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march forward.
りりかの独り言。

2002年12月31日(火) 大好きな人と一緒

夕方、「店の駐車場についています」ってメールが来てた。

着替えてすぐに出て行く。



「早かったねー」

「向こうを午前中に出てきたんだよ。で、家に帰って掃除とかして来た」

「そか」

「まー、のって。今日は俺のプランね!」

「今日も、でしょ?」

「いやー、なんだかんだ言って、いつもりりかのペースになってるからなぁ」

「そお?」

「うん!!」




いきなり高速に乗る。

「何?どこ行くの???」

「ミレナリオだよ」

「車で???しかも大晦日だし、混んでるって」

「どっか近くの駐車場に停めて、後は電車。混んでても仕方ないの」



天気予報は夜から雪だった。

だから、帰りにいっぱい降ってたらどうしよう・・・とか考えちゃうと・・・。



「大丈夫だって!」



あいつはやっぱり、楽天家・・。





新橋に車を停めて、電車で移動。

「どれくらい並ぶんだろう・・・」

「一時間くらいらしいよ?」

「えぇー・・・」

「えー。とか言わないの!」




寒いのが苦手なあたし。

でも、人ごみのせいか、寒くない。

あいつはむしろ暑いっていってるし・・・。

「でも手が冷たいんだよね、りりかは」

あたしの手を自分のポケットに入れる。



並んでいる間、いろいろな話をしてくれた。

あたしが飽き無いように、いっぱい話してくれた。

あたしが仕事の事とか、話し出しても、ずっと笑顔で聞いてくれてる。

こんな話つまんないよね、ごめん。

ってあたしが言うと。

りりかといてつまんないことはないよ。

って言ってくれる。




そんだけの事が、凄く嬉しかったりする。

こいつが好きだなぁって思い知らされる。

もう、一年も一緒にいるのに、ずっと変わらず。

違うな。

一年前以上にいっぱいあたしに愛情を注いでくれる。






ミレナリオは凄く綺麗で。

でも、遠目から見たほうが綺麗で。

中に入ってももちろん綺麗だけど、骨組みとか見えちゃうせいかな?

遠くからの方が綺麗だね、って。

二人で話してた。





雪は降ってこなくて。

無事に車で帰って来れた。

「お腹空いたなぁ」

「俺も空いた!」

「何食べる?」

「年越しそばでしょ」

「あたし、そば余り好きじゃない・・・」

「ならうどん!」

「うんー。いいけどおなか空いたよー」

「・・・。分かった。そこ入ろう」


入ったのはパスタのお店。

「麺には違いないし!」

「いいの?うどんじゃなくて?」

「だって、りりかお腹空いたでしょ?」

「うどん屋さんを探すくらい我慢できたよー?」

「いいよいいよ。我慢することないじゃん。パスタでいいよね。俺も実家にずっといたからパスタなんて物出ないしさー」




あたしがパスタ好きなの知ってて。

こうやってちょっとずつ気を使ってくれるんだよね。




その後はドライブしてたんだけど。

あたしは寝ちゃって。

起きたら全然知らないところを走ってて。




「どこ行くの?」

「今日はホテルにお泊まりです」

「え?」

「一緒に夜景見よ。年越ししながら」

「え????」

「大丈夫、このシャンプーやだーとか言うと思って、ちゃんと持参済みだから」

「そんな問題じゃないんですけど・・?」

「いいじゃん、予約も取ってあったんだー」




あたしが泊まった事のないような高層ホテルで。

高そうで・・・。

頑張っちゃったな、こいつ・・・って思った。





部屋の窓が大きくて。

夜景が見えて。

すごく、すごく綺麗で。

ワインサービスまであって。



部屋から見えた大きな電子時計がカウントダウンを始めてた。



ゆっくり、あたしからくっついた。

あいつの首に腕を回した。

目が合って、びっくりした顔されたけど。

すぐに笑顔に戻って。

あたしの大好きな、無邪気な笑顔に戻って。



頭をなでて、髪をなでて。

キスをしてくれた。





どこかで花火が上がった。

目を閉じていたから見えなかったけど。

音がした。

新しい年になったんだなって思った。



大好きな人と一緒に、新しい年を迎えたんだなって。




目を閉じたまま、思った。



2002年12月30日(月) あたしだけ

仕事が終わった後。

一人でお茶しに、ファミレスに行った。

深夜。

なのに、結構混んでた。

家に一人でいたくなかった。

誰かがいる空間にいたかった。

だから、仕事も終わった後も、事務処理とか、明日やればいい事を、だらだらしてた。

でもバイトの子に「いい加減帰ってください、明日早朝勤務ですよね?」って追い出され・・・。


ファミレスで、手紙を書いてた。

あいつに。

いろいろなこと。

書いてた。

明日渡そうって思って。



ふと顔をあげると。

カップルが目に付く。

いいなぁ。

彼といちゃいちゃくっつきながら、ドリンクバーで飲み物を選ぶ二人。



いいなぁ・・・。



でも。

あの二人の裏にだって、きっときっと二人にしか分からない重い事があったりするのかもしれない。

それに。


もっともっと辛い思いをして寂しい思いをしている人だっているんだ。






あたしだけじゃない。

寂しい夜を過ごしているのは。




あたしだけじゃない。



2002年12月29日(日) 会いに行けばいいんだよ。

日曜日だけど、あたしもあいつも仕事。

朝が早いあいつは、夜も必然的に早く寝ちゃう。

だから、夜中しかメールとか電話できる時間が無いあたしとは、すれ違い。



「もう寝ちゃったよね・・・また明日ね」

こんなメール送って。

早朝に。

「おはよう、今から仕事です。お互い頑張ろうねー」

ってメールが来てる。




昼休みはあいつは12時から一時間で。

あたしは12時から一時間が一番忙しい。



あたしの仕事が終わる23時くらいには、あいつは熟睡・・・。

そんな繰り返し。





でもね。

大晦日に会えるって約束があるから、まだ耐えられる。

頑張れる。

けどね。

これから休みも不定期なあいつは、次の休みなんか分からないし。

そしたら次はいつ会えるのかな?って思う。

不安になっちゃう・・・ね。




そんなグチを、妹に話してた。

そしたら「Hちゃんは夕方は仕事終わってるんだよね?ならりりかちゃんが休みの日に一緒に行こうよ。Hちゃんのところ。それで、会いに行こうよ。ね」





ありがと。

あたしが一人で行く勇気が無いって、妹は分かってくれてて。

あたしの背中を押してくれて。




会いに行けばいい。

次の約束が決まって無くて。

でも会いたくて仕方なくなったら。

会いに行けば、いい。


簡単なことだったのに。

無理だって思ってばかりいた。





あたし、遠距離恋愛ってした事無くて。

だから、すごく不安だったりする。

けど、うまくやって行ける人もいるんだから。




あたしたちだって。

大丈夫だよね。。。



2002年12月28日(土) 行かないで。

泣いてばっかりいるなら、行きなさいよ。




妹に言われた。

あたしも考えた。

そうしたら、簡単。

なのかな?って。





苦しくなって、泣き出して。

夜中にあいつに電話した。

ごめんね・・・朝早いのに。



「どうしたー?」

「寂しくなったの」

「もう・・・大晦日に会えるよー」

「うん・・・分かってる。けど、急に不安になったの」

「ん・・・」

「あなたの決めた人生だから、あたし何も言えないから」

「ホントは、なんて言いたいの?」

「・・。言えない」

「今だけ、言っていいよ。明日になったら忘れるから」




「ホントは・・・。ホントは、行かないで欲しい」

「うん・・・ごめんね」




違うよね。

謝るのは、あたしだよね・・・。

ごめんね・・・。




「でもね。行かないでって聞けて、よかった」

「え?」

「その言葉はずっと出なかったでしょ」

「そだね」

「泣いてばかりで。来てって言っても無理って言うだけで。だからと言って、行かないでって言葉も無くて。何か、不安だったんだよ、俺も」

「そう。。。でも、行かないでって言っても無理って分かっているから。それにHの家の状況が大変なのも分かっているつもりだから。わがまま言えないって思った。あたしは行けないのに、あなたは行かないで、なんて」

「迎えに来るよ。りりかの気持ちが落ち着いて。一緒に来てくれるって気持ちに心からなったとき」




そのまま。

あたしたちは、たくさん話した。

1月中はたくさん会おうね。

たくさん、話そうね、って。




それで、思い出した。

いつでも、彼はあたしを待っててくれてるって事。

あたしがいろいろな状況で、いつも待たせているって事。




それでも。

ずっとあなたは待っててくれるって事。



2002年12月27日(金) 平気だよ。

朝。

待ち合わせして、二人であたしがクリスマスに送った腕時計のバンドの調整に行った。

直すのに30分くらい掛かりますって言われて、お茶する事にして。



あたしは直したらそのまんま仕事。

あいつは・・・実家にそのまんま行く。

で、大晦日に帰ってきて、一緒に年越しを過ごす。



お茶しているとき。

「ね、りりか一人で平気?」

あなたは、何度こう聞いたかな?

