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華のエレヂィ。〜elegy of various women 〜
MAIL  PROFILE & GUEST BOOK  


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2004年10月05日(火)

遠くで私を叱って。 〜密室の悲劇〜


<前号より続く>



一週間ほど経ったある日。
給料日の後、懐が温もった俺は再びミカに会いたくなっていた。

再来月まで・・・といわれていたが、彼女の旅費の足しになるのだから、
会いに行き、先日と同じように遊ぶ分には構わないだろう。


ミカを指名するために、俺はスマイルに電話した。


「こんばんは。ミカさんを指名したいのですが」
 「今週は休暇を戴いております。来週辺りにもう一度お電話下さい」


あのよく喋る男ではない、聞き覚えのない声の店員がそう断ってきた。
半ば残念に思い、受話器を置いた。


その次の週の火曜日。
もう一度スマイルに電話した。


 「ハイ、ありがとうございます、スマイルでございます!」


あのよく喋る男が、威勢良く電話を取った。


「すみません、ミカさんをお願いしたいのですが・・・」
 「あの、会員様でしょうか?」

「はい、2週間ほど前にミカさんと遊んだ者なんですが」
 「・・・あ、はぁ」


男が急に口篭もった。

 
「どうしました?」
 「ミカさん、ですね。もう辞められました」

「そうですかぁ・・・残念ですねぇ」
 「ええ。私どももこんな事になっちゃって・・・」


店を辞める事は容易に想像できるものの、受付の男の言葉に引っかかった。


「こんな事?どうされたんです?」
 「ええっと、お客様はあの夜延長された方ですよね?」

「はい」
 「あの後ですねぇ、実は・・・」


その後の話に、俺は耳を疑った。



ミカを気に入った俺は確かに一度延長し、心癒される時間を過ごさせてもらった。

しかしその裏には、その延長に気分を害していた男がいた。
俺の後に予約を入れていたという、酒に酔った客だった。

その客は、俺が延長した事で相当立腹したという。
店の待合室で店員や他の待合の客に因縁を付けては絡んでいたそうだ。


そしてその酔漢とのプレイ中にミカは暴行され、ついに強姦されたと言うではないか。


プレイ時間が終わっても部屋に戻らないミカを不審に思った店員が迎えに行ったところ、
顔や身体の隅々に痣を作り、ベッドの上で泣き崩れる彼女を発見したという。


現場は雑居マンションの一室。
店舗の風俗店とは違い、悲鳴も漏れない。
中に入って鍵を掛けてしまえば、何が部屋の中で起こっていても、
もう外からは助けられない構造である。

ラブホテルで情婦や密会で仲違いした女が男で殺されたりする事件もあったりする。
性欲が暴走した男を相手にする危険を思い知らされる。


身境の無くなった男は、力任せに女を手篭めにした。
金で買われたとは言え、理不尽に暴行され、ついに強姦されたミカ。

恋人にもまだ許さなかった操を、一見の酔漢に理不尽にも奪われた屈辱と痛み。
ミカの受けた心の傷は、どれだけ深いものだっただろうか。


俺は過去にもレイプを受けた女の心身の苦しみを身近に見てきた。

男の腕力で暴行を受けた身体の痛み。
男の力に屈して身体を開かされた屈辱。
汚された身体を自らの非と負い目に感じる女心。
自らの意思とは何ら関係ない妊娠や性病への不安。
無論、まだまだある。

お互いが理解しあった上でのじゃれ合いなら「ままごと」で済む。
しかしどういう状況であれ、俺は手前の欲情のために女性を乱暴する男は許せない。

形にならない、矛先を見出せない、しかし抑えきれない怒りが湧き立つ。

しかしその遠因を作ったのは、他でもない俺だった。


「そうだったんですか・・・」
 「ミカもお客さんの事はまた会いたい、と言ってましたからねぇ」


俺とのプレイの直後、彼女は今まで見せた事がない微笑みを浮かべていたそうだ。

どうしたの?と受付の男が聞いたところ、
『初めてまた会いたいお客さんだったの』と俺の事を話したという。

あの夜、別れ際のはにかんだ微笑みを思い出した。
俺は無意識に下唇をきつく噛み締めていた。








↑エンピツ投票ボタンです。宜しくお願いします。





 「いやね、私も初めてだったんですよ。あの娘が笑うなんて。
  よっぽどお客さんの事が気にいってたんでしょうね」

「僕もそのつもりだったんですが・・・」
 「あの娘がそんな事を言ったのは初めてだったので、私どもも良かったねって」
  声を掛けた直後だったものでして・・・すみません」

