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2002年11月26日(火) TV放送のビジネスモデル崩壊の日まであと3年

在京TV局の9月期決算は軒並み減収減益。
景気が悪いので企業が広告費を削減したため、とされる。

ま、その通りだろう。
僕も宣伝部に3年ほど籍を置いていたことがある。
企業の業績が悪くなると、真っ先に削られるのが広告宣伝費だから。
特にTV広告は直接的な売上増のような効果には結びつかない。

TV広告の目的はAIDMA(アイドマ)の法則のうちAttention(注目)の役割を担う。
AIDMAとは、広告に注目するところから始まって実際に購買行動に至るまでの人間の心理プロセスである。
マーケティング戦略を練る際には一般的にこのAIDMAにしたがってメディアを使い分ける。

■AIDMA
・Attention(注目)
・Interest(興味)
・Desire(欲求)
・Memory(記憶)
・Action(行動)

TV広告は時間が短いため、映像のインパクトで商品に注目してもらい、認知させる程度の役割でしかない。
TV広告は消費者の実際の購買行動には最も遠いところに位置するため、真っ先に切られる運命にある。

今回の決算の悪さは景気の悪化によるものだけれど、今後は構造的な問題が露呈する。
TVの将来は暗い。

問題は僕がずっと言っているようにPVR(Personal Video Recorder)の普及である。
僕が愛用するチャンネルサーバーやコクーンに代表される、ハードディスクビデオレコーダーの普及がTVのビジネスモデルに死をもたらすのだ。
広告収入で成り立ってきたTVのビジネスモデルは、あと数年で崩壊する。
数年と言わず3年程度しかもたないかも知れない。

PVRの利用者はCMを当然のごとく飛ばす。
PVRが普及すればCMを見る人間がいなくなる。
そして個人の都合にあわせて好き勝手な時間帯にTVを視聴するようになる。
CMを見る人がいなくなるうえに、クソ高い広告料金をぼったくていたゴールデンタイムという概念がなくなってしまう。
広告主にとってはゴールデンタイムに高いお金を払ってCMを流してもらう必然性がなくなる。
踏んだり蹴ったりである。
企業は既にTV広告費を削減し、直接的な売上に結びつくマーケティングに予算を急速にシフトしつつある。

今までのTV放送を支えていた広告モデルはあっという間に完全に崩壊する。

しかも崩壊までの時間はあとわずか。
本日現在ではPVRはまだマニアのものかもしれない。
でも、2-3年もすればあっという間に普及する。
PVRの便利さは一度でも使ってしまったら二度と離れられないほど麻薬的なものである。

米国では既に広告主がTV広告費の削減を検討しはじめている。
■PVR の影響で、広告主はテレビ広告費を削減へ
http://japan.internet.com/wmnews/20021126/11.html

日本のTV放送のビジネスモデル崩壊の日まではあと3年くらいしかないのかも知れない。
もはや広告モデルは成立し得ない。
TV局は広告に依存しない有料放送モデルのへの移行を早急に検討をはじめるべきである。
っていうか、もう検討しまくっていると思う。
でも、消費者は有料放送になんてそう簡単にお金を払わない。
今まで無料だったものが突然、有料になりました、と言われても反発するだけである。
地上波TV局は突然死を迎えるかも知れない。

有料放送に移行できないのであれば、現在のTV広告の方法を完全に切り替える必要がある。
番組のなかに広告を織り込むしかない。
ドラマの中に出てくる商品が全て広告。
ドラマの主人公が乗っているクルマもファッションも全て広告。
ビールを飲むシーンでは必ずラベルが見えるように持ちかたをする。
トーク番組のなかでは突然「いやー、このドリンクおいしいですね」「最近、僕は○○がマイブームなんですよ」。
全て広告。
これからはTV番組そのものの作り方が根本的に変化していくはずである。




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