***☆For My Dearest☆***



***☆For My Dearest☆***

男でも女でも関係ない。1人の人間として。
そうるはあたしにとって。かけがえのない最愛の人。

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2003年02月22日(土)愛してると言って。

昨日の日記の続きです。まだの方はそちらからどうぞ。

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最愛の人の涙を目の前にして。あたしは固まってしまった。
あたしが過去にそうるの涙を見たのは。片手で数えられるくらいやった。
泣き虫なあたしとは反対で。そうるはめったなことでは泣かんのに。
そんなそうるが。今あたしの言葉で何かを感じて涙を浮かべてる・・・。

涙は。そうるの瞳の中でユラユラ揺れてた。
最初はわずかやったその涙も。少しずつその粒を大きくしてた。
切れ長で大きな瞳と。長いまつ毛は。涙が溢れるのを止めてたけど。
零れ落ちるのは時間の問題かもしれんと思えた。

「・・・あぁ・・・なんか・・・ごめん・・・。」そう言って。そうるはすぐに指で涙を拭った。
そしてあたしを見つめ返したそうるは。いつものそうるの顔に戻ってた。


こんなにも真剣な話をしている時やのに。
そんなそうるを目の前にして。あたしの体は動きたがってた。
唇が。キスしたがってた。腕が。抱き締めたがってた。
そんなので流されたらあかんって分かってても。我慢できんくなってた。
触れたい感情を必死で抑えて。あたしはそうるの言葉を待った。

そうるは。ゆっくりゆっくり言葉を紡ぎながら話してくれた。



○○○○(←あの男の名前)のことは。全部うちのせいやねん。
あんたを苦しめてること。全然分かってないわけじゃなかった。
それでも。好きって言われたら嬉しかったし。断れんかった。
男と女で違うからええかって思って。自分の中で正当化してた。

そんなに深い付き合いじゃない。薄くて浅い付き合いなんやと思う。
頻繁に会ってるわけでもないし。熱く語り合ってるわけでもないし。
でも付き合ってるってことやと思う。体の関係は・・・あるわけやし。


我慢してた涙が。大粒の涙が。ポタポタ落ちた。
頬を伝うなんてものじゃなくて。うつむいた瞬間に一気に落ちた。
予想はしてても。そうるの口からは聞きたくない言葉やった。苦しかった。
痛い。痛い。胸が痛い。死ぬ。死んでしまう。そう思った。


そうるは。そんなあたしを見て。一瞬ほんまに辛そうな顔をして。
それから自嘲的に笑って言った。


うちはな。ほんまに最低なヤツねん。いつもいつもそうやねん。
前にも話したことあったやん。大事な人を大事に出来んって。
大事な人にほど。わがままで汚い自分になってまうって。
あんたとのことは。その典型やと思うねん。

あんたみたいに。根底に確かなものがあるわけじゃなくて。
求められたら簡単に流されるようなヤツやねん。
あんたはうちのことを買いかぶってる。うちはそんなに優しい人間じゃない。
あんたが思うようないい人間じゃない。もう嫌いになり。その方がラクやで。


瞬間的に。あたしの血が全て沸騰した。
頭で考えるより先に体が動いた。
あたしは。そうるの左頬を思いっきりひっぱたいた。

鋭くて。心の底まで裂くような。嫌な音がした。
その音で我に返って。あたしはまた泣きそうになった。
最愛の人を叩いたあたしの右手は。ジンジンして痛かった。
そんな痛みで納まらんかったあたしは。左手で右手の手のひらに爪を立てた。
痛かった。でも痛みでも与えんかったら。そうるを叩いた自分を許せんかった。

でも。そんな自分への怒り以上に。
あたしは。自分を傷つけてるそうるの発言が許せんかった。
そんなふうに自分を貶めるようなことを言ってほしくなかった。

「そんなこと言わんといて。」絞り出した声は。低くて掠れてた。
自分のことを最低やとか。いい人間じゃないとか。そんなこと言わんといて。
それに。あたしがあんたのことを。嫌いになんかなれるはずないやろ。
なんでそんなこと言うねん。なんでそんなひどいこと言うねん。

そうるは。びっくりした様子もなくて。ちゃんと受け入れてた。
あたしがひっぱたいた左頬は。少しずつ赤くなってたけど。
そこに手を当てて痛みを癒すわけでもなく。あたしの方をずっと見てた。
そして。不思議な笑みを浮かべて。予想もせんかったことを言った。


