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march forward.
りりかの独り言。

2005年08月25日(木)

「雨がすごいから、窓を閉めなきゃだめだよ」


さっき来たメール。




きっと、一日に何回か見に来ている。

こんな台風の中を。



誰に話したって、それはストーカーだよって言われると思う。

実際、栄のことを知らない友達に話したら、そう言われた。

今日来たメールの中に。

「別れたら死ぬからね」

なんて、言葉があった。

笑顔のマークと一緒だった。



こんなやつじゃなかった。

もっと、しっかりしている、プライドの高い人だった。



Rのことがあって、死ぬとかそういうのに敏感になっている。

たとえ栄が冗談で言ったとしても、そう聞こえない。



Mさんに話したらきっと。

「りりかが自分で蒔いた種だよ。自分でどうにかしなさい」

って、怒られるんだろうな。



自分でどうにかしなきゃ。

分かっているのに。

さっきまでは、そう決心していたのに。


何時間後かには。


すぐに、頼りたくなる。

すぐに、逃げ出したくなる。



それでも、夜のハルからの電話では。

笑顔で、ハルの話を聞いて。

普通に、台風の話をして。

平気な振りを出来ているんだから。


それは出来ないって、自分でも分かっているんだ。



2005年08月24日(水) 栄との事。

私もかなり精神的に参り。

仕事と家を往復するのがやっとで。

栄に会う余裕なんか無かった。

栄に、彼女のことを話すのは、何だか躊躇われた。

だから、栄にとっては、意味が分からないことだと思う。

急にメールの回数も途絶え、会うことも無くなり、電話も出なくなった。


栄は、店の駐車場に来て、私を待っていた。

私は家に帰るわけだから、確実に会える場所だし。


「なんかあったの?ハル君とか?」

栄にそういわれたとき。

「違うよ、子供は夏休みだし、仕事もあるしで、忙しかっただけ」

と、私は言った。



私は、栄の事を、信用し切れていないんだと、分かった。

あったことを、リアルタイムで話す。

それが、私とハルだった。

私は、ハルを信用していた。

だから、それが出来た。

お互いに、他人に壁を作る人間なのに。

お互いに、他人に壁を作る人間だから。

それが、出来た。




そう、分かってしまった今は。

栄とは一緒にいてはいけないと、思った。



それから私たちは、何度もそういう話になった。

栄は。

「納得いかない」

と、言った。

「悪いところがあるなら、直すし、りりかが俺のことを嫌いじゃないなら、一緒にいて欲しい」

とも。


最終的には。

「別れない」

と、毎回言われて、終わる。




「栄、苦しいよ」

って言えば、栄は。

「どうしたらいい?」

と言う。

「それは、何度も言っているけど・・・」

「絶対に、嫌だから」





この数日間。

栄は、毎朝ポストに手紙を入れていく。

私は、朝起きると、まずポストを見に行くのが、日課になった。

子供たちより先に、ポストから出さなきゃならない。

一昨日は、写真と一緒にダイヤのネックレスが入っていた。

「捨ててもいいよ」

って、綺麗なメッセージカードと一緒に。



栄が壊れて行くのが、目に見えて分かった。

だから、早く止めなきゃならない。

彼の暴走を。

私だけの、力で。



2005年08月23日(火) 写真

翌日退院したRからのメールは、一日に20通は超えた。

と言うのも、彼女はDoCoMoのFOMAじゃないから、1回あたりに500文字しか送れないのも理由なんだけど。

長文は何通にも分かれてくるというのも、数が増えた理由の一つ。




私は、仕事のせいにして、毎回は返さなかった。

4通に1回くらいの割合で返すくらいで。




退院してから数日後の土曜の夜。

Iショットが送られてきた。



太ももを数回切ってある写真だった。



呆然としていると、彼女から電話があり。

「りりかさん、私が怖いんでしょ」

と言われた。

私は、黙り込んでしまい。

彼女は。

「りりかさんも、こんな写真見せられて、苦しい?」

と、私に聞いてきた。

