デイドリーム ビリーバー
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2002年08月02日(金) てのひら

私の手のひらはデカい。デカくて肉付きがいい。

女の人の手というものは
白くて、細くて、小さくて
きめがこまかくて、しっとりしていて、ひんやりと冷たい、
そういう手が理想だと、私は勝手に思っているので
彼と手をつないでいるとき
「プニ、プニ、プニ、プニ…」
と唱えながらモミモミされると、腹が立つ。

「なんで怒るん。いいやん、やわらかくて気持ちいいねんから。
 ほんま、赤ちゃんみたいな手やなー。プニ、プニ、プニ、プニ…」

赤ちゃんみたいじゃないっつうの。デカいっつうの。
ただ、それで、私が自分の手をきらいかといえば、そうでもない。


いつだったか、友人のお母さんで、手相を見るのが趣味の人がいて
みんなで見てもらうことになった。
その人はちょっと変わった人で、私たちの手をとっては
「まあ、かわいらしい手」「まあ、白いわねえ」
「まあ、指が細いこと」「まあ、爪がきれいね」
などと必ず褒める。さて私の番になり、私の手をとったその人は

「まあ、…のびやかな手」と言った。

私は嬉しかった。
ああそうか、確かにな、なんて思った。
キレイとかカワイイとか言われるよりも、私は嬉しくて。
ああ、私がめざすのは、キレイな手なんかじゃないんだ、なんて
そんなことを思ったりもした。



私と彼の手は、似ていると思う。

似てるよね、という私を、彼は否定する。
「えー、全然似てないやろ」
そうかなあ。肉厚感とか、手のひらの大きいところとか、似ていると思うんだけど。
「だって俺、指短いもん。宙ちゃんは長いやん」
「でも爪のかたちとかさあ」
「それこそ全然違うやん!」

だからそれは、私が爪をのばして、ネイルでごまかしているからだってば。
今どき、こんなものに騙されてくれているなんて、嬉しいわ。ふふふ。


手だけに限らず、私たちの体は似ていると思う。
骨格とか、肉のつき方とか、肌の質感とか。

もちろん私は女の体で、彼は男の体で、
そういった意味では、骨格も、肉のつき方もまったく違うけど。
もしも私が男だったら、彼のような体になっていたんじゃないかと思うのだ。

これってヘンかな?
もしかしてナルシスト?



ちなみに、私の手は、父の手と似ている。

だから、彼の手も、父の手と似ている。

それが、なぜか嬉しい。
私は、少しファザコンっ気があるのかもしれない。


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