「もう二度と出勤されないですよね?」
 「ええ、しばらくお休みを与えて考えるよう言ったんですが、もう嫌だ、と」

「そうですか・・・」
 「こちらもそれなりに手を打ったので、その男ももう店には来ないでしょうけど」

「・・・それなりに手を打った?」
 「え、まぁ、普通にご利用される分には関係ない事なんですが」


口を滑らせた男は、そう言って白々しく笑い出す。
俺もそれ以上言及はしなかった。
おそらく、物騒な意味での発言であろうと予測できたからだ。

こういう裏の業界は、堅気の人間だけでは仕切りきれない。
背後にある、関わりたくない業界の人間が蠢いている世界だと分かる。


その後もこの店を利用したが、ミカを越える時間を過ごせた女はいない。
間もなく、俺はその店の会員証を捨てた。

ミカに会いたかった俺。
ミカに会えないことを知り、その店に通う意味を見出せなかった。

心身ともに傷付いたミカはどういう気持ちで異国の恋人と再会したのだろうか。
いや、再会するところまでこぎつけたのだろうか・・・



俺には、もう知る余地も無い。



☆ 半年以上ぶりの更新となりました。
  毎度のご訪問&ご高覧ありがとうございます。
  
  本業が多忙なため、エレヂィを紡ぎ出す時間がありませんでした。

  次回作がいつ掲載できるかは未定ですが、
  今後とも「華のエレヂィ。」のご愛顧を宜しくお願いします。




2004年10月04日(月)

遠くで私を叱って。 〜瞳の奥〜

<前号より続く>



「え?そんな事無いでしょ。でもお金が目的じゃなさそうだね?」
 「・・・」


無言だったが、ミカは小さく顎を引く。

俺は風俗を生業とする女性に対して、偏見はない。
しかし、ミカはどう見てもこの仕事を本気で行う様子ではない。


「アイマスク、良ければ外していいよ」

さかんにアイマスクの上から目の辺りを気にするミカに、俺はそう声を掛けた。


 「でも・・・」
「大丈夫、写真なんか撮らないから(笑)」

 「じゃ・・・」


アイマスクを外したミカ。
一瞬眩しそうに顔を歪めたが、ふと俺の顔を見た。


驚いた。


意志の強そうな瞳をした、聡明な顔立ちの女だった。

瞳の周囲には、最近流行のラメ。
一瞬、涙で潤んでいるのかと見紛う。

しかし、瞳の奥もユラユラとかすかに光を反す。
ラメが届かないはずの瞳の奥も間違いなく潤んでいた。


「・・・彼、遠くに居るんだよね?」
 「・・・」

「会いたいよな。・・・ミカちゃん、寂しかったんだ?」
 「・・・うっ」


瞳の奥の煌きは、我慢した涙の痕跡。

俺が茶化しがてら、軽々しく彼の話題を持ち出した結果、
生真面目な彼女の寂しさに耐える心を傷付けていたのか。


その後も短い時間ながら、ミカは彼への揺るぎない愛情と、その分孤独の寂しさに
耐えられない苦しみを確実な言葉にした。

ミカにとって、この仕事は彼の居ない寂しさを紛らわせるための行為・・・
いや、その寂しさをアピールするパフォーマンスだった。海外に居る恋人へ向けての。

決して届かない、届いてはいけない…でも分かってほしい、この思い。
仕事だと分かっていても、我侭と分かっていても、耐え切れない苦しみの代償。
愛情の深さは、すなわち苦しみの深さ。


愚犯少年・少女には、犯罪を犯罪と意識していない事が多い。
それは本気で他人に迷惑を掛けようとは思っていないから意識が薄いのだ。

彼らが抱く「自分の抱える気持ちを周囲に分かって欲しい」欲求。

自分の寂しさや苦しみを訴えたい、身の回りの人間に理解して欲しい・・・

一見、稚拙で短絡的な愚犯行為でも、裏に潜む原因は彼らの持った心の闇。
日々孤独で不安で、自分ではどう対処していけばよいか分からなくなり、
同じような境遇を持つ連中と出会い、群れて、時に暴走する。


よく見かけるコンビニエンスストアにたむろする夜光虫族しかり。
いきなり何ら関係ない他人を襲い、殺傷する通り魔の若者しかり。
いつぞやの理解し難い教義の宗教団体が先導する、一連の行為しかり。