何度も聞いたよね。

あたしは何度も、聞かれるたびに同じ答えをした。



同じ答えしか、出来なかった。




あたしは、寂しい。

不安だし、悲しい。怖い。

傍にいない、大好きな、あなたが。

それ考えるだけで、泣けて来る。

けど。

行けないんだ、やっぱり。





時計を直して。

お互いの車に乗る。

あたしが乗り込むとき、また聞いたね。

「一人で平気?」




「平気だよ」





涙が出た。

あいつの車が見えなくなって。

そのとき、涙が出た。

何が足りないんだろう。


そうだ。






あたしには、勇気がない。

あなたについて行ける、勇気が足りないんだ。



2002年12月26日(木) 最悪なクリスマス

25日。

あたしたちはお昼に待ち合わせしてたんだけど。

あたしの支度が遅くなっちゃって。

結局2時間遅刻。

ま、いつもどおりって言うか、なんていうか。

なぜか、あいつとの約束のときは遅刻する事が多い・・・




アウトレットに行って、買い物したり、イルミネーション見たり。

クリスマスディナーを食べて、バーに行った。

全部あいつのプラン。

バーでプレゼントの交換した。

あたしから、時計。

すごく、喜んでくれて。

でも、二人ともサイズが大きすぎちゃって。

直しに行こうね。って話して。

あいつからはネックレス。


「1年前、お台場で渡したネックレスは結構安かったし。何より自分で稼いだ金じゃなかったしね」


凄く嬉しい。

プラチナのネックレスがきらきらしてて。

「つけてあげるよ」

って、つけてくれた。

「どお?」

ちょっと照れたあたしに、あいつは。

「うん!店で見たときに、これはりりかに絶対に似合う!って思ったんだ。一目ぼれだった!」

って、ニコニコして。

あたしの頭をなでて。

その手が頬に来て。



「話ってね」




ドキッとした。

忘れてたから、その事。

楽しくて、嬉しくて、忘れてたから。





「いい話し、悪い話、どっち?」

「きっと・・・悪い話じゃないかな」



やっぱり・・・。

ドキドキが早くなる。




「2月に。実家に帰るわ」

「ん?」

「実家を継ぐわ」




あたしは、呆然とした。

実家関係の話、だとは思ってたけど。

実家を、継ぐ?



「親父もかなり辛そうだし。手伝ってあげたいし」

「うん」

「だからね・・・っ!泣かないでよー・・・」



いつの間にか、あたしは泣いてて。

指摘されたとき、泣いてるんだ、って気づいた。

気づいたら。

止まらなくなって。

声をあげて、泣いた。




「一緒に来てくれない?」



あたしの頭をなでながら、言う。

あたしは首を振る。

一緒に、君の実家に帰る事は、出来ないよ。




「どうして?」




それは、子供たちと今以上に距離が離れるのが嫌だから。

もうちょっと、時がたったら、分からないけど。

何年か先なら、分からないけど。




「だって、俺傍にいなくなるんだよ?」




分かってる。

分かってるけど。

一緒に行く事は、出来ません。

ごめんね・・・。





あたしは、泣き続けて。

バーを出た後、歩きながらも泣いて。

あいつに手を引かれながら泣いて。




今の気持ちは、不安。




それだけ。

それだけしか、ない。




泣いてばかりの。

最悪なクリスマスになった。



2002年12月25日(水) ご挨拶

年も明けちゃいました・・・

クリスマスからいろいろありまして、何度も日記に書こうって下書きしました。

でも、長くなっちゃったりして、意味が分からなくなったりして・・・




やっと、下書きも書きました。

ゆっくり。

書き足して行こうって思っています。





最後になりましたが。

更新しない間もメールくださった皆様。

ありがとうございます。

今年もよろしくお願いします。




1月5日 りりか



2002年12月24日(火) メリークリスマス

「明日、話があるんだ」

あいつから電話で言われた。

「うん、何?」

「だから、明日会ってからね」




なんとなく。

胸騒ぎがした。

いい話じゃないだろうなって思った。

あいつの性格上、いい話ならすぐに言いたがるから。

なんだろう・・・

今考えられるのは・・・

実家関係の話だよね。






その後は、明日の予定とかお互いに話して。

昼過ぎに行くね、と言って。

あいつは朝帰ってきたら掃除とかしなきゃ、って言ってて。



電話を切るときに。

「メリークリスマス!」

ってあたしが言った。

ちょっぴり、嫌味のつもりだった。

今日会えなかった事に対しての、寂しい気持ちを嫌味にしたつもりだった。

あいつは。

「それは明日会ったら言うからね」

って普通に返して来て。

なんだ、分かって無いのかよ。ってちょっと思う。





一人でイブを過ごした事なんて、今まであっただろうか。






その後は酒をがんがん飲んだ。

一人で。

がんがん、飲んだ。

途中から記憶がなくなって。



気がついたら、テーブルの下で丸くなってた・・・。

寒かったんだと思うけど。





ちゃんと布団で寝なおして。

痛い頭の中で、考えた。




明日話したい事って、なんだろう?



