日々の泡

2014年03月04日(火) ケイト・モートン著「秘密」下巻読了

最後のどんでん返しはすごかった。今改めて上下巻の表紙を並べてみてみる。二人の若い女性。一方が手を伸ばして、もう一方の腕にからめている。仲の良さをアピールしているのがドリーだろう。もう片方の指には煙草を持っている。そうするとこちらがヴィヴィアンか。いわゆる家族の話である。幼いころに母が見知らぬ男を刺し殺す場面を目撃した長女ローレル。その後彼女は演劇を志し、いまでは国民的女優という存在になった。一家の母親が入院し、兄弟があつまる。あの殺された男は何者だったのだろうか。なぜ母は殺害したのか。ローレルは探索の旅に出かける。母ドリーと仲の良かった友人ヴィヴィアン。こちらは戦時中に亡くなっている。ドリーはある家のメイドをしていたが、近隣の豪邸の若夫人であるヴィヴィアンと仲良くなりたいと願っている。つきあっているジミーといろいろな冒険をすることもある。その上昇志向にジミーはとまどうこともある。野心的で夢多きドリーにはあまり共感は覚えない。ローレルの母親とは全く異なる性格で、生まれ変わったようだ。一方ヴィヴィアンは子供のころ自分の気まぐれから両親、兄弟が事故死したという強い罪悪感にとらわれている。私も、多分ほとんどの読者がヴィヴィアンに同情と共感を覚えているのではないだろうか。事件もすでに解明され、もう秘密はないはずだった。ローレルはある写真に目を留め、「私の母です」と言おうとしたが、「ヴィヴィアンの写真です」と先に言われる。なんと戦時中、空襲で死んでしまったドリーと暴力をふるう夫にあきらめていたヴィヴィアンは成り変わったのだった。不幸なヴィヴィアンが幸せな母となったという結末はうれしかった。前作の秘密の花園より面白かった。


 < 過去  INDEX  未来 >


para