」 『いい人』ほど内心は傷付き、疲れているものだ。 人間は心の刃を外側へと向ける者と、内に向ける者がいる。 他者を傷付ける事で、貧弱な自分を守る者。 自分を傷付ける事で、他者を守らんとする者。 綾乃は自分が傷付くことで、愛する彼を、その募る想いを守ろうとしていた。 綾乃が会社に隠れてこの仕事を始めたのは、彼に対する�猊�讐�瓩世箸い辰拭� しかし、愛する男に何を訴え恨んでも、所詮は責め切れない。 求めても、恨んでも、他人の夫である。 全ては妻子持ちに惚れた、綾乃の『落ち度』だ。 この仕事…風俗、それも店の規定違反である『秘密営業』をも行った。 金の為ではない、もっと彼女にとって大切なものを見つめ直すための所業。 気に掛けて欲しくで、自分を貶める。 そして誰に気付かれる事も無く、たった独りでズタズタに傷付いている。 店への内緒の違法営業でも、彼への密かな復讐心でもない。 本当の『秘密』とは、自らの心の傷に対してのものだったのだろう。 本当に可愛すぎるほど、愚かな女だ。 綾乃を抱き寄せ、髪を撫でながら慰めた。 「疲れちゃったね…」 綾乃は俺の胸に額を乗せ、初めて甘える仕草を見せた。 そして、堰を切ったように口走り出す。 「疲れちゃった…本当に疲れちゃった… 何でいつも私だけ(辛い思いをするの)?ってずっと思ってた。 でも…誰にも言えなかった…ずっと…本当は気付いて欲しかった…」 「でも気付かれないように、いっぱい頑張ってたんだよね? みんな心配させないように、元気に振舞って演技してたんだよね? 一生懸命、ほころびを繕って繕って…優し過ぎて、いっぱい我慢したから 疲れちゃったんだよね。今日は何もしないから…俺は構わないから…」 俺の前で、壊れちゃえよ…俺は細い肩を抱いて、そう囁いた。 綾乃は突然、俺に抱きついてきた。 そして彼女はありったけの力で俺に抱き付いてきた。 苦しい。 とても細身の女の力とは思えない。 小振りな乳房も完全に潰れるほどの抱擁。 しかし、綾乃は決して力を緩めない。 そして俺の左肩に顎を乗せ、きっと誰にも晒せなかっただろう嗚咽を漏らし始めた。 俺もやせ細った綾乃を抱き締めた。 そして、決して手触りの良くない、痛んだ髪を撫でた。 形になった気持ちが、まだ言葉にならない綾乃。 うわ言のように何かを呟きながら、静かに泣いている。 俺は何も出来ず、ただ綾乃の身体を受け止め、抱き締めていた。 |
| 2005年11月05日(土) 秘密営業。 〜もう来ないで〜 |
<前号より続く> 帰りの車中。 慣れた道を運転しながら、綾乃の一言を考えていた。 「自分が、本当に壊れそうになるから・・・」 秘密営業というキーワード。 そういえば・・・一体、何が秘密なのか。 店に隠れて本番行為をやっている事か? しかしその店では他にも堂々と客から追加料金を取って内緒で股を開く、 手馴れた風俗嬢もいるという。 綾乃にとって、この仕事は何の意味があるのだろうか? 2週間後の日曜日。 綾乃の勤める時間帯に、その店に向かう。 「やあ、まだまだ暑いねぇ」 「こんにちは。今日は突然来たのね」 それまでも、何かとメールを交わす仲だったが、この日は突然入店した。 俺の思惑もあった。 「たまには良いでしょ?」 「慣れたお客さんだから、私は気楽だけどね」 いつも通り、マットに横たわった俺は綾乃のサービスを受ける。 「どう、彼とは?」 「・・・良い感じよ」 「幸せ?」 「どういう意味?」 「いや、もし幸せじゃなかったら俺に乗り換えないかなぁって」 「・・・考えようっかな?(笑)」 「本当?ならば俺、真剣に奪いとろうっかな?」 