2002年12月23日(月) 一緒の時間を刻んで・・・

妹と、クリスマスプレゼントを買いに出かけた。

明日はイブっていう事で、しかも今日は祝日って言う事で、どこもかしこも人ごみ・・・

車で行っちゃったあたしたちは、駐車場待ちで1時間並んだし・・・





あいつに「クリスマスプレゼントは何が欲しい?」って前に聞いた。

そしたら「携帯にりりかさんの声で、おはようって録音して」って言われて、恥ずかしいから無理!って断って。

「なにがいい?決めてよー」って聞いても「りりかさんがくれるなら、何でも嬉しいよ」とか言っちゃって。

ちゃんと聞いてなかったんだけど。

でも、あいつは腕時計をしているのを見た事なくて。

あたしももって無いから、あたしも買っちゃおう、お揃いにしちゃおう!って思った。





時計売り場でかなり悩んだ。

ネットで下調べしてたんだけど、あたしが気に入った色のは店頭になかったから。

ずいぶんぐるぐる同じ所を回って。




結局妹と相談して決めた。

文字盤があいつは水色、あたしはピンクの。

妹に。

「同じ時計して、一緒の時間を刻もうね!なんて言うんじゃないでしょうねぇ」

とか冷やかされて・・・。


言いません。

一瞬、いいフレーズだな♪とか思ってしまいましたが。




「喜んでくれるかなぁ」

何度も何度も、妹に聞くあたし。

うんざりしながら「Hちゃんはりりかちゃんからもらったら、なんでも大喜びするから、安心しなー」となだめられて。

「うん、あたしもそう思うよ!」なんてついでにのろけちゃったりして・・・






クリスマス、たくさん笑って、たくさんくっついていたい。




そう思ってた。



2002年12月22日(日) イブの予定

今日は仕事が長時間で。

朝7時から夜23時まで。

夕方あいつから。

「今日はいっぱいマッサージしますので、たくさん疲れてから来てください」

なんてメールが来る。

よし、頑張るか!なんて、あたしも思ったりして。





後仕事が2時間で終わる。

そんな時。

店の電話がなる。

電話の主は、あいつ。



「今平気ですか?」

「平気じゃないけど・・・どうした?」

あいつが店に電話してくるなんて、急用かな?って思った。

「ごめん、今日会えない」

「?どうした?」

「親父が、倒れたらしくて」

「へ?」

「仕事から帰ってきたら・・・詳しくは分からないんだけど。とにかく、実家に今から行くから」

「う、うん。分かったよ、気を付けて!」

「本当に、ごめん。またメールします!」

「詳しく分かったら教えてね」




そして、あたしが帰宅して。

あいつから電話がなる。



「どうしたって?お父さんは大丈夫?」

「うん、びっくりだよ、風邪をこじらせてそれでも仕事してて、とかそう言う感じだったみたい」

「肺炎??」

「いやいや。そこまで重くないよー。もう家に帰って来てるし」

「そっかー・・・安心したー」

「うん、安心した。うん。でも、休みをほとんど取って無かったらしくて。相当疲れてたんだろうなぁって」

「そう・・・」

「ん。だから、ちょっと仕事手伝って行こうと思って」

「そう、いつまで?」

「24日まで。25日には帰るから」

「え・・・25?」

「ごめん・・・」

「ううん・・・。頑張ってね・・・」

「25日から手伝ってくれる人を呼んだみたいなんだ。それまではいないらしいから」

「うん、うん。じゃ、25日に」





24日は一緒に過ごそうねって話してた。

けど、仕方ない、って思った。

あいつは、凄く家族を大事にする人だから。



頑張って。



素直にそう思えた。




もしも。

こんなときでもイブだの何だの、優先する人だったら。

逆に嫌だった。

だから、あいつがそう言うやつでよかった。






でも。

本音を言えば、寂しい気持ちになったのも確か。

イブは一人きりか、って。



思うだけなら、いいよね・・・



2002年12月21日(土) 出来ちゃった婚

実家でのクリスマス会。

弟にプレゼントを買って。





親戚も集まる。

あたしが離婚してから、初めて会う人もいるわけで。

やっぱり、離婚の事、子供を手放した事。

いろいろ言われた。

覚悟はしていたけど。




妹が。

「りりかちゃんも悩んで一生懸命決めた事なんだし、もうそうやって責めるのやめようよ」

って、言ってくれて。





その後は、傷物を触るみたいに接しられて。






親戚はみんな帰宅して。

残ったのはあたしと妹だけになった。

母が。

「あんたの、付き合ってる何とか君。学校卒業できるの?」

って聞いて来た。

「うん、出来るよ」

「あそう。ならよかったね」





そんな事言われたんだよ。

って、帰り電話であいつに話した。

「あ、そうそう。姉貴が出来ちゃった婚なんだ!」

「えー、そうなの?おめでとう!」

「まだ付き合って5ヶ月らしいよ?でも、出来ちゃったし結婚するみたい。2月に式挙げるらしいけど、もう1月から一緒に住むんだって」

「そっかー、また急だね」

「うん、りりかさん会いに一緒に行く?姉貴に」

「は?」

「正月帰ったときに。一緒に行かない?」

「あー・・・無理かな」

「なんで?」

「正月は元旦以外は全部仕事なんだよ」

「そか・・・来たくない?」

「来たくないって言うか。まだ行けないって気持ちがあるかな」

「いつになったら、行けるって気持ちになる?」

「分からない」

「うん・・・そっか」





お姉さんはあたしより3つ下。

25歳。

あいつと仲良しのお姉さんだから、きっとあいつも寂しいだろうな。

でも、おめでたい事だしね。






このときあたしは、まだ。

凄く客観的にしか見て無かった。



ただ。

あいつのお姉さんの結婚。

そう言う風にしか考えて無かった。



2002年12月20日(金) 書けない事。書きたくない事。

明日はあたしの実家で毎年恒例のクリスマス会。

この年になって・・・と思うけど、クリスマスは亡くなった祖母の誕生日だったので、毎年集まって誕生会をしてて、今でもそれは続いている。

本当なら、子供たちも一緒に行く。

でも、今年はもちろん、無い。





子供たちへのクリスマスプレゼント。

だんな様に聞いたら「いらない」と言ってたけど。

捨てられるの覚悟で、送った。



長女にはバック。

次女にはマフラー。

ライラには手袋。



そしてそれぞれにメッセージカードを添えて。






買い物に行ったとき。

たくさんのお子さんが目に入った。

あたしも本当ならこうして。

子供たちと来ているはずだったのに。




こう言うこと、考えないって約束した。

本当なら・・・とか、去年は・・・とか。

きりがないから、やめなさいって。

Mさんと約束した。




でも。

きりがなくても、考えてしまう。

あたしは、悲しくなってしまう。





そして。


後悔し始めてしまう。





1つ考え出すと。

また新たな1つに繋がって。

そしてその後は、数珠繋ぎにどんどんどんどん繋がって。




眠れなくなる夜を過ごす。

何度も寝返りをうち。

もう考えるのをやめようって何度も言い聞かせ。

でも、繰り返す。





あたしが。

子供の事なんか全く考えてないと思った?

もう切り離して考えていると思った?

子供と離れてよかった、って思っていると思った?




あなたがもし。

母親なら。父親なら。

それはあり得ないと分かるでしょう。

あなたがもし。

独身なら。お子さんがいらっしゃらないのなら。




いつか、お子さんが生まれたときに。

あり得ないことだと、分かるでしょう。




でも。

ここにそうして、子供の事を考えるあたしの気持ち。

書く事によって、あたしの気持ちは軽くなるはずなんて無く。

逆に。

重くなって行く。





ここに書けない事もあれば。

ここにしか書けない事もある。




いろいろな、気持ち的に。



2002年12月19日(木) 涙腺が弱い・・・

(本当の日付は12月28日)



日記を更新しない間、メールをたくさん頂きました。

全部読ませていただいています。

ありがとうございます。

12月16日の日記について、たくさん励まされました。

凄く、嬉しかったです・・・

涙が出ちゃったりして・・・



最近涙腺が弱いです・・・。

ここ数日泣いてばかり・・・


クリスマスの日も大泣きしちゃって。



あたしの周りも、あたし自身も、どんどん変わって行く。





ゆっくり、日記を埋めて行くつもりです。

今年中にクリスマスの分まで書きあげたいなぁ・・・




12月28日AM1:10   りりか



2002年12月18日(水) ファンの方ごめんなさい・・・

まだ付き合って間もないころ。

あいつの家に入った何度目かの時。

「この曲いいんですよ」ってGLAYのアルバムを掛けてくれた。

「歌詞が凄くよくて。特に最後の方が。聞いてください。なんだか俺のりりかさんに対する気持ちそのものだったりするんですよー」



あたしは、GLAYは好きでも無く嫌いでも無く。

そのとき眠かった事もあって、ちゃんと耳に入ってこなくて。

「うーん・・・分からないなぁ」って言ったんだ。

で。

「この題名の意味を訳せる?」

って聞いたら。

「すべての基準は・・・りりかさん♪」

って言われて笑ったのを覚えてる。



後日そのアルバムをレンタルCDショップで見つけて。

歌詞カードを見て。

一人で赤面した事を覚えてる。




でも、結局借りちゃって。

今ではこの曲が流れると、あの1年前に戻ったような不思議な感覚になる。





#後日この曲の歌詞を載せた事に対して、エンピツのサポートセンターから一部分だけなら大丈夫だと思いますが、全部は著作権の事とかで削除依頼が来たので、削除いたしました。
いろいろとお手数をおかけしまして、申し訳ありませんでした。



2002年12月17日(火) 愛し愛され

あいつは。

あたしの存在だけで幸せだと思ってくれる人。

それは、離れていてもそう。

どこかにあたしがいる。

それだけで、幸せを感じてくれる人。




あたしは、何もしてあげられないし。

何も与えられない。

でも、あたしがいるだけで。

あたしが生きているだけで、とても喜んでくれる。




最初のころの日記に書いた言葉。


「きみが、寂しくて悲しくてどうしても一人でいたくない時に、あたしは、家庭の事情とかでかけつけてあげることが出来ないかも知れない。きっと、あたしたちは与えてもらうだけ、与えるだけの関係になってしまう。」


家庭がなくなった今も。

あたしたちの関係は与えるだけ、与えてもらうだけ。

そういう関係のまんまだったりする。



それはきっと、心のどこかで。

あたしがあいつにすべてをさらけ出せないからかもしれない。

そして。



今のようにあたしが愛されている、という形が崩れるのが。

怖いのかもしれない。

愛されていると言う心地よさを離したくないのかもしれない。



だから、愛しすぎるのが怖いのかもしれない。



2002年12月16日(月) いけないこと。

たくさん。

たくさん笑いあえる関係でいたい。

たくさん話し合える関係でいたい。



あたしはそう望む事は。

おかしなことなのかな?





メールをもらった。

日記読んでいる方から。




よく笑ってられるね。

よく日記なんか書いていられるね。

よく産婦人科の事とか彼に何でも言えるね。

あんたにそんな権利があるんだ?

・・・・。




最後の文章読んで、凄く。

凄く沈んで。

この日からちょっと、パソコンを立ちあげる事さえ怖くなった。



本当は。

今日の日記で書く事があったんだけど。






言葉って。

軽く言っても傷つけると思う。

当然、あたしも多々あると思う。

いろいろな人にいろいろな事を言って傷つけたと思う。



このメールを書いた方は。

もしかしたら、傷つけるつもりなんか無かったのかもしれない。

そして。

もしかしたら。

あたしに傷つく権利はないと言いたかったのかもしれない。

あたしが傷つけてきた人たちの事を考えたら。

そう。

あたしには、傷つく権利はないのかもしれない。


けど。

かなり堪えた。







あんたなんか、死んじゃえばいいのに。

そしたら残された人も捨てられた人も諦めつくんじゃないの?






