佐山葉月の日記
うかうか一年。地味でぽやんとした趣味の毎日。

2003年11月24日(月) レポはアップしましたが

レポぱっかなのもなーというものありつつ
御無沙汰だった100のお題を書いてみました。
しばらく書いてなかったので、何と言うか…リハビリ?(苦笑)
で、レポから続けて書いたので、プラです。が、
今現在のライブ見といてこの内容かい、みたいな…あわわ。

とりあえず、どうぞ。

配布元:Project SIGN[ef]F
http://plaza22.mbn.or.jp/~SignF/
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001:クレヨン

 店頭で見つけたそれを買ったのは本当に気紛れでしかなかった。そのまま、仕事場に持ってきたのも、それで落書きをしていたのも。
「…おいおいまたそんな小学生みたいなことしとるなあ」
 適当な紙に落書きをしていた竜太朗は、呆れたような笑い声に顔を上げた。遅れて入ってきたらしい隆が、覗き込んでいた。
「おはよーたかちゃん」
「おはよ。何やそれまた、クレヨンなんか」
「んー見かけたから。懐かしいよね」
「懐かしすぎるわ。何十年使ってないか」
 どかり、とソファの隣に腰を下ろした隆は、煙草に火を付けながらぐちゃぐちゃと紙を塗りつぶす竜太朗の方を見遣る。指にクレヨンの色を移しながら、夢中で描いているように見える彼は、だけど本当は気持ちの半分はどこかにやっているのだ。それを知っていて。
「ねーたかちゃん?」
「あ?」
「黄色と青とどっちがいい?」
「は?」
「たかちゃんの絵、描くから」
「黄色と青って…他にないんかい」
「明は赤で正くんで黒使っちゃったから。あんまり色ないんだよねえ」
 そう言って一瞬隆を振り仰いだ竜太郎は、目を合わせて瞬かせ、――にこり、と笑う。
「青にしよっと」
「結局自分で決めんのかい」
「ん、だって青いもん。好きだし」
「は?」
 我ながら間抜けな声だ、そう思った隆の返事にもう一度竜太郎が振り返り、またくすりと笑った。
「たかちゃんの髪の色。綺麗だよね」
 照明がちょうど当たって、すごいきらきらしてるよ。
 そう言ってまた落書きに戻った竜太郎を前にして、暫しあっけに取られた後、脈絡なく妙なこと言うんじゃねえ、と怒鳴る姿はいささか迫力に欠けていたように思う。照れくささを誤魔化すようにつけられた煙草は、心無しか早い速度で短くなる。
「…お?」
 何かに気付いたように立ち上がった隆が、ドアの外に顔を出し、戻ってきた。
「おい、竜太郎、呼び出しかかってる」
「えーまだたかちゃん完成してない」
「バカ、そんなん後でいいだろ。早く」
「えー?」
 しょうがないなあ、と立ち上がった竜太郎は、一瞬迷って持っていたクレヨンをポケットに入れた。
「行ったら続き描こう」
「…バカ?」
「バカバカ言わないでよね!」
「いや、バカだろお前」
 そう言って笑った隆は、本当に楽しそうで。続きを描こうとしてその紙を置いてきてしまったことに気付いたのは、もっとずっと後で、その時も同じような笑顔で。クレヨンはそのままポケットに入れて。
 それから、何もかもそのままだったのだけれど。



「うわ」
「何、どうした……うわ」
 何気なくポケットに手を突っ込んだ竜太郎は、青く染まった手のひらに驚愕して声を上げて、それに振り向いた正も同じく声を上げる。
「何だよそれ。どうしたの」
「解んない。手、入れたら――、あ」
 取り出したものに一瞬息を呑む。掴み上げたそれは、青く潰れて原形を留めていない、残骸でしかなかったけれど。
「………クレヨン」
「はあ?またそんなのポケットなんかに入れとくから」
「…そうだね」
 ぐちゃぐちゃに潰れて溶けて汚れたそれを掴み上げて同じくぐちゃぐちゃに汚れた手を見て、正は尚も呆れたように続けた。
「いったいいつからそこに入ってたの。それ、随分汚れが年期入ってるけど?」
「…さあ」
 いつだっただろうか。あれは。彼とああやって話していたのは。
 …………けれど。




「……潰れちゃったんだ、ね」


 何か言った、竜ちゃん? 不思議そうな正に首を振り、汚れた手を払う。
「とりあえずは、手を洗おうかな」
 そしてこのポケットも、クリーニングしないとね。
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まだ引き摺ってんのかお前みたいな。すいません…


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佐山葉月 [MAIL]