「こんな格好してて、よく言うわね」 全裸で俺自身を弄ぶ綾乃同様、俺もあられもない格好をしている。 「相変わらず、秘密営業は・・・?」 「もうしてないよ。したかったら、他の娘へ行ってね」 「他の娘には興味ないもん、俺は綾乃ちゃんだけ」 「男の言葉なんて信じないから」 「それって、彼に言ってる?」 「あまり詮索しないで・・・最近の平良さん怖い」 「そうか?」 「・・・もう私のプライベートには立ち入らないで」 「そんなつもりじゃないんだけど・・・」 「でも、何だか苛立っちゃう・・・」 しばしの沈黙が流れる。 俺の言葉も彼女の心を害しただろうが、それにしても厳しい態度だ。 綾乃は気が立っている様子だった。 「今日は何だかダメ・・・」 時間の終焉を知らせるベルがなった後。 俺は欲望を果たしていないかったが、それどころではない。 そそくさと着替えて、店から退散した。 退店後。 綾乃にメールを打った。 『気分悪くさせたみたいでゴメン。怒らせるつもりは無かったんだ。 また改めて店にお邪魔します。』 しばらく経った後、返事が来た。 『平良さんの質問は私の私生活に踏み込みすぎで困ります。 もうメールも止めましょう』 内容に驚いた俺は、すぐに打ち返した。 『そんなつもりじゃなかった。申し訳ないです。 メールは控えますが、お店には行ってもいい?』 間もなく返事が来た。 『もう来ないで。』 さらにメールを打ったが、それ以降メールは返ってこなかった。 綾乃が怒る理由が、俺には分からない。 しかし俺に対して拒絶反応を起こしている様子。 追いすがってもこじれるだけだろう。 俺は綾乃と距離を置く事にした。 それから、俺はそののぞき小屋にも近寄らなくなった。 それから1年近く経った、次の年の7月のとある日曜日。 こんな夢を見た。 白い肌。 華奢な肢体に豊かな乳房。 小振りの丸い尻。 俺の前戯で声を上げ、俺自身の律動に酔う。 ふとこちらに向けた顔。 しっかり覚えている。 綾乃だった。 俺は綾乃を抱いていた。 あの一件以来、携帯のアドレスも消した。 連絡も一切取り合っていないはずなのに。 寝覚めの悪い、夢だった。 まだあの店に勤めているのかな・・・ 営業時間に、俺は店に電話して尋ねてみた。 「綾乃さんでしたら、今日…久しぶりに出勤ですね」 俺はその日の夜、店に向かう事にした。 しかし気がはやる反面、どこか後ろめたい。 何より嫌われたのだから、店に行き指名するのは忍びない。 向こうからは姿が見えない、覗きコースで帰ってくればいい。 俺は客として振舞えば良いんだ… 車を運転する間、俺は独りで弱気な事ばかり考えていた。 しかし不思議と引き返す気にはなれなかった。 全ては好奇心が赴くままに、車を走らせる。 路上のパーキングメーターに300円をつぎ込み、例の店があるマンションへ歩く。 最上階に停まっていたエレベーターが降りてきた。 この僅かな時間さえ、以前はじれったかったはず。 不思議と今日は余裕がある。 ゆっくり降りてきたゴンドラに乗り、4階へ向かった。 店に入る。 改装したのか、幾分か明るくなった店内。 位置の変わった掲示板には、以前と全く同じ綾乃の写真。 俺は覗きコースを注文する。 待合室でしばらく準備の時間を潰した後、個室に入った。 マジックミラーの貼ってある、変わらない雰囲気。 俺は椅子に座った。 <以下次号> |
| 2005年11月04日(金) 秘密営業。 〜職場不倫〜 |