しばらくの沈黙の後。

「どうして、自分を傷つけるの?」

ようやく私が返事をすると。

「最初は、死にたかった。今は生きて行くためにするの。よかった、今も生きてるって、実感するから」



白い彼女の太ももに、何本も傷があり。

そこから血が流れている写真は、生々しくて。



とても、怖かった。




「私に何か出来ることがあれば・・・」

「そう言うと思った。でも、出来ることなんか一つしかないの。私がこうやって生きているって事を、りりかさんだけは知っていて」

「どうして、私なの?」

「私にも分からない」




この後も、何通か傷の写真が送られてきた。

そして、彼女は、入院した。


私の携帯には、彼女の写真が残った。

でも、新しいメールたちに、消されていく。


記憶からは、きっと消えないけど。



2005年08月22日(月) リストカット。

今月の上旬。

8月に入ったばかりの日だった。



私は仕事をいつも通りしていた。

夕方の休憩中に携帯を見ると「着信あり」になっていた。

相手は、R。

この店でも働いていたことのある子だ。

かけ直してみたけど、電源が入っていなかった。



夜、もう一度電話してみた。

電源は入っていて、繋がったけど、出たのはRと同棲中の彼だった。

Rは、手首を切って、意識不明だと言われた。



Rは、今私の住んでいる市の市役所職員で、母子家庭になるときも色々と手当ての事や、手続き方法や、提出書類を調べてくれたりして、本当に力になってくれた。

でも、最近は年賀状と誕生日メールのやり取りくらいで、ほとんど連絡を取ることも無く。

それでも、元気にしているものだと、私は勝手に思っていた。



私が慌てて病院に駆けつけたときは、意識も戻っていた。

命にも別状は無く。





Rは、泣きながら、職場でのいじめとセクハラと、色々なことが重なって生きているのが辛くなった、と言った。

手首を切って、血がどんどんあふれてきた時に、怖くなって私と彼に電話をしたらしい。

私も彼も、仕事中で電話には出ず。

そして、意識を失った。

着信履歴を見たのと、最近ちょっとおかしかったのを思い出した彼は、急いで帰宅したため、一命は取り留めた。




私は、正直、分からなかった。

最近連絡も取ってなかったわけだし。

何で私に連絡をくれたのか。



そして、正直、怖かった。

彼女がした事も。

彼女の事も。


理由なんか無かった。

ただ、怖かった。



だから。

その後、泣きはしなかったけど、震えながらハルに電話した。

ハルは。

「りりかは、関わらないほうがいい」

と言った。

「何も出来ないくせに、何かしなきゃと躍起になって、空回って、凹んで大変なんだから。それで子供とかに心配かけるんだよ?そう言うのが、りりかの悪いところ。偽善なんだよ、結局」

とも。



あいつは、私のことを、やっぱりよく知っている。



2005年08月15日(月) 色々あった半月。

やっと、落ち着いてこうしてパソコンに向かうことが出来る。

夏休みも、後半月で終わる。

長女はまだまだ宿題と補習に追われていて。

次女は宿題は終わったけど、夏期講習がある。

ライラは平日は毎日学童保育に通って、夏休み前とあまり変わらない生活をしている。



私は。

たぶん、すごく忙しい夏だった。

後半月の夏休み期間を、子供たちとゆっくり過ごせたら、いいな。

私の夏休みは、昨日から明日までの3日間しかないのだけど。




色々あった半月余りの話は、追々。




私の夏休み初日の昨日は。

お台場に行ってきた。

次女がお台場冒険王に行きたいと言うから。

すごい人で、疲れちゃったけど。


私と。

子供たちと。

ハルと。


こうやって5人で行動するのは、おかしいおかしいと思いながらも。

ハルはハルなりに、私のことを考えて、会いに来てくれていると言う気持ちも分かるから。

私は、やっぱり甘えてしまう。



子供たちは、ハルと会うと、楽しそうで。

私は、それを見て、少しだけ安心する。

子供たちが楽しんでいるんだから、別にいいじゃん、とか正当化できるから。


そんな自分を、嫌悪しながらも。


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