あたしは。

こうして日記に残す事も。

あいつと笑い会う事も。

話し合う事も。

傷つく事も。


生きている事も。



いけないことなのかな。



そう、思ってしまった。



2002年12月15日(日) 喜怒哀楽の喜と楽

あいつはもてるタイプだと思う。

マメだし、よく気がつくし。

カチン!と来る事も多々あるけど、もてる子だと思う。

あたしの妹なんか、あいつと自分の彼の事をよく比べて「いいよなぁ、りりかちゃんは。Hちゃんがマメで羨ましいよ・・・」と言ったりする。



でもね。

あたしはそう言うのに慣れてない。

だんな様がそう言うマメな人じゃなかった。

あたしがいろいろ言ってやっと重い腰を上げて、しかも上げつつ文句を言う人だったから。

だから、あいつみたいに自分からいろいろ予約してくれたり、いろいろしてくれたりするのは、慣れてない。




あたしは昔から喜ぶのが下手で。

怒りや悲しいのは結構素直に出せるんだけど。

嬉しいって言うのを出すのが苦手。

本当に嬉しいときほど、表現出来ないんだ。

なんでだろう?

だから。

マメになんかされて。

それでも喜べない自分がいて。(心の中では凄く喜んでいるんだけど)

逆にマメに何かされると負担に思ったりする事まである。




あいつが。

一生懸命クリスマスの予定を立ててくれる。

あそこ行ってー、ここに行ってー。

後はお楽しみー♪とか言う。

そんなプランを「うんうん」って聞いてるあたし。

淡々と、聞いてるあたし。

本当はあたしだって楽しみなのに。





「りりかは感情出すの下手くそだよね」

いきなり言われた。

知ってるよ、そんな事!

でも。

「何で?」

あえて聞いて見る。

「でも前より泣いたり怒ったり、すぐするようになったから、後ちょっとかな。だから頑張る!」

あたしの「何で?」には答えないで、張り切る。



夜中にメール。

「俺なんか、笑いじわがこの年で出来ちゃうんじゃないの?ってくらいにりりかの事とか考えるとすぐニヤニヤしちゃうんだよー。りりかもいつもにこにこしようね!てか。俺がさせるわ」




作り笑いは簡単に出来る。

職業病。

だから、愛想笑いで笑顔は出来る。

けど。

あいつの前では愛想笑いなんかしたくないし。

違うな。

出来ないんだ、なぜか。





いつか。

喜怒哀楽全部が。

君と一緒のときにいつも出るように。

君と一緒だと出るように。

なれたらいいな、って思う。



なれるよね、きっと。



2002年12月14日(土) カット

久しぶりに髪の毛を切った。

仕事柄束ねてしまうから、長くても面倒じゃないし、伸ばしっぱなしにしてて。

あいつは「切っちゃうのー?」と悲しそう。

あたしの髪の毛が大好きらしい。

「なんかやわらかくて気持ちいいんだよね、触ってると」

なんて言う。

確かにあたしの髪質は健康だって美容師さんにも言われる。

真っ直ぐな髪。

でも、パーマは掛かりづらいんだから・・・




20センチ切った。

肩よりちょっと長いくらいって言ったら、それくらいになった。

凄く軽く感じた。

何だか見慣れない自分。

鏡の中に見つけて。

あいつはなんていうのかな、って考えたりした。






「お、いいじゃん。似合ってるよー」

あいつはニコニコして、言ってくれた。

「トリートメントも高いやつしてもらったんだ」

あたしの髪の毛を触りながら、

「その効果は無いな。いつもと変わらないし」

って言った。




あいつの部屋でごろごろしてたら、また髪の毛を触りながら聞く。

「切った髪の毛ってどうするの?」

「切った髪の毛?」

「今日切った、りりかの髪の毛」

「そんなの、下に落ちて捨ててるでしょ。普通でしょ?」

「でも20センチ切ったらかなりの量でしょ?もらえるのかと思った」

「まさか!もしもらってもどうするのよー?」

「俺が欲しかった。りりかと会えなくても触っていられる!」

「・・・気持ち悪いよ、なんか」

「そういうな!」




ずっとあたしの髪の毛を指に絡ませて遊んで。

「本当に欲しかったなぁ」ってつぶやく。



そんな切った髪の毛だけより、こうやって実物触っているほうがいいに決まってる。

でも、そんなにあたしの髪を好きでいてくれてありがとね。





・・・でも、切った髪の毛が欲しいなんて、気持ち悪いよ、やっぱり!



2002年12月13日(金) 再婚

妹と会った。

仕事が終わってから。

昨日の、だんな様の話をした。

妹も知っているその彼女。

妹は「そんなのおかしい」を連発してた。

でも「仕方ないのかもしれない」と言ってた。




二人でお風呂屋さんに行った。

お風呂につかりながら、いろいろな話をした。

あいつのこと。

だんな様のこと。

子供たちのこと。

そして。

妹は再婚すると言った。



離婚してもう1年半。

離婚の原因になった、彼と一緒に今もいる。

いろいろな事があったと言った。

彼が妹の元ご主人に対して、罪悪感に潰されそうになって、別れそうになったり。

妹が逆に罪悪感があったり。

ただ、あたしと違うのは。

妹には子供がいなかった。

だから、普通に恋人同士だって別れたりくっついたりする。

それと似たような感覚かな、と言った。





そんな感覚かな、と思っても。

やっぱり一度籍を同じにした人と別れるのは、凄く精神的にも肉体的にもきつかったし。

再婚する事にだって、凄く悩んだと言った。


「だから、りりかちゃんの場合はもっともっと悩むし、苦しいよね。そう思う」

「うん、そうだね」

「でも、ここまで来ちゃった。パパ(だんな様)にはパパの生活が始まった。りりかちゃんはりりかちゃんの生活を作ってもいいんじゃないかな。Hちゃんと一緒に暮らしても、いいんじゃないかな」

「んー・・・」

「りりかちゃん、生活感が好きって気持ちを変えちゃうから、ってよく言うけど。パパとは出来なかった、笑える、感情をたくさん出せる生活にしたらいいんじゃないかな。きっと、Hちゃんなら出来そう。してくれそう。だってさー。一年もつき合ってて、ここまでマメにいろいろしてくれる人もいないし。ここまで好きでいてくれる人もいないし。大丈夫だよ」