<前号より続く> 半月ほど経った、残暑厳しい月末。 待ちに待った給料を得て時間と予算に余裕の出来た俺は、綾乃にメールを出した。 『ご無沙汰、平良です。今度はいつ入る?』 思いの他、すぐに返事が返ってきた。 その内容は、またしても俺の予想を裏切るものだった。 『Re:あやのです。 今入って入るよ。でももう秘密営業やめたの』 意外な内容に、俺は冷静を装って返事を打った。 『Re:Re:あやのです。 そうなんだ。別に良いけど、でもなぜやめたの?』 またすぐに返ってくる。 『リスクが高すぎるからよ』 ・・・その言葉の真相は何なのか。無性に興味が湧いてきた。 『今、近くにいるんだ。今から行くね』 本当は近く、というほどの距離ではなかった。 俺は突き上がって来る綾乃への好奇心の赴くままに、車を走らせた。 路上のパーキングメーターに300円をつぎ込み、例の店があるマンションへ直行する。 上の矢印のボタンを押す。 最上階に停まっていたエレベーターが降りてきた。 この僅かな時間さえ、じれったい気分だ。 ようやく降りてきたゴンドラに乗り、4階へ向かった。 店に入り、受付でそのまま全裸コースを注文する。 脇の写真は紛れも無く、綾乃。 俺はそのまま綾乃の待つ部屋に通された。 「やあ、こんにちは」 「本当に来たんだぁ(笑)」 驚きの表情を浮かべた綾乃。 そこには笑顔は無かった。 「さっきのメールでも言ったけど・・・もうしないから」 「いいよ。でもさ、何で突然やめちゃったのか知りたくてね」 「理由ねぇ・・・」 服を脱ぎながら、綾乃の言葉が途切れた。 「だって俺、本当に楽しみにしてたんだもん、秘密営業」 「・・・もうその話題さ、止めようよ」 綾乃が初めて俺に見せた、明らかに不機嫌な反応だった。 「ごめん、下手に怒らせるつもりじゃなかったんだ・・・」 「何だか調子悪くて・・・ゴメンねっ」 決して本意ではない口調の謝罪。 俺はマットに横たわり、綾乃の正規のサービスを受けた。 俺自身をローションで擦りながら、どことなく機嫌を損ねた素振りを隠さない。 「必要、なくなったんだ?」 「・・・あまりいい言い方じゃなかったね。でも・・・」 「彼氏にバレたとか?」 綾乃はその言葉が耳に入った途端、顔を伏せた。 「実はさ、私・・・いるんだ。男が」 「彼氏かぁ」 綾乃には恋人がいる。 相手は自らが本職として勤める会社の上司だという。 随分年上の、妻子持ちである。 いわば、職場不倫。 いくら綾乃と楽しく過ごしても、時間が過ぎると相手は家庭に帰っていく。 彼が綾乃に微笑みかけても、その先には家庭への愛情がある。 対して彼女は人気の無いアパートへ帰るだけ。 分かっている筈なのに、湧き上がってくる寂しさと切なさ。 彼の無意識の「ずるさ」が、綾乃の女心を傷つけていた。 彼を男として愛する、一人の女として。 また平然と裏切られる家族、とりわけ妻の立場にたって。 またその裏切りに加担している事実として。 綾乃は手を止め、話してくれた。 この仕事を始めたのは、彼に対する「復讐」なのだと。 彼を心配させたかったから。 彼に心配されたかったから。 「彼って、この仕事を知っているの?」 俺の問いかけに、綾乃は首を横に振った。 「じゃ、復讐にはならないんじゃないの?」 「・・・」 綾乃は答えることができなかった。 「彼の事、愛しているんだ?」 「どうにもならない事、分かっているのに・・・ね」 「そうか・・・辛いよね。でも愛しているのは事実だもんね」 「・・・何で?」 綾乃は俺に問い掛けてきた。 「何で、平良さんはそんな言葉が言えるの?」 「だって、聡子ちゃんはこの仕事でも一生懸命じゃないか」 「・・・本名は止めて」 最初に覗きの個室で見た、綾乃の服を脱ぐ一連の仕草。 ただモタモタ服を脱いでいた訳ではない。 きちんと男の見る目を意識していた。 サービスを受けていて気付く、細やかな気配り。 綾乃は真面目な女なのだろう。 「一生懸命なんだね」 「やめて」 「・・・?」 「自分が、本当に壊れそうになるから・・・」 俺は綾乃の言葉に、それ以上余分な口を挟むのを止めた。 <以下次号> |
