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男でも女でも関係ない。1人の人間として。
そうるはあたしにとって。かけがえのない最愛の人。

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2003年04月10日(木)気づいてほしかった。

あんなに体調悪いと言いながら。
練習は休まへんのがそうる。あほあほそうる。
でもそれは。ある意味では尊敬すべきとこやなって思う。

去年キャプテンやったときから。そうるはめったなことでは休まへん。
体調崩したときくらい。ええ加減休んどけばええのに。
そう思ったけど。まぁ言ったところでどうせ聞かんのは分かってる(苦笑)。
「無理はせーへんし。今日はコーチに徹するし。」そう言ってたから許した。
まぁ最後までプレーせんと終わることはないやろうなって思ったけど。
後輩のためにも。コーチはおった方がええかもなって思ったしね。


実際そうるはほんまにしんどそうやった。
もういい加減しんどそうとか書くのもどうかと思うんやけど。
遅れてきて。鼻水ズルズルやってて。グランドの端に座りこんで。
たまに転がってきたボールに対しても。普段からは想像もできんような鈍い反応で。
そんなにしんどいなら家で休んどけばええやんーって言いたくなるような感じやった。
それでも本人には。「家でじっとしとくほどではないねん。」とか言うし。
もう知らん。勝手にすればええやんって感じで。ほったらかしてみた。

でもそう言いつつも。あたしがそうるをほったらかせるはずもなく(苦笑)。
いつだって。意識の半分はそうるに向けられてたと思う。

みんなで輪になって反省してるとき。あたしの背中に隠れてズビズビ鼻をかみ。
「鼻くちょついてへんかな。」なんて。むかつくほどかわいいことを言い。
あたしがしゃがみこんで下からそうるの鼻を覗いて。「ついてへんでー。」って言うと。
「じゃあ鼻ほじろーっと。」なんて。殴りたいほどマヌケなことを言い。
なんてゆーか。どうしてこうもコイツはやりたい放題やねん。
そう思って呆れつつも。やっぱり悔しいほどに愛しかった。

コーチに徹するとか言いながら。やっぱり見てるだけじゃ不満やったらしく。
「やっぱりやっちゃおー。」とか言って。こっそり列に混じって走り始め。
全速力になってからスパイク履いてへんことに気づいて。ズリズリ滑り始めて。
「あかんー!スニーカーじゃこけるー!」とか絶叫して。急に減速したりして。
あほやなぁと思いながら見てたけど。それでもやっぱり幸せやった。


でもひとつ。ひとつだけ不機嫌になったこと。
そしてそれをちょっと表してもて。反省したこと。
それは。あたしの足絡みのことなんやけどね。

最後に6対6でやるメニューがあったんやけど。
そうる、まひろ、あたしを含むディフェンスは7人おって。
誰か1人だけが休憩できるって状況やった。
まぁそうるが体調悪いから。最初は当たり前のように休憩してたんやけど。
その3回目ぐらいやったかな。あたしの足はかなり痛くなってきて。
その前の2回をけっこう無理してやってたから。休みたいーって思った。

でもね。まひろも朝から足が痛いって言ってたんよね。
あたしと同じように。休み休みやってたりしたんやけど。
だからまひろも休みたいかもなーと思って。休みたいって言い出せんかった。
そうるもしんどいんやし。これは2人のうちどっちかが休憩やなと思ってた。

そうるは。まひろのことはちゃんと把握してたみたいやった。
「どうする?無理なら休憩しー。うち代わりに出るし。」そう言った。
「いや大丈夫。今はまだマシやから。」まひろはそう言って。休憩は断ってた。
「そうなん。無理せんときやー。」そうるはそれで。次も自分が休憩かなって思ったみたいやった。
で。あたしはそうるが出てもいいって言うなら。代わってほしかったから。
「あー。じゃああたし休憩していい?」って言った。