まだ群れる事が出来る連中は幸せなのかもしれない。
もっと問題なのは、群れる事すら出来ない者が増えつつある事だ。

あるものは無関係な人へ憤りを向け、社会を震え上がらせる凶悪犯罪に走る。
あるものは一番身近な存在の家族を内側から崩壊させる引き篭もりに走る。
あるものは些細な理由からいきなり同級生にナイフを付き立てて生命を奪う。
あるものは他人に刃を向けられず、ついに自らの手首に傷を付けてしまう。


ミカは恋人が身近に居ない寂しさを愛する彼に理解してもらいたかった。
そして寂しさに負け、愚かなアルバイトに就く自分を心配して欲しかった。
そして叱って欲しかった。


彼女の口ぶりや話し方から、そんな事を読み取った。


客への口でのサービスも『ハプニング』も許さないのは、
ミカの…いや本名の彼女の、いわば裏切り行為を続ける彼への愛を貫くための
最低限の「自分との約束」なのだろう。

身体は弄ばれても、心までは絶対に許さない。
彼女からにじみ出るいじらしさ。

生真面目で芯の通った内面である。


しかし俺は客だ。
きちんと店側の示す料金を払ってこの娘に付いたのだから、
料金に似合ったサービスを受けて当然ではないか。

そう言って強引にサービスを頼み込めば、きっと生真面目な彼女を
口説き落とせるかもしれない。

でもそうできないのが、俺の甘い部分だったりする。


俺はミカを抱き締めた。
最初ミカは身を固くした。

「確かに間違っているかも知れないけど、君は自分の決めた枠の中で
 仕事しているんだ。彼に対しても最低限の貞操を守っているじゃないか。
 それは・・・きっと俺は尊いものだと思うよ」