| 2005年11月03日(木) 秘密営業。 〜激しい律動〜 |
<前号より続く> 綾乃自身から抜き取った俺自身。 抜き取る瞬間、腰をくねらせ、短く甘い声を上げる。 綾乃の愛液がしっとりと纏わりついていた。 そしてゴム一枚隔てた内側は、白濁の俺が注がれている。 本気で高まった、何よりの証拠だ。 「凄く気持ちよかったよ、綾乃ちゃん」 「・・・いいね」 「何が?」 「こんなに激しく抱かれたの、初めて・・・いいね・・・」 「激しい?痛かった?」 「ううん・・・だって、私、優しい抱かれ方しか無くて・・・」 「ごめん、痛かった?」 「ううん、何だか『女』にされたって感じだったの・・・燃えちゃったぁ」 俺は時間が無い事を懸念して、初めから激しく責めた。 俺自身も、少しでも早く満足できるように。 綾乃にとって、激しい男の律動は初めての経験だった。 その時、部屋をノックする音が鳴った。 「綾乃ちゃん、時間とっくに過ぎてますよ。急いでー」 「ヤバイ、急ごう!」 俺は大急ぎで服を着た。 綾乃は動かない。 「どうしたの?」 「・・・動けないのぉ、力が入らなくて」 「腰が抜けちゃったのか・・・」 「何とかするから、早く着替えて出て」 俺は急いで着替えを済ませ、ようやく寝転んで下着を付け出した綾乃を見遣った。 チップを渡そうと財布をまさぐると、綾乃は予想しない言葉を発した。 「早く出て!要らないから、早く!」 「え、いいの?それじゃ俺、また来るから!」 「本当・・・?」 部屋を飛び出た俺は、平静を装って店の扉を開け、エレベーターで階下へ降りた。 時計の針は午後6時を指していた。 濃密な35分間。 一瞬の、眩い夢のような出来事だった。 しかし心地良い倦怠感が緩やかに全身を包む。 紛れも無い、事実だった。 一週間後の日曜日。 俺は電話で綾乃の確認してから店に赴いた。 受付で覗きコースを注文し、一通りのショーを見通す。 今回はチャイナドレスだったが、見せ方は前回と同じだった。 その後延長で全裸コースを注文し、前の個室に通された。 薄いドアを開けた。 俺の見た綾乃は声を上げて喜んでくれた。 「本当に来てくれたんだぁ!」 「気に入った人だからね、また会いたくなっちゃった」 「ありがとう!優しいのね」 「そうかな?」 「でもね、今日は秘密営業できないよ・・・生理だから」 「いいよ、別に。綾乃ちゃんに会いたいから来たんだもん」 「・・・え?」 急に真顔になった綾乃。 「本当に?」 「ああ、マジで・・・あれ、何か気に障った?」 「・・・」 無言になり、ただ真正面から俺を見つめる綾乃。 正直、俺はどうすればよいのか戸惑った。 「・・・ごめんなさい、ちょっとドキドキしちゃった」 「何だ、怒ったのかと思った(笑)」 「そんな事無いよ。優しいもの、お客さんって」 「この前も言ったね、その台詞って(笑)」 「覚えてるよ・・・だって、本当なんだもん」 綾乃は俺をマットに寝かせ、丁寧におしぼりで拭いてくれる。 俺自身を手にとり、ローションを軽く垂らして手で擦り始めた。 俺も、綾乃の乳房を手にとり、乳首を指先で転がす。 「この前って、あれからどうだったの?」 「大丈夫、ばれてないから(笑)でもね、仕事にならなかったよ〜」 「どうして?」 「もう何されてもくすぐったくて、笑い転げてた」 この日は綾乃を気遣い、秘密営業は望まなかった。 男としては、半ば残念である。 しかし彼女と携帯メールのアドレスを交換し、連絡を取り合うことにした。 