読了日記

2009年07月05日(日) 「れんげ野原のまんなかで」


「れんげ野原のまんなかで」(森谷明子著,東京創元社)



内容:ススキ野原の真ん中に立つ市立図書館を舞台にして、日常のちょっとした事件とその謎解きを描いた小説。連作短編小説。


うううーん、「千年の黙」が面白かったから手を出したのですが…。
面白くないっ、とは言いませんが、ずーーーーーっと根底に違和感が流れ続け…。

司書がね、ちょっとね。
「本好きで一度は図書館司書を目指した人間が理想とするタイプの司書」でね。

本好きと読書好きと図書館好きは似ているようでいて、似ているからそこズレが大きいです。
一部の本好きは図書館を愛さない。むしろ憎む。図書館を利用するものを軽蔑するものすら居る。読書好きはどちらにも属せるが、どちら側にもコアではない。図書館好きは本の中味は重んじても、形態としての本はさほど重視しない。
本好きの図書館屋というのは共立しにくいし、いたとして喜ばしいというより、違和感があるのだ。人殺しをヘとも思わない悪人が、町内の清掃活動に精を出すように。
本好きに収束しない司書なら良いんですが、なんというか…、うーん、例えば、本と図書館を天秤にかけられた時迷わず図書館を捨てるタイプの人たちに思えて、あまり好きになれないというか…。
一人くらい混ざっていても良いんですが全員そのタイプだったのがねー。

「司書なら読んだことがある本」が何冊か出てきますが、一冊も読んでいなかった、そして周囲もそうだという本ばかりだったことに、軽い嫉妬に近い反発も抱いているのかもしれません。
読んでいないことで司書性を否定されているような?私自身はおいといて、私が素晴らしいと思っている緒先輩方を否定されているような気がして、それも気に入らないのかもしれません。

謎解きとしては…、謎解きというより、種明かしか。人死にはないし(厳密にはあったけど)、目くじら立てる犯罪ではないけど、それが逆に、表に出ない膿のようで、司書に感じた閉塞感と相まって、この図書館自体が命にはかかわらない、それでいて確実な病理という気がしてあまり気持ち良い感じはしませんでした。

ただ、進めはしませんが、読んでも良い話だと思います。

ところでこの図書館、つくば市立図書館の某分館を思い出してしまいました。
「誰が来るんじゃ」という田舎に立てられている所だけですけどね。


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