Kozの日記
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2003年08月25日(月) 傘の意味

去年のクリスマス前に先生とお母さんに、
傘をプレゼントした。

どうして傘かと言うと…。

僕と先生が会う時は、何故か雨の日が多かった。
先生と過ごした時間の25%は雨だったかもしれない。

4回に1回の確率。

春の緑の葉を濡らす雨。
月曜の朝、先生の家から一緒に出勤するときの少し暖かい雨。
秋の夜に、バス停での少し淋しい雨。
冬間近の冷たい雨。

傘は2本あっても1本はたたんだままで、
雨を避ける小さな空間に、寄り添っていた。

傘の柄を持つ先生の手を、少し大きな僕の手が包み込んだ。

雨がふたりの距離を随分と近付けてくれた。


そしていつの間にか、雨を優しく感じるようになった。


窓の外が雨で煙った日も、靴の中に入り込む雨を思うと
憂鬱になるけど、雨の冷たさを傘をさす手に感じると、
今でも先生の手の温もりを思いだす。

そしてお母さんから「返さなくていいからね」と借りた
3本の傘。そのうち1本は、おそらく亡きお父さんの傘。

幸せな時間は、雨に守られていたのかもしれない。



そんなこともあって、先生とお母さんの贈り物に選んだ。

16本骨の皇室御用達の傘。

すごくすごく喜んでくれた。
僕が先生の家にいったら親子で傘さして、
「見て、見て。傘を開く時は捌くっていうんだよ」って、
無邪気な姿がまだ鮮明に残っている。




今年の夏は雨が多かったからかどうかはわからないけど、

先日、先生のお母さんの名前で「傘」が送られてきた。
一週間前のこと。

8月9日と11日に配達があったみたいだったけど、
DMまみれのポストをそのままにしていて、
不在通知が分からなかった。

18日にポストを開けてビックリ!

お母さんからの贈り物だ…。


早速運送屋さんに連絡して、時間の都合で受け取ったのが、20日。

そしてこの日先生からのメール。

「お母さんが贈り物をしたんだけど、迷子になっているもよう。
引っ越ししました?」って。


受け取った傘は同じ16本骨のオーダーメイド。
そしてメッセージに

「先生の優しさに、心を込めて」と…。

※先生は僕の生徒なので先生とお母さんから見て僕は先生で、
 先生は僕のピアノの先生だったので僕から見ても先生です。
 ↑ややこしな〜!


嬉しいんだか何なんだかわからなくて、複雑な心境になった。

どちらかと言えば僕は振られたカタチになっているし、
可能性のある機会としても僕の誕生日は来月やし、
僕は先生とお母さんに対してもまだまだ未練たっぷりやのに。

きっとそんなに深い意味はないかもしれないんだろうけど、
何だか翻弄されてしまっている。

先生にメールの返事をしたけど、
思いが爆発したカタチになった。

きっとこれで距離が遠く離れたかも。
熱く未練をタラタラ語ったからなぁ〜。


先生も優しい雨の存在や4分の1の確率はしっているはずやし、
「傘」の贈り物が僕にとって未練をどれだけ増幅させるか
知っているはずなんやけど…。


どう受け止めたらいいんだろう。


「傘」の意味を…。


先生のロイヤルブルーの傘
お母さんのエンジの傘
僕の黒の傘

いつか優しい雨の中、穏やかな気持ちで、
3つの傘が優しくハーモニーを奏でることができれば…
と思う僕に、やはり未練の雨は降り続く。




Koz |MAIL

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