「これで店にいつ入るのか、いつ行くか連絡できるね」 「平良さんって言うんだ・・・優しそうな名前ね」 「そう、綾乃ちゃんの本名、教えてよ」 「私?聡子・・・おばさん臭いでしょ?だから綾乃でいい」 「聡子ちゃんね。本名も携帯に登録しておこうっと」 「ね、必ず連絡頂戴ね・・・」 「ああ、必ず入れるよ」 「次は・・・大丈夫だと思うよ」 「何が?」 俺の耳元で、さも恥ずかしそうに囁いた。 「ヒミツエイギョウ」 俺も囁き返す。 「サトコトナラ、ヒミツエイギョウシタイ」 「・・・やだぁ」 くすぐったそうに俺を突き放す素振り。 美人なのに、可愛い女だ。 <以下次号> |
| 2005年11月02日(水) 秘密営業。 〜用意周到〜 |
| <前号より続く> 綾乃はそう言うと俺に籠を渡し、自分で服を脱ぐように促す。 そして自らも手際よく着衣を脱ぎだす。 キャミソール、ブラ、ショーツと脱ぎ、全裸になった。 俺も下着まで下ろし、全裸だ。 部屋の中央には、タオルケットを敷いたスポンジマット。 この上に客が寝転び、女が傍らでハンドサービスを行う手順だ。 ここの全裸コースは、客から嬢への�爐舛腓辰�い�瓩盻个擦襦� 先程までミラー越しにいた娘が見せる、直の反応もまた楽しい。 俺は仰向けに寝転ぶ。 綾乃は熱いおしぼりで俺自身を丁寧に拭いてくれた。 「拭き方、上手だね」 「そう?そんな誉められ方初めてよ」 「綺麗な胸だね、綾乃ちゃんの肌も・・・」 「お客さんって、口だけじゃなくて女の子の触り方も上手ね」 「そう?そんな誉められ方初めてだなぁ」 「んもう、真似しないでよ」 綺麗な曲線を見せる乳房を手癖悪く触る。 初対面だったが、笑顔が絶えない会話を交わす。 予想以上に楽しい時間だ。 「ここで働いていると、いっぱい我が侭言われるでしょ?」 「そんな事無いよ・・・例えばどんな?」 「そんな上手に触られると、例えば『手だけじゃイヤだ』とか?」 「時々いるよね」 「そんな時はどう言うの?」 「・・・ん?」 綾乃は小首を傾げ、意味ありげな微笑みを俺に浮かべた。 「じゃ、どうして欲しいの?って聞くの」 「客はなんて言う?」 「聞きたいのぉ?もぅ・・・」 照れながら言葉を続ける。 こういう話は嫌いではないらしい。 「お口でしてって言われるかな」 「へぇ〜・・・で、どうするの?」 「私、お口はできないからダメっていうの」 この店はハンドサービス以外は認めていないので、 女も客も規約違反になってしまう。 また働く女もハンドサービス以外は無い前提で契約を交わすので、 客も強要できない。 「でも私も女だから・・・」 「だから?」 「お客さんみたいに手癖の悪い人は困っちゃうな」 俺は綾乃の乳房を揉み、すでに乳首をいじりながら会話を交わしていた。 時折意味深な吐息を漏らしながら、綾乃は俺との会話に応じていたのだ。 「だって、こんなに綺麗な胸してるんだぜ、そりゃ触りたいよ」 「ダメよ・・・胸、弱いんだからぁ」 「じゃ、口ではしてもらえないんだぁ」 「・・・うん、ダメ・・・でもね・・・」 「でも?」 「私が気に入ったお客さんなら・・・もっと要求されたいな」 「どういう事?」 「・・・私から言わなきゃダメェ・・・?」 俺は綾乃の乳房から下に手をずらし、綾乃自身に指を滑らせていた。 綾乃はいつしか、俺自身を刺激する右手を止め、自ら最も敏感な箇所に踊る 俺の指の動きに翻弄されていた。 微かに粘液を擽る音が漏れ、その指先に合わせて腰が揺れる。 その度に熱を帯びた吐息を漏らす。 間もなく上半身の力が抜け、俺の腹の上に枝垂れ掛る。 「だって俺たち初めて会うんだもん…はっきり言ってくれないと分からない」 「私ね、お客さん選ぶの。