 「そんな言葉掛けてくれたの、お客さんが初めて・・・」


気を許したのか、ミカは俺に身を委ねてきた。
適度に脂肪の乗った、きめ細かい肌が本当に心地良い。

しばらく抱き合っていると、制限時間の終焉を告げるベルが鳴った。


「延長できない?」
 「え、なんで?」

意外そうな表情を浮かべるミカ。

「君が気に入ったから」
 「だって、私、何もできないよ?」

「いいよ、気に入ったんだから」
 「嘘・・・嬉しいけど、延長ってどうするんだろう?」


ミカはまだ延長を勝ち取った事がなかった。
事務所に連絡し、たどたどしく延長を告げる。


 「事務所、いいって」
「良かった・・・じゃ、もう少し一緒に居られるな」


俺はベッドで再びミカを抱き締め、頬に口付けた。
そして頬から耳、首筋と唇を這わせる。
ミカはくすぐったがり、思わず笑い声を漏らす。

まだ開発されていない、生娘の身体。
しかし、ここだけは別だったようだ。

俺は背後からミカの首筋やうなじに口付けながら、
ミカの乳房を掌で大きく揉みしだく。
そして敏感に反応し、立つ乳首を親指と薬指で摘み、転がす。

ミカは快楽から吐息を漏らす。

 「いや・・・変な感じがするの・・・」
「ドキドキしているんだ?」

 「うん・・・ねぇ、触って欲しい」
「どこ?」

 「・・・」


ミカは大胆にも俺にねだってきた。しかし次の言葉が続かない。


「ちゃんと言えないと、俺は何もできないよ」
 「・・・恥ずかしい、言わせないで・・・」

「じゃ、言ってあげるよ。そうなら返事して」


ミカは頷く。


「背中」
「お腹」
「脇腹」
「脚」
「指」


ミカを焦らすように、俺はあえて関係ない個所を口にしてみた。
彼女は頷かない。


「じゃ、ここ?」

俺はミカの内腿の付け根に指を這わせた。
ミカの身体がビクッと波打つ。


「驚いた?じゃ、この奥か・・・」
 「・・・うん」

「じゃ、言うよ。クリ・・・」
 「いや・・・」

「なぜ?」
 「恥ずかしいから・・・」

「恥ずかしいから?なら止めていい?」
 「ダメ・・・いや、触って」


今にも消え入りそうになる声で、ミカはそう口にした。
俺はそっとミカのすでに湿りきった茂みに指を潜り込ませ、
右手の中指の腹で、ミカの突起を探る。


ミカは全身に力を込めて、快感に耐えていた。
時折、俺の指先が触れる瞬間に身体中をひくつかせる。

俺の指が不意にミカの突起の皮の奥・・・生身のクリトリスに触れた。
ミカは仰け反り、我慢しきれない声を漏らした。


「気持ちいい?ずっと我慢してたの?」


ミカは二度三度と頷いた。

俺はミカ自身を指の腹で前後に滑らせる。
そして突起をこまめに円を描くように擦る。

未知の快感なのか、ミカは無意識にタオルを掴んで、口に当てていた。


「声が出ちゃう?出せよ」

ミカは必死に首を左右に振る。


「ミカ、シックスナインしようか?」
 「やった事ないよ・・・どうやってするの?」

「俺が仰向けに寝るから、君は俺の顔を跨いで四つんばいになって」
 「・・・え?見えちゃうよぉ」

「大丈夫、暗いし、見えないよ」
 「やだぁ、恥ずかしい・・・」

「じゃ、もっと恥ずかしいことお願いしていい?」
 「・・・何?」

「ミカのバージン、戴こうかな?」
 「・・・ダメだってぇ・・・」

「でも、俺が彼氏なら、本当は一つになりたいでしょ?」
 「・・・」

ミカは否定しなかった。素直で可愛いものだ。


「どっちがいい?」
 「・・・じゃ、最初のやつ」


俺が仰向けに寝て、ミカが俺の顔を跨いで四つん這いになった。

濡れそぼったミカ自身が、俺の顔面15cm前に広がる。
薄暗い中だったが、きれいな形と色をした女性器だった。


「ミカ、口で出来ないなら手でいいよ」
 「・・・うん」


ミカは怒張した俺自身を柔らかい手でしごく。
手つきは慣れておらず、決して気持ち良くはなかった。
でも俺を満足させようと、頑張ってくれた。

俺はミカの尻を両手で広げ、深奥の彼女自身にそっと舌を這わせる。
左右のヒダを指でなぞりつつ、ミカの突起を舌で擽る。

ミカはしごいていた手を離して、襲いくる快楽に必死に耐えている。

再び、ベルが鳴る。
ミカは全身の力が抜け、俺の身体の上にぐったり溶けていた。

結局、俺もミカもイケなかったが、充分満足できた時間だった。


シャワーを浴び、着替えを済ませて部屋を出るとき。
俺はミカに訪ねた。


「まだしばらく、この仕事を続けるの?」
 「・・・分からない」


お金に困っている様子ではないミカが、この仕事をどうしても続ける理由はない。

「今度、彼とはいつ会うの?」
 「再来月かな・・・私がシンガポールへ行くの」

「シンガポールに居るんだ?」
 「うん・・・そのお金は貯めなきゃね」


ミカはふと微笑みを漏らした。
愛する彼との再会に思いを馳せる、純粋な愛情がにじみ出た微笑み。

俺は思わず妬けた。


「今度、君についたら・・・Hするからね」
 「うふふ・・・楽しみにしてる」

「本当にいいの?」
 「・・・やっぱりダメ」

「やっぱり?(笑)いいけど、どうして?」
 「・・・出来ない約束したって仕方ないし、長くは続けないと思うから」


ミカは生真面目な返事を残した。
俺は言葉の片隅に、彼女の人柄の清々しさを感じていた。


ドアを開け、部屋を出た。

振り向くと、俺に小さく手を振るミカの姿が本当に可愛く見えた。


そんなミカの姿を思い出しながら、俺は車を操って帰途に就いた。


<以下次号>








↑エンピツ投票ボタンです。次回でミカ編は完結します。


2004年10月03日(日)

遠くで私を叱って。 〜処女〜

<前号より続く>



「じゃ、俺は見てるから、自分で脱いでみせて」
 「・・・はい」


ペンライトで照らす僅かな光の中で、ミカは最後の一枚を脱いだ。
生まれたままのあられもない姿。


「じゃあね、両脚をしっかり開いてごらん」
 「・・・はい」

「両腿をしっかり手で持って、しっかりと俺に見せて」
 「・・・」


しかし、ミカはやろうとしない。
自分の限界を超えてしまう行為だったのだろう。

いくら風俗店とはいえ、彼女はきっとなれていない。
強要しすぎるのも雰囲気を壊す。


「じゃ、出来る範囲で見せて」
 「・・・これで、いいですか?」


両腿の奥に、若干濃い目のヘアが見え隠れする。
決して広くないが、彼女の限界であろう。


「よく見えないけど、頑張ってくれて嬉しいよ」
 「・・・誉められたの、初めて・・・」


ミカは安堵したのか、そんな言葉を漏らした。

俺はミカの脚の爪先から、舌と指を這わせながら攻めのぼる。
先程より反応が大きくなってきた。

俺はミカの深奥に指を差し込む。
途端に身を固くする。


驚いた。


「どうしたの、いつもこうなの?」



ミカは自らの性器だけでなく、ヘアの先まで温い粘性の液体で濡れていた。
ものすごい濡れ方をしている。
性経験の少ない若い女性に時折見られる現象だが、男としては嬉しいものである。

