ジョージ・エルスの日記...ジョージ・エルス

 

 

アンダー・コントロール - 2002年10月01日(火)

首都クアラルンプール(KL)市内にある巨大ショッピ
ングモール、"メガモール"。

430ものショップ、2件の大型スーパー、映画館、ボ
ーリング場、スポーツジム。東南アジアで最大。

正式赴任前の3ヶ月間ここに隣接するホテルに滞在
した思い出の場所。当時はホテルからの連絡路を通
り、ここに訪れ、行き交う人々をみて異国情緒に浸
ってたものだ。

最近は、週に1度のスーパーへの買出しに家族で訪
れる。昼食はもっぱら異国情緒たっぷりの屋台風フ
ードコートにて。

KLで好きな場所のひとつだ。


休日に 家族3人、買出しのため訪れた。

いつもなら車を止めた後、地下にあるスーパーへ直接
行くのだが、この時はたまたま、1階の靴屋に寄った。

妻のおなかも相当大きくなってきたので、ヒールの低
い靴を捜しに。

「パーンッ!」

店の外、すごい音が館内に響く。

人々が出口を求め、逃げ惑う。

「パーンッ、パーンッ!」

その音と共に、店のシャッターを下ろす音が鳴り渡る。

本物の銃声だ。これは現実だ。

50歳くらいの中国人・女店長。 「大丈夫。しばらく
ここにいなさい。」客と従業員を店の奥の倉庫に避難
させる。

彼女の冷静な態度が 僕らを安心させる。



新聞報道によると、2年前から連戦連勝の強盗集団に
よる宝石強盗。その宝石店は靴屋と同じ階で わずか
50mほどしか離れていない。

地下に行くスーパーへのエスカレーターは靴屋と宝石
店のちょうど真中にある。

靴屋に寄ってなかったら逃げ惑う人々に巻き込まれ、
妻がつまずき、おなかの子供に影響あったかもしれな
い。



しばらくすると 人々が館内に戻ってきた。館内放送に
耳を傾ける。

「...シチュエーション・アンダー・コントロール。」
 (ただ今状況は監視下にあります。ご安心下さい。)

店を出る。なぜか さっきの店長も店を出て行く。


なんと、彼女は僕らと同じただの客だったのだ。


日本にも場を仕切る頼もしい"おばさん"がいるが、彼女
もそうだったのだ。



世界中どこの国であろうと 最も強い人達というのは、
女として、そしておそらく母として長年生きてきた彼女
のような女性達なのかもしれない。












...




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