選んだ人なら、秘密営業しちゃう」 「秘密営業?」 「うん、私とお客さんとの…秘密、営業…」 「・・・それって、本・・・?」 「シッ・・・受付に聞えちゃう」 受付・・・責任者のいる部屋はここの個室の隣りになる。 個室とは言うものの、中古マンションで素人目にも分かる安普請な改装だ。 壁も薄く、音も響く。 下手な事を口走ると聞こえるのではないか、との疑念も抱いてしまう。 「ねぇ、その秘密営業、しよっか?」 「えぇ〜っ?別に構わないよ」 俺は綾乃に気に入られたようだ。 「いいねぇ、気に入って貰えて嬉しいよ」 「ウフフッ・・・じゃ時間も無いし、早く入れて」 「だって、まだそんなに愛撫してないよね?」 「女はね、内側から熱くなるの・・・もう大丈夫だよ・・・」 「・・・チップはどれくらい?」 「・・・とりあえず…五千円。でもお金じゃないの。これ着けて」 綾乃は俺に持参のゴムを手渡す。 用意周到、である。 ゴムの表裏を確認し、早速装着する。 綾乃は肉感ある尻を向けて四つん這いになった。 「・・・後ろからが好きなの・・・来てぇ」 そういうのと同時に電子ベルが鳴る。 時間終了だ。 しかし綾乃は言葉を続けた。 「まだ大丈夫だから・・・早くぅ」 俺はいきり立った俺自身を綾乃自身に圧し当てる。 綾乃が熱い溜息を我慢しきれずに吐く。 そして綾乃の深奥に向けて、突き入れた。 綾乃の内側は、俺自身の挿入に抵抗を感じないほど濡れていた。 綾乃はタオルを巻いた枕を顔を埋めて声を殺す。 薄いドア一枚隔てた待合室。 ほんの少しの会話や喘ぎ声も筒抜けになろう。 時間も過ぎている。 俺も心なしか、早い律動で綾乃の深奥に突き入れる。 うっすら汗が滲む。 俺だけでない。 綾乃の全身にもしっとり汗が滲む。 クーラーがきつい位利いた小部屋。 想定度外視の激しい発熱作用。 力が抜けて逃げ腰になる綾乃を、俺は背後から両手で掴み、突き上げる。 「俺、もうすぐイクよ」 「・・・!・・・、・・・、・・・・・・!!」 枕を噛み、声を殺す綾乃がどんな言葉を発したのか、聞き取れなかった。 次の瞬間、俺自身は綾乃の深奥で果てた。 俺の律動が絶えた後、綾乃はうずくまるように崩れた。 <以下次号> |
| 2005年11月01日(火) 秘密営業。 〜勤務時間中〜 |
親愛なる読者の貴女に尋ねたい。 貴女は男の身体に、力の限り抱き付いたことがありますか? 貴女は男の胸で、声を上げて泣いた事がありますか? その男は、貴女の愛した人でしたか? 蒸し暑い、盆前のある日。 名古屋最大の歓楽地・栄にある事務所へ商用に来ていた。 ガラスを多用したビルの群れの中。 いくつもはみ出す室外機からは絶えず吐き出す唸り声と不快な熱気。 全身から猛烈に汗を導き出す。 恥ずかしいほど濡れたシャツが恨めしい。 夕方。予定の会合が終わり、帰社する予定だった俺に、 ある悪知恵が思い浮かんだ。 そういえば、この街のとあるマンションには「のぞき小屋」がある。 そこでひと涼みしてから帰ろう、と。 腕時計は午後5時25分を指す。 厳密にはまだ会社の勤務時間中である。 微かな背徳感が妙な男心と好奇心を掻き立てる。 この界隈は様々な業種の風俗が混在する。 下手に建前が立派な店よりも、忙しいビジネスマンには安価で実質的、 かつ短時間で事が済む店が重宝する。 その需要に似合った店がひっそりと存在する事を俺は知っていたのだ。 大通りより二本程、奥に入った中古マンション。 そのエレベーターに乗り、4階を押す。 古めかしいゴンドラが動き出した。 折り畳み扉が開いた、その先に目当ての小さい「店」がある。 