微かに匂い立つ半白濁の蜜で溢れ返っていた。
アナル、いやその下のタオルシーツまでじっとりと濡れていた。


 「・・・聞かないで」


俺の質問にこう懇願して逃れようとするミカ。

俺は愛蜜に溢れるミカ自身の表面を指の腹で攻める。
もう腰を動かさずに居られない様子だ。

そしてミカ自身の突起に薄皮の上から触れ、そのまま攻め続ける。
指先の気まぐれな蛇行に合わせて反応する。

殺しきれずに漏れる、可愛い喘ぎ声。

きっと恋人の腕の中でも、こんなあられもない姿でいるのだろう。


「こんなに綺麗で感じやすいんだから、彼氏が本当に羨ましいねぇ」


また照れてるのか、ミカは黙りこむ。


「灯り、点けていい?明るい所で見たいな・・・」
 「・・・はい」


俺はベッド脇のスタンドを点けた。

メリハリのあるスタイル。
しっとりと汗ばむ素肌。
透き通るほど薄い色素の乳首。
ボリュームも充分な濃い目のヘア。
身長の割に長い手足。

淡い照明に浮かび上がるミカの肢体は、本当に綺麗だった。


俺は淡い色をしたミカの割れ目の深奥に右手中指を沈めた。


驚いた。


ミカ自身の肉壁が、全体で俺の指を包み込み、絞る。
『名器』である。
俺も決して少なくない女性との経験があるが、その中でも数本の指に入る。
この中に俺自身が沈みこむと、間違いなく長い時間は持たない・・・

ゆっくりと差し入れた指をストロークする。
その動きに合わせて、ミカの腰が揺れ始めた。

・・・痛いっ

ミカはうめいた。


「痛かった?ゴメンね」
 「・・・私、まだ経験無いんです・・・」

「処女、なの?」


ミカは小さく、しかししっかりと顎を引いた。
俺はその反応が信じられなかった。


「彼が居るのに、まだHしてないんだ?」
 「ええ・・・」


快楽は本人の意識を酔わせるが、痛みは一瞬で現実に引き戻す。
名器に挿入する感触を楽しみたかったが、俺は指を抜いた。


 「ありがとう・・・」


意外なミカの言葉。
やはり生真面目なのだろう。

少し休憩がてら、ミカを抱いて横たわった。


「でも、指を入れてて思ったけど、指がすごく気持ちよかったよ」
 「・・・そうですか?」

「客からもっと求められるでしょ?」
 「・・・何をですか?」

「例えば、本当にHしよう、とか・・・」
 「・・・そうですね、みんなに言われます」

「そういう時は、どうするの?」
 「・・・困ります、ね」

「俺もこんな女だったら、したいって思うよ。今でも・・・」
 「・・・」

「ミカちゃんなら、どう返事してくれるかな」
 「・・・困ります」

「いいよ、はっきり返事してくれて」
 「・・・やっぱり出来ません」

「そうか、残念だけど、なぜ?」
 「・・・彼を、裏切りたくありません」

「彼はこの仕事、知ってる?」
 「知りません」

「この仕事だけ?」
 「本業は違います・・・契約のSE(システムエンジニア)なんです。
  週1くらいでここに来てます」

「彼も同業?」
 「ええ、でも今、海外に居ます」

「聞いていいかな?なぜ君はこの仕事しているの?」
 「・・・」


俺に気を許したのか自らの事を礼儀正しく話してくれたが、
この質問だけは詰まった。そして、予想しない答えが返ってくる。


 「・・・バカですよね、私」


決して軽い言い方ではなかった。
謙遜ではない。明らかに自虐する口調だった。


<以下次号>








↑エンピツ投票ボタンです。宜しくお願いします。



2004年10月02日(土)

遠くで私を叱って。 〜ペンライト〜


<前号より続く>


俺は事務所を出て、隣りの一階に美容院が入る真新しいマンションに入った。
フロントオートロックの操作盤にで212を押して呼出ボタンを押すと、
数秒後、無言で自動ドアが開いた。

