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2005年02月09日(水) 戦略コンサルタントになってから株式投資をやめた

僕は、戦略コンサルタントになる前、個人投資家として、自分の資産の多くを株式に投資していた。
だが、今はほとんど株式投資は行なっていない。
少なくともここ2年間は株式の移動を意図的には行なっていない。
ほったらかしである。

で、自分の流動資産の資産状況を再確認してみた。
とりあえず流動資産のみの確認。

円建て株式;43%
ドル建て株式;23%
現金(円);44%

うーむ。

僕の現状の資産状況は、戦略的に築いたものではない。
今、再確認してみて初めて気づいた。
僕の総資産における現金比率は思った以上に少ない。
現金比率は、流動資産だけでも50%を割り込んでいる。
不動産などの固定資産を加えれば、現金比率は更に下がる。

僕は個人としては投資には興味がないので、適当にやっていたつもりだ。
自分の財務状況も、キャッシュフローに関しては気をつけていたが、P/L、B/Sは無視。
P/Lはたまにチェックしているが、B/Sはほとんど無視。
B/Sは税務署から郵便物が届いたときに、税金を払いすぎていないかをチェックするためにちょこっと確認する程度。

僕としては、株式投資はとっとと手仕舞いし、現金比率を増やしたいのだけれど、不動産まで含めると現実の僕の総資産に占める現金比率は10%程度。
投資には興味ないんだけどなあ。
キャッシュフロー的には貧乏人体質な僕にとっては、収入が支出を大幅に上回っているので全く問題なし。
僕としては市場からは離脱し、キャッシュで堅実につつましい生活をしたい。

僕が株式投資から離脱したい理由は簡単だ。

悪い情報ばかりが耳に入るから。

僕は戦略コンサルタントなので、多くの企業のインサイダー情報を知りうる立場にある。
守秘義務契約を結んでいるし、僕がステークホルダーとして株式投資を行なうとインサイダー取引となり、法的にも罰せられる。
僕が業務上知り得た企業に関する株の取引はご法度である。
でも、僕が興味がなくとも、情報は勝手に耳に入ってくる。
インサイダー取引を行なう気になれば、架空名義口座でも作れば簡単だ。
日本の法律なんて抜け穴だらけだ。

だけど、僕はインサイダー取引を行なわない。
職業上の倫理観ではない。
倫理も法律も、目の前のカネには勝てないだろう。

本当の理由は、企業のヤバい情報ばかりが耳に入るからである。
優良企業とされ、株式が上昇している企業の裏情報がどんどん入る。
企業のIR情報もマスメディアの報道も大嘘。
IR情報では、いいところだけが強調され、悪い部分には触れない。
僕の元にはなぜだか企業のネガティブ情報ばかりが集まる。
ポジティブな情報がマーケットに流れていても「実は裏事情が・・・」的な情報がバカスカ入ってくる。

うまく立ち回ればお金儲けができそうなものなのだけれど、ネガティブ情報を過剰に持っている僕としては、恐ろしくて投資などできない。
マーケットの動向に反して空売りでもかければ、いいのだけれど、そこまでの度胸はない。
マーケットが本来の情報にたどり着き、適正な株価に反映され、収斂するタイミングが読めないからだ。

戦略コンサルタントは企業の病気を発見し、治療のための戦略を策定することが主な仕事である。
企業の健康な部分ではなく、病気の部分に目が行きがちだ。
職業上、クライアント企業の暗部ばかりが強調されて目についてしまう。
戦略コンサルタントにとって、企業の適正株価の見積もりは、基本技術。
インサイダー情報を握ってしまうと、恐ろしくて却って株式投資ができなくなる。
マーケットでの市場価格と、僕が見積もる適正価格の落差を見ていると恐くなる。

空売りは心理戦の部分が大きいし、リスクも大きい。
いずれは僕が見積もった適正価格にマーケットは収斂する。
だけど、そのタイミングの見積もりは難しい。

なので、僕は株式投資からは距離を置こうとしている。
心理戦、企業がプレスリリースをどのタイミングで出すか、チャート分析、信用残高を逐一チェックするほど、暇ではない。
そもそもカネに興味がないのだ。
でも、僕の資産の66%が株式なんだよなあ・・・。
かつての僕にとって株式投資、複数通貨への分散投資は攻めではなく防御の手段だった。
インフレによる現金の実質価値低下のための防衛。
だが、デフレから抜け出せない日本で生活する僕にとって、最強の防衛手段は日本円の保有である。
しかも銀行がバタバタ倒れ、キャッシュカード偽造が横行し、金利も実質ゼロなのであれば、タンス預金が最強。

でも、中途半端に株資産が増えているので、売りのタイミングでもない。
ああ、面倒くさい。
日本円のキャッシュだけを保有して、日本に引きこもっていたい。




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