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斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」

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2002年09月11日(水) 911

20代の頃、ぼくはニューヨークにいた。
クリエイターとしてグラフィックを作っていた。
肩まで髪を伸ばし、顔中に髭を生やしていた頃だ。

SOHOにある倉庫を改造したオフィスで大音量のレッドホットチリペッパーズを聞きながら、黙々とMacintoshを叩き続けていた。
日本人は僕ひとりだった。
何度も仲間と徹夜で仕事をし、毎日のようにグリニッジビレッジで飲んだくれ、深夜のニューヨークを歩き廻った。
米国人の女の子とも何度かデートもした。
夜を明かして、グラフィックについて、音楽について、映画について語り合った。
ニューヨークは東京よりも横浜よりも大阪よりも京都よりも、ぼくを受け入れてくれた街だった。
ロクな英語も話せなかったのに。

ニューヨークにいた時期は、ぼくが人生のなかで最も純粋で一生懸命生きていた時期だ。
当時のぼくは最も自分らしかったと思う。
ニューヨークは「ぼくが踏んだ街」であり、「ぼくが踏まれた街」だった。

去年の年賀状は「おめでとう」とか「Happy」などと書きたくなかったので、真っ黒の地に小さく「Give Peace A Chance」と書いただけのデザインにした。
John Lennonの歌だ。
ぼくなりの喪中。

ただ、ここ一年の一方的な「米国は正義、アラブは悪」というハリウッド的、カウボーイ的風潮には危険なものを感じる。
正義が悪を叩きのめしたら平和が訪れる、なんてことはあり得ない。
平和はそんな単純なものではない。

未だヒステリックな状況は続いているけれど、ぼくたち日本人は冷静に真の平和について考えるべきだと思う。
「核戦争後の世界」に住んでいる唯一の民族でもあるんだから。




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孤独に歩め 悪をなさず 求めるところは少なく 林の中の象のように

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