| 2013年08月21日(水) |
木皿泉著「昨夜のカレー、明日のパン」読了 |
さすがに「すいか 」のプロデューサーだけあって、ギフとテツコの暮らしぶりは、ひどく魅力的だ。第三者の岩井の描写によって初めてそれがわかるしくみだ。朝食のヒトコマが可笑しい。ギフはコンロに金網を置いてパンを焼く。この金網がただ者ではない。京都で買った食パン用の金網なのである。焼き上がったパンにバターを塗り、ギフは瓶詰めの海苔を塗って食べ、その傍らでテツコは練りうにを塗って食べている。食器用の洗剤は緑色の瓶に詰め替えられていて、オレンジの香りがするらしい。すんでいる人たちが何年もかかって作り上げた暮らしだとテツコに好意を寄せる岩井は思う。ギフが酔って言った言葉が印象的だ。「人は変わっていくんだよ。それはとても残酷なことだと思う。でもね、でも同時にそのことだけが、人を救ってくれるのよ」
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