「そうかもしれないけど。でも、まだ同棲はいいかな。したくないかな」

「それはりりかちゃんが決めることだけど。同居する、位の感覚でしてみればいいのに」

「あはは。出来ないよー」




妹はまだ若いから。

いろいろな事を割り切れて。

いろいろな事に飛び込んでいけて。



あたしは、もうそんな勇気がなくなっちゃったおばさんだから。

慎重に進んで行かなきゃならない。



でも。

妹が再婚する事に対しては、本当によかったと思う。




頑張ってね。

本当に仲よしで、いてね。


いつまでも。



2002年12月12日(木) 恋人

ずいぶん前に。

だんな様に手紙をかいた。

携帯は繋がらないから。

その返事は無かった。


けど。

今日、電話が来た。



この間の事は、本当に悪かった、と言って来た。

あたしも、謝った。

あなたの気持ちを考えなかったことに対して。

本当にごめんなさい、と。




あの後。

三日くらい飲み歩いたそうだ。

自分が嫌になったらしくて。

そして、元彼女に偶然再会したそうで。

その元彼女は、あたしの同級生で。

あたしとだんな様が付き合う前に付き合っていた彼女で。

彼女も結婚して離婚して、今は一人で。

なんだか、意気投合してなんとなく今は付き合っていると言う。

まだ半月くらいなんだけどね、と言ってた。




「そか。なんていっていいのか分からないけど、幸せに、って言うのも変だし・・・」

「でも、再婚しようとか、全く考えられないから」

「うん、そかー」




再婚すること、反対とか全くないし。

彼に彼女が出来る事も、自然だと思う。

けど、子供の事もある。

から、手放しで「よかったね、おめでとう、再婚しなよ!」なんてもちろん言えないし。

今は他人関係だから、あたしは口出すものではないし。




「子供たちには会わせたりしたの?」

「まだ・・・でも、会いたいって言ってる、彼女は」

「うん・・・」



あたしは、同じ中学だった彼女の事、余り好きではなかった。

昔から、なんとなく好きでは無い子で。

もう15年近く会って無いんだし、今はどんな風に変わったのか分からないけど。

でも、その彼女にあたしの子供を会わせるって言うこととか。

凄く違和感を覚えたのも確か。

もし、再婚したら、彼女はライラたちに「ママ」とか「お母さん」とか呼ばれる事になって。




そか。

だんな様があいつとライラを会わせたとき。

こう言う風に嫌悪感がきっと募ったんだろう。



でも。

子供たちをお願いします、と言ったあたしは。

反対だの、嫌悪感だの、言える立場じゃない事くらいは分かってる。






泣きそうになった。





「うまく行くと、いいね・・・」

心の中とは反対に。

そう言う言葉が出てきた。

と言うか。

そう言う言葉以外、出せなかった。

出したらだめだと思った。


他に、どんな事を言ったらいいのか。

全く分からなかったから。






恋人が出来て。

まだ半月くらいの付き合いで。

凄く楽しいんだろう。

だんな様は、電話の向こうでたくさん笑ってた。

でも、最後にこう言われた。




「子供たちと連絡を取るなって言うのは、撤回するつもりは無いから。お前がいたら、彼女に懐かなくなるだろ」

言ってる事が、おかしいと思った。

でも、今子供とはなれている原因を作ったのはあたしで。

だから、言えなかった。





彼女が出来た事、とてもいい事だと思う。

ただ。

その彼女が、あたしの知っている人だったから。

あたしを知っている人だったから。


ちょっと複雑なのかもしれない。



2002年12月11日(水) きらきらの通り道

昨日、行った、イルミネーションのひとつは。

あたしが行きたいって言った。

ある場所。




ずっと前の日記にもかいたけど。

あたしの長女は心臓病を患って生まれてきた。

そして、あたしだけ退院させられて。

長女は病院に残って。





新生児室って言うのは、無菌室だから。

しかも、長女が入っていたのは未熟児室で(未熟児ではなかったけど)。

だから、一日に何分って、時間も決まってて。

後はガラス越しに見るだけ。

中の看護婦さんとつながっているインターホンで名前を言うと、保育器ごとガラスの所まで持って来てくれる。

でも、ガラス越しに見れるのも1回20分くらい。



あたしは、そのころ、精神的に参ってた。

当たり前なんだろうけど。

生まれたばかりの我子が心臓病で。

自分と引き離されて。

冷静でいられるはずも無く。




当時住んでいた家から病院まで、片道徒歩20分。

その時は車の免許も無かったし、お金も持たせてもらって無かったから。

交通手段は徒歩しかなくて。

あたし、毎日一日に何回も病院まで歩いて。

ガラス越しに見て。

ボーっとしながら歩いて帰って。

家について一人で部屋の中にいると、落ち着かなくなって。

また歩いて病院に行く・・・の繰り返しで。

おかしくなっていたんだと思う。






長女は11月の終わりに生まれたから、そのころはクリスマス時期で。

あたしは、毎日病院に行って、家に帰って、また歩いて病院まで行って。



病院に行くまでの大通り、綺麗なイルミネーションが飾られてた。

ある日気づいたんだ。

ああ、こんな綺麗な通りになるんだなぁって。


泣きながら歩いた。

涙でイルミネーションがかすんだ。

寒い寒い中。

周りの人たちはクリスマス前で、楽しそうで。

きっと世の中で一番不幸なのは、あたしだ。

クリスマスも何もないって。




毎日、泣きながら通った。

イルミネーションの中を、毎日歩いた。




でも。

長女が手術して、退院するとき、やっぱりクリスマス時期だったんだけど。

それまでとは違うイルミネーションに見えたんだ。

キラキラして。

綺麗だなぁって、素直に感動出来て。





それからも毎年あたしは必ず行く。

イルミネーションを見に行く。


あの時、泣きながら見たイルミネーションは。

もう思い出になってて。

辛かったけど、頑張ったよね、って思ってて。




でも、昨日見た時。

また、涙が出た。

あいつには見られないで済んだけど。

あのときの辛かった事を思い出したのではなく。






なぜか。


涙が出て来てしまった。




いろいろな事があった。

そんな事を、ふと思い出したのかもしれない。



きらきらの通り道を見てたら。



2002年12月10日(火) 一年目のお出かけ

この日記の最初の日にち。

2001年12月10日。

ここから、始まって。

今日、一年目になった。



今でも、本当に最近のように思い出せるのに。

なぜか、ずいぶん昔の事のように感じてしまう。


あたしはまだ、その時は、妻で。

他の人の、奥さんで。



ただ、軽い気持ちで、あたしは彼とお台場に行った。

でも、彼は軽い気持ちなんかじゃなく。

すごく、普通のデートとして接しようとして。

そんな「普通のデート」を忘れちゃっていたあたしは。



ドキドキして。

びくびくして。



感想は。

一言だけ「疲れた」だった。

こんなに疲れるのであれば、もうこんなのしたくないなぁって思った。








今日は、イルミネーション巡り!ってあいつが言って。

あたしはあいつの横にいる。

それは、一年前の今日も同じ。


ただ、違うのは。




あたしがあいつのとなりにいる事が。

当たり前になった事。



車でいろいろな場所のイルミネーションを見に連れて行ってくれた。

時間まで調べてくれてて、行こうと思ってた最後の場所は消灯が23時。

そこには、車を停めて、歩いていった。





当たり前のように手をつないでくる。

当たり前のようにあたしもその手を握る。

当たり前のようにあたしの手をポケットに入れて。






「寒くない?」

「平気。・・・でもちょっと寒いかな・・・」

「上着かそうか?」

「いらなーい」





一年前のお台場でも、あなたは同じ事聞いたね。

「寒くないですか?」って。

あたしは強がって。

「全然寒くない」なんて言ったね。

もし、寒いなんて言って、肩でも組まれたら、怖いって思ったのかな?




風がぴゅーっと吹いて来て。

「さむーい!」

ってあたしがあなたにしがみつくと。

「寒さ万歳ですね」

と、ニヤニヤして頭をなでてくる。




いつまでも。

いつまでも、あたしたちは、こうしているんだろうか。

出来るんだろうか。

時間の流れと共に、気持ちが変わって来て。

安心感だったり、疲れだったり、飽きだったり。



来年の同じ日にも。

あたしたちは一緒に歩いていられるよね。


きっと。



2002年12月09日(月) 雪・・・。

朝起きて携帯を見る。

あいつからバイトの休憩中にメール来てた。

受信時間はAM1時。


「こんなところで初雪見たくなかったよー」


え?

あわててカーテンを開ける。

真っ白。

まだまだ降り続いている。



とにかく支度をしなきゃ、と用意を始めているとき、あいつからの着信音。

「もしもし?」

「今さっき終わって、駅まで来たら、電車止まってるし、凄い人だし・・・歩いて帰るよー」

「大丈夫???」

「平気平気。りりか、銀行俺が運転して連れて行くから、待ってて」

「いいよー、平気だよ」

「だめだめ。俺の車スタットレスだから、俺の運転で行く。何かあってからじゃ遅いの!」

「だって、寝て無いじゃん、しかも歩いて帰って来てるんだよね?」

「タクシーでもどっかでつかまえるから。とにかく待ってて」

「うんー・・・」




仕事中、メールが来た。

「銀行に行く時間に間に合うかなぁ。タクシーが全然いないんだよー」

「だから、あたし行くって。行けるって。大丈夫だよ」



店頭の雪かきをして。

銀行に行く時間になって、やっぱり間に合わないよね、と思って自分の運転で行こうと思ったら、電話。

「今家を出たから。待ってて、あと15分くらいかな」

「えー、いいよー、今行こうと思ってたの」

「もう出ちゃったんだし。待ってて!」



あいつはこの雪の中を飛ばしたんだろうなぁって速さで来て。

「間に合ったー」

と笑顔で言った。

「ありがとね・・・寒かったね」

「いやいや、寒さより、時間との戦いだったね!やべー、間に合わない!って」

あたしがあいつの顔を見ると、鼻が赤くなってて。

目が合って、いきなりキスされた。

昼間っから!


「!!!何!?」

「お礼としてもらいたくなったの」

「はー?」

「さー、りりかを送ったらりりかのところで飯食って、学校行くぞー!今のですげー元気出たし」

「安上がりー・・・」





雪はどんどん降って来て。

前が見えないくらい。

「今日は出かけられないね・・・」

「うん、ならあたしが君の家に行こうか?」

「バカ!なんで夜の凍っている道をわざわざ来させるんだよ。俺が行く」

「どこに?」

「りりかの家」

「え?で?」

「一緒に過ごすんでしょ、1年目」

「うんー・・・」

「何で?嫌?」

「嫌じゃないけど・・・」


そしたら、うちに泊まるんだよね?