確認されてからの夜這い…というのも、考えてみればおかしなものだ。

古の平安時代から貴族の間でも洒落た遊びの一つとされた「夜這い」も、
平穏でなくなった現代社会の矛盾に晒されている。


212号室前。
俺は右手で鍵を取り出して差し込み、そっと右へまわした。


カシャン…


鍵が外れる。
やけにその音が大きく聞こえた。

ノブを掴み、捻る。
音もなく、開く鉄板のドア。
中は真っ暗だ。
俺はそっと立ち入る。

ドアを静かに閉め、内側から鍵を掛ける。

ペンライトを点ける。
ぼんやりと浮かび上がるワンルームの光景。

テーブルやテレビ、間接照明にベッド。
そのベッドの布団でアイマスクをして寝ている女。
部屋の壁の方を向いて横たわっている。

俺は上着を脱ぎ、たたんで脇のソファに置いた。
やはり遊びとはいえ、夜這いの現場である。
無意識に音を立てないように細心の注意を払っている自分がおかしい。


女が寝ているシングルベッドの脇に座る。
鉄骨のベッドが軋む。
女は気付かない風に、何の反応も無く寝ているままである。

俺は掛け布団をそっとめくった。
上半身が露になる。赤地のチェック柄のパジャマ。
髪は黒く、柔らかいウェーブが掛っている。
シャワーを浴びたのだろう、髪が湿っている。