そしたらそうるは。いきなり吹きだして言った。
「なんやねん。おばちゃんは体力の限界かい(笑)。」

笑い流せばよかった。普通に聞き流せばよかった。
それはいつもの冗談のひとつかもしれんかったんやから。
「そうやねん。もうよぼよぼですわー。」とか。そうるが笑いそうな反応をすればよかった。
休憩の理由なんてそうるには関係ないっちゃないんやし。
足の痛みなんて。忘れられてても別にええことやったかもしれん。

でも。あたしはその言葉にかちーんときてもた。
まひろの痛みには気づいてあげてたのに。あたしの痛みは分かってへん。
今日痛いって言い出したまひろを思いやれて。前から痛いって言ってるあたしを忘れてる。
あぁそうか。やっぱりそうなんや。あたしは勝手にがっかりして。そしてむかついてもた。

だからあたしは。ちっちゃな声でやけど言ってもたんよね。
「なんで笑うねん。まじで足痛いっちゅーねん。」

そうるには聞こえてなかったみたいやった。でもまひろには聞こえてて。
そうるが自分だけを気遣ってくれたことに気づいたんやろう。しまったなーって顔を一瞬された。
その後で。「痛いなら無理せんとき。若い連中に任せとき(笑)。」って言われた。
さりげないフォローがまひろらしくて。あたしはまた救われた気がした。


そうるもまひろも同じように言った。笑って冗談みたいに言った。
でも。まひろの言葉は受け入れられたけど。そうるの言葉はむかついた。
まひろの言葉の中には優しさを感じられたけど。そうるの言葉には感じられんかった。
何が違うんか分からんかったけど。期待したものの大きさの違いかなって後から思った。

しんどそうなそうるを。あたしは忘れてなんかない。
いろんな場面で気になってたし。休憩も代わってーって言い出すのに迷ったし。
もしそうるが。あたしをちょっとでも見てくれてたんやったら。
休み休みやって。ストレッチして足を押さえてるあたしを分かってたら。
まひろと同じように。あたしにだって声をかけられたやろう。
少なくとも。あたしやったらそうする。

でも。この「あたしやったら」ってのが怖いんやと思う。
だってそうるはあたしじゃない。あたしが思うようには思わんかもしれん。
むしろ。あたしとそうるの思考過程なんて違いまくりやから。
あたしやったらこうする。なのにそうるはそうせーへん。それは当然かもしれん。
でもそーゆうことにいちいちひっかかって。あたしはイライラしてまう。
なんかあたしばっかり疲れてるような気がして。おもしろくない。


ねぇそうる。自分だけが正しいなんて絶対に思ってへんけど。
それだけまひろを思いやれるんなら。あたしのことも思いやってほしかった。
だってあたしは。あんたのこともまひろのことも同じように心配したもん。
ともすればそれは。あんたへの心配の方が強かったかもしれんのに。

あたしとまひろ。どっちがどれだけ痛いかなんて知らへん。
痛みなんて主観的なものなんやし。比べられるものじゃない。
もしかしたらまひろは激痛かもしれんけど。あたしだって激痛かもしれんやん。
でもあんたには。まひろは相当痛そうで。あたしは体力ないだけに見えたんやろ。

なんであたしだけ笑うかな。なんであたしだけバカにするかな。
バカにされても笑って許せるときもあるけど。許せんときだってある。
体力の限界ちゃうわ。本気で足痛いねん。ずっと我慢してやっててん。
なんやねん。ちょっとぐらい分かってくれてもええやん。なんやねん。

そーゆうのを全く分かってくれてへんかったあんたに。
がっかりしてまうあたしがわがままなだけなんかな。
あたしがいろいろ求めすぎなだけなんかな。

・・・あぁ。数えきれんくらいの愛情を。計りきれんくらいの優しさを。
確かにあたしはあんたからもらってるはずやのに。
どうしてこんなにイライラしてまうんやろう。どうしてこんなにトゲトゲしてまうんやろう。

ごめんそうる。あたしまたちょっと落ちぎみやわ。





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