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2003年12月31日(水) さよなら2003年

今年の紅白歌合戦は良かった。曲にスポットが当たっていて、なおかつ演出も良かった。

過去の名曲も、今年のニッポンの劇中歌となった曲達も、紅白という茶番ではあるけれど全力で構成された文化の中で、輝きを増して聴こえた。

SMAPが最後に歌うって時点で白組の勝ちってのは分かってたけど、あのあそこまでの大差は分かるような気もする。紅組はなんかマンネリした出演者の種類分けになってたから。アイドルと若手女性実力派シンガーと演歌という。顔ぶれもなんか同じ。けど、aikoはやっぱ素晴らしいな。いい意味で浮きまくり。曲が破格に良すぎ。あとモー娘もあれは偉大。感動的なほど理想のアイコンを演じきっている。

白は全体的に良かった。175Rはメロディックパンクのポジティヴな部分が前面に出てて、年長世代にもその直球さが爽やかに伝わったんじゃないか。EXILEも、なんか90年代初頭の記憶を無意識にでもお茶の間に蘇らせてくれた。

森山直太朗は、俺は曲は凡庸だと思うんだけど、その感情の込め方が非凡だと思う。すごく魂がこもっているね。魂といえば、Gacktも良かったなー。あの歌の録り方は異常なんだけど、あれが気持ちいいね。サビで飛翔するような絶唱がすごく気持ちいい。

中継のゆずと長渕も、その個性にNHK側が歩み寄りすぎな演出なのかもしれないけど、逆に言えば理想の出方でもあった。良かった。お笑いの、はなわとかテツトモの出方も良かった。とにかく強引な祭りにしたのがポイント。

TOKIOのあの曲も、東海道新幹線乗るといっつも聞かされるんだけど、いい曲だと思ってきたな。なんかあの軽薄さっていうか歌謡曲加減がいいと思うんだ。サラッと聴けるけど、「のぞみはかなう」っていうメッセージがスッと入ってくるというか。あの程度の歌い手だからこそ良かったと思う。

ベテランはみんな80年代くらいの名曲を選んでいて、耳の記憶から懐かしくて良かった。でもとにかく、さだまさしだなー、恐るべき切なさ。知ってるね、この人は。

SMAPは、完璧じゃないですか。やるべきことをやった。全員が歌うってのも、「No.1が素晴らしいんじゃない、それぞれの個性が素晴らしい」っていう曲のメッセージをちゃんと表してて、売れた意味がはっきり今年最後に国民に伝わったんじゃないかな。今年最大のメッセージソング。こういう曲は売れたが勝ちだけど、こういうメッセージの曲で売れて良かった。

自然災害、テロなんかがより一層大きく取り上げられ、不安定で先が見えない悲観的な感覚が息づいてしまったような2003年。日本人が意識的にせよ、無意識にせよ希求し始めたのは、「生きる」ということの実感なんじゃないだろうか。今年の紅白の白組のアーティストには、熱の帯びた男らしさや歌唱の中にそういう「生」を強く感じることができた。あえて深読みすれば、支えなければならない十字架を背負った「男」性の生き写しとしても。

そういった意味では、フェスってのも非常に「生きる」っていうのを感じられるイヴェントだよね。ゆらゆら揺れながら、絶叫しながら、踊りながら、暴れながら、音に飛び込んでいくということの充実感。楽しさ。喜び。

来年も音に触れながら、そういう希望に飛び込んでいきたい。


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