日曜日。久しぶりにそうるに会った。
この夏は。これまで過ごしてきたどの夏より。 お互いがお互いの生活に忙しくて。あんまり関われんかった。 たぶんまともに遊びに行ったのは。片手で数えても余ると思う。 それぐらい離れてた。今までの夏からは考えられんことやった。
そうるは。研究室にこもりきりで。ほとんど家に帰ってなさそうやった。 そうかと思えば学会で東北に飛んでみたり。インターンで九州に行ってみたり。 ほんまにやらなあかんことが多そうで。そんな生活にあたしの入る隙間はなさそうやった。
あたしはあたしで。月から金まで病院勤務。 普通に日々の仕事だけでも忙しいのに。 毎日覚えることがあって。勉強せなあかんこともあって。 家に帰ってもぐったり寝てるような生活やった。
忙しさを会えない理由にはしたくなかった。 だって会えないわけじゃない。会おうと思えば会える。 お互い大阪に住んでる。お互いが30分かければ会える距離にいる。 でもそうしないのは。ただ疲れてるとかしんどいとかだけじゃなくて。 その疲れやしんどさを越えるほどの「会いたさ」がないからやと思った。
あたしは自分の愛にすっかり自信をなくしてた。 だって以前のあたしなら。どんな状況でも絶対に会いに行ってた。 忙しくて時間がないときほど会いたくなったし。苦しくなってた。 そうならない自分がちょっと不思議で。そして許せんかった。 あたしはもうあの頃ほど。そうるを好きじゃないんやと思った。
でも会ってみたら。やっぱり違った。 あたしはそうるが好きやった。 大好きなんやってことを実感した。
黒いTシャツ。黒いジャージ。 黄色と赤のタオルを首に巻いて。 ベンチで後輩の試合を見守るコーチ。 あたしの大好きなそうるは健在やった。
ちょっとえらそうに腰に手を当てて立って。 試合中はキツイことを言いまくって。 でも試合後の反省になったら。みんなの言うことを黙って聞いて。 最後にひとつふたつ指示を言うだけで。引いたところから見守ってた。
あぁそうや。この姿やった。 あたしがずっと見つめ続けたのは。この姿やった。 愛しくて愛しくて。苦しくてたまらんかったのはこの姿やった。 そう思ったら涙目になったから。照れ隠しで笑った。 そしたらすべてを見透かしたように笑われたから。もうどうしようもなくなった。
抱き締めたい衝動のやり場に困った。 手の届かん胸のあたりが痛くて痒くて困った。 溢れ出す愛しさは収集つかんくて。あたしに息の仕方さえ忘れさせた。 なんで今さらこんなに揺すられるのか分からんかった。
ねぇそうる。久しぶりに見るあんたは。 少し髪が伸びて。少し痩せて。とてもキレイになってた。 疲れてるんかな。そう思わせるぐらい儚げな魅力もあって。 なんかドキドキした。うまく言えんけどやばいくらいドキドキしたよ。
ねぇそうる。久しぶりに見るあたしは。変わってたかな。 あんたの目にはどう映ったんかな。
ちょっとでいいから。あんたの心もあたしに魅かれてたらいいな。 ↑相変わらずご愛用みたいで。ちょっと笑えた☆ |