ディリー?闇鍋アラカルト
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2005年07月19日(火) 夢に殺される!

夢に殺される!と言う人と会った事有るかな?
これは実在の人で、文通していた人の話だ。
電話で彼女が言うには、精神科に通っているとの事で、「具合はどのように良くないの?」と尋ねたら、不眠なんだそうだ。
「何で眠れないのかな?」と尋ねたら、「自分が自分を殺しに来る夢で恐ろしくて眠れない。眠れないけど、眠らなければどんどん体調が悪くなってしまうから薬を飲んで眠っている。」というわけで、実際に彼女は夢に困りきっていたのだ。薬を飲んで眠ってはいるが睡眠の質は良いとは言えず、薬の量も増え体調だって低下してくる。
僕は彼女に「マラヤの夢理論(キルトン・スチュアート)」を紹介した。
マラヤの夢理論はマレー半島に住むセノイ族の調査という形になっていて、K.スチュアートによると、セノイ族では朝食時の風景は夢クリニックの様であるらしい。そして、全ての人間は、仲間の援助によって、夢の世界の存在と力に立ち向かい、それを習得し使いこなす事が出来ると信じている。
朝子供が「昨夜はがけから落ちる夢を見ちゃった」と言うなら、おとなは「ほう、それはいい夢を見たな。それでお前はどうしたんだ?」と言うかも知れない。
子供は「何がいい夢なもんか。怖くて目が覚めちゃったよ。」と言うなら「ふーん、それは失敗しちゃったね。がけから落ちる夢というのはね、大地の精がお前を呼んでいるのさ。落ちるのが怖いのなら、飛んでみなよ。夢の世界では飛べるからな。そしてふんわりと着地したら、大地の精がお前を待っているから、何でおまえを呼んだのか尋ねてみれば良い。きっと素敵な贈り物を用意して待っているはずだよ。」
そして、その子供は助言によって夢で飛べるようになり、大地の精から贈り物を貰ったり歌を教えて貰ったりと夢の世界で力と知恵を得る事が出来る・・・というような事が書かれている。
(W.ドムホフの「夢の秘法(岩波書店)」によると、この内容はK.スチュアートのでっち上げだという事だが、大泉実成は漫画家の水木しげると共にセノイ族の調査に行き「マレー獏は悪夢を見ない(扶桑社)」を出版している)
さて、夢に殺されそうになった精神科通いの彼女に関して言うなら、「マラヤの夢理論」は役に立てたようだ。
一年後彼女は電話で僕にこう言った「いなっち、夢って面白いね。映画見てるよりも面白いよ。映画は自分が主人公じゃないし、夢なら自分が主人公だし、触れるし、匂いまでするし、ホラー映画のBGMかけて寝てるんだよ!」
夢に殺されなかったばかりか、力も得られるようになったようだ!

*セノイ方式の夢見については「夢学(ユメオロジー)白揚社刊P.ガーフィールド著」に解説されている。


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