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鈴木君たちのシュールな一日
信井柚木
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2002年09月11日(水)
昔のこと そのに

『おのれ、悪のニクキュウ星人め! もう逃げられないぞ、観念しろ!』
『がはははは・・・! それはこっちのセリフ。
 カニサラダン、今日こそキサマとの決着をつけてやるわ』
 怪獣の高笑いに、対峙する影はくっと奥歯をかみしめる。
『いくぞ! とぉ!』
 人間のものとしてはいびつなシルエットが宙を飛んだ。
 ボコンという音を立てて顔面に命中した蹴りによろめき、怪獣は「ぐぅ・・・!」と唸った。
『やるな・・・だが!』
 カッと口を開き咆哮する。

  GAOOOOOO・・・!

 衝撃波がカニサラダンを襲った!
『しまった!』
 左腕が半ばから外れ、コトンと足下に落ちる。
 深刻なダメージを負いながら、彼は諦めなかった。
『くっ、まだだ・・・・・・まだ戦える!
 私は決して悪に屈しない! この命に代えても!』
 キッと目を上げ、最後の力を振り絞る。
『正義の力思い知れ! くらえ! カニサラダン、スーパーファイナルアタック!
 叫ぶと同時に、残った右腕を高く掲げ怪獣に突きつけた。

 ――BEEEEEM!!

 腕の先から、光線が迸る!
『ぐわあぁぁぁぁぁぁ・・・!! オノレ・・・・・』
 断末魔を残し、怪獣は炎上した。
『はぁはぁ…ふっ、よかった。正義は・・・守られ、た――』
 炎上を見届けたカニサラダンもその言葉が最後だった。
 片腕を失った身体は、ゴトンと音を立てて倒れこみ、それきりピクリとも動かなかった。

 そして残ったものは――。



「センセー、佐藤くんの貯金箱が燃えちゃいましたー」
「うわあぁぁぁ! おれの自由研究がー!!」
 謎の炎上を遂げた佐藤(小五)の夏休みの宿題――牛乳パックで作った怪獣型貯金箱と、同じく謎の損傷が見られる鈴木の作品、フィルムケースなどでかたどられた人形「鈴木二号」の姿だった。