って言う言葉は殺して。

いいんだけど・・・ね。

なんだか、泊まらせるのって、なんだか・・・と思ってしまう。

それを察したらしくて。

あいつは。


「なら、今日は運転も危ないし、二人とも家でゆっくりメル友になろうか?で、明日天気がよかったら、明日でかけようか?」

「うん、そうだね。明日にしようか」



ちょっとホッとする、あたしがいた。

ごめん、なんとなく、泊まらせるって事に軽い抵抗があって。

具合が悪いときとか、そう言うときに結果的に泊まった事はあったけど。

あたしが泊まりに行く分には抵抗ないのになぁ・・・





夜は、いっぱいメールした。

眠くないの?

って聞いたら、学校で寝たからねーって返事。

何しに行っているんだか・・・。




雪は夕方でやんで。

夜には雨になったせいもあって、ほとんど溶けちゃってた。

あたしは、1年前の事を、いろいろ思い出してた。



今と、あの時と。

どっちが幸せか?って聞かれたら。



比べようも無い。

と、思った。

ただ。

ここまで誰かに愛される。

こんなに他人を愛せる。

そんな感覚は、きっと、あいつと出会ってなかったら、知りようが無かったから。



知る事が出来た分。

幸せだと思おう。



2002年12月08日(日) 日記

あさってはお台場に行ってから一年。

何しようか?どこに行こうか?

あいつがいろいろ決めてくれて。



明日の夜から会って、一年経過するときに二人でいようか?



あたしが言い出して。




あいつは今日の夜から明日の朝までバイト。

あたしも明日は、早朝から夕方まで仕事。

明日、あたしが働いている時間は寝ててね、と言って。




あいつがまたお台場に行くのもいいなぁって言った。

あのとき、あたしが固まってて、凄く不自然に距離が開いていた事とか。

警戒されてたこととか。

俺たちって付き合ってるのかなぁ、ってあいつが勝手に思ってた話とか。

いろいろして。





気がついたら、あたしが日記を付け始めてからも1年が経つって事で。




あたしは、今年の始め、ある人の日記を読んだ。

同じように、年下の独身の彼がいる主婦の方の日記。

それを読んで、泣いて。

なんだか、彼女がご主人に思う不満とか。

毎日の不満の事とか。

凄く似てて。


あたしは、何度も彼女にメールしようと思った。

でも、出来なかった。

それは、彼女が彼と別れてしまったから。

なんていう言葉を掛けていいのか分からなくて。

日記から読む限りでは、彼女の精神的な支えになってくれているのは、もう彼だけだったから。

それが消えてしまった今、彼女に何を言っても薄っぺらくなってしまうと思った。




今は更新されない、その日記を。

あたしは、今でもたまに読み返す。




今、彼女は元気なのかな。

そして、今彼女は、頑張って毎日笑顔で過ごせているのかな。



読み返すたびに、あたしは思う。

彼女がご主人の元に戻った事も。

あたしがあいつを選んだ事も。



きっと、正解でも不正解でも無いって。




あなたの日記を読んで、あたしは自分も残したいって思いました。

あたしの気持ちの、奥底の、汚い部分とか、暗い部分とか。

そして。

あたしが感じたように。

誰かがあたしの日記を読んで、いろいろな事思ってくれたら、いいなと、思いました。



りりかの日記は。

まだまだ続きそうです。



2002年12月07日(土) 大好きな人たち

今日はあいつがまだ一緒に働いていたころからの仲間たちと忘年会。

飲むとだらしなくなる(らしい)あたしは、あいつと一緒なら酔っていいと言われて。

でも、調子に乗らないように。と釘もさされ。



30分くらい遅刻しますってメールが来て。

あたしは先にMさんたちと待ち合わせて向かう。



辞めちゃって、久しぶりに会った仲間もいて。

すごく、すごく、楽しい。



あいつは結局1時間くらい遅刻して来て。

「ちゃんといいこにしてた?」

と、あたしの頭をなでながら隣に無理矢理座って。

「もう、りりかはHくんだけのものだね」

って、Mさんに言われて。

凄く、嬉しそうに「でもまだまだ目が離せなくて大変ですよ」と言う。




一次会が終わって、二次会に移動するとき、小雨が降ってた。

凄く寒くて。

酔いが急激に醒めていくのが分かった。

歩いて10分くらいの距離なのに。

「寒い!」を何十回言ったんだろう。あたしは。





二次会で、最初隣同士に座ったあたしたち。

でも、途中で違うテーブルにあたしは呼ばれて。

「ちょっと行って来るね」

と、あいつと離れて。

あいつはあいつで、K−1の話で盛り上がってたし。





あたしは、みんなで飲めたと言う事が嬉しくて。

はしゃいで。

あいつがいるからって言う安心感もあって、がん飲みして。



気がついたとき。

外にいた。

小雨の中。




ものすごい頭痛と吐き気と。

あたしはどんなに気持ち悪くなっても吐けないので、余計辛くて。

「なにやってんだよ」

と、明らかにむっとした顔のあいつに背中をさすられて。

「もー!心配したよ!」

Mさんにも怒られ。



心配した?

え?




先に帰るって言うバイトの女の子を駅まで歩きで一緒に送って行くとあたしが言い出して。

みんなが止めて。

駅まで歩いて10分くらいだし、平気って、あたしはかなり普通に言ったらしくて。

でも、あいつは、なら俺が送って行くと言って。

あたしに待つように言い。

あいつが送って行った後、少ししてあたしは外に出た。

あたしがかなり普通に歩いてたし、それほど酔ってないのかな、とみんなは思って。

あいつが送って帰ってきたとき、あたしはいなくて。

携帯はカバンに入れたまま、店に放置。

鳴らしても無意味で。

あわてたあいつとMさんは探したと言う話。





で。

あたしは、今になって見れば、だんだん記憶は戻ってきたんだけど。

駅まで行って、あいつはいなくて、冷たい雨が気持ちいいなぁって、あたしはそのまま駅のバスロータリーの屋根がついているベンチで座ってた。

どれくらい座ってたかは覚えて無いけど、そろそろ寒くなってきたなぁって思って、戻ろうと歩いているときにあいつに捕まったと言う感じ(捕まった?)。


だんだん頭が痛くなって、気持ち悪くなって。





「だめだよ。ちゃんと待っててくれなきゃ。ホント、心配したんだから!」

あいつが自分の上着をあたしにかける。

Mさんが温かいお茶を買ってきてくれて。


「あたしね。あたし」

あたしが言いかけたら、二人で同時に声合わせて。

「何??」

ちょっと、怒ってる口調で。



「あたし、凄く今嬉しい。大好きな人たちに囲まれて。その大好きな人の中でも、特別大好きなこの二人に囲まれて。凄く幸せー」

あたしは、その瞬間、本当にそう思ったから。

「寂しいって、ずっと思ってて。あたしは一人で頑張らなきゃって、仕事も生活も自分で、自分の力だけでって。倒れちゃいそうで。なんだかね、頼れる人がいなくなった錯覚みたいになっちゃったの」

泣きながら、あたしは言った。

この一年。

いろいろな事が起こって。

いろいろな事があって。


ものすごく愛してくれる人に出会って。

その人との愛を貫いて。

子供たちと別れる事になって。

生まれて初めての一人暮らし。

自分だけの生活。



そして。


余裕が無い生活。


気持ち的に。

金銭的にも。



「私は、ずっとりりかが大好きだよ。りりかがどんなことしても、私はりりかが大好きだから、平気だよ。そばにいるし。頼っていいんだよ」

Mさんは、泣きながら言った。

「ホントだよ。なんで頼れる人がいないの?寂しいの?だめだよ、そんな風に思ったら。俺は何が何でもりりかのそばから離れるつもりないんだから!」

って言ってから、

「Mさんの前で言うのも、あれなんですけど・・・」

って、照れてた。

そして。

「りりか、一緒に暮らそう。一緒にいたら、きっとそんな不安もなくなるよ。結婚しよう、とか言わない。今は一緒に暮らすだけでいいから」





あたしは。

首を横に振って。

「もう少し、頑張らせて。もうだめだー、限界だーって思うまで、頑張らせて」

って言った。


「それなら」

「それなら、限界になるちょっと前にして。限界になってからじゃ、倒れちゃうから。それは約束して」



あたしは頷いた。

Mさんは両手であたしの頬を押さえて。

「私にも、限界になる前に言う事」

って言った。




あたしは、もうちょっと、頑張れる。

この人たちに囲まれているから。



2002年12月06日(金) 賢者の贈り物。

朝。

あたしが出勤するちょっと前に、電話があった。

「今、帰るところ」

「お疲れさま・・・寒いね」

「うん。寒い」


ちょっと、無言が続く。


「メール読んだ?」

「うん、読んですぐ電話した」

「あたしは、そう思ってる」

「うん。分かった。けどね・・・」


電波が悪かったらしくて、電話が切れちゃって。

あたしから何度か電話したけど、繋がらないから。

あたしは出勤時間になったので、そのまま仕事に入った。




10時に休憩があって、携帯を見たら着信履歴が1件とメールが来てた。

今電話しても寝てるだろうな、と思って、メールを読んで返事する事にした。




「仕事の時間になっちゃったかー。タイミングわりー・・・さっきの続きだけど。けど、やっぱり二人で初めて過ごすクリスマスは、今年しかないんだよ?だから、いつもとは違うんだよ。もちろん、これからも毎年来るよ。でも、初めてじゃないんだよ?俺は、りりかに初めてのクリスマスは凄く楽しかったんだー、っていつまでも言って欲しい。昨日の言い合いは、俺のために学校の事を一生懸命考えてくれるりりかの気持ちと、りりかを最高に喜ばせたいって言う俺の気持ちがすれ違っちゃって、賢者の贈り物っぽくなったけど・・・。お互いにお互いの事を考えてしていることだからね。けど、平気です。本当に、学校にはちゃんと行くし、卒業も大丈夫だから、ここはわがまま言わせてください」



賢者の贈り物?