夏とはいえ、部屋はきつめの冷房が入っていて充分涼しい。

女は不意に寝返りを打つ。俺に背中を見せた。


女のパジャマの上から、俺は背中に指を走らせた。
肩甲骨辺りから、背筋を伝って腰辺りまで、指先を走らせる。

女は突然の刺激に一瞬身をよじる。

俺は構わずにごく軽く引っ掻くように、爪を背筋に滑らせる。

今度は何かに耐えるように、身体に力を込めて固まる。


この女の性感帯は背中か…そう直感した俺は、指先での愛撫を続ける。

背筋を指先で微かに撫で上げる。
肩甲骨辺りをパジャマの上から、続けてごく軽く引っ掻く。
右手で髪を撫でながら、左の掌を腰から尻の辺りに這わせる。

その度に徐々に身体をひくつかせて反応する女。
寝たふりをしているのに、隠し切れないもどかしさが可愛い。


吐息が深く、激しくなってくる。
髪を撫で上げ、ふと耳に触れる。

女は短い声をあげた。


「驚いた?」
 「・・・」


俺は女の耳元で、声を殺して囁いた。
女は俺に背を向けたまま、一度軽く顎を引いた。


「くすぐったい?」
 「・・・」


また小さく一度頷く。


「これは?」
 「・・・」


俺は肩甲骨辺りを爪の先で擽った。
女は息を弾ませて、横たわったまま首を振る。


「感じるんだ?」
 「・・・」


答えなかった。


「パジャマのボタン、外すよ?」
 「・・・はい」


女は声を出して礼儀正しく返事した。

俺は背後から女を抱きすくめるような格好でボタンを一つずつ外す。
見た目以上にボリュームのある、胸元に息を飲んだ。

女体の中でも、最もきめの細かい肌である乳房辺りを指先でなぞる。


はぁぁっ・・・


暗闇の中、女は大きく息を吐いた。


「綺麗な肌してるね・・・」
 「・・・ありがとうございます」

「こうやって指でなぞってるだけでも気持ちいいよ」
 「・・・」

「君の彼氏が羨ましいね」
 「・・・やだぁ」


照れてるのか、女は思わず顔を背けた。

女のブラジャーの隙間から指を差し込み、指先にあたる乳首を転がす。
声こそ殺しているが、どうにも我慢できないのか身を強くよじる。

その下着の上から、乳首を摘み、さらに軽く転がす。


んあぁんっ・・・


暗闇の中、恥ずかしそうに喘ぐ女が可愛い。
俺はブラを外させ、ペンライトを持ち出して、彼女の胸を照らした。

ぼんやりと浮かび上がる、たっぷりの乳房。
しっとりと汗ばみ、湿る柔肌。
気持ち大きめの乳首。色素が薄く、美しい桜色だ。


掌いっぱいに乳房を掴み、その芯を揉むようにゆっくり大きく動かす。
女は大胆に感じ始めた。

声も抑えきれず、腰をむずむずと動かしてしまう。

俺は次に、パジャマの上から尻を擦り、肉を掴む。
太腿から内腿を右手の爪先でなぞり、核心へと滑らせる。

肉付きの良い腿に力が入る女。


「ね、名前は何ていうの?」
 「・・・ミカ」

「ミカちゃんなんだ・・・感じやすいんだね」
 「・・・そう、なんですか?」

「だって、まだ軽く触ってるだけなのに、こんなに反応してるんだぜ」
 「・・・分かんないです」

「下着の中、どうなってるだろうね・・・?」
 「・・・えっ?」

「もう濡れてるのかなって」
 「・・・」

「下着、全部脱がせていいかな?」
 「嫌、でも・・・お願いします」


礼儀正しい口ぶりから、ミカと名乗る女は本当に真面目な娘だと思った。
俺の中の『オス』に拍車が掛かる。

パジャマを下ろし、下着の上からミカの深奥を擦る。
すでに過剰な湿り気を吸い取り、なぞる指先に特有の抵抗を感じた。

ショーツの布の継ぎ目辺りを爪で何度も引っ掻く。
その刺激の度に、短い声を漏らし、体幹をひくつかせる。


「君はこの後、どうして欲しい?」
 「・・・」

「この下着、脱ぎたい?」
 「・・・」

意思を伝えるように、コクリと頷いた。



<以下次号>








↑エンピツ投票ボタンです。宜しくお願いします。

2004年10月01日(金)

遠くで私を叱って。 〜夜這い屋〜
日本を代表する大都市・名古屋。
関東でも関西でもない独特の文化を持ち、職場と住宅街のアクセスも悪くない。
思いのほか住みやすい街でもある。

またあらゆるニーズの客を受け入れている、日本一の風俗街でもある。


最近では通り一遍の風俗に飽きつつある上客からのありとあらゆるニーズに答える為、
名古屋はシチュエーションなどを工夫したアイディア競争になりつつある。

既存のソープやヘルス、キャンパブ(ピンサロ)といった店から、
風営法や各条例との狭間で搾り出された『○○ごっこ』のような店まで。
特に名駅西口のキャンパブ街の知恵合戦は凄まじいものがある。