黒いドアにOPENの名札が掛っていた。 ドアノブに右手を掛け、そっと引く。 玄関先で靴を脱ぎ、受付に向かう。 その脇に今日の女の子が写真で示してあった。 「綾乃」と幼い字で書かれていたその脇に、「新人」のシール。 初めて見る娘だった。 目鼻立ちが整った、俺好みの顔立ちの女である。 異論は無い。 のぞき、ハンド等のサービスが明記されていた。 俺はのぞきコースを選択肢、料金を支払った。 この日はたまたま客は俺一人。 俺は待合室でほんの少し待ってから、個室に通された。 真っ暗な個室は一畳ほど。真ん中に椅子が置いてある。 部屋の奥に、座った顔の高さの所にA4版ほどの窓があった。 この窓はマジックミラーだった。 アナウンスが聞こえる。 『それでは綾乃ちゃんとの素敵な10分間をお過ごし下さいませ!』 窓を覗くと、いつの間にかスーツの女…綾乃が座っていた。 その女はふと物憂げな表情をこちらに浮かべつつ、勿体ぶるかのように、 じれったく着衣をいじる。 OLっぽいタイトスカートを降ろしてストッキングを脱ぎ、 次に現れたキャミソールをさらりと肩から足元へと落とす。 お揃いの下着姿になった女は、そこで細い足をM字に開いたり、 わざと下着の脇に指を入れて整える、挑発的な素振りを見せつける。 さらに向かい合わせに椅子に座り、足を大きく組み替えながら雑誌を見遣る。 マジックミラー越しに見える、女の肢体はなかなか新鮮だ。 実際のオフィスでは、こんな光景にはお目にかかれない。 残り3分。 BGMが激しい曲調に変わる。 女は途端に雑誌を投げ捨て、ミラーに背中を向けた。 ブラのホックを外し、振り向きざまにカップを外す。 華奢な割に白くて豊満な胸が露になった。 若干大きめの乳輪とトップが可愛い。 ミラーの前まで寄り、自らの胸を両手で寄せ上げる。 そして、再び背中を向けた。 ショーツに手を掛け、女は躊躇なく脱ぎ落とした。 小さめながら、肉感溢れるヒップ。 女は左手で彼女自身を隠しながら振り返る。 上目遣いでミラー越しの男を見遣り、挑発する。 左手を徐に開くと、こぼれんばかりの豊かなヘアが表れた。 M字開脚で椅子にしゃがみ込み、指先で深奥を擽る。 多少暗めの照明は覗き見する男の背徳感を煽り、女の肉体を幻想的に見せる。 しかし最も男の視線を釘付けにするだろう深奥までは見えない。 音楽が途切れ、いきなり照明が落ちた。 先ほどの男声のアナウンスが聞こえる。 『これでのぞきサービスは終了となります。 この後延長をご希望なら一度受付にお戻り下さい』 延長コースとは、先ほどまでミラー越しに居た女が実際に接客してくれる事。 客はここでハンドサービスを受けられる。 着衣、下着姿、全裸と3つコースがあり、客は希望に応じて注文できる。 時間に追われるビジネスマンは覗きだけで帰る事も少なくないそうだが、 俺は綾乃に興味を持った。 一度受付に戻り、延長の全裸コースを注文する。 準備の時間を経て、俺はまた別室に呼ばれた。 黄色いドアをノックすると、可愛い声で返事があった。 ドアを開けると、3畳足らずの手狭で小さな部屋に綾乃が居た。 「こんばんわ。延長してくれてありがとう」 綾乃はそういうと立ち上がり、早速俺の上着を脱がせてハンガーに掛けた。 「凄く綺麗な身体だね・・・見惚れちゃったよ」 「お上手ね、ありがとう」 「そんなぁ、お世辞じゃないよ」 「ここら辺は営業の人が多いから、みんな口が上手よね」 他愛も無い会話を続ける。 柔らかい声と口調が印象的だ。 「じゃ全部脱いでね・・・」 <以下次号> |
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