そうやん。それでええんやん。
思ったことそのまま出してええんやん。
今うちのこと嫌いやと思ったやろ。最悪やと思ったやろ。
それをそのまま出したらええんやん。
好きってことですべてを包まんでええんやん。

あんたはな。優しいからいろんなことを抱えすぎやねん。
うちに対してむかつくんやったら。むかつくって言ってええねん。
やめてほしいことがあるんやったら。そう言えばええねん。
してほしいことがあるんやったら。それも言えばええねん。
重いとか重くないとか。傷つけるとか傷つけへんとか。
そんなふうにうちのことばっかり考える前に。やりたいようにやればええねん。
うちを思ってくれるのは嬉しいけど。そんなんじゃあんたがもたへんやん。



あぁ。この人は。なんてことを言うんやろう。
なんでこんなに。あたしが欲しい言葉を知ってるんやろう。
そうるの話は。本題からはちょっと逸れてたけど。
でもそんなふうに思われてたなんて知らんかったあたしには。
そうるの言葉のひとつひとつが。じんわり沁み込んできた。

・・・我慢の限界やった。そうるへの愛しさはもう限界値を越えてた。
あたしは。手を伸ばして。そうるにしがみついて泣いた。

いつも言葉足らずのそうるが。
大事なことはあんまり言ってくれんそうるが。
こんなにもあたしのために言葉を紡いでくれた。
そして。あたしをまるごと受け入れてくれた。
こんなにも真正面から向き合ってくれた。
その事実だけでも。あたしには十分すぎた。

泣き出して止まらんくなってるあたしの背中を。そうるはポンポンって叩いてくれた。
まるで親が子供をあやすように。一定のリズムで。
それから。落ち着いてきたあたしの肩をつかんで。自分の体から離した。


なぁ。だからちゃんと言ってみ。今1番うちに言いたいことは何?
重いとかもうええから。考えんでええから。ちゃんと言ってみ。


そうるの瞳は。全部受け入れてくれる色やった。
あたしの両手を自分の両手で包んでくれたそうるは。
あたしの心まで。すっぽり包んでくれてるみたいやった。
あたしは。導かれるように口を開いて。そうると話した。


「・・・あの人と別れてほしい。」
「・・・・・・うん。それから?」
「・・・・・・・・・・・・。」
「それだけ?」
「・・・めちゃめちゃクサイこととかでもええん?」
「ええよ。」
「・・・笑わんと聞いてくれるん?」
「うん。」


「あたしのことどう思ってるか言ってほしい。」
「・・・どう思ってるか・・・?」
「うん。そういうのあんまり言ってくれんから。」
「・・・そういうのって?」
「・・・好きとか、愛してるとか、そーゆうの。」
「・・・・・・あぁ。」

顔から火が出そうなくらいに恥ずかしかったけど。あたしは言ってもた。
それは。いつもひそかにあたしが望んでるものやった。
言葉にされんくても。そういうのを教えてくれる行為はいっぱいあったけど。
やっぱりちゃんと伝えてほしい。時々は言葉にしてほしい。

そうるは。ちょっと困ってたけど。そうるらしい言葉で言ってくれた。


うちやったら。好きでもない相手と。こんなに熱く語らへんし。
好きでもない相手の前で。涙なんて絶対に見せへん。
好きでもない相手に叩かれたら。倍にして叩き返す(笑)。

愛とかよく分からんけど。そういうの言うキャラでもないし(笑)。
でもあんたのことは。めちゃめちゃ大事な存在やと思ってる。
気になるし。放っておけんし。なんだかんだで必要やし。
そういうのが愛なんやったら。うちはあんたのことを・・・愛してるんやと思う。


あぁ。あたし。もう何もいらんかもしれん。
満たされて。満たされすぎて。おかしくなりそう。

そうるがそういう甘いことを言わん性格やってことは。
あたしが1番知ってると思う。そんなそうるが言ってくれた。
だからこそ。言葉に重みがあって。ありすぎて。かなり痺れた。
「愛してるんやと思う。」って言い方も。断言を避けた言い方も。
なんか。ほんまにほんまにそうるらしくて。完全にやられた。

言ってほしかったくせに。言われたら言われたで照れくさくて。
「・・・ありがとう。」そう言うのが精一杯やった。
そして結局また。あたしは根底の気持ちに戻ってきた。

そうるが誰よりも愛しいって気持ちに。戻ってくることができた。





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明日まで続きます。・・・長すぎやね。ほんま(苦笑)。





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