って何?

と思って、Mさんに聞いて見た。

Mさんも分からないって言う。

それで、店のパソコンで検索して調べて見た。


要約すると。

妻は夫の時計の鎖を買うために自慢の長い髪を売り、夫は妻の長い髪に似合う櫛を買うために時計を売って。お互いのプレゼントは無駄になってしまったけど、お互いを思いやると言う気持ちを与え合ったのです。


みたいな話だった。




ちょっと違うんじゃないの?と思ったりはしたけど。

でも、お互いの事を考えた上でって言うのは。

あっているのかな。




「あたしは、ただクリスマスの日に、一緒にいられるっていう事だけで、充分嬉しいし。いつまでもきっと、最初のクリスマスは凄く嬉しい気持ちだったって思うと思うから。だから、無理はしないで」




夕方、返事が来た。

寝起き。


「おはよー。じゃないか。大丈夫、安心して。俺を信じて!明日は忘年会、飲みすぎていいよー。俺は飲まないようにして、見張ってるから☆」

「そうだ!明日は忘年会。思い切り飲ませていただきますので、後をよろしくお願いします☆」



今年最後の飲みになるのかなー。



2002年12月05日(木) ちょっとした言葉

あいつは、深夜にバイトをしている。

それがクリスマスのためだって、あたしは分かってる。

それは素直に嬉しい。

ずっと前に、親からの仕送りじゃなく、君が頑張って稼いだお金で買ってくれたから凄く嬉しい、とあたしが言って。

だから、あいつはそれからは、あたしに何か買うとき、何かするとき、いつもちゃんとバイトして稼いだお金でしてくれるようになった。






夜九時から朝の七時まで働いてて。

帰宅したら寝てしまうのは、当たり前。

でも。

そのせいで、学校を遅刻したり、休んだり。

最近、目に余るようになってて。

最初は「後3回欠席したら、クリスマスはどこにも行かないから」と言っておいた。

そしたら、休みはしないけど、遅刻するようになった。






今日も。




起きたのが11時だった。

授業は10時半から始まるのに。

あたしが仕事場から休憩のときにずっと電話を慣らし続けて、何十回も電話してやっと起こした。

「あなたは、6年生になるつもり?小学生かよ?」

寝起きのあいつに、いきなりこう言った。


あたしは、大学の事なんか、分からない。

だいたい、高校も出て無いのに。

あいつはすぐ「大丈夫だよ」って言う。

単位がどうとか、テストがどうとか、よく分からないけど、卒業は出来るから平気だよ、と言う。

今回も小言を言うあたしに「平気なんだってばー」と、かったるそうに言った。




それであたしはカチンと来た。




平気平気って。

よく分からないけど、木曜日は出席とる授業があって、何とかかんとかって前に言ってたじゃない???

だいたい、君の親御さんも金捨ててるわけじゃないんだよ。

ちゃんとしろよ!

今度遅刻したら、あたしにも考えがあるから!!!



と、一気に言った。

そしたら、逆切れ。



「考え?また?今度は何?休んだらどうのこうのって、俺が立てたクリスマスの予定も散々そう言う考えとかで、いろいろ変えてきたくせに、またかよ?いい加減脅すの辞めてくれない?」

脅す?

あたしは脅しているのか?

「脅してるんじゃない!結局は君のためになるんだよ?」

「そんな事は俺がちゃんと考えているから、あなたが考える必要はないです」

・・・。

もう、あたしは悲しいのとか悔しいのとか、ごっちゃになって。

「なら、分かった。何も言いません」

とだけ言って、電話を切った。




仕事終わってメールを見たら、「ちゃんと学校に行ったからね。大丈夫だから。安心してください」と来てたけど、返さなかった。

そのあと、くだらない、どうでもいい内容のメールが来たりした。

「お疲れさま。今日も忙しかった?頑張ったねー」とか。


きっと、普段通りにメールを返せるよう、ご機嫌を取っているんだろうけど。

あたしは、無視した。

だって、今メール打ってもまた小言いいそうなんだもん。




夜。

「これからバイト行ってきます。」

ってメールが来た。

明日は学校がないらしい日だから、あたしも「頑張ってね」とだけメールした。

返事がすぐ返って来て「はい!頑張ります!」って。





あたしが、学校の事、いろいろと言うのっておかしいのかな・・・

親でも無いあたしに言われたくないのかな・・・

でも、やっぱりちゃんとして欲しい。

クリスマスなんて、何もしないでいい。

特別な事は、いらないよ。

一緒にクリスマスにいられるって言う事だけで、充分じゃないの?

あたしたち二人で過ごすクリスマスは、きっと何回も何回も、やってくるんだから。




あたしは、あいつがバイトが始まった時間を見計らって。

そうメールした。

読むのは明日の朝。




また、余計な事って、言われちゃうかな。



2002年12月04日(水) 呼び方

あたしは、あいつの事を苗字で呼び捨てで呼ぶ。

あいつの苗字が呼びやすいのもあるんだけど。

なにより、最初からそうだったから。



でも、あいつは気に入らないらしい。

「下の名前で呼んで欲しい。Hくんって♪」

よく言われる。

あたしは「いや。HはHだよ」って言う。

(下の名前も苗字もイニシャルはHなんで、紛らわしいけど)





