散歩主義

2008年11月04日(火) 「私の一冊、日本の百冊」

最近、朝のテレビで必ず見る番組として「きょうのワンコ」に加えて、「私の一冊、日本の百冊」が加わった。

「きょうのワンコ」が8チャンネルで、だいたい午前7時52分に始まる。僅か一、二分の番組だけど、犬の顔を見て和んだあと、チャンネルをNHKBS2にする。
午前8時から10分の番組。

人生に大きな跡をくっきりと残した一冊、忘れ得ぬ一冊、人生を変えた一冊を読書好きで知られるタレントや著名人が紹介し、語るのである。
短いけれど本の一節も朗読されるし(これがまたNHKの誇るベテランアナウンサー陣でとてもいい)、簡潔に思いが吐露されるので、ぐっと気持ちが入ってくる。

最初からすべて見ているけれど、一番ずしん、ときたのは俳優・児玉清さんの一冊。「蝉しぐれ」藤沢周平だった。
俳優としての才能に行き詰まりを感じ、いかに生きていくべきか悩んでいたときの励ましと勇気をもらったという。
もう一人、モデル・押切もえさんもその一冊について切迫感のある思いを語っていた。それが「人間失格」太宰治。

光浦靖子さんの「八日目の蝉」角田光代。内山理名さんの「私的生活」田辺聖子もよかった。

みんな本が好きなのだ。そしてその本からとても大切な人生の滋養を頂いているのだな、というのがわかって人ごとながら嬉しくなってくる。
作家にしてもここまで深く読まれれば冥利に尽きるだろう。

翻って自分はどうか。あなたの一冊は何ですか、と問われたらどう答えるか考えてみた。

一時期、ジャズばかり聴いていて本をまったく読まない時期があった。
そこからまた小説を読み出したのは「1973年のピンボール」村上春樹だった。読んだことのない新しさがあった。哀しくて乾いていた。こんなに優しくて哀しくて柔らかな感性に触れていれば「これからも生きていける」と思った。

同じく本を読んで、この読後感を忘れずにいれば「まだ生きていけるんじゃないか」と感じたのは「八百万の死にざま」ローレンス・ブロックだった。

この二冊。
どうしても一冊、といわれたら村上春樹になるかな。


これからのラインアップ。これまでの放送の紹介は こちら でわかります。

読書好きな方は是非。オススメします。


 < 過去  INDEX  未来 >


にしはら ただし [MAIL] [HOMEPAGE]