競争原理で選択肢が広がる事は、利用する側にとってありがたいはずだ。


ある暑い日。
そういう気分だった俺は夕刊スポーツ新聞のミニ広告から、
とある店を見つけ出した。


 『 夜這い専門!刺激と興奮、間違いない!
   素人女の自宅へ忍び込み、あとは二人で… 
   伏見 スマイル(註:仮名)�筺�○○−○○○○ 』


仕事上がりの頃、俺は興味半分で携帯からこの番号に電話してみた。
4〜5回の呼び出し音の後、受話器が上がる。


 「はい、ありがとうございます。スマイルでございますっ」
「もしもし、新聞の広告を読んだものですが…」

 「ありがとうございます。当店ご利用は初めてですね?」
「ええ」

 「よく見つけて下さいました。分かりにくいんですよね、その広告」
「・・・そうですね」

 「でもそこに金出して広告出してるうちも間抜けですけどねぇ(笑)」


余分な話も含めて、営業口調も滑らかなその受付の男は、
その後も雑談を交えながら、朗々と店のシステムを立て板に水の如く話す。

とにかく大きな声でよく喋る男だった。
俺は少々圧倒されたが、店の雰囲気は悪くなさそうだ。

そこで好奇心から、一度店を訪ねることにした。


 「ありがとうございます。お待ちしております!
  なお当店は看板等は一切出しておりませんので。
  店舗をご案内しますので、指定場所に到着したらお電話下さい」


不許可営業なのか…怪しい話になりつつあったが、
話で聞く限り、『怖いもの見たさ』的な興味はある。


 「それでは地下鉄伏見駅2番出口のあたりからお電話下さい」


俺は案内通り、移動して到着した地下鉄2番出口から電話した。


 「はい、ありがとうございます。スマイルでございます」
「先ほど案内を受けた者ですが…」

 「あ、ありがとうございます。到着されましたか?」
「はい、2番出口ですよね」

 「はい、そこから大きな看板が見えると思いますが、
  そのビルの二つ奥のマンションの10階、1001号室に
  事務所がございます。そちらまでおいで下さい」



オフィス街の中心部とはいえ、人が住むマンションがあるものだ。
そのマンションの10階にその店の事務所があるという。

雑然と住人の自転車が置かれたエントランス。
フロントオートロックやカメラなど無縁の古さだ。
俺は奥のエレベーターに乗り込み、��を押した。

やや安定感に欠けるぎこちない動きのゴンドラ。
軋むワイヤーがゆっくりと俺の身体を引きあげていく。

再びドアが開くと、薄暗く狭いエントランス。
その正面に事務所となる1001室があった。


インターホンのチャイムを押すと、ドアが開いた。
電話で話した大声の男がいた。


「こんばんは…」
 「ようこそ!新規のお客様ですね。どうぞお入りください」


事務所に通された俺は、ソファに座るように促される。
そこにすでに広げてあったのは、簡単な様式の入会届だった。


 「うちは完全会員制になっておりまして、まず最初に入会金を
  戴いております。まずこちらの書類に必要事項をご記入下さい」


差し出された書類に、必要事項を適当に書き込み、入会金の3,000円を支払う。

その後、より詳しいシステムを説明された。


この店は「夜這い」という非日常を楽しむ店であるという。
そして暗闇の部屋に鍵を開けて忍び込み、ベッドでアイマスクをして
眠るふりをしている女の子に好きに悪戯しても構わない、というのだ。
そこから先は『お客様のリードで決まる』という。


 「素人なので女の子によっては出来ないプレイもありますが、
  雰囲気とノリによっては、ハプニングもあるかも知れません」

「ハプニング、ですか」
 「ええ、店は強姦や本番行為禁止以外は基本的に関知いたしません。
  まぁ、女の子を気持ち良くしてから、上手に『交渉』してください」


微妙な言い回しで俺に妖しく説明する店長。
『上手に・・・』を強調するあたり、裏の意図を感じずにいられない。


 「とにかくうちの女の子は業界素人ばかりですので、まず清潔に
  お願いします。今からこちらでシャワーをお浴び下さい」


そう促され、俺は事務所奥の風呂場でシャワーを浴びる事になった。
中古マンションの風呂場なので狭く、どうにも湿気が抜けきれない。
あまり快適な時間といえない。

そしてシャワーから出た後、いよいよ女の子を決める事になる。


 「お客様!実は本日お勧めの女の子がおりまして…」
「はぁ」


そう言われて写真を見せられる。
無意味なチェケラサインを見せつける、いわゆるギャル系の茶髪娘。
スタイルは良さそうだが、雰囲気が気に入らない。


 「18歳。サービス抜群で、感度抜群。すごくノリの良い子ですねぇ。
  さらなるハプニングも期待できますよ!」
「さらなるハプニング?」

 「ええ、女の子も生身の人間ですからねぇ、そりゃ感じちゃうと…ねぇ」


それは店の関知以上の内容を意味するのだ、と語彙から推測できた。
しかし起こることが前提の『ハプニング』など面白いはずも無い。

気に入らない雰囲気の女に高い金を払いたくはない。


「やっぱり別の娘をお願いします」
 「え?あ、はぁ…」


意外な返答に戸惑う。


 「なら…どのような娘がよかったでしょうか?」
「他にどんな娘がいますか?」

 「ここにある写真からなら…」
「見せてください」


5〜6枚のポラロイド写真を見せてもらう。
ギャル系、人妻風、水商売系、熟女…と様々な女が揃っている。
しかし俺の好奇心を掻き立てる女がいない。

俺は諦めて店を出ようかと思った。


 「あと…まだ写真は無いのですが…」


言い難そうに店長が俺に話す。
俺は店長へと向き直り、話を聞く。


 「20歳の新人がいます。ただ…」
「ただ?」

 「この娘はお口でのサービスが出来ません。あとアイマスクは外せない、
  そして『ハプニング』は一切期待できませんね」
「どうしてですかね?」

 「そのぉ、私も事情が分からないのですが、とにかく堅いんです」
「堅いんですか?」

 「真面目なんですね。なぜこんな店にいるのかって位の」


堅い娘がこんな場末の風俗に存在する矛盾。
どんな娘だろう…俺の好奇心に火が付く。


「その娘はどんな感じですか?」
 「まぁ、中肉中背で髪は黒色ですね」

「その娘でお願いします」
 「構いませんが、サービスは制約が多いですよ?」

「ええ、構いません」
 「…しばらくお待ち下さい」


店長がデスクの電話に向かい、何やら指示を出している。


 「ちょっと準備に時間が掛かると思うので、しばらくお待ちください」


そこから15分ほど待つ間、店長が俺に話し掛けてくる。


 「お客さん、相当風俗遊びに慣れてらっしゃいますね?」
「そうですか?」

 「私もこの業界長いんで、見れば分かります」
「どういう所が、ですかね?」

 「まず、大穴狙いでお勧め以外の女の子を指名するところですかね。
  あと事務所でもオドオドしてない(笑)」


しばらくして事務所の電話が鳴り、俺の前にペンライトと鍵が置かれた。


 「お部屋は隣りのマンション…一階に美容院が入っているビルの2階、
  212号室になります。お部屋の電気は消してありますので、
  このペンライトでお入りください」



<以下次号>








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