「俺、りりかって呼んでもいい?」

いきなり。

こんなメール。

「呼びたかったら、どうぞ。返事しないけどね」

「なんでー」

「嘘嘘。いいよ、好きな呼び方で」

「ほんと?」

「うん、別にいいよ?」



平静を装っているようにメールはしてたけど。

実は、ドキドキ。

なんか、恥ずかしい・・・



「なら、呼ぶ。りりか、元気?」

「うん元気・・・って、使いたいだけでしょ」

「ばれた?」

「慣れるまでは、ちょっと違和感あるね」

「俺もそう思う!」




その後も何回か、メールの中で「りりか」って使ってた。

あたしは、そのたびにドキドキした。



夜、電話が来た。

「お疲れさま。疲れた?」



会話の中で、普通に「りりかさん」と言う、あいつ。

「あれ?呼び捨てにするんじゃなかったの?」

「うん・・・メールでは出来るけど、実際呼ぶのは恥ずかしいね」

「うん、聞いてるあたしも恥ずかしいと思う」

「でも、慣らす!」

「なら、「さん」つけたら、なんか罰とか考えようか?」

「ええー、マジで?」

「マジで。何にしようかなー・・・」

「なら、りりかさ・・・りりかも、下の名前で呼ばなかったら罰にしよう!」

「あたしは呼ぶなんて言って無いもん」

「だめー。二人で慣らそうよー」




なんて事になってしまい。

罰は、あいつが「さん」付けしたら、5分間くすぐり続けられる、で、あたしが苗字で呼んだら、反省書という事でラブレターを書く、という事になった。



「でもさ、呼び方なんて、余り関係なくない?」

「だめだよ、俺と結婚して、同じ苗字なのに苗字で呼ぶの?おかしいよ!」

「そしたら夫婦別姓にするから平気」

「そんなの許さないから!」

「なら、結婚しないから平気」

「もっと許さないから!!!」







呼び方って、大事かな・・・

あたしはよく分からないけど。

でも、あたしが名前で呼ぶ事で、あいつが喜んでくれるんだったら。



それはそれでいいかな。


って、ちょっと思ったりした。



2002年12月03日(火) 気長にね

病院に行った。

婦人科の検診。

ものすごく久しぶり。

「元気でしたか?」

先生に聞かれる。

ここの病院の産婦人科は、女医さんばかり。

だから、ここにしたのもあるんだけど。

この女医さんには、本当にいっぱい力をもらった気がする。

「頑張ろうね」

帰りがけに言ってくれるこの言葉で、あたしはどんなに救われたか。






生理が来ないのは、やっぱり精神的なものなのかな?と言われる。

今は余り深く考えないで、ゆっくり様子見ようね、って言われた。





仕事まで時間があったから、買い物に行く。

とくにこれと言って買いたいものは無かったんだけど。

なんとなく、ぶらぶらしてた。



「病院終わった?」

あいつからメール。

「うん、今○○で買い物中」

「なら、今から昼飯だし、行くよ!」




あいつは原付で来た。

二人でデパートの上のレストランに入る。


「病院なんだって?」

「いつもと一緒。気長にやって行こうねって」

「うん、気長にやってこ!」



食べ終わって、また授業があるからって、学校へ行った。

あたしは職場に向かう。



職場に着いたと同時くらいにメール。

「りりかさん、焦っちゃだめだし、後ろ向きになってもだめだよ。一緒に気長にやろう、気長にね!俺は出来る限り、りりかさんの精神安定剤になるから」




いつでも急がせないで。

ゆっくり、あたしのそのときそのときのペースに合わせてくれて。

あたしが急に先先進んだり、いきなり立ち止まったり。

そう言う事がいっぱい今まであったけど。

でも、あいつは、いつだってあたしに合わせてくれる。



そう言うのが、嬉しいのはもちろんある。

のに。

たまに、申し訳なくなったりする。




ごめんね、の気持ちでいっぱいになったり、する。



2002年12月02日(月) 癒します

毎日寒い・・・

仕事は疲れる・・・



そんな、愚痴みたいなメールばっかりの最近のあたし。

そしたら。

「今日は癒します」

って、メールが返って来た。

「いや、君はいつも充分癒してくれてるよ!だからいらないよー」

「嬉しい事言ってくれるなぁ♪でも、今日は特別な方法で癒すの!」

「特別な方法ってなんだよ・・・」

「秘密ー。迎えに行きます♪」




あたしはなんかどんな癒し方するのかが怖くて、充分だよ、と送ったつもりだったんだけど・・・



迎えに来た。

あたしが仕事終わる時間きっかりに。






「癒すって何?」

「まぁまぁ、今言っちゃったらつまらないでしょ。黙って乗っててください」

「なら寝てていい?」

「うん、寝て寝て」



どこ連れて行かれるか分からないんだから、寝るもんか!とか思ってたんだけど、寝ちゃった。

だって、車の中暖かくて、適度の揺れて、気持ちよかったから・・・



「ついたよ、起きて」

って声で、起きた。

どっかの駐車場。

「どこ?」

「癒し効果って言ったら、お風呂でしょ!」

「お風呂?」

「うん、友達がここに来た事あるんだって。露天とかあって、凄くよかったって言ってたから」

「まさか・・・混浴とかじゃないよねぇ・・・?」

「あ、そういうのがよかった?」

「んな、わけないじゃん!」

「はい・・・調子に乗りました。すいません・・・男女別です・・・」




まず場所がどこなのか分からなかったんだけど、時間的にそんな走ったわけでもなさそうで。

まだ新しいみたいで、綺麗なお風呂屋さん。



「ゆっくり入って来てね、俺は出たら適当に待ってるから」

バスタオルと袋を渡される。

袋の中には、あたしがあいつの家に置いといた基礎化粧品と、シャンプーとリンスとタオル。

男なのに、こまかい所まで気が効くなぁって思ったけど。

「あ・・・下着無いじゃん、替えの」

「そう、シャンプーとリンスを買いに行った時に考えたけど、まさかかえないじゃん・・・」

「えー、どうしよ」



とか、やりとりしてたけど、結局売ってたので、それを買った。

可愛くない、普通のパンツ。しかも高いし。

急だし、仕方ないか・・・







露天は雨が降っても大丈夫なように、屋根がちょっとついてて。

外が寒い分、お湯は熱めで。

すごく、すごーく気持ちよかった。




かなりまったりして出て着替えてたら、あいつから電話が鳴る。

「平気???もう入って1時間半だよ!?中で倒れたんじゃないかと思ったよー」

マジで心配してた。

「ごめん、まったりし過ぎちゃったね」

「何とも無いならいいんだけど。表のロビーで待ってるね」



携帯に着信履歴が五件。

全部あいつ。

バカだなぁ・・・って、ちょっと苦笑いする。




ちょっと急いで着替えて、表に出る。

あいつは座敷で寝転がって新聞読んでたりして。

あたしに気がついて、手を振った。




帰りがけにご飯を食べに行って、あいつの家に行った。

部屋につくなり、「ベットに横になって!」と言うあいつにめちゃくちゃ不信感を抱き、「何するんだよ??」って聞く。

「マッサージだよー。何想像してんだよ」

ニヤニヤしながら、見られる。

「いいよ、充分気持ちよかったから」

「だめだめ。はいはいー、横になろうねぇ」




言われた通りに横になる。

背中をマッサージされて、そのままうとうと・・・




気がついたら、部屋の中は蛍光等の豆電球の明かりだけで。

あたしはベットの真ん中に寝てた。

周りを見回すと、あいつがそんなオレンジ色の暗い中で、なんか書いてて。



「今何時・・・?」

「おはよー。起きたんだ?今はね、1時だよ」

「1時!!??」

「うん、よく寝たねー」

「寝すぎちゃったよ・・・何してんの?」

「明日出すレポート」

「こんな暗がりで???」

「平気、見えるよ」

「いやいや、電気つけなって。目が悪くなっちゃうよ、あたしと違って視力がいいんだからー。もったいないよー」

あわてて電気を付けた。

「だって、りりかさんが起きたら嫌だなぁって思って・・・」





なんか、あたしには分からない、難しい本がいっぱい開いてあった。

「明日出さなきゃなのに、いろいろ気を使わせちゃって、今日はごめんね・・・」

「全然!りりかさんの爆睡姿も見れたし!」

「熟睡しちゃったからなぁ」

「あのね、寝言でね、H愛してるぅ。って言ってたよ!」

「言わないから」

「はい、俺の願望だったりします・・」





二人で笑う。

あいつはあたしの頭をなでて、「疲れ取れた?」って聞いて来た。

「凄く取れたよ」

「なら、よかったよ。明日は病院だもんね。ついて行けないけど・・・」

「平気だよ、行くよちゃんと」



最近、病院(婦人科)に行かなくなってた。

予約を取ってあるから、また電話で取り直す、の繰り返しで。

実際、行きたくない。

検査も嫌、薬も嫌。

でも、明日は行こうって、思えた。



こんなにいっぱい頑張って元気をくれた、あいつのためにも。

何より、あたし、自分のために。





遅くに家に到着して。

携帯にメールが来る。



「りりかさん、お風呂入って、マッサージされながら寝て、VIP待遇だったねー。癒し作戦大成功で、よかったよ」



お風呂も、マッサージも、もちろん癒し効果はあったよ。

でも、一番の癒し効果は。

そうやって、元気を出してもらおう、癒してあげようって思ってくれる君の気持ちだよ。



ありがとね。



2002年12月01日(日) 師走

この一年、いろいろな事があった。

嫌な事、いい事、いろいろたくさん。




気がついたら、もう1年も終わろうとしていて。

あたしは、今年何をしたんだろうと、考えてしまう。

今まで生きてきた28年間の中で、きっと、こんなにいろいろな事があった年は、無いんじゃないかと思う。




今の心境は。


あたしは、幸せか?って聞かれたら、そうじゃないし。

不幸せ?って聞かれたら、そうでもない。



失った物が、大きすぎた。

そして、手に入れた物も、大きすぎた。





あたしは、周りから「変わったね」と言われるようになった。

変わったかもしれない。

でも、変わった自分は、嫌いじゃない。






この日記は、ネタ?と、よく言われる。

この日記がネタで。

あたしの妄想で。



だったら、どんなに楽かな、と思う。




この、日記の上でしか書けない事もあれば。

この、日記の上では書けない事も多々あり。


日記の中の事だけが、起こっているはずがもちろんないし。






この間、メールを頂いて。

その中の言葉に。


「1年前の、キラキラ笑顔だったりりかさんに、早く戻ってください」

とあった。

まだ、失うものが何か。

壊れる物が何か。

何も分かっていなかったときの、あたしの日記を、読み返してみた。




もしかしたら。

苦しいとか、切ないとか、言えた分だけ。

あの頃の方が、幸せだったのかもしれないね。


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