読了日記

2008年08月14日(木) 「王と最後の魔術師 上下」





「王と最後の魔術師 上下」(エレン・カシュナー著,早川書房)


内容:リンク先参照。個人的には「リチャードとアレクの60年後」。個人的にはBL小説。


前作「剣の輪舞」は中世ヨーロッパチックなファンタジー部分があったのですが(というかそっちのが肝)、今回はモロBLです。
というかBLとしてなら評価できるけど、ファンタジーとしたらちと弱いかなと。
学園風景とか良く描けているし面白いと思うけど、全てはセロンとバジルの恋愛の為の肉付けというか。
ラストが、こうする以外にはないだろうなという結末に収まったのがもう一点。結局魔術師は巨神兵(映画版)のように出てすぐ崩れてしまったというのがちょっと…。復活してしまったら話がややこしくなるんだろうなと思いつつ、だからと言って一番簡単な締めをされたのではちと面白みがない。
んでこの話、続かなきゃ嘘でしょう。いや、ファンタジー的にね。王は生き残った。王は君臨してこそ王である。ならば、流浪の旅から帰還してこそ話は収束する。のでないかな。BL的にはこのままで良いんでしょうけど。

BLと言いましたが、昨今の日本のそれのように直接表現はナシ。
四半世紀前の、まだ腐女子という言葉がなかった時代、オタク女子にも乙女の恥じらいがあった時代、ある意味グロテスクな直接表現は使わず、ぼかした、間接的表現でそれを表しひっそり楽しんだ、あの時代、前時代の文章の匂いがします。
作者自身の手法なのか、BL(「ゲイ」でなく)後進国ゆえの文章か…。まあこの曖昧さがファンタジーとして作品を成立させている良さではあると思います。

「剣の輪舞」を知らないと面白くない…までは言いませんが、読んでいれば世界観が分かった上、楽しみも大きいと思います。
「剣の輪舞」増補版に載っている短編を読む前だったので、「そうか、リチャードはアレクより長生きだったんだ」と勘違いしてしまいました。

「アイ」の訳が相変わらずステキ。
…ちょっとアレクとリチャードと被っていると思いましたが。


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